[2353]今度の 村上篤直(むらかみあつなお)君の、小室先生の「評伝」を、紹介した新聞記事を載せます。
副島隆彦です。 今日は、2018年9月26日(水)です。
知らせてくれる人があって、以下の新聞記事を、ここに載せます。
小室直樹先生の 「評伝」については、今日のぼやき で 急いで紹介しなければいけいのですが、 上下巻で、1500ページもあるので、まだ、書評を載せられないで、います。 お待ち下さい。
著者の村上篤直(むらかみあつなお)君の、「小室直樹 文献目録」は、ここの、掲示板のひとつなのです。 知っている人しか、知らないだろう。
知らない人は、知らない。 小室直樹先生、と言っても、誰ですか? という
人が、多いだろう。 世の中は、そうしたもので、 どうにもならない。
私も、死んで、5年も経てば、誰だ、そいつは、と、言われるのだろう。
私は、村上君と、ミネルヴァ書房の担当編集者に、贈呈本をお送りいただいた、時に、感謝のメールを差し上げています。 村上くん の 20年にわたる
執念の書で、 小室先生の 霊魂 が、この本には、乗り移っている。
誰か、この本、上下巻の表紙を、 ここに貼り付けて載せておいてください。
副島隆彦拝
(転載貼り付け始め)
「過激な天才・小室直樹 「学問と酒と猫を愛した」評論家の人生が大冊の評伝に」
2018年9月25日 産経新聞
https://www.sankei.com/premium/news/180925/prm1809250008-n1.html
昭和から平成にかけ「ソビエト帝国の崩壊」「痛快!憲法学」など、数々のベストセラーを刊行した評論家、小室直樹さん(1932~2010年)。
「在野の天才学者」と称され、桁外れの“奇人”ぶりでも知られたその生涯を描いた伝記「評伝 小室直樹」(上下巻、各2400円)が、ミネルヴァ書房から刊行された。著者の弁護士、村上篤直(あつなお)さん(46)は「学問と酒と猫を愛した過激な天才」と、その生涯を評する。
「アメリカを征伐」
小室さんは福島県立会津高校を卒業後、物理学者の湯川秀樹のノーベル賞受賞に刺激されて京大理学部に進学。友人らの証言を元に描かれる若き日の小室さんは、抜群の記憶力と数学力を誇る天才学生であり、「原爆以上の兵器を作ってアメリカを征伐する」「天皇は神である」と公言してはばからない熱烈な愛国者でもあった。
本書では京大時代、戦前戦中に大きな影響力を持った歴史家の平泉澄(きよし)の私塾で学んでいたことなど、従来知られていなかった事実を多数発掘して青年期の実像を描き出す。
圧倒的な軍事力、経済力を誇る米国を打倒するためには、その物質的力の背景にある資本主義や科学といった近代文明の本質を見極め、わがものとしなければならない。小室さんは社会科学に進路を転じて大阪大大学院経済学研究科に進学し、フルブライト留学生として渡米。
ノーベル経済学賞受賞者、サムエルソンの薫陶を受けた。帰国後は東大大学院法学政治学研究科に移り、政治学者の丸山眞男(まさお)ら諸分野の一流学者に師事。経済学をはじめ社会学や心理学、社会人類学、政治学など多分野の学問を広く修得し、複数の社会科学を統合する新しい理論の構築を目指した。
また、昭和40年代後半から主宰した無償の自主ゼミでは橋爪大三郎さんや宮台(みやだい)真司さん、大澤真幸(おおさわまさち)さん、山田昌弘さん、副島隆彦さんら多数の人材を育てた。
「るんぺん先生」から一転
当時の小室さんは斬新な社会科学理論を発表した米国帰りの異才として、アカデミズムの一部で注目されながらも、大学のポストは得られず無職独身。東大田無寮の狭く荒れ放題の一室に愛猫とともに住んでいた。
金もなく、衣食住に無頓着のまま、ひたすら学問に打ち込む姿が「がんばれ るんぺん先生」と題してテレビ番組に取り上げられるほどの清貧生活だった。
だが、昭和50年代からその学識を存分に活用した一般向け書籍を書き始めたことで、人生が一変する。特に55(1980)年刊 の「ソビエト帝国の崩壊」は近い将来のソ連崩壊を予言し、約40万部のベストセラーに。以後、売れっ子評論家として多数の著作を刊行し、昭和末から平成前半にかけてのジャーナリズムを席巻した。
生まれ変わるなら「独裁官」
著者の村上さんは大学院生だった平成11年ごろに小室さんの著書に出合い、その論理と筆力に魅せられた。以後、20年近くにおよぶ文献収集、数十人にのぼる関係者のインタビューを重ね、小室さんの学問と人生の両面に迫る本書を完成させた。
上下巻計1500ページに及ぶ大著だが、「読みやすく面白い内容にしようと思った」と語る通り、抱腹絶倒の“奇行”エピソードをふんだんに交え、読者を飽きさせない。
たとえば会津高校時代、級長に推薦されかかったときのこと。並外れた自信家の小室少年は受諾にあたって次の条件を出した。
「級長になったら俺のことをキング・オブ・キャットランドと呼ぶこと(小室さんのあだ名は“猫”だった)」 「王の命令には絶対服従すること」。
当然、その場で否決された。村上さんは「このとおりに、『民主主義』という感覚はゼロであった」とコメントを加えている。
亡くなる数日前、生まれ変わったら何になりたいかと夫人に問われた小室さんが即座に「独裁官(古代ローマで強大な権限を有した公職)!」と答えた秘話と併せ、少年時代から終始一貫変わらなかった無邪気な人柄を感じさせる。
「検事を殺せッ!」
数々のエピソードの中でも特に有名なのは、昭和58年1月26日のロッキード事件論告求刑公判で、検察側が田中角栄元首相に対し懲役5年、追徴金5億円を求刑した際の話だろう。
小室さんは当日、酒に酔った状態でテレビ朝日の生放送ワイドショーに出演し、突如「田中を起訴した検察官が憎ーいッ!」「あの4人の検事を殺せッ! まとめて殺せッ! ぶっ殺せェーーーーッ!」「田中に5兆円をやって無罪にしろッ!!」などと絶叫して退場させられ、全国の視聴者の度肝を抜いた。
一見、単なる酔余の放言のようにも思える舌足らずで過激な発言ではあるが、背景には行政の一員である検察が、民主政治の根本である議会に干渉することを許さないという小室さんの民主主義理論があった。
村上さんは、小室さんの魅力の本質について「言説のすべてにわたって、事実と理論が統合されている点」と話す。理論を適用して事実を説明する姿勢は、角栄論であれ何であれ、常に一貫していた。
そしてその結論が時に日本社会の常識と食い違って物議を醸しても、全く意に介さない強さを持った“奇人”でもあった。「小室さんを一言で表現するなら、自分の思想に真っすぐに、やりたいように生きた人ですね」(文化部 磨井慎吾)
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村上篤直(むらかみ・あつなお) 昭和47年、愛媛県生まれ。平成9年、東大法学部卒業。弁護士(新64期)。ウェブサイト「小室直樹文献目録」管理人。共著に『小室直樹の世界』(橋爪大三郎編著、ミネルヴァ書房)。
(転載貼り付け終わり)
副島隆彦 拝