[2460]私は、ひどい風邪で寝ていました。もうすぐ元気なります。
副島隆彦です。 今日は、2019年11月19日(火)です。
私は、先月末から、風邪をひいて、持病の気管支炎を悪化させて、初期の肺炎のようになって、ずっと、寝ていました。ようやく10日後に、医者にいって点滴をしてもらった。少し良くなった。風邪は治って、声が出るようになった。
ところが、今度は、風邪のひきはじめの日から同時に起きた、座骨神経痛(ざこつしんけいつう)が、出て、それも、風邪の治りと一緒に、一旦は治まったのだが、また、再発した。座骨神経痛などという古くさい病名が、今の使われているのか、私には分からない。
明日、医者に行って、私が嫌ったはずの、神経ブロック注射(ペイン・クリニック)を、してもらう。医者が、初診で、すぐ注射してくれるか、分からない。座骨神経痛など、これまで私はなったことがない。病気は、老人になると、つぎつぎと未経験の病気が襲ってくるようだ。歳を取って、少しずつ体が壊れてゆく、ということだ。
座骨神経痛だって自分の職業病だ。ずっと椅子に座って仕事をしているから、こうなる。大腿部(だいたいぶ)の、大きな筋肉が、一本、固まっていて、座った状態から、立ち上がると、腰から足に掛けて、痛みが走る。 ここに炎症があるから元気が出ない。
自分の新刊書の 「 米中(べいちゅう)激突 恐慌 」(祥伝社刊、11月始め)を出して、それから、ここに、何も書いていない。ドイツ銀行 Deutsche Bank は、まだ、破綻(はたん)しない。破綻処理は、始まらない。
「ドイツ銀行は破綻する」の噂と、記事は、どんどん、今も出ている。それらを以下に、たくさん貼り付けようと思うが、今日は、私にその気力が無い。
ドイツ銀行の破綻処理は、来年、1月か2月まで、ドイツ政府(メルケル政権)が、引き延ばしているのだろう。 最後は政治が決めるのだ。 市場原理がどうの、マーケット・メカニズムが働くとか言っても、もう、今の世界の、先進国の、金融制度、金融市場は、崩壊に向かっている。最後は、政治(政府、権力者たち)が決める。
アメリカは、NYの株価が、28,000ドル台(11月15日)に乗せて最高値を更新している。トランプ大統領は、こういう男だ。 底が浅い。「株価さえ、つり上げておけば、アメリカ経済は大丈夫だ。景気はいいんだ、と国民を信じ込ませる(ダマせる)」という、それだけの男だ。バカな野郎だ。
事実、株価さえつり上げておけば、アメリカのサラリーマンたちは、401K(よんまるいち・ケイ)で、自分が積んでいる年金を使って、株式の銘柄を指定できる。 退職老人たちの、年金も、株さえつり上げておけば、年金運用のファンドマネージャーたちが、利益を出せるので、年金をちゃんと払える。
アメリカ国民の8割が貧しい人々まで株を買っている(日本は、5%ぐらいの国民しか株はやらない)。アメリカ国民にいい思いをさせて、年末のクリスマスまでは、いい思いをさせよう、という作戦である。年明けに暴落が来る。こういう、見え透いたどうしようもない 政治を今のアメリカは、やる。
FRB(中央銀行)と、その執行機関の、ニューヨーク連銀(れんぎん)が、銀行間の相互の信用不安と流動性(りゅうどうせい)の不足で、今にも壊れそうな、ニューヨークの銀行間(インターバンク)の短期資金市場に、無制限に資金を供給しはじめた( レポ市場 repurchase market と言う )。
