[2325]北朝鮮爆撃は、先に延びたようだ。

副島隆彦 投稿日:2018/06/07 01:10

副島隆彦です。 今日は2018年6月7日(木)です。

 6月12日のシンガポールでの米朝(トランプ、金正恩)会談に向かって、焦点か絞られている。 ここまで来ると、会談は行われるのだろう。金正恩は、もう、逃げられない。

 以下に、私は、ポイントフォームで、急いで最新の情報と分析をして、北朝鮮“核兵器の廃棄”問題について書いて行く。

1.米軍の 北朝鮮の核施設への 爆撃は、6月中にはなくなった。先に延びたようだ。
 その理由は、トランプ大統領が、6月1日、と3日の2回、「会談は、数回(several times だから、3回だろう)行う」、「1回目では、署名はしない(顔合わせだ)」と発言したからだ。 ということは、6月中の、米軍による、北朝鮮の北方の山岳地帯の核施設への爆撃(ボンバードメント)は、無くなった。

2.しかし、米軍は、「北朝鮮への最大の圧力を掛ける」方針に従って、いつでも、爆撃できる態勢を、今も、整えている。 マティス国防長官(軍の最高指揮官。最高司令官は、トランプ大統領)は、今もやる気である。 

  何よりも、アメリカの国防・軍需産業界が、黙っていない。 軍需産業(ミリタリー・インダストリー)は、売れなくて倉庫に溜まっている、ミサイルやら爆弾やらの兵器を、在庫一層で、軍に使ってもらわないと、済まないのだ。 アメリカ帝国は、必ず、10年に1度、どころか、5年に1度は、戦争をやって、武器弾薬を消費しないと、経済が保(も)たないのだ。そういう国なのだ。

 帝国(エムパイア)というものは、そういうものなのだ。 トランプは、軍需企業(GD ジェネラル・ダイナミックス 社、 レイゼオン、ロッキード・マーチン・マリエッタ、ボーイング )からの圧力で、どうしても、北朝鮮への爆撃をしないでは済まないのだ。みんな、分かりますか、この歴史の必然を。 

3.このまま、北朝鮮の 見苦しい限りの、金正恩の独裁体制を、延命させたまま、かつ、核兵器の 一部を 隠し持たせたまま、それで、米朝会談の、平和的な合意が成立、で、万々歳、ということはない。 それは世界(=国際社会)が、許さない。

4.北朝鮮は、どうせ、完全な 非核化=デイーニュークレアライゼイション denuclearization = 開発して持っているすべて核兵器を、すんなりと自分で破壊、廃棄したり、米軍に渡して、アメリカに持ち出すこと に、応じることはない。つまり、合意 =米朝会談の 成立、成功、などというものは、無い、ということだ。

5.トランプは、それを重々、承知の上で、シンガポールで、金正恩に会う。それは、「こうやって、私の目の前に現れた限りは、お前を、もう、絶対に、逃がさないぞー」 という ことだ。 トランプは、そういう男だ。

6.2回目の会談は、おそらく、モンゴル国のウランバトールで開かれるだろう。7月になるだろう。 そして、3回目は、もしかしたら、トランプ自身が、平壌(ピョンヤン)に自ら乗り込んでいって、それで、「無理矢理でも、会談の合意に達してみせる」 という、意気込みだろう。

 トランプという男は、こういうことを、平気でやる。3回目を、板門店(はんもんてん。パンムンジョン)でやる、などという、そういうチンケなことをする人間ではない。ピョンヤンまで自分で行って、そして、「北朝鮮の人々(people ピーポー)よ。これからは、私が、お前たちの王さまだ。面倒を見てやろう」と、大見得(おおみえ)を切って。

 まるで、歌舞伎役者のようなことをするのではないか。こうすることで、トランプは、中国と ロシアから、歴史的に北朝鮮を取り上げて、「自分(アメリカ)のものにする」 という、とんでもない離れ業をやるだろう(しかし、これは達成できない)。 そうやって、金王朝(キムおうちょう)神話を崩壊させる。トランプという男は、こういう風に、誰も思いもしない、とんでもないアクロバットをやって見せて、世界中を、自分の主導権(イニシアティヴ)で引きずり回す、そういう人間なのだ。 絶対に、人の風下(かざしも)には立たない。

