[2193]今、日本の政界に激変が起きている。

副島隆彦 投稿日:2017/09/28 11:42

副島隆彦です。今日は、2017年9月28日です。

 アルル君から、昨晩、連絡が入って、日本の政治変動=政界変動(政治家=国会議員たちの右往左往、集合離散 )が急激に起きている、とのことだった。

今日、国会で衆議院が解散される。そして10日までに衆議院議員の各党の候補者たちが決まる。

 そして10月22日の総選挙後に、安倍内閣が倒れる(丸5年でようやく退陣する)という事態が予想されるようになった。 そんなことは有り得ない、とたいていの人は思っている。「安倍首相が、北朝鮮の核ミサイル問題で、アメリカと連携して日本を守ってくれる」で、支持率が高いから、という理由である。ポイントフォームで、重要なことだけを羅列してゆく。

 アルル君は、自分の考え、見通し、分析をどんどん発表しているので、彼のツゥイッターを読みに行ってください。 
https://twitter.com/bilderberg54

1.この8月23日に、山梨県の鳴沢村(なるさわむら。河口湖の南で、富士山の北の山麓)の 日本財団の会長の笹川陽平の別荘(villaヴィッラ)に、4人の自民党の元首相たちが集合した。ここで次の政界再編が語られ、決められたようだ。イニシアティヴを握ったのは、小泉純一郎と安倍首相だったようだ。自分の子分を一人も持たない(誰も育てなかった)小泉が何の勢力を背景に、力を持つのか?

2. 黒幕は、笹川財団の 笹川陽平(ささがわようへい)会長だ。笹川財団(日本財団、東京財団っもその一部)が、安倍首相たちを操(あやつ)っている。ササガワ財団が、世界的な特殊な宗教団体である、統一教会(とういつきょうかい、Moonie ムーニー)の大きな資金源である。 安倍首相の鳴沢村の土地も、笹川財団の所有する広大な土地の一部のはずである。安倍晋三は、何かあるとこの別荘に隠れて秘密の政治をやってきた。


談笑しながら会食する(右から)麻生太郎副総理兼財務相、安倍晋三首相、森喜朗氏、小泉純一郎氏=笹川会長のブログから


笹川陽平


笹川良一

3.小池百合子は、小池新党「希望の党」を26日に立ち上げた、と思ったら、今度は都知事を辞めて、首相を目指す、という動きに出ている。それと連動して、日本維新の会(大阪が主力)を作ってきた 橋下徹(はしもととおる。彼を日本のムッソリーニだと、私たち学問道場は6年前から認定してきた)が、大阪から衆院選に出て国政に、「ムッソリーニのローマ進軍」(1922年)のように、「東京進軍(しんぐん)」で攻め上がってくる、のかと思ったら。

 何と、小池が辞任した後の都知事選に出る、という動きになっているらしい。 橋下徹の資金源も明らかに笹川陽平である。大阪の寝屋川市?の笹川陽平の邸宅に橋下はよく出入りしている。

 笹川良平( ー )という日本ファシスト(大日本翼賛会=よくさんかい=)の大物が作って、戦後は世界反共(はんきょう)運動の重要な拠点になってきた笹川財団こそは、統一教会の大きな資金源である。 小池百合子(現在65歳、1952年生)も、親の代からの、熱心な勝共連合(しょうきょうれんごう)の活動家であった。つまり、少女時代から、統一教会の熱烈な信者だったということだ。 そして30歳ぐらいから、テレビのニューズ・キャスターとしてデビューして有名人になった女性だ。

 彼女は、関西学院(かんせいがくいん)大学の学生を1年生で辞めて両親と共に、エジプトのカイロ大学に入学した。小池の両親は、現地で日本料理店を経営していたという。日本人が、イスラム教とアラビア語を勉強するのだったら、アル・アズハリ学院に行くはずなのに。

 カイロ大学は、アメリカのCIAが作ったアメリカン・ユニヴァーシティ(大学)の隣、というか、その敷地の一部である。CIAが、反共産主義の牙城(がじょう)として、中東アラブ世界にも撃ち込んだ楔(くざび)、拠点である。同じく日本は極東(きょくとう)での反共の拠点である。 英語では、bulwark against communism 「ブルワーク・アゲイスト・コミュニズム」 「反共の防波堤、土塁」という。

