[2530]コロナウイルスを合理的に警戒する

宮林 謙吉 投稿日:2020/04/22 09:21

会員番号7327番の宮林と申します。
日本で通常のインフルエンザで亡くなる方が年間2000人から3000人との統計があります。インフルエンザの流行が主として12月から2月の3ヶ月とすると概算では1ヶ月あたり約1000名とみなしてよさそうです。日本の医療機関に配備されている人工呼吸器は約1000台との情報があり、通常のインフルエンザは発症後に治るまで(入院したとしても退院するまで)の期間を概ね一週間とするのがよい近似であるとすると、日本全体で1ヶ月あたりのべ約4000名の人工呼吸器を必要とするインフルエンザ重症患者に対処可能という結論が導き出されます。すると、インフルエンザが重症化して亡くなる患者が全て人工呼吸器を必要としたと仮定しても、まだ4倍の余裕がある、との見解になります。普段はこの余裕分は他の疾患で人工呼吸器を必要とする患者の対処にあてられていると考えられます。

これまでのところ、日本でコロナウイルスの感染が判明した人数は約1万人、亡くなられた方の人数が約300人と伝えられています。コロナウイルス に感染しても発症しない場合も多くある、とのことですから、これが感染判明人数の何倍いるかは仮定の数字を当てはめるしかありません。仮に顕在化していない感染者がすでに見つかった感染者の10倍、つまり感染者の10%が発熱などの症状が出て検査を行い感染が判明した、という確率を仮定した場合は、顕在化していない感染者は約10万人ということになります。この仮定が1桁変わって感染者の1%が発症・検査して感染が判明するという確率だとすると顕在化していない感染者は100万人です。100万人は1億人の1/100に過ぎませんから、日本の人口の99%以上は未感染である、という結論が導かれます。集団が免疫を獲得するに至るまでの道のりは、コロナウイルスの場合は非常に長くならざるを得ないと考えます。

逆に言うと、全く無警戒な場合は、発症しない人も含めて感染者がこれまでの100倍から1000倍まで増える可能性がまだ残っていると言うことになります。これまでのコロナウイルス死者の約300人が人工呼吸器の使用が必要な人数と等しいとして100倍から1000倍すると3万人から30万人という数字になり、配備されている人工呼吸器の数の数十倍から数百倍になります。こうなってしまうと、人工呼吸器が足りないために見殺しにせざるを得ないコロナウイルス感染の重症患者が発生することが不可避になります。

本来は、学校での理数教育は、自発的に「そのようなことになってはまずい」と考えて不注意なことをしない人が一定以上の割合いるように、そうしたものの見方考え方ができる国民を作っておくことが使命の一つだと思われますが、現実がそうなっていないのは、すぐにはいかんともしがたい。