[2207]総選挙は、安倍首相の 策略どおり、彼の勝ちだった。しかし現状のままだ。

副島隆彦 投稿日:2017/10/23 09:09

副島隆彦です。今日は、2017年10月23日です。

 今,午前8時半だが、東京の大風はかなり収まった。北関東はまだ激しい風が吹いているだろうが、昼には、もう何事もなかったのようなきれいな青空に戻るだろう。

 陸に上がった台風は、下から水(23度以上の温水らしい)を吸い上げることが出来なくなって、前方の秋雨前線以外では大雨を降らさない。私の長年の経験では、東京に近づいた台風は、大都市の強い人工熱に負けて、急速に衰えるようだ。

 総選挙は、安倍自民党の、策略通りの自民党284議席で、前回と全く同じ数字だ。これで、安倍晋三は自信をもって、これから、最低、1年は、政権を続ける。連立政権の公明党は、5議席減らして30議席のようだ。

 以下の朝日新聞の記事にあるように、前回同様、「憲法改正の発議」が出来る、「衆議院の総議員の3分の2」(310議席)を与党で取ったから、この「発議」をするか、と 思ったら、安倍首相は、それしないだろう。とても、そんなことができる状態ではないと、自分自身がよく分かっている。「発議のその形」だけ、作って、自分は、もう首相を辞めたいのだ。この男は、極めて、ズルい人間だが、もう元気の元(もと)が切れそうになっている。

 憲法9条を、改正して、一体、どういう条文に替えるというのか。で、どうせ日本人は、まとまらない。今の憲法9条を、全部消して(抹消して)、それを、「国の危難に対応するため、世界の現状に合わせて、国軍(あるいは、自衛のための軍、戦力=セルフ・デエフェンス・フォース=)を持つ。その他のことは法律で定める」と書き変えても、どうも収まりが悪い。 

 私は、先週の定例会(学問道場の自力での講演会)で、憲法9条の 条文が、どれほど、何重にも頑丈に、改正できないように、始めからアメリカの意思と計画で、作られているか、ということを説明した。

憲法9条の条文を、本当に、直接、自分で書いて入れたのは、マッカーサー大将(4つ星将軍、four star general 、元帥=5つ星将軍=ではない) その人らしい。ケロッグ=ブリアン条約(不戦条約、この地上から戦争を無くそう条約 )の条文をお手本にした。この研究は、西鋭夫(にしさきお)氏の20年ぐらい前の研究の成果だ。

 憲法を改正する、として、その上に、それよりも強い、強力な、日米安全保障条約がある。「憲法の上に安保(あんぽ)がある」のだ。それには、米軍駐留条約(と本当は、訳すべき)=日米地位協定 がある。この日米地位協定は、安保条約の付属条約である。 

 吉田茂が、サンフランシスコ平和条約に、調印した、その夜に、一人だけ、連れられて行かれた先の、プレシディオ海軍基地(金門橋=ゴールデン・ゲイト・ブリッジ=のたもと。今は、ジョージ・ルーカス監督のルーカスフィルムの本社だ)で、「吉田、ここにも署名しろ」と脅されて、署名した条約だ。日本国総理大臣という肩書きもなしに、ただ、吉田茂、とだけ 殴り書きしたような筆跡の条約正本の 写真の写しがある。 これらのことは、私は、自分の「日本の秘密」(PHP研究所刊 20年ぐらい前の本)に書いた。

 その他に、何と、国連軍地位協定(こくれんぐんちいきょうてい)というのが、隠されて存在する。私は驚いている。 この隠れた条約を根拠にして、日本の7か所に米軍の大きな基地がある(横須賀、佐世保、横田、キャンプ座間、嘉手納など)らしいのだ。

 この条約は、どうも、1954年に、日本政府抜き(だから外務省にその機密書類が存在しない)の、ジュネーブ協定 ( 条約。朝鮮戦争の休戦協定=シース・ファイア・アグリーメント=のあとの、平和条約=戦争終結条約 の交渉が決裂して、出来た。西側諸国だけで作ったものだ。東西冷戦の産物だ )であり、主要国によって作られたらしい。 