そこに 少女時代から、反共(はんきょう)の闘志として育てられた小池百合子が、40年前に日本から送り込まれたのだ。 このことから、CIAの中の一番、強硬な反共主義者の強固な組織が、勝共連合=統一教会を作ったことがよく分かる。それとローマ・カトリック教会の中のイエズス会である。

このMoonies ムーニー(ユニフィケイション・チャーチ) の 強大な官僚組織がワシントンDCに存在して、いかなトランプ大統領でも、この 8つのカマ首を持つ、八岐大蛇(やまたのおろち)を斬り倒すことが出来ないでいる。

 パキスタン人のマララ・ユスフザイという、2014年のノーベル平和賞受賞した女(まだ少女)がいる。この女は、自国、パキスタン国民からひどく嫌われている。このマララのような、奇っ怪で特殊な育てられ方をした女性と、小池百合子は全く同じだ。

4.立派な態度を貫いてきて、“民主党のプリンス”として大事に育てられてきたはずの細野豪志(ほそのごうし)が、最先頭を切って民進党を離党して、長島昭久(ながしまあきひさ、東京の立川が選挙区)に誘われる形で、小池「希望の党」の看板(幹事長)のような感じで、出てきた。日本の政界流動が激しく起きた。 これに前原誠司(まえはらせいじ)が密かに連携している。


「希望の党」を設立し、気勢を上げる(前列左から)細野豪志氏、長島昭久氏、東京都の小池百合子知事、若狭勝氏、中山恭子氏、福田峰之氏=9月27日午前、東京都内のホテル

 細野豪志の目つきがどんどんおかしくなっている。うわの空のような顔つきになってきた。 きっと彼らに、日本の軍需産業界(防衛産業の大企業たち。三菱重工が代表)から100億円単位での、政治献金が出たのだろう。選挙をするには軍資金(選挙費用)が必要だ。

 100人の候補者を、民進党系を含めて、希望の党から小選挙区と比例区にまで立てるには、100億円はどうしてもかかる。細野豪志が、捨て身のような感じで出てきたことが、あとあと、今回の政界変動の原因の解明となる。

5.長島昭久は、慶応大学の学生時代から、勝共連合の熱心な活動家である。アメリカの統一教会の学生組織を、CARP(カープ)というが、長島は、アメリカ留学生時代にそこに入って、その日本支部長だ。 筋金入りの活動家だと言っていい。ワシントンの政界にも、長島の友人で多くのムーニー(ワシントン・タイムズ紙を発行している)の幹部同志たちで、アメリカ人政治家(下院議員とか、ロビイスト)になっている者が多い。

5・安倍首相は、今度の、自分が( だが組織決定で。自民党という組織の決定では無い)緊急の不意打ちで決めた総選挙(10月22日投票日。10月10日公示)で、過半数の233議席を、自民党が取れなければ退陣すると、前述した鳴沢村の親分(おやぶん)会議で約束したようだ。あれは日本部族の大(だい)族長会議だ。

 今の総議席は、これまでから10減って465議席である。その過半数は233である。連立を組んでいる公明党は31議席を死守しようとしている。 公明党は、憲法改正が嫌いなはずなのだが、組織が生き残るためには、指導部は安倍晋三たちの改憲勢力にどんどん退(ひ)きづられる。 

6.安倍晋三は、憲法改正という己れの悲願に向かって突き進む覚悟だ。安倍晋三は小池百合子と密かに連携して動いている。それを自民党の他の実力政治家たちが苦々しく思っている。安倍と小池も、組織内ですでに割れていて、下の方は話が合わなくなっている。ここで助け船として、トリック・スターの持ち味として現れたのが小泉純一郎である。触媒(しょくばい、カタリストcatalyst )のような役目だ。小泉の背後も笹川財団だ。

 小泉純一郎の、父親で防衛庁長官もした詢也(じゅんや)は、朝鮮戦争の時に、地元、横須賀で、米軍の補給活動(資材の調達、荷揚げ作業など)で一番協力した人だ。その、アメリカ軍の直属の子分が、西日本の代表が、神戸を拠点にした山口組 (3代目、田岡一雄=たおかかずお=)だが、東日本は横須賀の小泉だ。