このジャブジャブ・マネー(緩和マネー)が、あらゆる危険な金融博奕(デリバティブ取引)にも流れ出して、使われる。荒っぽい博奕打ち(ベンチャー・キャピタリスト)どもが、ほとんど無利子の資金を資金を借り出して、レバレッジ(投資倍率)100倍とかの地獄の相場を張る。 こういう危険を承知で、今のアメリカは、麻薬療法で、生き延びている。裏に隠してある、政府の財政赤字の、巨額の山積み、おそらく60兆ドル(6000兆円)が、そのうち破裂する。
日本の株式も、225種の優良銘柄は、すべて4割以上は、外人、外国資本が、買っている。だから、日経平均も、24,448円 の去年の最高値を、今にも超しそうだ。
だが、日本の投資家たちは、皆、脅(おび)えている。一体、いつ次の暴落が来るのか、と。戦々兢々(せんせんきょうきょう)としている。
セミプロから上、プロの投資家たちは、すべて、先物の売り(あるいは、プット・オプションのプットを買う)を仕掛けている。だから、今はじっと我慢している。NYの最大手のヘッジ・ファンドたち(代表、ブリッジ・ウオーターのレイ・ダリオ) も「トランプは、こんなに、株価をつり上げて、一体どうする気だ。正気なのか」と。日本のプロの投資家たちも、思っている。
トランプというのは、だから、私が、ずっと書いて来たとおり「アメリカ帝国の 墓堀り人、 grave digger グレイブ・ディガー である」なのだ。彼が、来年の11月の大統領選挙で、再選されて次の4年間をやる、その最後の年である、2024年に、世界は、大恐慌に突入するだろう。それは、WWⅡ(第2次世界大戦)の終わり(1945年)から80年目である。
世界は、80年周期で、動いている。日本の歴史を見て見れば分かる。80年の周期(波)は、40年で折り返す。幕末明治(1865年)から、40年で、日露戦争(1904,5年)だ。それから、40年で、日本の敗戦(昭和20年、1945年)だ。それから40年で、にほんのバブル経済の頂点(1985年)だ。それから40年が、2025年だ。
今は、そのどん底への道の40年目を、日本はヒドい不景気のまま、ひた走っている。そして、2024、5年 に、この世界経済の、80年周期の 人類史の波(波動)の 運命に従って、日本も、先進国の財政崩壊(フィナンシャル・カタストロフィー)のあと世界恐慌(ワールド・デプレッション)に突入する。 このように世界は、そしてその一部である日本は、動いているのである。
ドイツ銀行の破綻処理は、 まさに、イギリスのBrexit (ブレグジット)、EUからの離脱、脱退と、ピタリと軌(き)を一(いつ)にしている。ドイツ銀行の危機が騒がれた、まさしく2016年の6月に、イギリスでブレグジットする、と国民投票で決まった。イギリスは、「ヨーロッパの疫病神から、逃げろや、逃げろ」なのである。あれから、3年ずっとイギリスは、国内が国論の分裂で、荒れまくった。
今は、「6600万人の貧乏国」と、呼ばれている。 12月12日に、イギリスの総選挙(ジェネラル・エレクション)があると決まった。それで、ブレグジットが決まる。
EUは、「来年の1月31日まで、待ってやる」と、期限すなわち我慢の限界を、再延長をした。だから12月12日に、ボリス・ジョンソン首相が、勝って、英保守党が、過半数を得票するだろう。ナイジェル・ファラージュが率いる「ブレグジット(離脱)党」も、保守党に協力して、対立候補を立てない、とジョンソンに約束した。
英労働党(レイバー)は、ジェリー・コービンという温厚で、頑強な、左翼の党首が、やや後退するだろうが、労働党としては、大敗北ということにはならない。こうしてイギリスは、ヨーロッパ同盟 から出て行く。
その本当の理由は、イギリスはEUの為におカネを払いたくないからだ、と、私、副島隆彦だけが、はっきりと書いて来た。まずドイツの、ドイツ銀行の破綻の際の、救援資金( 公的資金の投入だ。50兆円ぐらい)を出したくない。だからブレグジットだったのだ。