 このことは、最近、一番売れている、矢部宏治(やべこうじ)氏の 著作で明らかにされた。日本国民に真実を伝える、大変、素晴らしい研究業績だ。 日本人が、国内でだけ、憲法改正を議論しても、どうにもならないように、出来ているのだ。 矢部宏治氏は、私たちの学問道場の会員だった人だ。小さな出版社の経営者らしい。まだ40歳代の若い人だ。そのうち、私たちの学問道場の会にお呼びしようと思う。

 だから、安倍晋三たちが、いくら、日本国内でだけ、いきり立って、自主憲法制定(憲法改正)を叫んでも、どうにもならないように、出来ている。だから、安倍たちは、さあ、やるぞ、と言っても、気が抜けるのだ。世界 を敵に回して、やれるものなら、やってみろ、だ。

 それよりは、世界に先駆けて、作られた、「もう私たちは戦争はしません。絶対、反対です。軍隊なんか要(い)りません」という憲法(国家の最高法規)なのだから、これを大事にして、これからも守ってゆけばいい。
私は、先日の定例会で、「私は、女たちの肩を持つ。女たちは、何があっても、絶対に、戦争反対だ。この考えが正しい。男は、すぐに、まわりから圧力が掛かるとふにゃふにゃにないって、現実はそうはならないんだよ、と上からの力に負ける」と、言った。

 軍隊なんかなくても国(くに)はやってゆける。指導者がコロコロ替わって、国は、やってゆける。
強い国家なんかにならなくてもいい。国家(権力)は、なるべく、消えてゆけばいいのだ。

河村たかし名古屋市長が言っていた。「誰が、市長になろうが、県知事になろうが、バスや電車は、ちゃんと動いているがや。ゴミ収拾の車も動いているよ」と。ホントだと思う。国家や、役所(政府)の権限を強化しようとする力は、すべて間違いだ。 国家、国 なんか、そんなに強くなくてもいい。ベルギーや、オランダのような国は、果たして国家なのか、分からないぐらいになっている。それぞれの都市機能が十分に動いていれば、それで国民生活は、いいのだ。

 いくら、小沢一郎が、「国連軍(こくれんぐん)の指揮下に入って、世界の平和のために奉仕する(米軍の下、管理下、ではない)ための軍隊を持つ」に憲法改正するのに、私は賛成する」と言っても、私、副島隆彦は、「いいや、何があっても、憲法改正反対。今のままでいい」だ。

 私は、自分がその中に含まれる自国 の政治予測は、どうもうまくいかない。自分の意思と決断がどうしてもその中に入る。そして闘いたくなる。 安倍晋三を、とにかく引き釣り下ろすべきだ、という主観(しゅかん)、願望が先走った。それで予測を外した。これは日本国民の多数意思だ。私は、それに従う人間だ。 アルル君と、古村君の冷静な予測の方が当たっていた。

 それでも、私は、小沢一郎の戦略の勝利を、支援し応援しなければ済まない立場だ。それで、15日の定例会には、「会員の皆さん、結集せよ」と書いた。多くの会員が集まってくれた。ありがとう。

 9月17日に、突如、安倍晋三が、衆議院解散=総選挙 を言い出した。その理由は、「小沢一郎が、共産党までを巻き込んだ(選挙区割りによる)野党統一戦線を、築き上げそうだ。その前に、先制攻撃をする」ということだった。

 小沢一郎が、営々と、この5年間、野党の各党派を回り、指導者たちを説得して、野党が団結して統一候補を全国のすべての選挙区で出せれば、国民(有権者)がこのことを深く理解して、応援してくれるから、必ず自民党を政権から追い落とすことができる、と動いていた。それで、小池百合子と 前原誠司を、上手に使って、この野党の統一の策をずっと練っていた。

 小沢戦略は、社民党や共産党にまで、そのウイング(翼)を、広げていた。それをようやく、やっとのことで 実現しよとしていた矢先に、安倍晋三たちが、このことに感づいて、それで、(衆議院の)解散権の乱用である、憲法7条(天皇の国事行為)の3号「内閣の助言と承認で、国会を解散すること」をまたしても悪用して、騙し打ちの今度の選挙となった。このことは、苫米地(とまべち)裁判として、過去に争われた。