7.憲法改正、を今の第9条の「平和主義、戦争放棄。2項 陸海空軍その他の戦力の不保持、交戦権の否定」を、何とか上手に削って、それに付け加える形で、「国の安全のために外敵に対して国軍をもって対応する」という「戦争が出来る、正常な国家(ノーマル・カントリー)になる」条文にすることを、目標にしている。

 だが、アメリカのトランプ勢力 は、日本にそこまでは求めていない。彼らは、「なるべく外国のことには関わりたくない」(アイソレイショニズム=国内問題優先主義)であるから、それぞれの国が勝手にやればいい、主義なのだが、それでも、トランプ勢力は、日本と韓国の核武装(核保有)には反対である。

8.だが、安倍晋三が、「自分は憲法改正を花道(はなみち)にして政権から離れる」という、4人の首相経験者と約束したシナリオ(8月23日)は、世界政治の冷酷な現実である、北朝鮮からの核ミサイルの脅威の前に、効果を持たない。

 日本が、戦争が出来る普通(ふつう)の国=正常な国家(ノーマル・カントリー、世界中で軍隊を持たない国は無い、と) になったとして、米軍と共同で北朝鮮を攻撃する、ということになると、北朝鮮から、核ミサイルが日本に飛んでくる(射程2000キロ圏だから正確に狙ってくる)。だから、「戦争が出来る国への憲法改正」は、現在の緊迫状況とは合致しない。 

 だから、副島隆彦が国家戦略家として提言するとおり、日本は何もしないで、「反戦・平和の国是(こくぜ)」である憲法を守って、こういう国家安全保障問題(ナショナル・セキリュテイ)では、日本国内に立て籠もるべきだ。北朝鮮処分、処理、解決は、アメリカと中国とロシアの3大国に任せて、日本(人)は、黙ってじっとしているのが一番賢い。

それでも日本国民の一部は、明らかに北朝鮮の動きに脅(おび)えている。この国民の心理的な動揺が、今度の総選挙の動きを大きく決定する。

9.だから、今の日本国内で、右翼言論で、思いっきり勇ましいことを言って、「日本軍もアメリカ軍と共に、北朝鮮を攻撃する態勢を、急いで整えなければいけない」というほどの強烈なタカ派の言論を吐く人物を、私、副島隆彦は、自分の周囲に見ない。庶民の間にはブツブツ、そういうことを言っている人間たちはいるのだろう(ネトウヨと呼ばれる軽度の精神障害者たち)。

 彼らの勇ましそうな、人種差別と、排外主義(ショービニズム)の精神構造の根底は、やはり被害妄想(ひがいもうそう。パーセキューション・マニアック)と恐怖感である。人一倍の臆病者たちの心理だ。本当の勇気や、自己犠牲の特攻隊精神では無い。日本の愛国右翼たちもまた、情けない状態に陥っている。「憲法改正の悲願」をドンドコ、ドンドコと太鼓を叩いているだけで、それ以外にまで頭が回らない。

10.それよりも、旧来の日本の左翼的なリベラル人間たちの方に、自暴自棄の戦争肯定勢力が出てきている感じがする(本性は、こっちも自分の恐怖心)。それが、小池新党を応援して、憲法改正勢力に荷担して行く道が生まれるのだろう。彼らがメディア(テレビ、新聞、週刊誌)に煽られて、小池新党支持、自民党嫌(きら)いの形で、噴出しそうである。

 自民党の今の態勢への不満もあるから、新党の新人の政治家たちに、若い人たちは投票するだろう。旧来の組織の上に乗っかって議員をやってきた者たちほど戦々恐々としている。大都市圏(東京、名古屋、大阪)では、自民党が大敗する、という予測が出ている。

11. 古村治彦くんが熱心に研究しているが、ジェームズ・アワー(ヴァンダービルド大学教授 )というアメリカ人の“ 安保マフィア ”が、日本の防衛産業界を動き回って、北朝鮮との戦争事態への対応として、日本政府に、さらにアメリカの兵器を買わせる仕事をしているという。

http://suinikki.blog.jp/

 このジム・アワーが、マイケル・グリーンも覆面をかぶって日本に来て動き回っているようだが(トランプ政権はその暗躍を許可していない)、日本の政界再編を、笹川財団を嗾(けしかけ)けて行っている。だから、経団連を隠れ蓑として、日本の軍需(国防)産業界が、小池・細野新党に選挙資金を出している。笹川財団は、長年、 ニューヨークでは、The US - Japan Foundation ザ・ユーエス・ジャパン・ファウンデイション「米日財団」である。 通称は、文字通り、「ササガワ・ファウンデイションだ。これでアメリカ政界に献金して、議員や官僚たちを合法的に買収してきた。

