[2613]TikTok(ティク・トック)とは何じゃラホイ。でこんな下らないサイトでした。

副島隆彦 投稿日:2020/08/05 11:59

副島隆彦です。 今日は、2020年8月5日(水)です。

トランプ政権が、何を騒いで、TikTok(ティク・トック)という中国で作られたSNSの一種でユーチューブのようなサイト(アプリ)を、アメリカの企業に売れ、と言っているのか、分からなかった。

 これにも、5G で先頭を走るホアウエイ Huawey と同じで、アメリカの最先端企業の情報が中国に盗まれる、バックドア(裏口)が付いている、と、騒いでいる。あるいは、このサイトを1億人のアメリカ国民が見ていて、彼らの個人情報が収集されている、と。何のことか、と思ったら、この TikTok(ティク・トック)というのは、こんな、くだらない、若者向けの バカ踊り とファッション遊びのサイトだった。以下のURLWO開いて見てください。アホらしいの限りですから。

https://m.youtube.com/watch?v=uQyJncU-wXg

 私は、このTikTok(ティク・トック)ー 日本語なら昔の時計の擬音「チック・タック」だろうー のことなど何も知らないから、何だろう、と思ったら、こういうガキたち向けの 最新流行のサイトだった。それに1000億ドル(10兆円)の値段(株式の時価総額で評価する)が付いている。それをマイクロソフトが買収する、の、いや、「させない。こんなのは、アメリカでは通信?放送?禁止だ」と争っている。

 確かになあ、もう白人たちでは、こういう、バカの極限のバカ者(若者)文化の映像は、もう作れないだろう。だから、アジア人(中国人、韓国人、日本人)に嫉妬して、それで、アメリカでは禁止、にしたいのだ。それでも、アメリカのバカガキたちは、やっぱり、これを見るだろう。何が、最先端の、米中の通信技術戦争だよ、笑ってしまうよ。「この映像の中の女の子たちで、アメリカ人を騙そう、蕩(とろ)かそうとしてとしている」と、アメリカ政府は本気で心配している。

 確かに、今の中国の若いモデルたちの、すらーっとした足の長さは、もの凄い。こういうのが、ハリウッドに、大量に出現したら、13頭身(とうしん)ぐらいあるから、もう、白人の女優や、モデル(あがり)たちでは適(かな)わない。

私の弟子のひとりが、この記事を昨日(8月4日)、送って来てくれたので、それを載せる。

Subject: ●「マイクロソフトのTikTok買収交渉、その舞台裏」

****君へ
副島隆彦から
 君が送ってくれたURLと記事をそのまま重たい掲示板に貼り付けます。 「バカになりきれる、なりきりたい若者たち」というコトバしか、ジジイの私には、思いつかない。昔の昭和初期の モボ・モガ やエログロナンセンス の 復活だ。 戦争に突入する前の おかしさだ。私が最近書いた「狂人日記2020」本の私からの警告そのものだ。 若者たちの 極端なまでの美しさ、キレイさ願望と追求は、そんなものは、芸能界にしかない。 SNSとインスタグラム、ユーチューブの次が、これでしたか。 

 アメリカが、これを強制買収しても、中味(コンテンツ)は、白人にはもう作れない。それで、トランプ周辺は、禁圧したいのだ。 中国、韓国からのアメリカ人洗脳計画だ、と ナバロが見抜いた。でも、値段(資産価値)が、1000億ドル=10兆円 と付いてしまったから、それを、無しにはできない。  
副島隆彦 記 

Sent: Tuesday, August 4, 2020 5:13 PM
To: gze03120@nifty.com
Subject: ●「マイクロソフトのTikTok買収交渉、その舞台裏」

