[2292]森友問題に関連して、権威性の問題と、裏ワザは裏ワザによって崩されるという話

kenji fujikawa 投稿日:2018/03/25 14:15

2月に会員になった者です。よろしくお願いします。

掲示板[2283]で、副島さんにメールを紹介していただきました。

私は、自分の仕事でもないのに、歴史に潜む思想、物事の起源、理論・パターンを見つけ、考える、謎解きをやるのが趣味。朝から晩まで、頭の中でぐるぐる考えてる。

副島さんの本も、このサイトの記事も、いつからか気になりだして読み始めた。「そうだよなぁ~」と、ニタニタ笑いながら読んでいる、変なヤツ。

物事の起源まで遡り、論理的な説明がつかないと、納得出来ない。が、私の考えを人に話しても、「ふーん、変わったこと言うなぁ」で、なかなか理解してもらえない。

なので、こんな考え方もあるんだな、ぐらいに捉えて下さい。

本題です。

副島さんの「世界覇権国アメリカを動かす 政治家と知識人たち」と、「余剰の時代」にも掲載されてる、”ヨーロッパ政治思想の全体構図”。

自然法論は、自然法派から次々と微分され、自然権派、人権派、動物の権利派。今、海外では、”ロボットの人権”なんて話がある。蹴飛ばしてロボット壊したら、殺ロボット罪か?どーすんの、それ。

図を、ぼーっと見ていて、気付いた。問題の原因は、”微分”じゃねぇか?と。(答えを書いてある!)”微分”のやり過ぎ、自然法論は、人にとって有害なレベルまで至ったのではないか?

微分というのは、部分の法則を見る。(分離、分割、分断も伴う)曲線を拡大し、直線の方程式を得る、ということだから、長期では曲線から外れるのですね。外れると、また微分の方程式を得て、「政策」する。

文明の進化、テクノロジーの進化により、実生活で扱う情報量は、超高速で増え始めた。曲線の変化に、直線方程式の解析では、間に合わない。情報が大量に垣根を越えだした。インターネットに暗号通貨、むしろ国家の垣根は、個人の経済活動を抑圧する。

自然法での”微分”は、もはや人の進化にとって”リミッター”になっているのではないか?。かといって、ガチガチの現状維持保守派に戻ることも出来ない。

副島さんのニーチェ本「ニーチェに学ぶ、奴隷をやめて反逆せよ!」が出たとき、私は「あー、いよいよ来たかー」と”感じた”のですが、その時は、何故自分がそう感じたのか?説明出来なかった。

今は説明出来そうなので、書きます。

 ・権威性の所在を”ずらす”裏ワザ

ニーチェが指摘する、ローマキリスト教の問題は、次のパウロの言葉に集約される。

<ローマ人への手紙13章>
「すべての人は、上に立つ権威に従うべきである。なぜなら、神によらない権威はなく、おおよそ存在している権威は、すべて神によって立てられたものだからである。 したがって、権威に逆らう者は、神の定めにそむく者である。そむく者は、自分の身にさばきを招くことになる。 」
http://bible.salterrae.net/kougo/html/romans.html
<転載終わり>

新約聖書の物語を(私なりに)むりやり単純化すると、次のようになる。

1.イエスが民衆に説いていた「奇跡の起こし方」の説法を見て、既得権を持った坊さんたちが、「怪しい!」と糾弾し、ローマの地方官がイエスをひっ捕らえた。

2.既得権を持った坊さんたちが「イエスを殺せ!」と叫ぶので、仕方なく、ローマの役人はイエスを処刑。

3.しかし3日後、イエスが使徒の前に復活。伝説を残し、どこかへ立ち去る。

4.自ら使徒と名乗る”パウロ”が、「権威に反逆したからイエスは殺された。皆の者、殺されたくなければ権威に従うのだ!」と説く。

パウロはイエスが民衆に教えてたことを見事にずらし、既得権を持った者に”権威”を付与したのですね。その”神”って具体的に誰?どこにいるのかね?権威を神に与えられた証拠は?というのは明らかでない。

有耶無耶のまま、”権威”が”神”に背乗りしてしまった。”権威”だから、使う場所は、宗教団体だろうが国家だろうが、汎用性があるわけです。

ところで、私は、森友問題の本質は、”公務員に化けた官吏の問題”と考えます。

公文書が書き換えられた。(改ざん・書き換え、コトバを変えても、起こった事実は同じ)問題は、安倍政権よりも、この事実ではないのか?なぜ書き換えられたのか?野党の指摘は完全に的を外しているのでは?たとえ政権交代しても、同じことの繰り返しでは?