 だから、9月27日までは、何とか、民進党を丸ごと希望の党に合流させて、全国で、野党統一で、候補者を一本化して、自民党にぶつける、そうしたら、自民党に勝てる、という 小沢戦略で、何とか動いていた。ところが、9月28日から、小池百合子の周辺から、「排除の論理」が出てきて、民進党の丸のみ、合流が消えた。 

 この「排除の論理」を一番、嫌って、残念に思ったのは、日本国民自身だ。日本の庶民、大衆が、このことを一番、厭(いや)がっていた。私は、この言葉を、自分の周囲の庶民から、直接、拾った。国民が一番、大きな真実をよく分かっている。どうしたらいいか、は、国民にこそ教われ、だ。

 おそらく、小池百合子に対して、強力な説得、強要が働いてた。「お前は、小沢に騙されている。いいように使われているのだ」と、言い聞かされた。この「排除の論理」が、起きて、希望の党に民進党が丸ごと合流することでの、大きな野党のまとまり、が消えた。 

 私、副島隆彦は、はっきりと書く。小池百合子に、このように、「小沢に騙されるな。お前は頭が足りないんだ」と叱ったのは、小池百合子と昔から愛人関係にあった 小泉純一郎(こいずみじゅんいちろう)だ。この男は、一匹狼で、アメリカの手先を忠実にやって生きてきた、本当に悪い奴だ。小池百合子は、小泉が、首相だったときに、時々、官邸の中に密かに消えていった。

 小池百合子は、1996年からの小泉政権( この男が、アメリカの下僕の代表にされて、日本国民の大切な郵貯、簡保の資金をアメリカに差し出した。郵政民営化と言う )の時に、小池百合子は、防衛大臣を、ほんの2ヶ月か、やった。との時に、ワシントンのホワイトハウスで、コンドリーサ・ライス国務長官(黒人女性、アホのブッシュ大統領の お守り番、愛人、ナニー nanny )と話が合って、コンディ・ライスが自分の名字が、ご飯、お米(ライス)だから、と、小池のことを、「マダム・スシ(寿司)」と呼んだ。 

 小池は、このときから、のちに凶暴なヒラリーが大統領になったときに、日本の発の女首相になって、「一緒に戦争をしましょう」と、計画どおりに育てられたのだ。

小池百合子は、この時に、仕合わせの絶頂で、なんと、首相の小泉のことを、 「あなた」と呼んで、お手製のお弁当を、小泉に、閣議の前に持参した。まわりは、のけぞった。小泉は、極めて不愉快そうな顔をしていた。 本当に有ったことだ。

 これらのことは首相番(ばん)の新聞記者たちに目撃されている。記者たちは全員、知っている。が、誰もずっと書かないままだ。 男も女も、性欲はあるのだから、特に権力者になった女たちは、どんどん男に似てきて、性欲が強いから、好きなようにやらせればいいのだ。

 このあと、小池の変心、変身が起きた。ここで、小沢一郎の野党統一が壊されて、希望の党から排除されて、無所属で出るしかない議員たちが多く出た。それが、急きょ立憲民主党( 枝野新党)にまとまった。そして今度、なんとか、ここが50議席取った。無所属を合わせれば、60議席になるだろう。

 私は、9月28日まで、日本国内の政治 を追いかけていなかったので、あの時、一気に急激起きた、変動を、きちんと分析できなかった。ようやく、この構図が分かったのは、10月5日ごろだ。だが、この時には、もう、このまま突っ込むしかなくなった。

 小沢一郎が周到に準備した、「日本にも在るべき、二大政党政権交代体制(ツゥー・パーティ・システム)へむけての野党勢力の結集」という戦略が、安倍晋三たちに、見抜かれて、先制攻撃(プリエンプティヴ・アタック)を受けて、それで今回の総選挙の結果は、前回と全く自民党の大勝で前回と全く変化なし、ということになった。 

 よく見ていると自分の力で、自分の政治家としての力量と魅力で、勝ち上がった政治家は、皆、残っている。

 日本国民が、深いところで、北朝鮮の核ミサイルへの恐怖感情で、ブルブル震えている。この民衆の弱さで、知恵と知識が足りないものだから、それで、安倍晋三たち、悪人(あくにん)の権力者たちに頼った、という要因が、大きく外側にある。