12.民進党の党首になったばかりの 前原誠司(まえはらせいじ)は、何と、自分は無所属で出るそうだ。まったく政党の体(たい、てい)を為していない。「 民進党の議員たちは、まず希望の党の許可を取れ。それが民進党の公認候補となる」という狡猾(こうかつ)極まりない「踏み絵」手段に出た。

 前原は、「自分は、参議院がまだ民進党までいるから、小池新党に合流出来ないから無所属で出る」 と言ったという。おそらく小池新党への強硬な合流を画策している最中だろう。 おそらく 前原も小池党から出るだろう。

 前原の動きに対して、枝野幸男(えだのゆきお)たち、民進党内の、旧社会党を含めた、労組上がりの、左バネの連中が、「どうせ、俺たちは、小池新党の検査に掛かって、合流は許されないだろう」と腹をくくるだろうから、「まとめて一気の合流が出来ないのなら」と無所属で出るだろう。

 これが、かつての日本社会党の左派のような動きになって、ここを中心にして、反戦平和の「憲法を守れ」の護憲(ごけん)勢力として、小さく数を減らしながらも、まとまるだろう。

「憲法を守れ。戦争をするな。自衛隊を外国にまで出すな」の、自覚的な人々からなる護憲勢力が、こういう事態になっても強い。この判断が正しい。それでも、多くの国民は、新人議員に投票するだろうから、国民の新しい動きとしては、小池百合子や安倍晋三の 思惑(おもわく)を超えて、憲法改正に突き進む、と言うことは出来ない。

 国民(のための)政治 という原理が有る限り、奇妙な宗教団体(カルト集団)や、反共主義の極右(きょくう)思想が、日本の政治をいいように勝手に動かすことは出来ない。その外側から国民が、小池たちの動きを締め上げる。そしてさらに、その外側から、世界の政治の大きな動きが、日本国を締め上げる。

12・小沢一郎は、きっとこう言っただろう。「みんな、とにかく自分が当選するのが何よりも大事だから、次々と起きる新党の動きにどんどん参加して行きなさい。国民は自民党の政治に飽き飽きしているから、新党から出るのが有利だ」と。これは、小沢一郎の得意の戦術となった、潜(もぐ)り込み戦術だ。「もぐり込んで生き延びよ」だ。

 小沢は、 自分は、自分の自由党と民進党の合流の話も、今の濁流の中では意味を持たなくなったし、定数見直しで岩手4区の選挙区が無くなって3区になったので、無所属で出て、現職の黄川田徹(きかわだとおる。かつての小沢一郎の秘書 )と闘うことを厭(いとわ)ない。今、新聞記事が出て(28日午前10時半)、黄川田は、小沢に遠慮して出馬をやめたそうだ。これで小沢は勝つ。

 小沢一郎は原則主義者だから、自分が打ち立てた原理・原則に従って行動する。「政治は、大きくは国民が決めることですから、それに従います」という態度だ。小選挙区制度による、2大政党(トゥ・ーパーティ・システム)の政権交代体制を日本に導入したのは小沢一郎だ。

13.前述した「鳴沢村の4人の元首相の8月23日の談合=秘密会議」では、「とにかく小沢を政界引退に追い込め」と決議しただろう。小沢一郎が、共産党まで巻き込んで、政界再編を、「オリーブの木」戦略で実行するのをぶち壊したい、という考えになる。ところが、情勢はさらに激変、流動化して、政治家たちの四分五裂の集合離散の形で現れている。政治家は自分が当選して生き残ることが、すべてに優先する。

14.こうなると、却(かえ)って、旧来の自民党の温和で、穏やかな勢力である、自民党内のハト派の勢力が重要となる。自分たち自身も、安倍・小池の反乱軍の動きに動揺しながらも、「こんな世界政治の大風(おおかぜ、台風)の最中(さなか)には、わざわざ憲法改正なんか目標にしなくていいよ」 という感じになっている。