 トランプは、唯一、女レポーターたちとの論戦、及び 売春婦たちとの過去の醜聞(スキャンダル)以外では、負けを知らない。 女という生き物に対してだけは、トランプは、「まるで、母親に叱られる不良少年のように、大きな体を丸めて、シュンとなってみせて」 わざと、ひたすら従順に構えて、下手(したて)に出る。それが、得策、上の策だ、とよくよく分かっている。それぐらいトランプというのは、優れた頭脳の男なのだ。 

 トランプは、これまでずっと、人生を連戦連勝してきた男だ。企業経営者として、お金(カネ)の苦労を、散々してきた。この人生の苦労の上に、トランプの並外れた、交渉師、寝業師(ねわざし)の天才が、発揮される。 

 この男を、今、小ずるく騙(だま)くらかしたり、梳(す)かしたり、することの出来る人間は、地球上にいない。 ローマ法王や、黒人指導者たちでも、一発の 鋭い発言で、で凹(へこ)ましてきた。私は、2016年の大統領選挙の最中から、ずっと、細かく記録を取ってきたが、これまでに、あらゆる組織、団体、そして有力な個人との、ぶつかり合いで、トランプは、60連勝ぐらいしている。たいてい、一撃で相手をリング(土俵)沈めている。 

 私、副島隆彦は、日本を代表するトランプ研究者(ウオッチャー)であるから、こいつの頭の中の、「勢いよく飛躍する 精神」 すなわち、ナポレオンや、偉大なるロレンツオ(イタリアのメデイチ家のロレンツオ・イル・マニフィーコ)が、体現したヴェルト・ガイスト( Weld Geist 世界精神) が、手に取るように分かる。

 72年前に(第2次大戦が終わってすぐに)、ソビエト・ロシアが、モスクワから、ひとりの若者を、飛行機で運んできて、「これが、朝鮮民族の解放の英雄の金日成(きんにちせい)だ(偽せ者だ)」だと、して、作った北朝鮮の 神話が、これで壊される。中国、ロシアの出る幕ではなくさせる。

 だから、9月ぐらいの、第3回目の 会談の前に、米軍による爆撃で、50カ所ぐらい、核施設を叩いて破壊して、(北朝鮮のまだ完成していない、しかし、完成間近のICBM =1万キロ、アメリカ本土まで飛ぶ、大陸間弾道核ミサイル=)のほとんどを、(どうも20基 あるらしい)を壊す。それでも、まだまだあちこちに隠してある。アメリカは、まだ、北朝鮮の核攻撃、と反撃能力を、封止出来るので、怖くない。

今なら、アメリカは、爆撃して、北朝鮮の核兵器の多くを破壊できる。 

このあと、平壌にいて、心底、震え上がって、真っ青になった、金正恩を、帝都ワシントンにまで、呼びつけて、それが、第3回目の、会談、ということにするのではないか。「どうだ。本気で、核兵器と核物質 をすべて引き渡す気になったか」 キム「私の体制の存続を約束して下さい」 トランプ「ダメだ。お兄さん(習近平)が、北京で待っているぞ。家族を連れて行きなさい」 と、なるのではないか。

 トランプは、前述したとおり、「もう、お前を逃がさないないぞー」戦略に従って、「分かったか。それじゃ、残りの核兵器と核物質の全部、引き渡すか」と言うだろう。「中距離弾道ミサイル(日本に届く)も、それから、ドローンによる発射装置もだ」と言うだろう。

7.中国もロシアも、 国連(the UN)の安保理(あんぽり)の北朝鮮への、10回以上になる、世界の平和への脅威である、核開発への、制裁決議に、賛成している。だから、ここで、いい加減に、北朝鮮の肩を持つことは出来ない。 中国にとっても、北朝鮮の核兵器を取り除くことは、大事なことだ。 いい加減な、妥協は、中国にとっても出来ることではない。

8.北朝鮮は、どうせ、完全な核放棄、核兵器の引き渡しは、絶対にしない。 したら、自分たちの命取りになる、と、死ぬほど分かっている。 のらりくらりと、数年かけて、アメリカの言い分と、自分たちの言い分を、「相互の段階的な、非核化」で、だらだらと、やることで、それで、実質的に、北朝鮮は、立派な核保有国だ、ということを、国際社会(=世界)に、認めさせる、という、ずる賢い、もう、25年も(1993年からずっと)やってきた、手をまだ、使い続けるつもりだ。 