副島先生へ
****です。

 TikTokというサイト(アプリ)は、以下のような学生や、アニメコスプレや
キャバ嬢のようなお姉ちゃんが踊っているショート動画をひたすら見せられるものです。

ボーッと見ていると、時間が過ぎて頭がおかしくなります。
addictive(辞められなくなる)ところが、ポイントなのだと思います。

https://m.youtube.com/watch?v=cXQkwGKpC4A

https://note.com/horikosu/n/n953e9af406bc

 このようなアプリを、アメリカが重大な国家セキュリティの対象として、
マイクロソフトに買収させたというのは、中国側から見たら、お笑いだと思います。創業者の、37歳の張一鳴(Zhang Yiming)は、ニヤニヤしています。

(転載貼り付け始め)

●「マイクロソフトのTikTok買収交渉、その舞台裏」

By Georgia Wells, Michael C. Bender, Kate O’Keeffe and Cara Lombardo

ウォール・ストリートジャーナル日本版 2020 年 8 月 4 日
https://jp.wsj.com/articles/SB11945199218753394663804586546142806016996

 マイクロソフトは、中国の人気動画共有アプリ「TikTok(ティックトック)」の米国事業の買収計画を進めることを明らかにした。数週間前から水面下で進められていた交渉はドナルド・トランプ米大統領の土壇場の介入で破談しかけたものの、持ち直した。

 この取引は世界のIT(情報技術)業界勢力図を塗り替え、米中関係を一段と緊張化させる可能性がある。

 マイクロソフトは、サティア・ナデラ最高経営責任者(CEO)とトランプ氏の2日の電話協議後、ティックトックの親会社である北京字節跳動科技(バイトダンス)と速やかに交渉を進め、9月15日までに完了させる方針であることをブログで明らかにした。これにより同社はティックトック買収に関心を持っていることを初めて認めた格好だ。ブログの投稿によると、協議の対象にはティックトックのカナダ、オーストラリア、ニュージーランドのサービスも含まれる。

 「マイクロソフトは国家のために強力なセキュリティー保護の開発に継続的に取り組んでおり、米政府とトランプ大統領個人の関与に感謝している」。同社はブログでこう述べた。

 さらに、ティックトックの米国人ユーザーのデータを米国に移転し、そこで保管することも明らかにした。また、ティックトックの事業を同社の傘下におくことで、人気のユーザー体験を軸に事業をさらに発展させるとともに、セキュリティーやプライバシー保護機能を追加するとした。

 バイトダンスは数週間前から、ティックトックの米事業をマイクロソフトに売却することについて米政府関係者も交えて協議していた。交渉は7月31日にまとまりかけたが、トランプ氏が反対を表明。アプリを全面的に禁じる意向を示し、話し合いに水を差した。

 この取引で、マイクロソフトはこの10年で最もブレークしたソーシャルメディア(SNS)の1つを手に入れることになる。また、中国を代表するIT(情報技術)企業が米企業の傘下に入ることは、米政府にとって中国政府に対する勝利を意味する。バイトダンスにとっては、米事業を妨害しかねない国家安全保障を巡る懸念が解消されることになる。

 この取引は、スティーンブン・ムニューシン米財務長官をはじめ、トランプ政権高官の賛同を得ている。ムニューシン氏は、ユーザーにどのような動画を薦めるかを決定するティックトックの高度なアルゴリズムを米企業が手に入れることに価値を見いだしている。一方、マイク・ペンス副大統領をはじめ、懸念の声を上げている人たちもいる。ティックトックの過去の買収について調査していた対米外国投資委員会(CFIUS)の当局者は31日朝、マイクロソフトの交渉がまとまりかけていると告げられた。

 トランプ氏は31日夜、大統領専用機エアフォースワンに同乗した記者団に対し、マイクロソフトによる買収には反対だと述べ、大統領権限を行使して米国からティックトックを締め出す意向を表明した。これは、タカ派の通商顧問、ピーター・ナバロ大統領補佐官が支持していた措置だった。