 松村謙三(まつむらけんぞう)や、鳩山一郎(はとやまいちろう)、石橋湛山(いしばしたんざん)や、田中角栄のようなハト派で温厚な、国民思いの 優れた政治家が出てくるべきなのだ。

それでも自民党の旧式政治家たちは、自分たち旧式人間たちの足下も洗われて、若い新人議員たちから、追い上げられて落選しそうになっている。さらにひとまわり大きな外側からの力は、やはり北朝鮮からの核攻撃の脅威に、国民心理が、万力(まんりき)のように締め上げられて、追い詰められているからである。

15.自民党の穏健派とハト派の勢力(これが、日本の 本当の、本物の温和な保守の人々)は、安倍晋三、と小泉純一郎が、「この国を壊す。自民党をぶっ壊す。日本の国の形を変える」と言い続けてきたことを知っている。だから、ひどく迷惑だ、という感じを持っている。

 彼らは、一体、アメリカのどういう勢力が、安倍晋三や小池百合子を嗾(けしか)けているのか、と深い疑念と訝(いぶか)しく疑う感じながら生きてきた。同じく、日本の慎(つつ)ましいサラリーマンの、企業労働者たちも、「政治家たちは、政治を穏(おだ)やかにやってくれ。何とか、私たちが食べられるように。そして、戦争に巻き込まれないようにだけはしてくれ。今の平和な国のままであって欲しい」と願っている。

16. この感じは、この6月のフランス国の政界変動に似ている。マクロンという若い(39歳)の男が出てきて、急激に大統領になってしまった。マクロンはスタンド・プレイが、目立つので最近は国民的な人気も落ちている。それでも、この男が、一気に、フランスの保守・金持ち階級政党である、共和党のフィヨンを、スキャンダル込みで追い落として、かつ、極右(きょくう)の民族主義者の移民受け入れ反対の、マリーヌ・ルペンに勝った。

 このあと、オランド前大統領(社会党)の首相(国内の担当)だった、バルスが、「社会党はもう終わった」と、自らマクロンに合流しようとしたのに、マクロンは、バルスを自分の「前進の党」(MRE?)に入党させなかった。

 バルス首相の内閣(コアビタシオン)で、産業相をしていたマクロン(マクロンは、産業政策では優秀らしい)としては、自分の上司だった男を自分の党に入れて、あれこれ言われるのがイヤなのだ。日本の政界の、政治家たちの間にも、これと似たような政治家力学(せいじ「か」りきがく)が働いている。

 小池百合子は、前原が、「小沢一郎氏も、希望の党に合流したいと言っている」と言ってもこれに応じなかったらしい。 小沢一郎の、「何が何でも、今の安倍政権を終わらせることが、日本国民の願いである」という原理・原則を掲(かか)げての、野党の統一理論、1930年代のヨーロッパの人民戦線(ポピリエ・フロン、ピープルズ・フロント)理論が、現在の激しい政界流動化で、通用しなくなっている。

 最後は、「 首相でも誰でも、政治家(国会議員)は、皆、自分が地元の選挙で当選することが何よりも大事だから、無所属ででも出て、自分の力で受かって行くしか無いよ」という、政界バラバラ論になる。本当に力のある政治家は、政党や支持母体などにべったり頼らなくて、自分が持つ、生来の人間的な度量と能力で、自力で当選する。

17.フランス政治の政界の流動化で、古いタイプの政治家たちが、どんどん落ちるか引退に追い込まれた。新しい素人(しろうと)の人間たちが、大量に議員として出来ている。それが今の世界の大きな傾向だ。 

 ドイツの9月26日の、総選挙でも、“ヨーロッパ女帝”であるメルケルが4選して、CDU(ツエー・デー・ウー、キリスト教民主同盟。ドイツの保守党)の勝利は変わらなかった。たが、AfD(アー・エフ・デー)という極右政党が、13%を得票して第3党になった。そこらの右翼のおじさん、おばさん、のような人たちが議員に当選した。

 このAfD(オルタナティブ・フュール・ドイッチェランド。「ドイツは、中東・アラブからの移民を受け入れないという別の選択肢をもっている」という政党名 )の内部も、過激な民族右翼と、現実主義の政権参加を目指す者たちにすぐに分裂を開始した。

