[2396]新札切り替えだ。5年後、一万円札は千円札になる。 redenomination リデノミネイションが断行されるだろう。

副島隆彦 投稿日:2019/04/15 15:10

副島隆彦です。今日は、2019年4月15日(月)です。

私は、恒例の 春の 金融本 を、ひーフーハーフー言いながら、必死で書き上げた。そのあと名古屋の経営者たちの集まりに講演をしに行った。 名古屋の ベタベタの泥臭い、実感のこもった、中小企業の経営者たち数百人が集まっていた。 東京の経営者や資産家たちとも、ひと味違う。

 大阪の経営者たちでも、まだ、気取り屋が多い。本当の浪速(なにわ)商人のルーツは、実は、近江(おうみ)商人なのだ。近江(大きな海という意味)である琵琶湖の西岸の、高島町(たかしまちょう)から、高島屋が出てきた。江戸時代に、全国に行商人のネットワークを作って、当時の高級品で先端商品だった蚊帳(かや)を売って大きな資産を作った。

 名古屋は、名鉄(めいてつ、名古屋鉄道)と、かつては東海銀行(今は、三菱銀行の一部)と、松坂屋の資本が大きい。私が話に行ったのは、名鉄系の企業経営者たちだった。

 翌日は、濃尾(のうび)平野を北に向かって、木曽川(きそがわ)の畔(ほとり)の犬山城(いぬやまじょう)を見に行った。行く途中の名古屋環状の高速道路から、小牧山城(こまきやまじょう)が見えた。感動した。

 尾張(おわり)大名、織田信長が、バテレンども、イエズス会(耶蘇会、やそかい)に爆殺された(1582年)あと、同じ下層民の出の、秀吉と家康が、激突した、小牧(こまき)長久手(ながくて)の戦いの場所だ。秀吉は、信長の草履(ぞうり)取り(小者、こもの)から這い上がった男だが、家康は、三河大名(みかわだいみょう)松平元康(まつだいらもとやす)を殺してすり替わった男だ。本名は、世良田元信(せらだもとのぶ)と言う。 

前日、講演会の後、雨の中、JR名古屋駅のすぐ西側の、中村区にある、秀吉と 忠実な家来の加藤清正(かとうきよまさ)の生地を訪ねた。名古屋の人は、知っているが、中村 は、最近まで、低地の湿地帯で、下層民が住む地帯だ。

「 小牧(こまき)城と呼ぶな、小牧山(こまきやま)城と呼べ」と、小牧市長が言っているそうだ。なるほど。 戦国時代の初めの城は、すべて山城(やまじろ)だ。平地に立つ平城(ひらじろ)は無い。

 私は、4月末に発売になる金融本を書き上げて、かなり体と頭に堪(こたえ)た。疲れている。それでも、以下のことを、なんとか書いて置かなければいけない。

 それは、「2024年に紙幣(しへい)が、新札に変更される」のニューズだ。 「麻生太郎(あそうたろう)財務相は、2024年度上期をめどに1万円札と5千円札、千円札の紙幣を刷新すると発表した」と新聞記事で出た。

 「新しいお札の顔は、1万円札が渋沢栄一、5千円札が津田梅子、千円札が北里柴三郎となり、明治維新以降の日本の実業や女子教育、医学研究を切り開いた人物が選ばれた」そうだ。

 ここで、私、副島隆彦は、はっきり書いておきます。 今から5年後の 2024年に、発行される新札(しんさつ)によって、デノミネーション( denomination 、通貨単位の変更)が、行われるだろう。 

 このように予言します。この私の予言は、ほぼ確実に当たるでしょう。 1万円(10,000円)札は、千円(1,000円)札に、 5千円(5,000円)札は、五百円(500円)札に、千円札(1,000円)札は、百円(100円)札になるだろう。 ゼロを 一つずつ削り取ることになる。  

 そのとき、米ドルは、今の1ドル110円から大きく下落して、1ドル40円とか、20円になっているだろう。今から5年後のことだ。 

このことは、私の最近の本たちで、詳しく書いてきた とおり、今のトランプ政権が、終わる5年後の、2024年に、先進国の財政崩壊(ファイナンシャル・カタストロフィ)と、世界恐慌(ワールド・デプレッション)が起きるだろう、からだ。

 今は、1ドル=112円で、円安、ドル高で、日本の輸出企業は、安心している。だが、5年先には、ドル暴落が起きて、ドルの価値は、3分の1、5分の1になるだろう。

 デノミネイションは、「通貨単位の変更」の場合は、正しくは、redenomination リデノミネイションと、言わないといけない。このように使わないと、間違い、誤用(ごよう)だ。これからは、日本人も、「デノミ(ネイション)になる」ではなくて、「リデノミ(ネイション)になる」と使わないといけない。