 トランプ氏の発言が報じられ、協議関係者は困惑した。バイトダンスはすぐにいくつかの点で譲歩し、張一鳴CEOがティックトックの持ち分を売却することにも応じた。トランプ氏が当時、ティックトックを米国から本当に締め出そうとしていたのか、単に交渉で好条件を引き出そうとしていたのかは不明。国家安全保障当局者の1人にトランプ氏の真意を尋ねたところ、トランプ氏の自伝「不動産王にビジネスを学ぶ」を読んだかと聞かれた。

 両社は協議を休止し、政権の意向を確かめようとした。
 トランプ氏は最近、ホワイトハウスの内外のアドバイザーから米国のティックトックを救済する必要があると聞かされていた。主にダンス対決とおふざけ動画が投稿されたティックトックは、数百万人のティーンの生活に浸透しており、その中には潜在的な有権者も含まれている。

 ティックトックの米国での運命を書き換えるレースがスタートしたのは7月初め。マイク・ポンペオ米国務長官が、テレビのインタビューでティックトックを米国から締め出す可能性に言及したことがきっかけだった。その後、複数の当局者がティックトックについて、国家安全保障上の脅威をもたらすと述べた。

 この舞台裏を追った記事は、買収協議に関わった、または協議について詳しく知る複数の人物への取材に基づいている。

 バイトダンスの張CEOはティックトックがいずれユーザー数と売上高でフェイスブックに対抗できるようになると考え、ティックトックの米事業を手放さずに済むようにしようとしていた。ティックトックは世界的には黒字化していない。事情に詳しい関係者によると、バイトダンスはティックトックの売上高について、今年は10億ドル、来年は60億ドルになると予想している。

 バイトダンスは、事業を行っている地域に合わせ、ますますコンテンツ規約を修正するようになっている。
 張氏にとって、マイクロソフトと手を組めば、潤沢な支援資金を持った企業に自ら創業した企業の米事業を引き渡すことができる。しかし、それは世界で初めて大成功した中国アプリの支配権を全面的に放棄することを意味する。

 バイトダンス幹部は米当局者との一連の話し合いで、バイトダンスから独立したティックトック取締役会の創設を申し出たほか、米投資家グループの出資比率を高め、ティックトックの過半数株を所有してもらうことを提案した。ティックトックの現CEOは、ウォルト・ディスニーの元幹部ケビン・メイヤー氏が務めている。
 バイトダンスの投資家にはソフトバンク・グループ傘下のビジョン・ファンドや、ゼネラル・アトランティック、セコイア・キャピタルなどの大手ファンドが名を連ねる。バイトダンスの評価額は、今年3月の資金調達ラウンドで1000億ドルの値がついた。一部の投資家は、ティックトック単独に300億ドル以上の企業価値をつける構えだと、その概要を聞いた人物は話す。マイクロソフトは他の米投資家も巻き込んで取引に参加する可能性に言及した。

 米政府当局者の一部は、過半数株所有の提案に賛成した。中国テクノロジー業界の至宝が中国共産党の手から逃れ、米国にくみする構図になると考えているためだ。

 トランプ政権の当局者は、ティックトックが100%米国資本になることを望んでいるとし、単に少数株主の持ち分比率を高めるだけでは、同政権の勝利とはみなせないと述べた。

 バイトダンス関係者は、米国でのティックトック利用禁止を是が非でも避けたかった。ティックトックの最大市場であるインドは、中印両軍が国境付近で軍事衝突し、死者が出たことを受け、このアプリを禁止したばかりだ。米国でも禁止になれば、ドミノ効果が生じかねないと、中国のITコンサルタント、マシュー・ブレナン氏は指摘する。

 ティックトック株を取得できるとの考えに興味をそそられる希望者は多かったと言われるが、張CEOはマイクロソフトに焦点を定めた。

 そこはなじみのある場所だった。張氏は2008年に一時マイクロソフトで働いていたが、短期間で退職した。その理由について同氏が中国メディアに語ったところでは、自身の創造性が抑圧されると感じたからだという。