 何という、狡猾な、いじけきった民族であることだろう。 本当に、自分たちでも認めているとおり、「恨(はん)」を、自分たちの精神の中心に置いている民族のことはある。

 そして、韓国と、一体化して(即ち、民族統一)、「自分たちは、立派な、世界レベルの一等国だ」になろうとしている。 なんという、ズーズーしい、厚かましい民族であることか。

9.この事態を、日本の、とりわけ、本物の温厚な、保守派の人々が、黙って見過ごすことは出来ない。 韓国が、べったりと北朝鮮と抱き合って、それで、核兵器を隠し持ったまま、民族統一されると、日本の 安全が本当に脅かされる。日本の本物の保守派 (ここには、安倍晋三のような、北朝鮮に密かなシンパシーを持っているような人間たちは、除く)は、本気で、この事態を憂慮して、本気で、動き出すだろう。

 ただし、そのとき、「日本も核兵器を持つべきだ。だから憲法改正だ」という、短慮(たんりょ)に走ることは、賢策(けんさく)ではない。核兵器を持ったからと言って、抑止力(よくしりょく。デターランス)以上のものにはならない。 弾道ミサイルを迎撃(げいげき)して完全に打ち落とすことはできないのだ。 

 それだけの技術は人類にはない。ということは、「日本も核兵器を持つぞ」という、考えも、「本当の恐ろしい、敵」の策略に嵌(は)まる、ことになる。 だから、ここは、日本の体制派、保守派の、温厚な金持ち、経営者たちが、真剣に考えるべきことだ。 

10.だから、北朝鮮に核兵器を、持たせたまま、このまま、ずるずると、私たちの東アジア(極東)の現状が、作られて行くことを認めてはならない。どうしても、何があっても、北朝鮮の核兵器は、すべて、取り上げなければ、いけない。

11.幸い、ジョン・ボルトン 国家安全保障担当の大統領補佐官(ナショナル・セキュリティ・アドヴァイザー)が、トランプのずぐ横にいて、彼が、現在、NSC(エヌ・エス・シー、国家安全保障会議。大統領直属)で、力を強めている。 NSCは団結していて、「北朝鮮を爆撃して、問題を、速やかに解決すべきである」である。

 ジョン・ボルトンという人は、イエール大学のロースクールも、首席で出た人だが、労働者階級の出身だ(確か、父親は電気技師だ)。 彼は、これまでにも、国務省の高官に何度かなって、そのたびに、強硬派としての意見を述べて、それで、クビになった。国務次官も、国連大使も、やった。 

彼は、これまでに何度も、議会に呼び出されて、「そろそろ、あなたは、自分の強硬な考えを変えて、皆の言うことを聞くようになりましたか?」  
“ Did you change your mind ?“ 「ディッ・ジュー・チェインジ・ユア・マインド ?」 と審問 されても、たった、ひと言、 “ No , not at all . “ 「いや、私の考えは、変わりません」 「ノー、ノットアッツオール」 と 答えた。

 それで、毎回、高官の公職から解任され、外されてきた。それでも、ボルトンは、へこたれなかった。苦節30年の人だ。冷や飯食いに堪えて、あちこちの研究所を渡り歩いて、それで、新聞記事を書き続けて(シンディケイテッド・コラムニスト という)、テレビにも出て、自説をずっと、しぶとく唱え続けた。 

 だから、ボルトンは、アメリカの本物の、オヤジたち、本当の賢いアメリカの男たちから、尊敬されている。私、副島隆彦も、ボルトンのような人物で有りたい、と思っている。確か私と同じ年齢で、今、65歳のはずだ。 自分の保身(ほしん)と、出世ばかり考えている、卑しい本性をした、組織飼い殺し人間や役人根性をした人間とは、ボルトンは、根本から違うのだ。 だから、この点を、トランプが気に入って、それでボルトンを呼び寄せて、意気投合したのだ。 

 トランプは、ボルトンを、2017年1月に、政権が発足したときから、最初から国務長官(ステイト・セクレタリー)にしたかったのだが、どうせ、議会で嫌われて、承認が下りない。だから、昔、キッシンジャーがニクソン政権の時に、この安保補佐官で、ベトナム戦争の戦後処理(和平会談)をずっとやったように、今、ボルトンが、北朝鮮と、そのあとのイランの核兵器の隠し持ち問題を、処理しようとしている。

