[2474]「全体主義の中国がアメリカを打ち倒す」の通りの展開となった台湾総統選挙
昨日の台湾総統選挙では民進党の蔡英文氏が圧勝しました。この予想は副島先生の新著「全体主義の中国がアメリカを打ち倒す」(1月1日刊 ビジネス社)の第4章で詳しく背景が述べられています。
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アメリカがそのように仕組んでいるからである。「台湾は中国に渡さない」という固い決意による計画である。
そのために、去年(2019年)の早いうちから、国民党の候補として韓国瑜を有力な競争相手としてアメリカが作り上げた。この韓国瑜という男は、高雄市長になったばかりであった。降って湧いたように、「民衆に大人気だ」というメディア宣伝が行なわれた。
~中略~
鴻海精密工業の会長の郭台銘(テリー・ゴウ)が、2019年4月に総裁選に立候補を表明した。そして、「自分こそは台湾の指導者にふさわしい人物だ」として、勢いよく選挙運動を始めた。
ところが、テリー・ゴウは、7月15日に国民党の統一候補を決める予備選挙であっけなく敗れた。
~中略~
彼は、国民党を背後から操るアメリカのチャイナ・ロビー(注:台湾の独立派の工作)にまんまと嵌められたのだ。
おそらくテリー・ゴウは、習近平と深くつながっている。
~中略~
テリー・ゴウは、その前にトランプ大統領をだまくらかす戦術に出た。テリー・ゴウは、トランプ大統領から、「ウィスコンシン州に200億ドルでホンハイの液晶画面の工場を建ててくれ」と頼まれて、それに応じた。
~中略~
テリー・ゴウは、トランプとの騙し合いの腹芸を続けながらも、「台湾人で唯一直接ホワイトハウスに行ける人間」として、台湾の選挙で自分を売った。同時に、自分は生粋の国民党を支持する家の出である、ということも強調した。
(貼り付け終わり)
■韓国瑜は最初からアメリカによる当て馬に過ぎなかった
景気低迷で人気のない民進党に対して、中国による景気高揚を訴える国民党という構図での選挙ですが、そんな一辺倒の見方ではなく、副島先生はさらに深く解説をされています。
(貼り付け始め)
重要なのは、中国共産党(北京政府)が、国民党を根っからは信用しないという判断を持っていたことだ。これが正しかった。なぜなら、蒋介石が率いた国民党は、共産党の天敵(ナチュラル・エネミー)であり、国共内戦を戦った相手だからだ。
~中略~
最初からテリー・ゴウを落とすために、アメリカのチャイナ・ロビー勢力が韓国瑜という、台湾陸軍士官学校出の軍人を、人気者として、ものすごく売り込んだのだ。
~中略~
ここまでは、アメリカのほうが一枚上手だ、ということになる。トランプもこの演戯に加わっている。しかし中国は、この後、反撃に出るだろう。
~中略~
私の予言では、蔡英文が再選された後、すぐに大きな批判が起きる。ただでさえ人気のない不評の総統である。だから2年ぐらいで辞任に追い込まれるだろう。次の4年の任期をまっとうできないだろう。テリー・ゴウはそのとき総裁選に出るだろう。
これが中国からの大反撃である。中国は「あと4年我慢しよう」などとは考えない。中国は自国内で進むデモクラシー導入の制度変更に合わせて、台湾民衆の支持も取り込めるように着々と動くだろう。
(貼り付け終わり)
副島隆彦先生の近未来予測では、前著からも2022年からデモクラシー(民主政体)に移行されていくとされています。習近平の3期目が2022年に始まり、その任期5年の間に中国では普通選挙と複数政党制が実現されて、晴れてデモクラシー国家として世界から了承される。
この動きに呼応して、台湾世論も「自分たちも漢民族の一部であり、中国人だ」という流れへと変化して行くのでしょう。
経済成長が続くことを条件に、台湾は中国の一つの省になってよいと考える若者たちも増えると予測されています。
このような状況になると、アジアにおける主な親米・反共の砦は日本だけです。
アジア情勢では将棋の盤上のように、入り組んだ状態であり、台湾が重要なキーポイントであることがよくわかります。
融資と通信インフラ、デジタル技術という飛車角で勢力圏を広げる中国に対し、自国第一主義(アメリカン・ファースト)という穴熊戦法を採りたいアメリカとでも例えればよろしいでしょうか。
早速、中国外務省が台湾総統選挙へ当てこすりをしています。
しかし、台湾総統選挙の結果がどうであれ、”ディストピア先進国家”である中国には取り込まれるか、歩調を合わせるしか
今のところは現実的には選択がないということを、本書により理解できます。