”税”と”国民の自由”に直接関わるから、選挙で変わる政治家より、こちらのほうが重大。

菅野完さんの記事を、転載します。

<国家を私物化する怪物>

議会制民主主義を根底から否定する蛮行

 なるほど、メディアは、あの日以来、「麻生辞任か?」「安倍の関与は?」「昭恵の証人喚問は?」と、これから起こり得るであろう政局の分析で喧しい。佐川前理財局長の答弁がことごとく嘘であったことをあげつらい、麻生財務大臣の任命責任や使用者責任を問うことは確かに重要だろう。だが、今回の件は、そのような「政局ネタ」に終始してよい問題なのか。

 公開された資料を見よ。改竄で消されたものは、安倍晋三、安倍昭恵、平沼赳夫といった政治家の固有名詞だけではない。「本件の特殊性に鑑み」といった、およそ行政文書とは思えない特異な文言だけではない。項目そのもの、章立てそのものがごっそり消えている事例もある。さらに言えば、ページそのものが消失しているものもある。そして改竄前の資料にも改竄後の資料にも、ページ数の記載がない箇所がある。これでは今回公開された資料をもっても「本当にこれが疑惑の全てなのか?」さえ検証できないのだ。つまり、財務省は、項目、章立て、そしてページそのものを消すことによって、事実の改竄のみならず、事実の隠蔽を図っているのだ。

 いや、隠蔽という言葉さえもまだ生ぬるいだろう。なんとならば、森友問題に関する政府答弁は、昨年1年間、改竄後の決裁文書の内容に綺麗に従う方向で徹していたからだ。政府は、「事実が隠蔽された」決裁書の内容に基づき、野党側からの追及に「そうした事実はない」「問題ない」との答弁を繰り返していた。決裁文書に記述そのものがなければ政府答弁が「そのような事実はない」となるのも必然だろう。

 しかし一旦政府答弁として「そのような事実がない」との文言が国権の最高機関たる国会に提出されれば、「事実がない」ことが「事実」になってしまう。つまり、財務省は、書類改竄を行うことで、事実を捏造してしまったのだ。

 これをゆゆしき事態と言わずしてなんと言うのか。国権の最高機関たる国会が、有権者の選良が、行政に資料の提出を命じていたのである。しかし、それに対する行政側からの報告がことごとく嘘であり、嘘であるばかりか、事実の捏造まで行うものであったのだ。

 有権者の代表によって構成される議会が、行政の担当者を選任し、その選任した行政の担当者を適宜引見し、予算の執行状態についての尋問を行うということこそが、議会制民主主義の要諦ではないのか。議会が行政の担当者を国家のサーバントとして選出し、そのサーバントに議会に報告せしめるという行動様式こそが、名誉革命以降、400年にわたって人類が築き上げてきた議会制民主主義のありかたではないのか。だから国会こそが「国権の最高機関」という立場を与えられているのではないのか。

 今般の財務省の書類改竄は、これら人類が営々として守り育ててきた、明治以降の日本人が「憲政」という形で育んできたこうした諸原則を根底から覆す、まさに「蛮行」と呼ぶべき行為ではないのか。もはや今後、我が国の議会では、予算審議のたびに「この資料は真性であるのか?」と一度確認せねばならなくなり、税制審議のたびに「データに間違いはないのか?」と何度も確認せねばならなくなったのだ。これを議会制民主主義の根底からの否定と言わずしてなんと言うのか。