 このボルトンが、トランプによって、3月22日に、安全保障補佐官に指名公表された時、北朝鮮は、心底、ゾッとした。ボルトンは、必ず、爆撃をする、と、北朝鮮は、分かっているからだ。1994年にも、1996年にも、北朝鮮は、ボルトンを名指しで激しく糾弾した。北朝鮮は、自分たちが、ずっと、国際社会を騙(だま)して、何度も、合意を破って、ここまで核兵器開発を、実に25年間(1993年から)やって来た。

 トランプは、「もう、それは繰り返さない。もうアメリカは、過去の25年間の、ブッシュとクリントン政権のときのような、愚かな騙され方はしない」と、何度も公言している。だから、ボルトンが出てきたのだ。

12. それに対して、どうも、ポンペイオ国務長官の動きが、怪しい。彼は、何と、密かに ヒラリーに会いに行って、教えを請うた、というのだ。 私は、この一点で、もう、ポンペイを信用していない。

 それに対して、ボルトンは、ネオコン(正確には、彼は、ここではない) 派の 中に潜り込んできている、ヒラリー派である、統一教会 Moonie ムーニー の 、FBIや、CIAの幹部たちの中にもたくさんいる、危険な人間たちのことを、自分に近いところにいたので、すべての顔ぶれを知っている。それを、トランプに細かく、詳細に教えている。このことが凄(すご)いことだ。

 この事実自体が、極めて危険な、秘密情報だから、私、副島隆彦は、あまり書きたくなかったのだ、もう、我慢しない、書く。ボルトン、頑張れ。

13.私は、今、このように、「六月中の北朝鮮への爆撃は、先に延びた」と重たい掲示板に、書いている。それでは、いつまで延びるのか、と言われたら、12月まで、と言っておく。 

 もし、それ以上、だらだら、ズルズルと、このまま、2年も、交渉、会談が長引いて、あるいは、トランプが、いい加減な、決着で、形だけの「平和的合意」( peaceful settlement of conflict ピースフル・セツルメント・オブ・コンフリクト)をしてしまったら、それは、金正恩の勝ち、ということになる。 

 この愚劣な若者(34歳)が、このあとも、私たちの東アジア を引き釣り回す、ということになる。 もし、その事態を、アメリカ(トランプ)が、許すなら、それは、アメリカ帝国の弱体化、衰退(すいたい、decline デクライン)の決定的な証拠となる。

 アメリカは、今なら、出来る、北朝鮮問題の、外科手術(サージカル・オペレイション)による解決を、しないで、先延ばしにしたら、だらしない、図体だけがでかくて、腕力が無くなっている、ただの大男、ということになる。そういう歴史的な判定を受けることになる。

14.中国の習近平も、極めて狡(ずる)いのである。 あんなに、ニコニコして、馬鹿らしいほどに、北朝鮮を優遇した。その前は、ずっと、北朝鮮の核実験と、傍若無人の振る舞いに、激しく怒っていたくせに。 

 本当は、北朝鮮の核兵器 問題は、中国が、片づけるべきことなのだ。 自分の問題なのだ。それを、アメリカにやらせよう、というのは、何と言う、横柄な、悪賢い、考えと態度であることか。これを、「孫子(そんし)の兵法(へいほう)」即ち、「(自分は戦わないで、人にやらせることで) 戦わずして、勝つ」ということであるとすれば、中国というのは、底知れない、悪意の「赤い帝国」ということになる。

15.もし、トランプが、いい加減な解決で、ズルズルとこの問題を、先延ばしするようだと、トランプ自身の政権の安定が損なわれる。 そして、前述したとおり一番の被害者、一番の危険に、以後、晒(さら)されるのは、日本だ。

 この恐るべき事態を、日本人は、全員、本気で考えた方がいい。このあと、長く、日本にどれほどの災難が押し寄せるかに、真剣にならなければいけない。
私は、今の日本政府の、河野外相と 小野寺防衛相の、 「日本としては、北朝鮮に、今後も最大限の圧力(=最高度の経済制裁、貿易禁止=エンバーゴー=)をかけ続ける」という日本政府の方針を支持する。

