[2218]日産自動車、スバル、神戸製鋼問題について考える
はじめまして。
昨年8月に学問道場の会員になりました本郷誠一と申します。建設会社を営んでおります。工事の下請けと公共工事はやらない。工事の丸投げはしないを創業以来貫いています。
小さい会社ですが、創業以来40年間、一期たりとも赤字決算はありませんでした。 そして、従業員の給料、下職への支払い、金融機関への返済については、一回たりとも遅れたこともありませんでした。 それは、私の会社の勲章であるかも知れません。
そんな私が建築という仕事をしながら学んだ人生の様々な事や感じた事を、何の脈絡も無く一方的に会社のホームページ上に、月に10~15編位書かせて頂いています。
独立独歩の中小企業の経営者にしか解らない心の痛みや、建築の仕事を通じて見た人生の裏側の現実といったものを書いています。勿論、本業の建築の事も書いています。
その一つを、自己紹介代わりに転載させて頂きました。少し長く、ちょっと勘違いの事もあるかも知れませんが、お読みいただければ幸いです。
文筆業ではないので、直感的に思い付いた事をパッと書くのが信条ですから、間違いも多々あると思いますが、そこのところはお許しください。
<日産自動車、スバル、神戸製鋼問題について考える>
矢沢永吉の「やっちゃえ日産」が「やっちゃった!」は、笑い話では済まない今の日本の厳しい現状が見えてきます。
日産自動車が9月29日に同社の新車最終国内の6工場で製造した21車種の完成検査の一部を未認定の審査員が行っていたというもの、新車約6万台の販売の一部停止、更に過去3年内に販売した121万台もの車についてリコールを届け出たという発表がありました。
費用には約250億円に上る可能性があるというものです。
もう一つは、スバル自動車も10月30日、同様に3年前から無資格の従業員が従事していて、過去3年以内に製造された39万5000台を対象にリコールするというものです。
日産は38年前から不正があったと認めています。原因としては検査員不足という事です。又、国交省や社内の定期的な監査が行われる月は、現場監督者が補助検査員に検査ラインから外れるように指導したり、資格があることを示すバッジを付けさせたりしていた様です。他社においてもこのような事は大なり小なり見られると思いますが、検査員の試験でも試験問題を何となく教えていたりしていたと言います。
神戸製鋼は製品の検査データを改ざんしていて、子会社の工場がJIS=日本工業規格に関する法令に違反していたというニュースが立て続けに起こっていて、メイド イン ジャパンへの信頼が裏切られたと、マスコミのテレビや週刊誌等で取り上げられています。
確かに不正は良くないし、そんな事をすれば消費者及び世界の信頼を悪くすることはあるでしょう。そんな中、人ごとみたいに大騒ぎしてバッシングするだけでなく、物事の本質や業界のしきたりや社会の常識、世界の常識を考えて行かなければなりません。
そして、その事がどれだけ人命やリスクや安全性の許容範囲を超えているのかという問題も並行して考えて行かなければならないのではないかと思っています。
神戸製鋼の品質データ偽装問題については約10年前から常態化していたと言われていますが、ほとんどの業界でそのような事はあったし、今でも当たり前のように行われているのではないかと推測されます。
耐震偽装も東芝の問題も根は同じところにあって、以前は皆そうだったと言えば今の世の中では通用しないのでしょうが、だからと言ってひとつ不正が見つかっただけで、その会社だけが絶対悪で、場合によっては歴史ある会社を倒産させるような圧力をかけ過ぎて良いのかという問題もあります。もう少し歴史的な流れとか世界の常識とか、これから国際的に生き残って行く為にはどうしたら良いのかというような事も合わせて考えて行かなければならない問題だと思っています。
例えば、一時期、耐震偽装の姉歯事件としても大問題になりましたが、建て替えた元の建物より10倍も危険な建物が日本中あちこちに実際に建っているのも事実なのです。
元々、日本の工業製品等の強度試験は、かなりの余裕を持って行われていて、例えばそれらが10%マイナスの強度になったとしても安全性にすぐ問題に訳ではありません。まして
今回の神戸製鋼の場合は、過去10年分のデータを取り寄せて確認した結果、強度が最大3%程度不足していたという事です。JR東日本も新幹線の一部の部品の強度がJIS基準に対し、0.4%不足していたというのです。
当然の事として設計段階では、必要以上の高い強度を規定しているのですから、これ程の大騒動を起こしたりするのは、ちょっと違うなと思います。騒動の裏側に何かドロドロとした何かが潜んでいるのではないかと勘繰ってしまいます。
