[2472]インフレ目標の正当性

佐藤義孝 投稿日:2020/01/06 18:47

 会員番号2668の佐藤義孝です。かなり久しぶりに投稿します。1月5日付の日経ヴェリタスに「物価上がらぬ100年に突入か」という記事がありました。

 記事によると大半の中央銀行は現代の経済学の元締めである米国の主流派経済学者の強い影響下にあるそうです。

 記事は米ブランダイス大学の歴史学者デービッド・ハケット・フィッシャー教授の著書「THE GREAT WAVE」からの引用で現代の経済学者が非常に狭い歴史観でインフレ目標を決めてきたそうです。

 1200年代以降の欧州では度々デフレが起き100年から数百年に及ぶのも珍しくなかったそうです。米国の経済学者は、歴史に無頓着で近代の経験だけで理論を構築したと書いてありました。

 私はこの記事を読んで副島隆彦の論文教室、「0117」の「政治学の世界で起きていること」を思い出しました。古村治彦さんが書いたこの論文でチャルマーズ・ジョンソン教授が合理的選択論に対し「それぞれの国の文化や伝統、歴史を考慮に入れない研究は薄っぺらなものになる」、欧米の学者の理論は西洋中心主義から生まれてると批判していました。

 しかし実際には米国の経済学者は西洋の歴史からすら学んでいないように私には思えました。科学者の人文学軽視を物語っていると思います。副島先生の言うように歴史学は下等学問と見下しているのでしょう。

 今や日米欧の中央銀行のトップは学者ではないことからも、もう一度学問全般を見直す機会だと思います。この本は99年の出版で英語版しかないみたいです。