16.それに対して、「このまま、北朝鮮の金正恩の体制 を、トランプは認めて、平和的な合意で、会談が成功することを、自分は支持する 」と、言う人に対しては、私、副島隆彦は、「自分が、正気で、それを言っているか、を、よーく、考え直した方が良い」と言う。そして、「そのあと、これから、東アジアが、どういうことになるのか、本当に自分の頭で考えているのか」と、厳しく詰問(きつもん)する。 

17.何となく「平和がなにより、戦争反対」で、「米朝会談の成功」を希望している、日本のリベラル派、反(はん)安部派の人たちも、この大事な一点は、真剣に考えた方が良い。 ただ単に、自分の精神は、根っからの反米(はんべい)だ、で、それで、北朝鮮の今の金正恩のやり方を、何となく、支持する、共感する、というのは、本気で考え直した方がいい。 

 あの残虐な 独裁体制で、収容所国家で、飢えている2000万人の北朝鮮の国民を、このままの状態で、狂気である キムジョンウンたちに任せておいていい、と、考えるとしたら、それは、自分自身が、愚か者だ、ということになる、と、今こそ、ハッと気づいて、分かるべきなのだ。 そのあと大きな危機と危難が私たちの日本に襲いかかるのだ、ということを、理解すべきだ。 
ここで一本だけ、ニューズ記事を載せる。

(転載貼り付け始め)

「 北朝鮮ペース、警戒の声=トランプ氏の交渉長期化示唆で 」

時事通信 2018年6月3日  

 6月1日、ホワイトハウスで、北朝鮮の金英哲朝鮮労働党副委員長(左)と共に記念撮影に応じるトランプ米大統領(AFP時事)

 【ワシントン時事】トランプ米大統領が12日に開く史上初の米朝首脳会談を前に、短期での非核化要求から長期的な交渉容認に立場を転換したことに懸念が高まっている。トランプ氏は「交渉の達人」を自任するが、米メディアからは、過去の米政権同様、非核化交渉を長引かせる北朝鮮の術中にはまり、失敗に終わりかねないと冷ややかな視線を向けられている。

 トランプ氏は1日、金正恩朝鮮労働党委員長の最側近、金英哲党副委員長とホワイトハウスで会談した後、米朝会談を予定通り開催すると発表。記者団に「(首脳会談は)プロセスの始まりだ」と述べ、会談の複数回実施など交渉の長期化を示唆。北朝鮮の主張する「段階的な非核化」を受け入れる構えを見せた。

 ニューヨーク・タイムズ紙(電子版)は2日、方針転換について、北朝鮮との非核化交渉に臨み、失敗に終わったクリントン、ブッシュ(子)両政権の二の舞いになる恐れがあると指摘した。過去の交渉で北朝鮮は、米国を延々と続く交渉に引き込み、エネルギー支援などの見返りを「持ち逃げ」し、結局は核開発を続けてきた経緯がある。

 米国の求める「完全かつ検証可能で、不可逆的な非核化(CVID)」受け入れを正恩氏が確約していない段階で、トランプ氏が融和的な姿勢に転じたことについて、「首脳会談の成功を示す基準を変更した」(CNNテレビ)との受け止めも出ている。トランプ氏は首脳会談を「知り合いになるための機会」のようなものだとハードルを下げており、非核化進展の見通しは既に不透明感が増している。

 一方、ワシントン・ポスト紙は、トランプ氏が金英哲氏との会談で笑顔を見せたり、記念撮影したりした厚遇ぶりを批判的に報じた。クリントン元大統領が、拘束された米国人記者を解放するために2009年に平壌を訪問し、故金正日総書記と会談した際に笑顔を見せなかったことと対比。「(非核化で)譲歩を引き出す前に、北朝鮮に宣伝戦の勝利を与えた」という元対北朝鮮交渉担当者らの見方を伝えた。(2018/06/03-16:03)

(転載貼り付け終わり)

18. 副島隆彦です。 さらに、思いつくままに、書くが、アメリカ国内は、北朝鮮への軍事行動での問題処理において、国論(こくろん)の分裂はない。このことは、日本のメディアは、全く触れない。誰も、調べていない、というよりも、知らないのだ。