日本のこのような報道や事件の裏にはいつも何か反日的というか、日本の地位やイメージを国際的に引きずり下す為大騒ぎしたり、匿名を隠れ蓑に何処かの機関に訴えたり、片寄った自大主義や日本の競争力を低下させ、国力を貶めている様な勢力があるのではないかと思ってしまうのです。報道機関の人々の中にも、あなたは本当に日本人ですか?というような質問をする人もたくさんいて、今回の神戸製鋼の問題についての経営者の釈明会見でも、特に報道関係者達が罵声を散々浴びせたりしているのを見るにつけ、「お前たちが言うな」という嫌な感じがします。
最近のマスコミ関係者の偏向的な報道姿勢や劣化、そしてタレント化には目を覆いたくなります。
今回の、日産やスバルの問題や神戸製鋼の問題は社内及び元社員による内部告発という説も根強く出ています。そしていずれも最終的には「企業」と「行政」との関わり合いというか癒着という大きな問題もあります。
内部告白者は本当の意味で消費者の安全性という視点から告発したのでしょうか。あるいは会社や上司への怨念から出た復讐劇なのでしょうか。
行政の問題についても役人は国民の側の代弁者なのか、あるいは利権獲得の為の手段として許認可を与えたり逆にリークしたりしているのではないかと思うところもあります、そして役人の不作為の罪という話は日常的にあちこちにあるような気がします。
いずれにしても、この問題の本質や裏側にも思考の目を向けていかなければならないと思います。
近年増えているクレーマーや、少し意味合いは違いますが被害妄想の人々の増加や便乗主義者の異常行為をそのまま認めていいのかという問題も、これらの問題を論ずる時には一緒に考える事が大事だと思っています。
一級建築士という国家資格を持つ私がこんなことを書くと、非常にまずいし誤解される事になりますが、あえて言うと建築士の資格が無くても立派な仕事をしている人はたくさんいますし、公然の秘密となっていますが世界的な評価を得ている建築家の中にも一級建築士の資格を持っていない人がたくさんいます。そして建築雑誌等の設計者の欄には、その無資格の建築家の名前が堂々と記載されています。
反対に資格があったとしてもペーパードライバーみたいな人もたくさんいて、堂々と建物は建っていますから消費者の立場からしたら、どちらが安心安全であるかは意見の分かれるところではありますが、経験を取るのか資格を取るのかは、どちらとも言えない部分もあります。
建築士の名義貸しの問題も昔も今も存在していますから、表面的なところだけで大騒ぎするのでは本質を見失ってしまいます。所詮、国家資格と言ってもピンからキリまであって行政の天下り機関等が、自分達の存在意義を認めさせる為に様々な資格制度を無理やり作っているところもあり、それらの許認可やハローワーク的な職業訓練等を運営しているところが特殊法人や役人の天下りの受け皿になっていたりします。
ですから、資格があるから善、無いから悪というような決めつけ方はどうなのかと思います。
昔の職人なんかは何の資格も無く、親方から認められるとか、世間が認めてくれるという事が第一でした。当然の事として技術力の高さは誰もが認めるところであり、経験とか勘とか矜持とか人間性とかも自ずと身に付けており、かといって今のように何でもかんでも資格制度があった訳でもなく、又特別な物創り以外は暗黙のルールがあり、資格制度というようなものに従っていた訳ではありませんでした。その方が世の中ある意味上手く廻っていくという感じがするのです。
私の持っている一級建築士の資格の建築士法だって、田名角栄が大臣の時に作ったという話があって、田中角栄が一級建築士の第1号という笑い話もあります。田中角栄は高等教育を受けていないで政治の頂点まで登り詰めた稀な人ですから(15歳で高等小学校卒業)16歳で上京し住み込みで働きながら、神田の中央工学校木工課(夜間部)に通い、18歳で卒業し設計事務所に勤め、19歳で独立して「共栄建築事務所」を設立。25歳で「田中土建工業」を設立しているのですから、やっぱり努力家で偉い人です。
27歳で国政進出するも落選、2回目29歳で当選します。一級建築士第1号は噂であって本当は16989号だったようです。しかし(社)日本建築士会連合会の発行する「建築士」8月号によると田中角栄は建築士法制定(昭和25年)の第一の功労者であるから、合格証は田中角栄を第1号にしたが本人が登録するのを忘れていて16989号になったと記載されてましたから、やっぱり実質的には第1号だったのですね。
あらゆる所で世界的に見ると日本だけが真面目過ぎて、同じ土俵で勝負するには世界の常識と大分掛け離れたところもあって、ハンデやギャップを感じてしまいます。
同じ真面目でもダウンタウンの松本人志の日本郵政の「バカ真面目」のような嘘っぽいギャグならいいかも知れませんが(笑)何だかんだ言ってもどの国も国際競争力というのは大変大事な事で、他の国に負けじと大変な努力をしています。政治の世界でいえば国益を儲けた戦いというのがあって、それに負ければ国民が貧乏になって飢え死にしたり、不条理な戦争の巻き添えになったりする場合もあります。つまり国民の命運がかかっている訳です。そんな時、本当か嘘かという事は重要ではなく、どうやって生き延びていくのかという事が最重要課題となる場合もあります。