そのあとも、ヨーロッパの EU加盟27カ国の中の弱小国が、次々と、金融危機を起こし、財政破綻して行く。イギリスとアメリカは、英米同盟(アングロ・アメリカン・アライアンス)で、ここから逃げる。トランプは、「アメリカは、1ドルも払わない(助けない)」と公言している。そういう男だ。
ヨーロッパの面倒は、“ 唯一のヨーロッパの機関車 ” であるドイツが見なければ済まない。先日、フランスのマクロン大統領が、北京に、習近平に急に会い行ったのは、メルケルの意向を受けて、「ドイツ銀行が、危なくなったら、支援をよろしく」の約束の取り付けだったようだ。国家副主席の王岐山(おうきざん)が、自分のファンドを使って、ドイツ銀行への中国からの支援を続けている。最後は、政治が決めるのだ。
経済が、自由競争(フリー・コンペティション)と市場原理(マーケット・プリンシプル)で動いている、というのは、金融市場においては、もうウソだ。経済理論とか経済学なんか、もう死んでいる。 最後は、政治が決断して、決めるのである。経済法則ではない。
韓国が、どんどんアメリカから離れている。韓国は、今や、同じ民族の北朝鮮と、実質的には、べったりとくっついている。 世界政治の、表面上は、両国は、嫌い合って、ケンカを続けているように見せかけている。だが、裏側の実情は、どんどん合体、国家統一、民族統一に向かっている。
アメリカのエスパー国防長官や、米軍のトップたちが訪韓して(11月15日に、勢揃いとなった)、どんなに圧力を掛けても、GSOMIA(ジーソミア)とかいう、訳(わけ)の分からない、天から振ってきたような、「日韓軍事情報・・・(共有)・・協定」という、本当は、日韓の両国から米軍が、脱北者やら、日本の軍事スパイ衛星(2つ持っている) からの情報を、吸い上げる、ということだけの内容なのに。これの「軍事情報の知らせ合いの韓国による撤回、を撤回せよ」と、いくら強引に、韓国政府に、強引に要求しても、もう、韓国政府は聞かない。(11月23日に、韓国政府は、形上だけ「協定を継続する」とした。しかし実質は、拒否だ)
このまま行けば、米韓の合同軍事演習(ジョント・ドリル)は、規模縮小どころか、実質、中止だ。 そして、在韓米軍(ざいかんべいぐん)の、韓国からの撤退という事態になるだろう。これで東アジアの政治構造が大きく変る。韓国は、北朝鮮と一緒になって、中国に付いてゆく。 朝鮮半島に、中国の影響力が、どんどん強くなっている。この動きは、もう避けられない。
韓国の若者たちは、自分たちは、北朝鮮軍と戦って、死ぬのだ、そのように徴兵令(ドラフト)で、鍛えられてきた。だが、もう死ななくてもいいようになった。だから韓国人の気持ちは、大きく変っている。
今では、親米保守(しんべいほしゅ)のままの韓国人は、おそらく1割にまで激減している。 私は、ずっと朴槿恵(パク・クネ)前大統領が、好きで応援していたが、もう、そういう彼女を支持する韓国内の勢力は、1割にまで減った。
一昨年(2017年)の6月に、北朝鮮の山岳地帯の核施設を、米軍が、攻撃して、破壊するべきだったのだ。それをトランプと、トランプを支援する、アメリカ国民が、一気に、やる気をなくして、北朝鮮爆撃を中止した。そして、金正恩(キムジョンウン)への垂らし込みの、話し合い路線に転じた。
あれが、アメリカの力の最大限での、終わりの始まりだった。アメリカ帝国の衰退、敗北は、あの時から、始まったのだ。だから、トランプは、帝国の墓堀り人なのである。 アメリカは、「もう、帰るぞ、帰るぞ。外国や、世界のことなんか、知ったことか。アメリカは、もう貧乏なんだ。自分の国を立て直さないと、いけないだ。アメリカは、もう、外国にいる軍隊を撤退させる」だ。