 トランプと、激しく敵対していて、トランプから、「お前たち、潰(つぶ)れ掛かっている failing NYT ニューヨークタイムズ紙、やCNN は、 フェイク・ニューズ fake news ウソつきニューズだ」と、言われている アメリカのリベラル派(ということに大きくはなる)でさえ、北朝鮮爆撃に反対していないのである。本当だ。

 今のアメリカ民主党は、まだ、ヒラリー派の勢力が残存して、それに対して、エリザベス・ウオーレン上院議員(マサチューセッツ州選出)派が、どうも仲がよくない。話が合わない。

 だから、ウオーレン女史が、次の2020年の大統領選挙に、民主党候補として、出るはずなのだが、今のままでは、民主党内がまとまらない。だから、ウォーレンは、諦(あきら)め気味で、それなら、党内をまとめることが出来るのは、ジョー・バイデン前副大統領(デラウエア州という金融避難地の小さな州の選出。今は、上院議員に戻っている)しかいない。

 だから、バイデンが、高齢なのに、人格者だということで、大統領候補者になるだろう、仕方がないな、となっている。トランプは、バイデンが相手なら、2020年の大統領選挙は勝てる(再選される)と踏んでいる。

 そして、ジョー・バイデンは、北朝鮮問題では、トランプと話が合っているのである。バイデンは、リベラル派であるが、外交問題ではタカ派 ( hawk ホーク)である。 バイデンは、はっきりと、北朝鮮爆撃に賛成なのだ。 このことを日本のメディアは、書かない。知らないのか、アホなのか。 つまりアメリカ国内は、北朝鮮問題で、国論は一致しているのだ。

 大手の労働組合でも、この問題では騒がない。 ただし、緊要なアメリカ国民の、アジェンダagenda としては、取り上げたくない。だから、11月6日の 中間選挙(ミッドターム・エレクション)で、民主党が、トランプ共和党と国内問題で争う、という形になっている。

 今のアメリカで、北朝鮮での戦争反対、と言っているのは、アメリカの学校教職員組合 School Teachers Union スクールティーチャーズ・ユニオン、である。日本で言えば、日教組(にっきょうそ)である。それと、PTA(ピー・ティ・エイ)=教育委員会 が反対している。こういう小さな組織だけが、戦争反対なのだ。 

 ただし、全米の教育委員会が、アメリカの子供たちの、学校で、核兵器が襲いかかってきたら、頭を丸めて、机の下に隠れなさい、の訓練と、核シェルターの建設と管理を握っている。だから、無視できない。だが、この学校教師の組合以外で、北朝鮮への爆撃に、公然と反対している勢力は、アメリカには、いない。 まさか、そんな、と 思うだろうが、これが真実だ。 

日本だって、リベラル派や反(はん)安部派の人たちだって、今の北朝鮮の体制を、大いに認める、という人たちは、いない。 

19. 北朝鮮の核兵器(ニュークレア・ウエポン)保有問題は、アメリカ国家にとっての、primary agenda 「プライマリー・アジェンダ 」という。 このプライマリー・アジェンダ、というのは、「国家の存亡に関わる、重大事態のことだ。だから、「何を置いても、必ず、対処しなければいけない第1番目の主要な問題」という意味だ。

 国家、国民に危機が迫った、と判断されたら、アメリカは、自動的にこのプライマリー・アジェンダが発動される。

 それは、“ It’ s automatic .” 「イッツ・オートマティック」と呼ばれていて、「自動的に発動する」。誰が大統領であるかに関わらない。トランプであっても、他の誰であっても、アメリカを攻撃する可能性のある核兵器を持つ国が、出現したら、それは、プライマリー・アジェンダ なのである。 

 その危険と危難を、アメリカ政府は、必ず除去する。繰り返し言うが、このことは、誰が大統領であるかに関わらない。プライマリー・アジェンダ ということは、セカンダリー・アジェンダ 「2の次の、存亡の危機ではない問題」すなわち、貿易交渉などの、経済問題などの外国との外交問題が、セカンダリー・アジェンダである。 自国を狙ってくる、核兵器の問題は、それでは済まないのだ。このことを、日本人は分かるべきだ。

20.トランプは、突如、5月24日に、「会談を中止する」 “ The Meeting will not take place . “ と 声明を出して、手紙を公表して、北朝鮮に明言した。 すると、その9時間後に、北朝鮮が、狼狽(うろた)えて、「いや、会談をやってください」と譲歩してきた。この経緯(いきさつ)については、たくさんの記事がるから、私は説明しない。

