[2345]焼け石に水かもしれないが

相田英男 投稿日:2018/09/13 17:51

下の投稿の補足であるが、北海道電力のサイトに、苫東発電所の設備被害の状況があったので見た。問題の4号機は、火災が起きたものの、蒸気タービン自体は外から見る限りでは、問題は無いらしい。それでも、一旦タービンを分解して点検する必要があるという。出力70万kWの超々臨界圧(ちょうちょうりんかいあつ)型の蒸気タービンは、馬鹿でかくて非常に重い。点検に必要な設備を運び込み、大型クレーンで分解した部品を吊るして、部品を全部確認する。そして何も問題が無ければ、もう一度組み立てる。ここまで作業が終わるまで、11月一杯は必要なのだろう。作業を急いで部品が落下したら、それで終わりである。また、点検で部品の修理が必要になれば、さらに時間がかかり、直ぐに正月が過ぎることだろう。

北電が発表する、11月後半で発電所の修理が完了するという予測は、全ての作業が、問題無く終わることが前提だ。おそらくは楽観的過ぎる。

やはり、泊原発の再稼働を急ぐべきだと私には思える。が、安倍も世耕も、ええカッコしいの根性無しだから、再稼働の決断はしないだろう。全く情けない。能力に欠けた指導者を選んだ、我々日本人全員が招いた不幸である。

さて、北海道電力は、石狩湾新港発電所にLNG(天然ガス)火力発電設備を建設している。全部で4機作る予定だが、1号機(56.94万kW)は、年明けの2月に運転開始らしい。これは、GE製のガスタービン・コンバインドサイクル(GTCC)発電設備である。発電効率が60%を超える、最新のHA型(Hアドバンスドタイプ、燃焼温度1600度級)ガスタービンである。

泊原発の再稼働も間に合わないなら、こちらを使う手もある。出力は、苫東4号機の70万kWよりも少し小さいが、代替えとしては十分だ。既にテスト運転はできる段階らしいので、GEによるガスタービンの設置は終わっている。北電によると、テスト運転の電力ならば、僅かだが回せるらしい。しかし、「そんなセコイことを言わずに、直ぐにフル出力で動かせ」と、GEに圧力を掛けるのだ。

新品の超高性能ガスタービンを、慣らし運転もロクに無しに、フル出力でぶん回すのは無茶ではある。が、背に腹は変えられない状況だ。GEは当然ながら嫌がるだろう。アレコレと出来ない言い訳を並べると思う。

しかしその時は、経済産業省の連中がGEに伝えるのだ。「あんまりゴネると、そうですねえ。東京電力が沢山持っている、あなたの会社が入れたGTCC用ガスタービンの、LTSA契約(long term service agreement, 長期保守契約)を、今回で全部打ち切りましょうか?次のLTSA契約は、MHPSに回すことにしましょう。東電は今は我々日本政府が管理していますから、いつでも御社との契約を切れますからね」と、脅す、のではなくて、丁寧に、こちらの意図を説明するのだ。この間、サウジアラビア政府がGEに伝えたように、言ってやればいい。

それでもGEが言う事を聞かなければ、その時は「わかりました。それならば、東電と一緒に東芝も日本政府が買収します。その時は、半導体事業を売って入って来た2兆円も、丸々こちらで召し上げます。あなたの会社のリストラ費用には、絶対に回しませんからね」とか、言えばよい。GEは真っ青になって、土下座して謝るだろう。後からトランプが色々と言ってくるだろうが、安倍がいつもの調子で、シラっとやり過ごせ。

これくらい、経済産業省のキャリア官僚達も、ガツンとGEに言ってやれないものか?今まで散々なめられてきたのに。今まさに、危機に陥っている、北海道の人達を守るために、少しは体を張ってやれよ、全く。

でも、東日本大震災の時は、原子力安全保安院の官僚達は、真っ先に逃げて雲隠れしたもんな。震災前は、電力会社の幹部達に対して、あんなにも、散々威張りちらしてたクセに。あれには唖然とさせられた。

今回も結局は、政治家もキャリア官僚達も、国民に真の危機が迫るその時に、責任逃れに終始して、無駄な時間を費やして終わるのか?

経産省のキャリア達よ、せめて、原発再稼働の必要性を、物分かりの悪い安倍にコンコンとレクチャーするか、GEに石狩1号機をフル稼働させるよう圧力を掛けるとか、少しは、国民の役に立つことができないものだろうか?二度も三度も、無様な姿を晒し続けると、流石に見放されるぞ。

相田英男 拝