[2338]8月22日「今日のぼやき」の感想

小林真也 投稿日:2018/08/28 22:01

会員の小林と申します。昨日副島先生に「今日のぼやき」の感想をメールさせて頂いたところ、早速ご返信を頂きましたので、以下の投稿にて私からの返信に代えさせて頂きます。

私は以下のような内容をメールさせて頂きました。
(貼り付け始め)
8月22日の仮定法に関する「今日のぼやき」拝読致しました。感想を送らせて頂きたいと思います。

これはフォレストのいう文法書からの引用ですが、例えば日本語だと「君が大人
になったらわかるだろう」(大人になる可能性はあるから、これは直説法)とい
う文章と、「君が子供だったら許してもらえるだろうけどなあ」(これはおそらく大人に対して言っているので仮定)というように「~なら」「~だったら」という表現で直説法も仮定法も両方表現できてしまいますが、英語でははっきりと時制で区別されています。それが日本人と西洋人の思考回路の違いであって、日本人が仮定法を理解する上での大きな妨げになっているという先生の主張は非常に納得いくものがありました。

また、これはビートルズの「If I fell」という歌の歌詞からの引用ですが、

If I fell in love with you, would you promise to be true?

という仮定法の表現があります。 「恋に落ちる」 の フォール・イン・ラヴ の fall が、過去形のfell (フェル) になっています。このとき、 主節(うしろの方の文)の、助動詞も、will ではなくて、wouldになっています。 この ビートルズの歌の歌詞(リリック)の英文の 意味、訳文は、次のようになります。

「僕が君と恋に落ちる、ことはないだろうけど、仮に、まあ、あったとしたら、君は僕に誠実でいてくれるだろうか。いや、いてくれないだろうなあ 」

 というように、このwouldという言葉には一言で皮肉や不安などの様々な感情が入っているというご指摘も、まさにその通りだと思いました。

(貼り付け終わり)

 すると、副島先生からは仮定法という言葉自体を廃止すべきだということや、不定詞という言葉自体がおかしいという旨のメールを頂きました。以下に、その返信をさせて頂きます。

>ただ、 もう、×仮定法 という コトバを、日本の英文法学は、廃止にすべ>きなのです。 おそらく conditional を、明治の終わりゴロに、バカは、
>仮定法 と 訳したのでしょう。 これが、大間違いの原因だ。

私もconditionalには0から3まであって、仮定法(正確にいうと叙想法)と直説法がまぜこぜに説明されていることに疑問を感じていました。これはおそらくイギリスの英文法学者の怠慢であり、そのいい加減な理論を出発点にしている日本の英文法理論が訳の分からない造語ばかりなのも無理のない話と思います。

>私は、すでに、いろいろ書いていますが、 例えば infinitive インフィニ>ティヴを、「不定詞」などと、訳した。 まるで、住所不定無職 の よう>>だ。これは、 インフィニット で、 無限詞 とか、汎用詞 とでもやくす>べきで、あるいは、「動詞の語幹」 とか、日本語との関係で、理解すべきこ>とだった。

確かにこの「不定詞」という言葉も非常に腑に落ちにくい言葉と思います。(「動名詞」はなかなか良いネーミングだと思いますが。)infinitiveとは本来動詞defineから派生したdefinitive(限定語:境界がはっきりしているから限定というニュアンス)の対義語にあたるものであって、境界がはっきりしない、つまり無限のニュアンスを表すものであって、無限詞とでもいった方が正しいのでしょう。しかし、不定詞のtoがスコラ哲学の普遍論争の影響を受けているということは存じ上げておりませんでした。

本当に、短いメールの中に知性のきらめきといったものが感じられ、大変勉強になりました。