[2181]シャーロッツビルの衝突事件と バノン主席戦略官の 辞任の問題を全体概観(アウトルック)する。 

副島隆彦 投稿日:2017/08/24 19:15

副島隆彦です。今日は、2017年8月24日(木)です。

 トランプ政権の主席戦略官(チーフ・ストラテジスト)のスティーヴ・バノンが、8月18日に、トランプから解任されてホワイトハウスを去った。しかし、辞任の形をとって、今後も、バノンは、政権の外から(すなわち在野から)トランプを支える、と言った。


スティーヴ・バノン

 この事件のことで、私、副島隆彦は、この一週間、深刻に考えていた。日本で私たちが「バノン解任(辞任)」を知ったのは19日だ。

 あれから一週間が経(た)った。私は、アメリカ政治思想の研究者であり、トランプ政権のことなら、おそらく日本で一番深く知っている、と豪語している。だから、日本国内の新聞記者や、有識者程度の書いている物など、初めから歯牙にも掛けない。彼らは、私の文を読んで真剣に私から学べばいいのだ。

 私は、アメリカのテレビのニューズ報道と、評論記事を20本ぐらい読んだ。
それで、ようやく大きく分かったことを書く。ここから、専門家たちも、日本政府のアメリカ分析、情報収集の係官たちも真剣に学びなさい。それが、日本国(民)の利益、=ナショナル・インタレスト だからだ。 

 以下に、私の頭の中に結実した「シャーロッツビルの衝突からバノン辞任まで」の全体像を、まず書くべき項目をポイントフォームで並べる。

  1.バノン自身が不注意だった。バノンが、不用意に発言したことを公表されて、「アメリカン・プロスペクト」(左翼誌)に嵌(は)められた。

  2.バノンの、ポピュリスト=アイソレイショニスト=リバータリアン的 「アメリカのための戦い、戦争」は正しい。 エスタブリッシュメント(支配階級)との戦いは徹底的にやるべきだ。

  3.だが、アイソレイショニスト(なるべく外国のことに関わるな主義。外国に軍隊を出さない主義 × 孤立主義 )の場合、いくら国内問題が優先だとしても、世界との整合性で問題が出て齟齬(そご)が起きる。

  4.バノンだけが、「(北朝鮮が核を棄てるならば)在韓米軍を撤退させてもいい」と言ったのではない。キッシンジャー博士だ。北朝鮮の核兵器問題は、どうしても軍事的な解決に向かう。

  5.リー将軍の銅像を引き倒した、リベラル過激派の勝利では無い。あの行動は、アメリカの本物の白人庶民たちを、重低音のところで怒らせた。「(衝突した)両方に責任がある」のトランプ発言が正しい。


リー将軍の銅像が撤去される

  6.「リー将軍は、人種差別主義者だ、奴隷制度の擁護者だ」をスローガンに、英雄の銅像というヘリテイジ(国民の遺産)にまで手を掛けたら、本物のアメリカ国民は怒る。黒人やヒスパニックでも長年白人社会に同化して、しっかりとした暮らしをしている者たち(リバータリアンの黒人やヒスパニック層)も、堅実な白人層と同じように怒る。

  7.南軍旗(ザ・コンデフェデレイション・フラッグ、テキサス州旗は一つ星で、この一種)まで議会の決議で、廃止、引き釣り下ろすことになる、と 本物の白人層アメリカ国民の激しい怒りに火がつく。


南軍旗(13の星は南部13州を示す)

  8.現在の第5次KKK =ネオナチの集団の、「ヘイル(ハイル)・トランプ!」を、認めてはいけない。彼ら、貧乏下層白人の人種差別は、トランプ派の国民運動から排除し、叩きのめさなければいけない。


ネオナチ集団

  9.トランプのバノン切りには、議会民主党(共和党とも)との裏取引、密約がある。これが一番、きたない。だが、これが現実政治だ。これで、トランプは、債務上限(デット・シーリング、予算通過の課題 )と、税制改革で、9月中の米議会の大荒れは、回避された。

  10.トランプのバノン切りには、議会民主党とのゾッとするような裏取引、密約が確かに存在する。これが一番きたない。だが、これが現実政治だ。これで、トランプは、債務上限(デット・シーリング、予算通過の課題 )と、税制改革で、9月中の米議会の大荒れは回避された。