18.イギリスの労働党の、ジェレミー・コービン Jeremy Corbin 党首の人気が沸騰してきた。コービンは、その人格の柔らかさと、信念の強さと、労働者階級なのに高雅(こうが)な感じでイギリス人の支持を集めている。特に、若いイギリス人は、熱狂的にコービンを支持している。きっとコービンの労働党がやがて政権を取るだろう。

 イギリス人は、大英帝国(これをエムパイアと呼ばす、コモンウエルス、と呼んだ)の過去も持っていて、政治的には世界で一番、進化している国民だろうから、この国民が、「もう、正直者の政治家がいい。自分たちが信頼できる立派な人が指導者であって欲しい。いろいろ苦労はあるだろうが、どうせ誰がやっても、福祉のこととかは財政不足で大変だろうから。それなら、やっぱり立派な人間に政治をやって欲しい」と願っている。

 イギリス労働党内で、コービンの足を引っ張ってばかりいた、右派の現実主義者(リアリスト)たちは、自分たちの官僚体質と、中道主義で、すぐに保守党と妥協して、汚れたきたない政治をする。 コービン党首を党内で、「お前が政権を作るとイギリスから資金が逃げる」と、いじめて来たのだが、もう自分たちの薄汚れぶりが、嫌われていることに気づいて黙ってしまった。 

 日本にも、今こそ、立派な人物の、優れた指導者が出てきて欲しい。 政治家の3代目の馬鹿ボンボンたち(安倍晋三のような)が、当たり前で指導者になる国を、そろそろ、やめなければいけない。

 ドコが、何が、デモクラシーで、自由主義(リベラリズム)の国だ。ただの、土人(原住民)の大酋長(だいしゅうちょう)たちの合議体で、決められている東アジアの、土人の国じゃないか、日本なんて! これを、 英語で、tribal dignitaries  トライバル・ディグニタリーズ 部族の族長たちの会議ですべてが決まる国、だ。

ほとんどの国民が、「この人なら、自分たちの指導者として尊敬できる。この人を信頼する」と、素直に従うことのできる 立派な人物が、私たちの指導者にならなけらばいけない。 そういう人物が、やがて日本にも現れるだろう。

19. 日本には、西洋白人たちの欧米が持っている、外国人の移民を大量に受け入れるか、否かでの国内の対立は無い。日本の法務省(入国管理行政 )が、密かに、徹底的に移民政策を管理してきたから。 
 移民労働者の問題が目立たないだけ、その分だけ、目下(もっか)の北朝鮮の核(ニュークレア・ウエポン)の脅威や、戦争難民( refugees レフュジーズ)が押し寄せる問題への、関心で、目に見えない形での、国論の対立がじわじわと起きている。 

20. 政治家(国会議員)たちは、一人一人が、戦国時代の 300諸侯の戦国大名(せんごくだいみょう)のような連中だから、政界変動の時に、自分が、どっちの勢力に付くかで、自分の運命が決まってしまう。負ける方に付いたら、自分自身も滅亡(めつぼう)だ。だから、このような政界の激しい集合離散(しゅうごうりさん)の時期には、彼らは自分のことだから必死になる。

 私たち政治家(=政治活動家、戦国大名)ではない人間たちは、自分の足下をしっかり見据えて、それぞれの自分の知能に合せて、政治判断をすればいい、のです。私たちの学問道場は、優れた知性の人間の集まりであるから、他の国民たちよりは、少しは賢い判断が出来る、と、私は信じている。

 囲碁(いご)の世界と同じで、政治は、幾重にも巻かれた布陣で、「取り囲んだと思ったら、自分が取り囲まれていた。さらにその外側がある」という世界だ 。安倍晋三だって、公明党だって、「これでウチの勝ちだな」と、ふんぞり返って、うかうかしていられなくなった。安倍晋三の、あの浮かぬ顔を見ていたら、そのことが分かる。 小沢一郎(=西郷隆盛 )戦略の勝利だ。

もっと書きたいが、これぐらいにします。 以下に 2本、日本の政界の動きを伝える最新の新聞記事を載せます。  副島隆彦 拝

(新聞資料。 転載貼り付け始め)