 だが、トランプが、懸念を持ち、怒ったのは、中国の動きへである。中国が、妙に、金正恩の肩を持とうとして、横やりを入れてきた、と、トランプは、不機嫌になった。 北朝鮮の高官どもの、あれこれの発言ではない。 

 だから、トランプは、「中国、黙れ。邪魔するな」という感じ、 “ Don’t get  in the way . “ 「ドン・ゲット・イン・ザ・ウエイ」、= “ Don’t meddle , interfere .” と、中国を叱ったのだ。 
これで、このあと、中国が黙った。そして、12日の会談へと北朝鮮を追い込んでいった。

 トランプは、 必ず、会談の時に、言うだろう。 “ Do you agree me we must have nuclear free Korean Peninsula ? “ 「ジューユー ・アグリー・ウイ・マスト・ハヴ・ニュークレア・フリー・コーリアン・ペニンシュラ ? 」 「 金正恩よ、君も、朝鮮半島を、非核化 しなければいけないと、思うよな、私と、同じ考えだろ?」と柔らかく聞く。 「ニュークレア・フリー」nuclear free というコトバが、非核化(ひかくか)の、もう一つの分かり易い、大事な英語だ。

 キムジョンウンは、屹度(きっと)何も答えない。トランプに言質(げんち)を与えないように、細心の注意で、極力、何も言わないはずだ。

 それで、トランプが、「もし、君が、非核化に応じてくれるなら、私は、君の今の体制を認めるよ」 と言う。  “ If you support the agenda , we support your government .”

「イフ。ユー サポート・ザ・アジェンダ・ウイ・サポート・ユア・ガヴァンメント 」と。

 トランプは、決して、 「私は、君に 要求する。 ただちに 核ミサイル を、解体するか、私たちに引き渡せ」 “ I demand you  must dismantle and handover   all missiles right away . “  「アイ・デマンド・ユー・マスト・ディスマントル・アント・ハンドオウヴァー・オール・ミサイルズ ・ライトアウェイ 」
とは言わない。言えば、交渉は、すぐに決裂する。 金正恩は、席を蹴って出て行くだろう。

 そうはさせないと、トランプは、始めから堅く決めている。「もう、逃がさないぞー」戦略である。

 金正恩は、暫く黙ったあと、 通訳を介して、こう言うだろう。 「いいでしょう。徐々に、相互に、段階的に、核兵器を廃棄しましょう」  “ OK , I graduatedly  , simultaneously handover misssiles . “ 「オウケイ・アイ・グラジュエイテッドリィ・ハンドオヴァー・ミサイルズ」 と。  

グラジュエイテッドリー・サイマルテイニアスリー 「相互に、徐々に、段階的なやり方で」とは、 = in a graduated  simultaneous manner  「イン・ナ・グラジュエイテッド・サイマルテイニアス・マナー」 ということである。

 金正恩は、この「段階的に、相互的に、核兵器を廃絶する」ということに、賭けている。この段階的な非核化(ひかくか。ディーニュークレアライゼイション)で、トランプを、騙(だま)くらかして、 自分の核保有と、さらには、経済制裁の解除と、国際社会で、自分が名誉ある地位に就こうと考えている。何という、厚かましい男で、デブのカリアゲであることか。それが世界で通用すると思っている。

このあと、トランプは、「そうか。やっぱり、君は、すぐには核兵器を全部、私たちに渡す、とうことには同意しないんだね」 “ You mean you don’t agree with me , “ 「ユーミーン・ユードン・アグリー・ミー」 と。
これで、このあと、トランプは、「それじゃ、また、会おう。必ずな」 と言って、会談を終わりにするだろう。 次回は、どこで会うかは、また、スタッフ(国務省)が、北朝鮮側と協議して決める。

 すでに、会談の事前の、事務方の交渉として、「議題 agenda の リスト lists 」は、揃って提出されている。 アメリカ側は、「まず、20基有ると推測される、ICBMをすべて、アメリカ側に引き渡しなさい」と要求しているらしい。本当は、もっとあるのだ。だが、アメリカにもそれは分からない。
 そのリストの項目の、逐一について、12日の会談で、協議することはないだろう。 どうせ、金正恩は、言うことを聞かない。