 マイクロソフトのナデラ氏にとってはティックトックを買収すれば、2014年のCEO就任以来、主に法人顧客に照準を合わせて成功を収めてきた同社に、若者主体の膨大な数のSNSユーザーを迎えることができる。

 ナデラ氏はこれまで複数の大型買収を手がけてきた。2016年のリンクトイン買収や、ソフトウエア開発者がソースコードを公開・共有できるサイトを運営するギットハブを2018年に買収したことなどだ。それにより、同社の従来の看板商品を超えるものを提供し、クラウドコンピューティングのような急成長分野に注力できるようになった。それは基本ソフト(OS)「ウィンドウズ」を手がけてきた同社の時価総額を、6年間で5倍の1兆5500億ドルに増やすのに役立った。

 マイクロソフトは、消費者向けビジネスでは悲喜こもごもの経験をした。グーグルに対抗する検索エンジン「Bing(ビング)」には弾みがつかず、またナデラ氏の任期中、スマートフォン事業はおおむね放置されている。6月には主にビデオゲーム愛好者向けのライブ動画配信サービス「Mixer(ミクサー)」を終了させると発表。配信者や視聴者のコミュニティーをフェイスブックに移行させる方向で協議していると述べた。

 ティックトック買収が実現すれば、マイクロソフトの最も成功している消費者向けビジネスであり、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)で売り上げが急増したゲームプラットフォーム「Xbox(エックスボックス)」と連携できる可能性がある。若いユーザーにとって、プレーヤーがリアルタイムに交流したりチャットしたりするエックスボックスはSNSの機能も果たしている。またティックトックユーザーの大半は女性であるため、買収によって、男性に大きく偏るエックスボックスのユーザー基盤に性別バランスをもたらすことになる。

 一方、この買収では、ナデラ氏が今まで回避してきた種類のリスクを生じさせる可能性がある。他のIT大手がいかに市場支配力を行使しているかを厳しく精査されている時期に、マイクロソフトのすでに巨大な規模をさらに拡大することになるからだ。またマイクロソフトはティックトックを傘下に持つことで、権力乱用や虚偽情報、言論の自由を巡ってさまざまな議論が渦巻くソーシャルメディアという分野に押し出されることになる。

 7月下旬までに、買収計画の骨格はほぼ固まっていた。マイクロソフトがティックトックの米国事業を買収し、張氏が少数株式を保有するというものだった。

 これを巡る議論が続く中、ホワイトハウス内の一部に、買収阻止によって政治的な不都合が生じかねないと警戒する声が上がった。トランプ氏の批判勢力によってティックトックが利用される一方で、当局者の一部は、大勢の若い共和党支持者や、保守派の子供たちもこのアプリを利用していると指摘した。

 1日夜、大統領の周辺がマイクロソフトに接触し、米国人の支配下でティックトックの存続を助けたいと伝えるシンプルかつ前向きなメッセージをツイッターに投稿するよう促した。これらの人々は同社に対し、大統領は買収に好意的であり、マイクロソフトはこの機会を捉えるべきだと勧めた。

 ティックトックに1日に投稿された声明で、ティックトック米国ゼネラルマネジャー、バネッサ・パパス氏は、プラットフォームの将来について安心するようユーザーに伝えた。「ティックトックを毎日利用している米国の大勢の方々に感謝を伝えたい」と同氏は述べた。「われわれはどこにも行くつもりはない」

(転載貼り付け終わり)

副島隆彦です。もう、こんな辛気(しんき)くさい記事は、皆さんは、読まなくていいです。最初の動画の女の子たちの踊りでも見ていれば、それが、TikTok(ティク・トック)の全てだ。

次の記事ももう読まなくていいです。 こういう偉そうな、難しそうなことを書いて、欧米白人どもは、威張りたいのだ。馬鹿なんだ、もう。 副島隆彦記

(転載貼り付け始め)

「さまよえるティックトック ( 英 The Economist )