そこでは相手をどう騙すのかという事がとても重要となる場合があります。特定企業への不買運動や、インターネットの匿名性を利用した相手企業へのネガティブキャンペーンや、ライバル会社の優秀な社員の引き抜きや同業会社の展示会で技術的な秘密を探るとか、様々な形で諜報活動が行われています。ですから、当然の事として国と国との戦いの中ではもっと激しいスパイ活動が行われているはずです。リアルな戦争では正に、その事によって勝敗が決まるというのは当然の事なのです。しかしながら諸外国にスパイを潜伏させ諜報活動をしていないのは先進諸国では日本位かもしれません。企業の戦いもそのような面もあり、日産やスバルや神戸製鋼の問題も社員や社員の家族や、ひいては日本国民の命がかかっているという部分もある訳ですから、1人のクレーマーや内部告発や外国の煽動行動によって、このような歴史ある立派な会社が倒産してもいいのかと考えるべきだと思うのです。
ものすごい歴史や技術や将来性のあるシャープや東芝が中国や台湾の会社にタダ同然で持っていかれてもいいのかという事や、そんな中、日本だけがコンプライアンスや企業倫理や正しさの追求だけしていって、この厳しい国際競争の中で生き残っていけるのかという切実な問題が発生してきています。
人間バレないと思ったらほとんどの人と企業は嘘をつくと思いますが、それが人間社会の真実であって、だからと言ってそれが「死を意味する事か」というと私はそうではないと思います。最近話題の不倫問題も、結局は配偶者に嘘をつく訳ですが、バレても今の日本では死刑にはなりません(笑)
国際社会では自国がいかに素晴らしい国であるかという事を宣伝する為に北朝鮮や中国のようにというか、どこの国でもでも程度の差こそあれ嘘の情報を流したりして外国をそして自国民まで騙して、その国の存続を守るという事が堂々と当たり前のように行われていたり、アメリカや先進諸国でもその国の産業を守る為、虚偽のデータを出したり、ライバル国の自動車のリコールを戦略的に作り出したり、例え裁判になったとしても、常識的にはおかしな判決でも自国に有利であれば司法でさえもそれに従う事がまかり通っているのです。
日産自動車やスバルや神戸製鋼は、日本を支え代表する輸出産業ですから、このような事件やニュースが頻繁に起こると、一国の衰退化は避けられません。それがリークだろうと、ちょっとしたミスであろうと、そんなことはお構いなしに負の情報が駆け巡り、金銭的に多大な損失を与えたり、一方の他の国や会社ではそれらの恩恵を受けて「濡れ手に粟」という状況も堂々とまかり通ってしまうのです。
今回の問題でマスコミの誘導の仕方や国民の反応を見ていると、日本人と日本人が異常に騒いで対立し、お互いの首を絞めて、お互いが失速している様な感じがします。そして一体誰が得をしているのかと思います。あとは官と民の対立というか不信感の増大も気になるところです。
11月5日からのトランプ大統領による、日本、韓国、中国への歴訪を見ていても、それぞれの国の利権と思惑があり、騙し合いは当たり前の事であることが解ります。そんな中、日本だけが馬鹿正直に対応し過ぎて、諸外国の餌食になっているという印象を強く持ちました。
トランプ大統領が日本に来た時は日本でありながら日本の治外法権の地である横田基地に大統領の専用機を乗り付け、トランプ大統領は米国軍兵士と日本の自衛隊の前で演説しました。そのバックステージに飾られていたのは、たくさんの星条旗だけで、日の丸は1本もありませんでした。こんな屈辱的な光景を見て、安倍さんや政治家は平気なのでしょうか。普通の国なら国としてしっかり抗議し国民だって大騒ぎするはずです。
それどころか、安倍首相は埼玉のゴルフ場で馬鹿面下げてニコニコと大統領を迎えている。
韓国では元慰安婦とトランプとを抱擁させ。更に日本固有の島である竹島を不法占拠し、その近くで同地で採ったエビを大統領の晩餐会でだすという演出をしています。このような屈辱的な行為に報道はするが無反応な日本という国はもう普通の国としての体を無していないような気がします。
1995年、中国の李鵬首相とオーストラリアのハワード元首相の対談で李鵬首相が発した「日本はあと20年で消えて無くなる」と言った言葉が真実味を持ってきたような気がします。
日本人は、戦後70年に渡る植民地政策で、完全におとなしい羊になったような感じです。
そして中国習近平とアメリカのトランプとの交渉では、日本という言葉はひとつとして出てきません。副島先生の言われる通り、これから先は中国とアメリカだけで決めていこうという会談であったと私も感じました。
日本の「馬鹿真面目」もいいかげんにしてほしいと思います。
しかしながら、日本と言う国はその馬鹿真面目で国際的信用を得て来たという事もありますので、中々難しい問題ではありますが、最近はその牙城も様々な要因で崩れ落ちそうであるという事も事実です。
そして最後にそれらの不祥事や日本国内外のゴタゴタの全てのツケは、税金という形で私達国民一人一人に重くのしかかってくるという事も忘れてはいけません。