民衆は、いつも真面目で健気(けなげ)だが、か弱い、脆弱(ぜいじゃく)だ。強い立派な指導者が出てこないと、すぐに騙される。 自分たちが直接、脅(おど)されると弱い。 

 これを、「ショック・ドクトリン 」 ” Shock Doctrine ”という。「国民生活に大きな危難が押し寄せた」と外側からショックを与えることによって、国民を判断致死状態に追い込む。そして権力者のいいように引き回す。このショック・ドクトリンと同義語が、「危機便乗型(ききびんじょうがた)資本主義」 Disaster Capitalism ディザスター・キャピタリズ という。 

 巨大な自然災害や、戦争の危機が襲い掛かって来る、と国民を脅(おど)かして恐怖のどん底に陥れることによって、支配者、権力者たちが、国民政治をいいように壟断(ろうだん)することを言う。 この「ショック・ドクトリン」(2009年刊)は、このままの書名で、カナダ人の女性ジャーナリストの ナオミ・クラインによって、まさしく、日本語訳は、2011年の東日本大地震、大津波、福島原発事故の、直後に、岩波書店から、出版された。

 私たちは、このあとも、来年の4月に予想される北朝鮮への国際社会(=世界)からの強制処分、処理 (副島隆彦の予言)に向かう。私たちは、自分たちの頭脳を鍛えて、態勢を整えて、ひとりひとりが強い人間となるべく、努力しましょう。次から次に大きな課題が、私たちに襲い掛かって来る。それにたいして、私たちは、団結して、優れた知性と知能と思想研究と学問の力で、乗り切ってゆきましょう。

 私たちは、政治・政党運動はしないが、汚れていない、どんな政治宗教にも罹(かか)っていない、立派で有能な指導者たちを応援してゆく 優れた国民の団結を作ってゆく、国民運動(ドイツ語で、フォルクス・ベヴェーグング  Volks Bewegung)を 起こしてゆきましょう。

私たちには何も恐れるものなどない。堂々と生きて行く。   副島隆彦拝

(転載貼り付け始め)

〇「 自公大勝、3分の2を維持 立憲が躍進、野党第1党に 」

2017年10/23(月) 5:19配信 朝日新聞

 当選を決めた候補者名に花をつける自民党の安倍晋三総裁=22日午後9時41分、東京・永田町、林敏行撮影
 
 第48回衆院選は22日投開票され、自民、公明両党で定数の「3分の2」(310議席)を維持し、与党が大勝した。自民党は国会運営を有利に進められる「絶対安定多数」(261議席)を確保し、安倍晋三首相(自民党総裁)が勝敗ラインとしてきた「自公で過半数維持」を大きく超えたことで、首相は続投する。

 一方、枝野幸男・元官房長官が立ち上げた立憲民主党は公示前勢力の15議席から大きく躍進して野党第1党となったが、小池百合子・東京都知事が率いる希望の党は公示前勢力を割り込み、失速した。共産党と日本維新の会はともに議席を減らし、社民党は小選挙区で1議席を得た。小選挙区の投票率は朝日新聞の推計で53・6%前後となる見通しで、戦後最低となった前回2014年衆院選の投票率52・66%に次ぐ低さとなりそうだ。

【写真】開票センターでインタビューに答える立憲民主党の枝野幸男代表=22日午後10時46分、東京都港区、北村玲奈撮影

 首相は政権復帰した12年の衆院選を含めて国政選挙は5連勝となった。自民党本部で二階俊博幹事長らと開票状況を見守り、自公で3分の2に達したことに「こんなにいくとは思わなかった」と語ったという。首相はTBSの番組で、憲法改正について「与党だけで(改正案を)発議しようと考えていない」と強調。「希望の党をはじめ、他の政党とも話をしたい」と述べ、与野党協議に入る考えを明らかにした。

 来年秋の自民党総裁選での3選に向けても前進した。ただ、内閣支持率は十分に回復しておらず、今後の政権運営によって状況が変わる可能性もある。
朝日新聞社

(転載貼り付け終わり)

副島隆彦拝