The Economist   2020/7/28

 世界で最も価値あるスタートアップ、中国の北京字節跳動科技(バイトダンス)の評価額がセカンダリー(流通市場)で5月、春の資金調達時の1.5倍に近い1400億ドル(約15兆円)に達し、他のIT系「ユニコーン」(企業価値10億ドル以上の未上場企業)をさらに引き離した。理由は同社が運営する短編動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」だ。

 総ダウンロード数は20億回に達し、利用者が投稿する楽しいコンテンツのおかげでネット上の「最後の明るい場所」とされ、中国発アプリとしては初めて世界を席巻した。創業者の張一鳴氏(37)が、バイトダンスを世界的なソフトウエア企業に育てるとする野望に欠かせない商品だ。
 
■1~3月期のダウンロード数、世界で過去最高
 だがその野望が今、危機にある。インド政府は6月29日、ヒマラヤ山中の中印国境係争地帯で両国兵士が衝突し死者が出たことから、ティックトックを含む59の中国製アプリの使用を禁じた。バイトダンスは同月、トランプ米政権がティックトックが中国企業のアプリである点を懸念していると米国の担当弁護士から報告された。米政権は同アプリを全面的に利用禁止にする可能性をちらつかせている。
 米政権のティックトックへの懸念は、その人気上昇に伴い膨らんだ。米国の利用者数は約7000万人とされ、動画・写真共有の米アプリ「スナップチャット」に並ぶ。
米調査会社センサータワーによると、今年1~3月期のダウンロード数は世界で3億1500万回と、3カ月のダウンロード数としては過去最高を記録。米英の広告業界が重視する利用者による注目度で動画投稿サイト「ユーチューブ」に並ぶ。その人気は最初に火がついた十代にとどまらない。バイトダンスの米ゼネラルマネジャーを務めるバネッサ・パパス氏は「ティックトックは今やあらゆる層が使っている」と言う。
 
 バイトダンスは公表しないが、同社の投資家は昨年150億~200億ドルだった売上高が今年は300億ドルに達すると見込む。純利益は70億ドルと倍増する勢いだ。利益の大半は中国版ティックトックの「抖音(ドウイン)」と中国で展開するニュースアプリ「今日頭条(トウティアオ)」による。ティックトックはまだ利益を出せていない。

 だが、米国の巨大な広告市場とつながれば、中国で利用されている同社傘下の全アプリが稼ぐ売上高合計をいずれしのぐとバイトダンスはみている。そのためにティックトックは広告主向けに様々なツールを提供してきた。米ベンチャー投資家が多くを占めるバイトダンスへの出資者は、このシナリオが実現すれば、中国での成長と合わせ、同社の評価額は5000億ドルに達すると期待する。

■中国当局への協力は不可避という懸念
 ティックトック利用者にすれば、米政府がハリネズミの赤ちゃんを撮影した無邪気な動画を弾圧しようとするのはばかげた話だ。だが米政権には懸念が2つある。
一つは中国政府の検閲対象になるリスクと政治的宣伝に利用されるリスクだ。ティックトックは過去にチベット問題や天安門事件、新疆ウイグル自治区での少数民族弾圧など中国政府が神経をとがらす問題に関する投稿を削除したことがある。2つ目は、バイトダンスが中国企業である以上、中国当局への協力を法的に強制される点だ。

 ティックトックは中国政府にデータ提出を正式に要請されたことはなく、要請されても中国人以外の利用者情報の提供を拒否するとしている。だが米フェイスブックの元最高セキュリティー責任者で今はビデオ会議サービス「Zoom」を手掛ける米ズーム・ビデオ・コミュニケーションズの顧問アレックス・スタモス氏は、ティックトックが中国政府の要請に抵抗しても「そのデータを出させるための超法規的手段が存在する点が問題だ」と指摘する。同氏によると、北京のバイトダンスに勤めるエンジニアが海外にあるティックトックのサーバーにアクセスできる場合、中国政府はそのサーバーに保存されているデータの提出を強制できる可能性がある。