 まず、私、副島隆彦が、このように指摘しておきますから、以後は、日本の新聞記者たちや、官庁エコノミスト、経済学者たち、頭がいい順番に、ハッと気づいて、リデノミネイション と、「リ」を 付け加えて、書くようになる。そうしないと、いけない。自分が恥を掻くだけだ。

 今から、5年後の2024年には、ほぼ確実に、「1万円札 は、千円札になる」と、私は、予言しておきます。 あれこれ、ぐすぐずと、今は、もう書きません。私は疲れています。今から、私のこの文を震源地として、皆で、ザワザワと、騒ぎ始めなさい。

 この他に、ウィキリークスの主宰者のジュリアン・アサンジが、政治亡命(ぼうめい、アサイラム asylum )して、エクアドル政府に承認されて、立て籠もっていた ロンドンのエクアドル大使館から、無理矢理、イギリスの政治警察(ソート・ポリス)の突入によって逮捕され連行された事件(4月11日) があった。

 このことも、近いうちに書きます。イギリスも、一等国の振りをして、こういう 言論の自由、政治活動の自由の問題になると、何の余裕もなくなって、ただの、「今や、6千600万人の貧乏国」だ。大英帝国(だいえいていこく、ブリテイッシュ・コモンウエルス)の面影もない。優れた見識を持たない。哀れなものだ。 

 この他に、カルロス・ゴーンを、4回目の逮捕を、日本の東京地検、特捜部(とくそうぶ)が、やったこと(4月4日)。 世界基準から見たら、同じ容疑者を、何度も、捕まえる、ということをしてはいけない。 大きくは一事不再理(いちじふさいり)という、世界的な法理(ほうり)に違反することを、日本の 検察官どもは、やっている。恥を知るべきだ。

 世界が注視しているので、この、愚劣な、日本の司法官僚ども(法務省、裁判官も含む)は、日本国民を、お白洲(しらす)で、ヒドく打据(うちす)えるように冷酷に取り扱えなくなって、狼狽(うろた)えている。たかが、お奉行さま階級の者たちでは、外国、世界が出てくると、オロオロするだけだ。

しかも、「日本は、検察官(けんさつかん。プロセキューター prosecutor )が、逮捕をするのか、信じられん国だな」と驚かれている。 世界基準では、犯罪の捜査(インヴェストゲイション)と 、容疑者の逮捕(アレスト)は、警察官(ポリス)がする。日本は、特殊な国で、検察官にまで、捜査権と、逮捕権を与えている。 

 普通の近代国家(モダーン・ステイト)だったら、検察官(けんさつかん)は、国家の代理人として、容疑者を裁判所に起訴(きそ。インダイトメント indictment )するのが仕事だ。 日本は、国家制度 自体 が、歪(ゆが)んだ、歪(いびつ)な国なのだ。まさか、そんな、と 思うなら、自分で調べてご覧なさい。

 欧米人の友人がいる人は、自分で、聞いてご覧なさい。 「井の中の蛙(かわず)大海を知らず」の、そのまんまだ。私は、いつも、ひとりで、呆(あき)れかえっている。カルロス・ゴーンは、奥さんと、広中淳一郎(ひろなかじゅんいちろう)弁護士と、これから、正当な闘いをするだろう。 私は、カルロス・ゴーンを応援する。  副島隆彦 記

(新聞記事、2本の 転載貼り付け始め)

●「紙幣一新、正式発表 新元号とは「たまたま重なった」」

2019年4月9日 朝日新聞
https://www.asahi.com/articles/ASM4936FCM49ULFA008.html

 麻生太郎財務相は、4月9日午前、2024年度上期をめどに1万円札と5千円札、千円札の紙幣を刷新すると発表した。新しいお札の顔は1万円札が渋沢栄一、5千円札が津田梅子、千円札が北里柴三郎となり、明治維新以降の日本の実業や女子教育、医学研究を切り開いた人物が選ばれた。

 紙幣を一新するのは2004年以来、約20年ぶりとなる。麻生氏は理由について、偽造防止の観点からこれまでも約20年ごとに変えてきたと説明。今月1日の新元号発表と続いたことについては「たまたま重なった」と説明した。

 人物の肖像が刷られる表面に対して、裏面も一新される。1万円札は東京駅の丸の内駅舎、5千円札は藤の花、千円札は富嶽(ふがく)三十六景の「神奈川沖浪裏(かながわおきなみうら)」が採用される。

 1万円札に選ばれた渋沢栄一について、麻生氏は「日本資本主義の父」と表現、「この方の功績は大きかった」と語った。一方、2千円札の刷新を見送ったことについては、「流通枚数が少ない」ためとした。

 また、500円硬貨についても素材などを変えた新硬貨が21年上期をめどに発行されることが発表された。これまでのニッケル黄銅に、白銅と銅も混ぜて2色3層にするなどの変更を加えている。