<転載終わり>

なぜ官僚機構は暴走するようになったのか?結果には原因がある。それが、”公務員に化けた官吏の問題”。

これは竹原信一氏が指摘しているので、動画リンクを貼ります。

「日本社会の設計図は国家公務員法である。市議会発言 竹原信一」
https://www.youtube.com/watch?v=Ai7FZLL2RuE

関係法令の条文を掲載。

(参照:e-gov法令検索 http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0100/

<日本国憲法>

第十五条 公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。

○2 すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない。

○3 公務員の選挙については、成年者による普通選挙を保障する。

○4 すべて選挙における投票の秘密は、これを侵してはならない。選挙人は、その選択に関し公的にも私的にも責任を問はれない。

第七十三条 内閣は、他の一般行政事務の外、左の事務を行ふ。

一 法律を誠実に執行し、国務を総理すること。

二 外交関係を処理すること。

三 条約を締結すること。但し、事前に、時宜によつては事後に、国会の承認を経ることを必要とする。

四 法律の定める基準に従ひ、官吏に関する事務を掌理すること。

<国家公務員法>

第一条 この法律は、国家公務員たる職員について適用すべき各般の根本基準(職員の福祉及び利益を保護するための適切な措置を含む。)を確立し、職員がその職務の遂行に当り、最大の能率を発揮し得るように、民主的な方法で、選択され、且つ、指導さるべきことを定め、以て国民に対し、公務の民主的且つ能率的な運営を保障することを目的とする。

○2 この法律は、もつぱら日本国憲法第七十三条にいう官吏に関する事務を掌理する基準を定めるものである。

第二条 国家公務員の職は、これを一般職と特別職とに分つ。

○2 一般職は、特別職に属する職以外の国家公務員の一切の職を包含する。

○3 特別職は、次に掲げる職員の職とする。

一 内閣総理大臣

二 国務大臣

三 人事官及び検査官

四 内閣法制局長官

五 内閣官房副長官

五の二 内閣危機管理監及び内閣情報通信政策監

五の三 国家安全保障局長

五の四 内閣官房副長官補、内閣広報官及び内閣情報官

六 内閣総理大臣補佐官

七 副大臣

七の二 大臣政務官

七の三 大臣補佐官

八 内閣総理大臣秘書官及び国務大臣秘書官並びに特別職たる機関の長の秘書官のうち人事院規則で指定するもの

九 就任について選挙によることを必要とし、あるいは国会の両院又は一院の議決又は同意によることを必要とする職員

十 宮内庁長官、侍従長、東宮大夫、式部官長及び侍従次長並びに法律又は人事院規則で指定する宮内庁のその他の職員

十一 特命全権大使、特命全権公使、特派大使、政府代表、全権委員、政府代表又は全権委員の代理並びに特派大使、政府代表又は全権委員の顧問及び随員

十一の二 日本ユネスコ国内委員会の委員

十二 日本学士院会員

十二の二 日本学術会議会員

十三 裁判官及びその他の裁判所職員

十四 国会職員

十五 国会議員の秘書

十六 防衛省の職員(防衛省に置かれる合議制の機関で防衛省設置法(昭和二十九年法律第百六十四号)第四十一条の政令で定めるものの委員及び同法第四条第一項第二十四号又は第二十五号に掲げる事務に従事する職員で同法第四十一条の政令で定めるもののうち、人事院規則で指定するものを除く。)

十七 独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号)第二条第四項に規定する行政執行法人(以下「行政執行法人」という。)の役員

○5 この法律の規定は、この法律の改正法律により、別段の定がなされない限り、特別職に属する職には、これを適用しない。
<転載終わり>

よって、日本国憲法では、国民が、公務員の選定と罷免の権利を選挙で行うとしながら、国家公務員法では、選挙で選ばれるべき公務員を”特別職”として除き、憲法73条4号の”官吏”を、公務員に化けさせてしまった。

しかも、国家公務員法では”職員の福祉及び利益を保護するための適切な措置”を、法の目的にしてしまった。これが日本国の”設計図”であり、設計図通り機能しているから、おかしなことになった、と。

つまり、選挙で与えるべき公務員の”権威性”を、国家公務員法では、無条件に、”官吏”に与えてしまったのですね。選挙に晒され、人気取りで忙殺される公務員(国会議員)と、専門知識を持ち、国民からは罷免されることのない”背乗り”公務員(官吏)と、どちらが実務上で有利か?考えると、答えは出るでしょう。