 剰(あまつさ)え、現在の時点(6月7日)で、漏れ伝わってくる、金正恩からのトランプへの、例の手紙(親書)の「経済制裁の解除と、経済支援の項目 リスト 」には、 「ウオンサム(元山)でカジノを開きたい」という項目があったという。何と、人を食った態度だろう。北朝鮮は、全く国際社会の、言うことを聞く気は無いのだ。

21.アメリカ、そして国際社会(=世界)が、北朝鮮に要求しているのは、今では、みんな知るようになった、CVID (シー・ヴイ・アイ・ディ) である。
この 「(C)コンプリート・(V)ベリファイアブル・(I) イリヴァーシブル・(D)ディーニュークレアライゼイション」 というのは、 「完全で、検証可能、すなわち、ヴェリファイ=本物かどうかを検査する、 

 そして、不可逆(ふかぎゃく)的、すなわち、後(あと)戻りの出来ない、リヴァーシブル・コート、裏返しても着れるコートの、リヴァーシブルの「イ」否定 で、あとあと、ひっくり返すことができない、あとになってイヤだ、やらない、と言えない、 核兵器の dismantlement  ディスマントルメント 、即ち、外側から、少しずつ引き剥がして行くような解体作業と核物質(高純度プルトニウムの抽出)」のことだ。

 この CVID を、北朝鮮が受け入れなければ、どうせ、国際社会(=世界)は許さない。と、私、副島隆彦は、ずっと考えている。

22.だが、事態は、刻々と、私の、この1年間の 予想を超えて、奇妙な方向進みつつある、とも、考えられる。 世の中は、きれいな方向には向かわないで、いよいよ、ぐちゃぐちゃの、どうしようもない、方向に向かうのであり、穢(きたな)らしい現実が、次々と、私たちに押し寄せるものなのだ、 という 考えがある。これには、私は黙る。 この世は、もともと、魔物と 怨霊が住む世界なのかも知れない。

私が、唯一、危惧するのは、この ぐちゃぐちゃの事態に私たちの東アジアが、進んで行く、ことだ。

23.私が、ここまで書いてきたことは、私の本の熱心な読者や、学問道場の会員たちに向けてのものである。 私の本を、まじめに読みもしない、そして物事(ものごと)を真剣に考えもしない者たちが、私、副島隆彦に、「副島の予測(予言)が外れた」と、名無しの権兵衛(匿名)で、書き散らしても、私は、相手にしない。 どうせ、統一教会(ユニフィケイション・チャーチ。幸福実現党も。かつての勝共=しょうきょう=連合だ)の系統の、異常な精神をした者たちからの、私へのいつもの攻撃だ。

 私が、相手にするのは、この国で、私の本をまじめに読んでくれている人たちだ。それは、10万人ぐらいで、最大限でも20万人だ。 この人たちだけが、私、副島隆彦のお客さまだ。私は、自分のお客様 だけを大事にする。それ以外の、“縁(えん)無(な)き衆生(しゅじょう)”(親鸞=しんらん=上人=しょうにん=のコトバ)は、私とは無関係だ。

 それでも、私は、自分の言論が、今では、新聞記者や、テレビ局の解説委員のような人たちにも、影響力を持っていることを知っている。政府関係者たちも、私の本を読んでいる。しかし、決してこの人たちは、私には近寄ってこない。彼らは、私と同じ、言論の表現者であるから、私と同業者なのだ。 

 私、副島隆彦から影響を受けている、と、周りから悟られることも怖れなければならないのだ。だが、確実に、私の言論は彼らに浸透している。私以外の誰が、一体、これだけのしっかりした骨格をもった理論を、日本国内に提出出来ているか。答えてみろ。

 現状は、こうだと、それで構わない。私は、何十年も、堪えに堪えて、ただひたすら、日本国民の利益となるように、自分の言論と、知識、思想が、世界基準( ワールド・ヴァリューズ world values )のものの、日本国内への供給、供与となっていれば、それでいい、と覚悟を決めている。 

 だから、北朝鮮の核兵器の 廃棄の問題と、今の金正恩体制を打ち倒して、もっと穏やかな体制に作り替えるべきだ、という私の理論の骨格は、わずかにも変更はない。

私は、今のまま、突き進む。

今日は、これぐらいにしておきます。

副島隆彦拝