[2549]ビットコインの最適な使い道(2)

28510101002538 投稿日:2020/05/14 04:33

>森本達樹様

ケインズのY=C+Iにおいて、形成外科医としての私はI(インテレクト)であると、確信を持って言えます。これまで私が社会に提供してきた価値は私が手にした報酬を上回っていると自負しています。しかし、私の専門外の分野では、明らかに社会にとってC(コスト)以外の何者でもありません。恥ずかしい限りです。しかし、人間は一人ではないので、各人がそれぞれのIで頑張って、少しでもCを補い合えれば、全体としてYは増え、人類は幸福になれると思います。

福島先生や、学問道場の皆様が提供されているIの価値は大きく、それに対して私の支払った5冊以上の本代や年会費など、微々たるもので、まことに申し訳なく思います。ただ、私も規定の代金を支払っている以上、どうか議論への参加をお許しいただき、どうしようもないCですが、ご指導を賜りたいと思います。

さて、私もご指摘の「銀行消滅」の第3章「仮想通貨は新たな世界通貨となるか」を既に拝読させていただいておりました。私も仮想通貨に興味があると申し上げた以上、様々な本を読み漁りましたが、どれもこれも投機・博奕の話か、ブロックチェーンの技術的な仕様書みたいなものばかりで、肝腎な何かがぼやけてモヤモヤした気分のまま、ふと、手にした「銀行消滅」には仮想通貨の哲学、思想の本質が驚くほど鮮明に描かれていたのです。「拡散して逃げていく通貨」、そのような説明は他に見たことがなく新鮮でした。核心を突いていると思いました。

ただ一点、仮想通貨をコモディティ・バスケットで裏打ちするという発想には、不肖ながら疑問を持ちました。理由は金や銀はもとより、石油などのエネルギー資源、小麦などの食料は国家的な戦略物資であり、国の関与が濃厚だからです。しかも公的尺度で計量されて客観的に価値が確定します。私は、コモディティは法定通貨で購入すべきだと思います。

私は、仮想通貨は情報(テキスト、音楽、画像、動画)で裏打ちされるべきだと思います。情報の価値は個人の主観的な好き嫌いで決まり、客観的に確定しません。さらに著作権や特許で保護されない、市場で価値を生み出さないレベルの情報は、国家の関与は薄く、仮想通貨と相性がよいと考えます。

ビットコインは学問道場では終わった話だとのことですが、ただ最後の一点につき、教えていただきたいのです。というのも、私はJibangoというサイトで、既に「インターネット上のコメントに対してビットコインを投げ銭するシステム」を稼働させているからです。

コロナの時代に、ロックダウンや外出自粛要請で、地球規模で人は自宅にいて、インターネットで様々な情報を得たり発信したりしています。その玉石混交の膨大な情報の洪水の中から、人々の集合知にビットコインの報酬を与え、良質のコメントを浮上させ、悪質のコメントを沈めるという装置、このJibangoの思想は、正しいのか、間違っているのか知りたいのです。

ところで「銀行消滅」第3章の、仮想通貨は「支配者(ルーラー)から拡散して逃げていく通貨」という下りには、脳を揺さぶられる思いでした。ルーラーすなわちビッグ・ブラザーは「一九八四年」(ジョージ・オーウェル著)に登場する監視社会の象徴的存在であり、監視社会は監視カメラと個人識別番号を駆使して情報を操作し、国民の思想をも支配する社会です。ここに、私の中で、個人識別、仮想通貨という重要な言葉が繋がったのです。

個人識別については、また別の機会に。