 ティックトックは他のSNS(交流サイト)に比べ収集しているデータは少ないとするが、利用者の位置がわかる全地球測位システム(GPS)情報やネットのアドレス、検索・閲覧履歴はアプリ上に自動的に記録される。利用者が自分の連絡先を他者と共有するオプションもある。

■中国事業とその他事業に会社分割する覚悟も
 バイトダンスはこれらの懸念払拭に努めてきた。ティックトック利用者の西側での急拡大を受け、米国での業務と経営を米国化してきた。専門家らが同社のプログラミングコードを確認できる「透明性センター」はコロナ禍で遅れたが今夏、ロサンゼルスに開設予定だ。米子会社の最高経営責任者には米ウォルト・ディズニーの幹部だったケビン・メイヤー氏を起用した。

 3月にはもっと大胆な計画を打ち出した。ティックトックを含む中国以外の全ての事業のグローバル本社をロンドンに移し、欧州連合(EU)の厳格なデータ保護規則の適用を受けるアイルランドに管理部門のオフィスを置く計画だ。業務を「バイトダンス中国」と「バイトダンスグローバル」に二分するのだ。同社はこの計画を2月に英政府に打診した。

 だが米政権によるティックトック利用禁止の可能性が高まり、同計画は中断している。バイトダンスの最優先事項は、利用禁止を回避する一方、ティックトックの経済的価値を保有し続けることだ。

 同社が望むのは会社の二分化だ。そのために資本構造を変え、グローバル部門を分離する覚悟も決めている。グローバル部門の株式所有を35~49%に減らし、張氏が選任する取締役も半数未満にする。さらにバイトダンスグローバルからティックトックの米国部門を分離し、中国ともっと距離を持たせる。また、バイトダンスの既存の出資者がティックトックの株式の過半を買い取る案も報道されている。この場合、バイトダンスに若干の株式保有を認める可能性はある。だが、これらの対策で米政権が納得するかは不明だ。

■米国部門失えば評価額は5000億ドルから3000億ドルに
 バイトダンスが恐れる展開は、ティックトックのグローバル部門の90~100%を米国の投資家やIT大手に売却するよう余儀なくされることだ。米国家経済会議(NEC)のクドロー委員長は16日、ティックトックは中国の親会社から独立した米企業になるとの見方を示した。欧州にグローバル部門の本社を置く案を中国政府は受け入れるとバイトダンスはみている。だがティックトックのグローバル部門が米国の投資家や企業の手に渡れば、米政権が強制収用した印象を生むし、中国で本件に関与するある人物は「それは米国が世界的プラットフォームをまた一つ手にすることを意味する」と言う。

 ティックトックの一部または全体を手放すのはバイトダンスには財務的打撃となる。ある大口投資家は、ティックトックの米国部門を失えばバイトダンスの潜在的評価額は5000億ドルから3000億ドルに下がるとみる。全グローバル部門を失えば打撃はもっと大きい。ティックトックが人気を集めたのは抖音や今日頭条の開発で磨いたバイトダンスのアルゴリズムに負うところが大きい。従ってバイトダンスの手を離れたら、ティックトックのさらなる発展はないかもしれない。

 ティックトックの苦境は他社に躍進する余地を生んだ。インドでは2億人が一夜にしてティックトックへのアクセスを失ったが、地元の競合する動画共有アプリ「ロポソ」は48時間で2200万件の新規利用者を得た。米国ではフェイスブックが近く傘下の写真動画共有アプリ「インスタグラム」にティックトックと似た短編動画加工機能「リールズ」を加え、ユーチューブも同様の機能を持つ「ショーツ」を投入予定だ。
米政権は多くの米国民が夢中になっている中国アプリの利用禁止を考え直すかもしれない。ティックトックの企業構造も変わるかもしれない。だがパパス氏は「ティックトックが消えることはない」と断言する。

(転載貼り付け終わり)

副島隆彦拝