 財務省は、新紙幣・硬貨が発行された後も現行のお金は引き続き使えるとして、「現行の日本銀行券が使えなくなる」などとかたる詐欺に注意するよう呼びかけている。

●「なぜ”5年後の新紙幣”をいま発表したのか」 「たまたま重なった」は本当なのか

2019年4月13日   プレジデントオンライン
https://president.jp/articles/-/28409

「2004年の新紙幣」の発表は2年前だった
  1万円、5千円、千円の3種類のお札(日本銀行券)のデザインが、5年後に新しくなる。500円硬貨も刷新される。4月9日の閣議後の記者会見で、麻生太郎財務相が明らかにした。

  新紙幣は2024年度の上半期をめどに発行されるが、これで紙幣の一新は2004年以来、20年ぶりとなる。“お札の顔”には、1万円札に「近代日本経済の父」と呼ばれる渋沢栄一、5千円札には日本で最初の女子留学生としてアメリカで学んだ津田梅子、そして千円札には破傷風の治療法を開発した細菌学者の北里柴三郎の肖像画が使われる。

 500円硬貨は偽造防止を目的に素材を変え、2色構造になる。2年後の2021年度の上半期をめどに発行される。

 新紙幣の発行を決めたのは、安倍晋三首相と麻生氏である。発表から発行まで5年かかることになる。前回、2004年の新紙幣発行では、発表は2年前の2002年。それに比べると、今回はかなり早い時期の発表だった。

 4月1日の新元号の公表と5月1日の改元、そして天皇の即位とタイミングがうまく重なる。麻生氏は「たまたま重なった」と話していたが、果たしてそうだろうか。新紙幣発行の発表は一連の祝賀ムードをさらに盛り上げるための小道具のひとつだと思う。

 沙鴎一歩には亥(い)年の統一地方選が行われている最中、安倍政権が祝賀ムードの盛り上がりに乗じて自らの支持を高めようと画策しているように思えてならない。

 今回、”お札の顔”はどのように決まっていったのだろうか。紙幣のデザインは財務省と日銀、紙幣を印刷する国立印刷局の3者が協議して概略を決め、最終的には日銀法に則って財務相が決める。

 肖像画の人物の選定は、国民に広く知られ、学校の教科書に載るなど世界に誇れる人物であることが基準になっている。ただし政治色が薄いことが求められる。軍人も外される。さらに偽造防止の観点から精密な写真の残っている人物が好ましいとされている。

「合わせて1兆2600億円の需要が見込まれる」

 10日の衆院財務金融委員会で、財務省の可部理財局長は業界団体「日本自動販売システム機械工業会」の試算を挙げ、需要についてこう述べている。
「現金自動預払機(ATM)や自動販売機などの改修で、紙幣のデザイン変更への対応で7700億円、500円硬貨への対応で4900億円。合わせて1兆2600億円の需要が見込まれる」

しかし可部氏は「デザインの変更はあくまで偽造を防ぐ観点から行うものだ。経済対策ではない。経済効果については試算していない」とも答弁している。

特需への期待があるものの、現金を使わないキャッシュレス化が進みつつある。以前の紙幣一新のように経済効果があるかどうかは定かではない。ここのところを財務省は計算したのだろう。

 だが安倍政権はそんな財務省の懸念をよそに、新紙幣の発行を発表した。政権維持のためにお札を利用したのである。当然、経済効果も狙っているはずだ。
新紙幣の“顔”について、沙鴎一歩はどうこう言うつもりはない。ただ言いたいのは、安倍首相や麻生氏は、なぜこの時期に新紙幣を発表したのか、ということだ。

渋沢栄一は、得た富を独り占めせず社会に戻した
 4月10日付の東京新聞の社説は1万円札に選ばれた渋沢栄一を評価する。
「渋沢は大正時代に著した『論語と算盤』を中心に、人格を磨きつつ利益優先にならずに経済の道を歩むべきだと提唱し続けた」

「正しい経済発展には高い倫理意識と利益追求の両立が必要との主張だ。さらに富は独占せず国全体が豊かになるよう使うべきで、権謀術数を用いた経済活動に対しては強く批判をしている」

 なるほど朝日新聞や毎日新聞と並んで、いやそれ以上に安倍政権に批判的な東京新聞の社説が、ここまで新しい“お札の顔”を褒めることに驚かされる。
さらに「得た富を独り占めせず社会に戻す。渋沢は主張を実行した。同時に、資本が暴走した果てに起きる埋めがたい格差を予測し、その怖さを後世の人々に訴えていたともいえるだろう」と続ける。