〇 「 民進の「希望」合流提案へ 前原氏、党公認出さず 」

2017年9月28日 朝日新聞

民進党の桜井充参院議員の政治活動20周年を祝うパーティーであいさつする前原誠司代表=27日午後、仙台市青葉区、福留庸友撮影

 民進党の前原誠司代表は来月の衆院選で党として公認を一切しない方針を28日の両院議員総会で示す。合流希望者が新党「希望の党」(代表=小池百合子・東京都知事)の公認を得て立候補することなどを提案。事実上の合流に動く。候補者は希望の党を軸に一本化される。

 希望の党は27日に党の綱領を発表。小池氏は日本維新の会との連携も検討しているほか、愛知県の大村秀章知事との連携も模索しており、野党再編に向けた動きが本格化している。

 民進関係者によると、合流希望者は離党の形をとるか、党籍を残したままとするかはなお調整中だ。離党を希望しない議員や希望の党の公認を受けられない議員は、無所属で立候補することになる。無所属議員に対する処遇は検討中だ。

 前原氏は26日夜、連合の神津里季生会長とともに東京都内で小池氏と会談。衆院選で野党候補が乱立すれば与党を利する結果になりかねないとして、両党の選挙協力の必要性を伝えた。新たに政治団体をつくり、両党の候補者が結集して戦う方法などを提案し、小池氏も理解を示したとされる。

 ただ、小池氏は27日夜、BSフジの番組に出演し、参加の条件について「基本的には憲法(改正)への対応。それは安全保障にも関わる」と述べ、改憲と安全保障に対する姿勢を重視する考えを示した。「一人ひとりの考え方を確認する」とも話し、個別に選別する意向を明かした。

 民進の今回の方針については、党内から「政党としての公認権の放棄だ」などと反発が出ている。民進の両院議員総会で、賛否が大きく割れることは確実だ。

 前原氏は27日夜、仙台市での会合で、安倍晋三首相の衆院解散方針を改めて批判。「どんな手段を使ってでも、どんな知恵を絞ってでも、安倍政権を終わらそう。野党がバラバラでは選挙は勝てない。日本の政治を変えるため、心を合わせてがんばっていく」などと訴えた。

 一方、維新代表の松井一郎・大阪府知事は27日、記者団に「(地方分権など、希望の党と)掲げているものは同じ。(衆院選で)無理にぶつかる必要はない」と述べた。維新関係者の説明では、選挙区調整などを模索している。

 小池氏は最近、東京都内で愛知県の大村知事と会談したという。大村氏側によると、国に対する地方の発信力を強化するためにも、東京、大阪、愛知の3大都市圏の知事が連携する必要性で一致。希望の党に大村氏が参加する方向で調整を進めている。

〇「 希望への参加条件、安全保障と憲法への姿勢重視 小池氏 」

2017年9/27(水)  朝日新聞 

 都議会を終え、記者の質問に答える小池百合子東京都知事=27日午後7時26分、都庁、葛谷晋吾撮影

 希望の党代表の小池百合子・東京都知事は27日夜、BSフジの番組に出演し、同党参加の条件について「基本的には憲法(改正)への対応。それは安全保障にも関わる」と述べ、改憲と安全保障に対する姿勢を重視する考えを示した。「一人一人の考え方を確認する」とも話し、個別に選別する意向を明かした。

 小池氏は、安全保障政策について、「いざという時、党内で右だ左だというのは正しくない」「リアルな安全保障が必要。北朝鮮の危機が迫る中でどうするのか。同じ方向性を持っていないと、党としての対応が揺れてはまずい」などと指摘。希望の党と連携する方向の民進党議員の安全保障政策について、「(これまでは)議論のための議論と、野党としての対案というニュアンスが多かったと思う。それを超えてリアルな形での対応ができる安全保障政策を共有したい」と語った。

 出演後、民進党内の旧社会党出身議員との合流について記者団に質問され、「そういう方は、そもそも(希望の党に)来られないんじゃないか」と話した。

 一方、安倍晋三首相が「9条に自衛隊について明記」と掲げる改憲案について、同番組内で「とにかく憲法改正をしましょうという、安倍家のミッションではないか」と批判。9条改正も改憲論議のポイントの一つとしつつ、「地方分権なども十分に盛り込まれていない」と述べ、9条に限らない議論が必要との考えを示した。

・ 解散理由「納得しない」70% 朝日新聞世論調査
・ 「代表に小池氏」自民誤算 「東京は全滅」恐れる議員も

(転載貼り付け終わり)

副島隆彦 拝