[2520]パンデミック後の世界
佐藤義孝です。「LONGER RUN ECONOMIC CONSEQENCES OF PANDEMIC」というサンフランシスコ連銀の若手経済学者たちがまとめたレポートを紹介します。
ラジオ日経、マーケットプレスで紹介されてました。全文英語です。難解な数式が出てきて、私は途中で読むのを諦めましたが、図を見てるだけでも何となく言ってることが理解できます。
この論文によると、パンデミックは戦争と違い長期にわたり自然利子率を下げる原因になるとのことです。自然利子率とは引き締めでも緩和的でもない中立的な金利のことです。
パンデミックの場合、人は死ぬが交通インフラや建物は破壊されず資本ストックはそのまま残ります。資本ストックが残ることで成長率が下がり20年にわたって自然利子率が下がります。一旦デフレになるが人手不足で実質賃金は上がるとのことです。ただし、今回の新型コロナの場合、若者より年配の人の致死率が高くこの限りではないかもしれません。
戦争の場合、人だけでなく資本ストックも破壊され尽くされるので自然利子率は上がると書かれています。
パンデミックが収まった後、世界はGDPの10~20%の巨額な財政支出を打った後なので、簡単には金利上げられないと思います。そうなるとマーケットはバブル化しその後崩壊して一気に世界大恐慌もあり得ると思います。
この論文を紹介していたストラテジストの岡崎良介さんも懸念してましたが、大恐慌から戦争になったのは需要が無いからです。需要が無いからスクラップ&ビルドで、無理やり需要をつくるしか不況から抜け出せないかもしれません。まさに副島先生が仰ってるウォー・ブースト・エコノミーであり軍事ケインズ主義ではないでしょうか。
私は戦争という未来が来ないことを切に願います。