[2212]2017年11月3日に佐藤優先生と副島隆彦先生の対談が行われました

SNSI・古村治彦 投稿日:2017/11/04 23:19

 SNSI研究員の古村治彦です。

 2017年11月3日に東京の東京駅近くの八重洲ブックセンター8階のイヴェントスペースで、『世界政治 裏側の真実』(日本文芸社、2017年9月)発刊を記念して、佐藤優先生と副島隆彦先生の公開対談が行われました。14時から始まり、予定を超えて15時30分まで質疑応答も含めて行われ、その後、サイン会となりました。


世界政治 裏側の真実

 両先生の対談のテーマは多岐にわたりましたが、佐藤先生は官僚(43歳まで外務省におられたとのことです)出身で、官僚の立場から、副島先生は組織や団体に属したことがない自由人の立場から、それぞれが考えを述べ合うということが基本にあり、まったく別の観点からの話がなされて、それで対談で両先生の話がうまくかみ合い、盛り上がったのだろうと私は思います。

 興味深かったのは北朝鮮に関しての話でした。副島先生は『』でも述べていますが、2018年4月にアメリカ軍による北朝鮮爆撃と中国人民解放軍による北朝鮮侵攻が行われるという「予言」をしています。一方、佐藤先生は、アメリカと北朝鮮が話し合いで平和的な解決がなされるという予想をしています。佐藤先生は、武力行使になれば多くの人々が犠牲になるが、それはよくないということで、そのような予想をしたのだと述べ、政府関係者や防衛関係者の間でもアメリカによる爆撃があるのではないかと考える人たちが多くなっていると指摘しました。そして、副島先生の「予言」の当たる確率は「1000分の1」だと述べました。私は聞きながら、一瞬「えっ」と思ったのですが、政治や外交の世界での「1000分の1」はかなりの高確率なのだということで納得しました。

 佐藤先生は副島先生に最初に会った時のエピソードを紹介しました。初対面の時、副島先生は「人類が月面に着陸したということを信じていますか?」と佐藤先生に質問したそうです。この時、佐藤先生は「私はキリスト教徒で死んだ人が3日目に生き返ったことを信じているくらいですから、人類が月面に到達したことくらいのことは信じます」と答えたそうです。そのあとにウィーン学団(エルンスト・マッハやルードビッヒ・ウィトゲンシュタイン)の話になったということです。そして、佐藤先生は副島先生の『人類の月面着陸は無かったろう論』(徳間書店、2004年)とウィトゲンシュタインの『論理哲学論考』(野矢茂樹訳、岩波文庫、2003年)を読んで欲しい、厳密な証明とは何か、ということを言っている点で同じだと指摘しました。私は、『人類の月面着陸は無かったろう論』をそうした視点で読めるのかと恥ずかしながらこの時に得心しました。

 この他にも様々なお話がなされました。『世界政治 裏側の真実』の惹句、サブタイトルは「忍者・佐藤優と狂犬・副島隆彦の手裏剣対談」です。「忍者(抜け忍、インテリジェンス・オフィサー[情報収集・分析担当官])」である佐藤優と、「狂犬(だれにも頼らずに独力で切り拓いてきた)」である副島隆彦が丁々発止、手裏剣を投げ合う「忍者」と「狂犬」という言葉は国家権力組織にいた人と自由な立場を貫いてきた人ということを簡潔に表現しています。

 どうぞ、『世界政治 裏側の真実』を手に取ってお読みください。よろしくお願い申し上げます。