この東京社説を書いた論説委員は、ずいぶんと渋沢栄一が好きなようだ。ただ、東京社説はこうも指摘している。

「一部の圧倒的な勝者と膨大な敗者の存在」という課題
  「政府は新紙幣の理由について『偽造防止』としている。しかし、新元号発表とタイミングがほぼ同じだ。もし気分一新という意味合いがあるのなら単なる政治利用という批判も出るだろう」
 沙鴎一歩も「安倍政権の政治利用」という考えを抱いた。渋沢栄一を評価する東京社説は最後に主張する。

 「渋沢の人生は、資本主義が常に内包している『一部の圧倒的な勝者と膨大な敗者の存在』という課題に、資本側から挑み続けたといえよう」
「今、問われているのも強すぎる資本が起こすゆがみである。渋沢の教えを改めて思い起こし、ゆがみの是正に生かせないだろうか」

 安倍政権が決めた渋沢栄一を逆に使って、アベノミクスが生んだ格差を批判し、安倍政権をいさめる。ときの権力を監視し、批判する。社会の公器と言われてきた新聞の社説は、こうでなくてはならない。

わざわざ「令和6年」と元号で書く産経らしさ
「新たに迎える令和の世を表象するように、国民の気分を一新させる全面的な変更となる」 冒頭部分からこう書くのは、4月10日付の産経新聞の社説(主張)である。

 産経社説は読売新聞の社説ほどではないが、安倍政権を擁護する主張が多い。この社説でも「令和の世の表象」「気分の一新」と指摘しているが、やはり安倍政権の思惑はその辺にあると思えてならない。

 産経社説は「新紙幣は令和6(2024)年度上期から発行される。その前後には関連需要を創出する経済効果も期待できよう。政府・日銀は混乱なく新紙幣が浸透するよう、準備に万全を尽くしてほしい」と書く。

 わざわざ「令和6年」と元号で書き、財務省が懸念する経済効果にまで言及するところは、産経社説らしい。見出しにも「令和」を使い、「令和の新紙幣 偽造防止へ準備を万全に」と訴える。本文では偽造防止についてこう主張する。

「政府が定期的に紙幣を切り替えるのは偽造券事件を防ぐのが最大の目的だ。新紙幣は、肖像の3D画像が回転するホログラムを採用するなどの特殊技術を施す。日本の高度な印刷技術を駆使し、卑劣な犯罪がつけいる隙のないよう工夫をこらしてほしい」

新産業育成による経済成長を重視する政府の狙い
 産経社説に言われるまでもなく、安倍政権は新紙幣の偽造防止に努めるはずだ。紙幣の偽造を防止する技術と偽造技術は絶えず、その技術を競い合っているからだ。北朝鮮など反国際社会的国家もコンピューターを使ったハイテク紙幣偽造技術の開発を進めている。警戒が必要だ。

最後に読売社説(4月10日付)を見てみよう。
「新たな時代にふさわしい通貨になるか。国民経済に良い効果を与えることを期待したい」と書き出し、見出しは「国民経済への効果期待したい」である。

その読売社説は前半でこう書く。
「1万円札の肖像には、数多くの企業設立に携わり、『日本資本主義の父』と呼ばれる実業家の渋沢栄一が選ばれた。新産業育成による経済成長を重視する政府の狙いが込められているのだろう」
「流通量が最も多い1万円札の人物が変更されるのは、1984年に福沢諭吉になって以来だ」

「トカゲの尻尾切り」を続ける安倍首相の任命責任
「経済成長を重視する政府の狙い」だと説明するが、裏を返せばそれだけ安倍政権の経済政策が上手くいっていないことの証しである。安倍政権擁護で知られる読売社説がここまで指摘するのだか、アベノミクスは失敗であり、景気は回復していないのである。

さらに読売社説は指摘する。
 「5千円札は樋口一葉から女子高等教育の先駆者として知られる津田梅子に、千円札は野口英世から細菌学者の北里柴三郎へ変わる。女性の活躍や科学技術の重要性を訴えるメッセージと言えよう」

 女性の活躍も科学技術の推進も、これからの日本の社会にとって必要不可欠なテーマである。ただ安倍政権はそれらの重要性をどこまで理解しているのだろうか。日本の国に求められる課題を見極め、そして私たち国民のために解決策を探り出し、それを実行できてこそ本物の政府と言えよう。

 一方で、安倍政権には驕りとゆるみが顕著だ。4月5日には国土交通省の塚田一郎副大臣が「忖度発言」の責任を取って辞任。4月10日には桜田義孝五輪相が、「東日本大震災の被災者の気持ちを傷つける発言をした」として辞任した。

 安倍首相の任命責任が問われる。更迭は当然だ。だがそれではトカゲの尻尾切りである。胴体から腐りきった肝をえぐり出すような大手術が必要だ。それをやってこそ、歴史に名を残す首相となり得るのだと思う。安倍首相にはその点を考えてもらいたい。

(転載貼り付け終わり)

副島隆彦 拝