「米軍に撤退してもらいたくなかったら、これまでの駐留費の、5倍を払え」と、はっきりと言い出した。 それで、日本の保守派の人たちも、考え込んでいる。「アメリカって、そんなに余裕がないのか。たった、一年に1兆円に増やした(今は、本当は、日本政府は、国家予算から、年に6400億円出している)思いやり予算を、欲しいのか」と、呆(あき)れている。
北朝鮮の金正恩が言うことが、どんどん強くなっている。この2年間、アメリカと対等の交渉をしてきたのだから、北朝鮮の勝ちだ。 いくら、経済封鎖、輸出入禁止(エンバーゴー)で、北朝鮮を締め上げても、もう全く効き目は、ないようだ。
北朝鮮には、中国との長い国境線と、それから今も国交のある旧東ヨーロッパの国々から、船でどんどん物資が入っているようである。 トランプは、金正恩と交渉どころではなくなっている。このあと、どうやって、宥(なだ)め賺(すか)して、猫なで声で、おとなしくさせるか、ぐらいしか手がない。トランプの、「私の友人のキム委員長へ」という、ツウイターの、あの卑屈な書き方に、よく表われている。
相手が、ピストル(核兵器)を持って構えている、と分かる、と、大男のアメリカ人、というのは、こんなに卑屈になるのだ。ピストルのことを、イークオライザー(平等、対等装置)と言って、どんなにか弱い女性でも、距離10メートル以内で、必死で拳銃を構えたら、大男を撃ち殺せる。
哀(あわ)れなのは、日本だ。屈従して、ヘイコラして、アメリカに完全に屈服したまま、言われたとおりに、カネをいくらでも差し出す。本当に、哀れで惨めな国だ。
アメリカと中国の、貿易戦争(ITハイテク戦争。遂には、金融戦争 になった) は、次の会談は、 12月中ももう無理で、何とか来年の早い時期に、カナダの バンクーバー辺りで、行うしかないだろう。「もうすぐ部分合意に達しつつある」と、トランプの経済政策の助言者のカドローNEC議長が、メデイアに言っている。が、中国は、ちっとも譲歩していない。
中国は、「農産物ぐらいは買ってあげよう。それ以外は、すべてアメリカが、制裁関税を撤回して、元に戻せ」と強固である。中国は、ちっとも弱くない。
「弱ったなー、どうしようか」と、考え込んでいるのは、トランプの方だ。「習近平よ、また、フロリダのマール・ア・ラーゴまで、来てくれよ」と、言ったって、OKするはずがない。
「トランプ、お前の方こそ、北京まで来なさい。そうしたら、少しは譲歩してあげよう。だが、これまでの2500億ドル分の関税と、追加の1600億ドル分と、ファーウエイ社への取引禁止の全面撤回しなさい、は譲らない」と、バーンと言ったはずだ。困っているのはアメリカの方だ。
日本は、調子に乗って、アメリカの尻馬に乗って、韓国イジメ、韓国叩き(半導体用の材料の輸出禁止。貿易戦争の猿まね) をやったものの、敗北した。韓国の方が強い。すると、今度は、アメリカが、日本政府に、「韓国に対する、日本からの締め付けを、すぐにヤメロ。余計なことをするな」と、叱られ始めた。安倍政権はアメリカから糾弾されている。これが、今の政治と経済の、両方の動きだ。 最後は、政治が決めるのだ。
私は、病気で、自分の体の具合が悪くて、なかなか、このように気楽に書けなくなっている。もっとしっかりと、綿密に書きたいのだが、体力が付いてこない。もう少ししたら、元気になります。 皆さんも、ご自分の体を、なによりも大事にしてください。日本が、そして世界がどうなろうが、まず自分が、元気で生き延びることが、一番、大事です。 副島隆彦拝