実務で誰が法案を書いて、誰が代議士の答弁シナリオを書いているのか?そもそも、日本では民主主義が成り立っていない。

竹原氏によると、当の官僚でさえ、この”背乗りトリック”を知らないそうだ。

・・・

これ、ローマカトリックのパウロの手口と、構造が似ていると思いませんか?不思議~。

 ・微分の裏ワザ「リバース弁証法」が”投資”を奪う

ところで、実務において自然法論の”微分”は、次のプロセスで用いられる。

①問題(事件)が起きる → ②社会問題化される(マスコミで騒がれる) → ③対策が行われる(法規制、微分)

「法規制」ということは、たとえその事件が一部に適用されるべき特殊な事案でも、皆から等しく自由を奪う、ということなんですね。

単純化すると、自由な個人にとって、”微分”の作用とは

 正→反→カス

事件で何かがマスコミで騒がれるたび、自由をひとつづつ、法規制で奪われる。ところが、規制する側は、事件となった細部に囚われるあまり、個人の創造性(Y = C + I の I投資 を奪う)も奪ってゆく。(今、”余剰”なのは、これをやってる連中だと考える。だからトランプが攻撃する)

・・・

このやり方を、既得権者がマスコミを使って、”裏ワザ”として用いたら?”正”の段階で、その事件が”やらせ”だったとしたら?現に、世界中のあちこちで裏ワザが蔓延しているから、トランプが糾弾しているのでは?

 ・裏ワザが市場を食い尽くす、スクラップ・アンド・ビルド

裏ワザといえば、株式市場においては、副島さんが掲示板[2277]で指摘されてるCTA(商品投資顧問)。始まりは、米国の取引所の民営化の際、取引所、SEC、大手投資銀行がグルになって、超高速取引で投資家がオーダー入れた株を先回りして買って高く売りつける、という裏ワザが蔓延した、というのがあります。
(「フラッシュ・ボーイズ 10億分の1秒の男たち」文藝春秋 (2014/10/10)マイケル・ルイス著)

今や超高速トレードのテクノロジーは一般化、大手ファンドは熟練トレーダーたちを解雇、すべてプログラム化された超高速アルゴリズムで取引。日本の取引所にも、ブラックボックス(アローヘッド)が置いてある。

ところで、今は急激な円高ドル安、日経平均は暴落している。しかし副島さんの予言どおり、6月に朝鮮戦争が起こればどうなるのか?米国は軍産複合体の国。

世論がどうあれ、というか、「やむを得ない」ということで、世論を作って、同じことを繰り返す。イラク戦争ではブッシュ大統領が、大量破壊兵器の有無が有耶無耶のまま、開戦を宣言。どうせまた繰り返す。

・・・

半島に近い、日本の株式市場。北朝鮮が民主化するとなれば、巨大な有効需要が期待される。日本の株式市場に、ファンドの猛烈な買いが入るのでは?

もし、昨年のビットコインのような、想定外のイケイケ3段上げチャートが出来上がったら?そのあと、ファンドの超高速アルゴリズムが自動で手じまいを始めたら?

金融緩和やゼロ金利も、金融理論を部分解釈・逆転解釈した裏ワザ。株式バブルの崩壊は、債券市場にどのような影響を及ぼすのか?英国を狙ったジョージ・ソロスみたいなのが現れたら?

・・・

裏ワザは、巡り巡って、裏ワザによって、全て、崩される。世界大戦のスクラップ・アンド・ビルドなんて、もはや要らないんですね。トランプは、日本の行政に全責任を押し付ければいい。(今、彼がいなくなっては、世界が困る)

以上は想像に過ぎないけれど、今の世界、金融崩壊と通貨リセットは、避けて通れない。(国民にとっては、重税 金融抑圧より、よっぽど良い)

我々はもはや次の時代(近代の次、今の体制が壊れた後)のプランを考えるべき段階にいるのでは?と考える。

次回は、”ネイティビズム”と”ビヘイビアリスム”について書きたいと思います。この2つの対立軸にも、”微分”の問題が潜んでいる。