[2232]東芝問題の本筋
相田です。
色々あるみたいですが、東芝関連でも静かに事が動いています。
(引用始め)
中部電、西名古屋火力の熱効率62%以上 世界最高水準、ギネス世界記録への申請も検討
SankeiBiz 12/2(土) 7:15配信
中部電力は1日、9月に一部運転を開始した西名古屋火力発電所(愛知県飛島村)を公開した。最新鋭のガスタービンを採用し、熱からエネルギーを取り出す指標の熱効率は「62%以上」と世界最高水準。同社の従来の最高(58.5%)を上回り、ギネス世界記録への申請も検討している。
同発電所は液化天然ガス(LNG)を燃料にガスタービンを回し、その際に出た排熱を使って蒸気タービンでも発電する複合サイクル方式(Gas Turbine Combined Cycle, GTCC) 。2つのタービンを回す上、燃焼温度が高い1600度のガスタービンを採用したことで熱効率を上げた。
9月に1基が稼働し、2基目も来年3月に運転を開始する予定。2基が動けばLNG消費量はほかの発電所に比べ年50万トン削減し、二酸化炭素(CO2)排出量も140万トン減らせる見込み。
長尾和彦所長は「最新鋭の設備で、発電所の競争力を高めたい」と述べた。
(引用終わり)
中部電力で稼働を始めた火力プラントは、GEが開発した最新型のコンバインドサイクルシステム(GTCC)である。GTCCの詳細は、私の著書の「東芝はなぜ原発で失敗したのか」をご参照頂きたい。同レベルの1600℃クラスのガスタービンは、三菱重工が先行して開発しており、2013年から関西電力姫路第二発電所で運転されている。中部電力の入札の際にも三菱は参加したが、GEが競り勝って落札した。
三菱は1600級ガスタービンをJ型と呼んでいるが、GEでは従来機のH型タービンの改良型としてHA(H advanced type)型と呼ぶらしい。同形機なのだが、三菱に製品化を先行された腹いせに、GEは意地でもJ型とは呼びたくなかったらしい。新潟にある中部電力の上越火力発電でも、GEはHA型タービンによるGTCCを2015年に受注し、現在建設が進んでいるようである。
日本では華やかな話題ばかりが報じられているものの、実は、本国アメリカでGEは苦境に喘いでいる。1年前に30ドルを超えていた、GEの株価は12月1日には18ドルを割った。9月には社長が、ジェフ・イメルトから金融事業出身のジョン・フラナリーに交代した。しかし交代直後の事業状況説明会において、説明内容が曖昧であったため、株を買う事で損失を被ったとして、GEは株主達から損害賠償請求の訴えを起こされている。
https://finance.yahoo.com/news/klein-law-firm-reminds-investors-230100620.html
株主から利益が上がらないと訴えられるなど、栄光のGEの歴史において、あってはならないことだった筈だ。1896年から制定されたダウ工業株30種平均の中で、GEは唯一残り続けている銘柄である。が、外されるのも時間の問題だと目されている。ダウ銘柄から落ちると、格付けの更なるダウンも避けられない。
好調に見える火力発電事業でも、主要設備のあるスケネクタディの工場で、GEは大規模なレイオフに着手した。解雇される詳細な人数は不明だ。
https://finance.yahoo.com/news/general-electric-lays-off-workers-225646889.html
アメリカの象徴の一つだったGEが、ゆっくりと終わりを迎えつつある。「東芝問題」のメインストリームはこっちの方なのだ。
相田英男 拝