  11.トランプは、中国の習近平と同じで、「(軍人たちよ)お前たちは、自分の仕事をしろGet work ! (死ぬのを覚悟で戦え)」演説をした(8月23日)。アフガニスタンへの増派(公表2千人、実際は一万人)を決定した。

  12.バノンが、戦略家として提起した最も重要な、世界史規模で大きな問題は、中国とのことだ。 「アメリカは、中国の世界覇権(ワールド・ヘジェモニー)を許すのか。本当にこのまま認めてしまうのか」だ。 バノンは、このことで、大きな置き土産をした。「中国との闘いの、北朝鮮はその前座に過ぎない」と。

  13.だが、それでも、今のアメリカで、最大の問題は、やはりヒラリーを裁判に掛けることだ。 ヒラリーたちMoonie= 統一教会の勢力を、世界中で追い詰めなければなければいけ ない、ということだ。バノンは、世界戦略家(ワールド・ストラテジスト)を気取って、足  下の最大の問題を見損なった。バノンの能力の足りなさの故に責任がある。 


ヒラリー・クリントン
    
 今なおバノンの勢力を実は怖れているヒラリー派民主党勢力は、トランプのバノン切りで、 決して安心できない。有頂天になれない。

副島隆彦です。以上が、この問題の全体概観(アウトルック)である。これらを、今からひとつずつ検討してゆく。まずバノン辞任の新聞を載せる。

(転載貼り付け始め)

●「バノン氏、政権外から支援 「トランプ氏敵と戦争」」

2017年8月19日 毎日新聞
https://mainichi.jp/articles/20170819/k00/00e/030/300000c

 18日に米大統領首席戦略官を退任したバノン氏は、極右思想を掲げるニュースサイト「ブライトバート」の会長職に即日復帰。ブルームバーグ通信の取材に「トランプのため戦争をする」と宣言し、「敵は議会やメディア、大企業にいる」と述べた。

 トランプ氏の最側近として政策理念や中長期戦略を担当したバノン氏は今後、自身のメディアを通じた言論活動で政権を支援する構えだが、その過激な言動が政権の波乱要因になる危険性もはらむ。

 移民排斥などトランプ政権の過激な政策を主導してきたバノン氏を巡っては、保守穏健派も取り込んだ本格政権形成の妨げになるとして、更迭論が高まっていた。退任に追い込まれた形のバノン氏が「反トランプ」に転じるのではとの観測が広がっていることに関し、バノン氏はブルームバーグの取材に

「誤解のないようにはっきりさせたい。私はホワイトハウスを去りトランプのため、彼の敵と戦争する」と強調した。 一方で、バノン氏は保守系ウィークリー・スタンダード誌の取材に「自由の身になった私は再び武器に手をかけている。相手を破壊する」と宣言。

(転載貼り付け終わり)

副島隆彦です。事実の概要を載せた。それでは、前記の 4.から7.までを検討する。

 アメリカのトランプ支持者の中のポピュリストたちアメリカの真面目な国民の各層が、バノン辞任(解任)で激しく動揺した。それに対して、エスタブリッシュ(支配階級)のアメリカ人たちは、喜んだ。

 そして、その他に、頭の悪い偽善的なリベラル派である、アメリカ民主党支持の中の半分ぐらいの頑迷な連中は、バノン解任で、トランプ政権に打撃があり、トランプ政権内部の分裂だから、これを驚喜して喜んだ。 だがこの見方は単純だ。

 自分たちが、敵を包囲していたら、どうも、その外側から自分たちの方が大きく、国民から包囲されていることに気づいていない。囲碁(いご)の恐ろしさを分かっていない。

 記事をもうひとつ、BBC (英国国営放送局) の記事が、出来が良かったので、その重要な部分だけを載せる。一番後(うしろ)に全文を改めて載せる。

(転載貼り付け始め)

●「 ホワイトハウスのバノン戦略官、解任 右派メディアに戻り「トランプのために戦う」」 BBC 
Steve Bannon fired as Trump White House’s top strategist

2017年8/19(土)  BBC

(冒頭部分 略) 大統領自身も激怒

 リベラル系雑誌「アメリカン・プロスペクト」に今週掲載されたバノン氏のインタビューが、トランプ大統領を激怒させたという報道がある。

 この記事の発言で、バノン氏は、「北朝鮮問題の軍事解決はあり得ない」と述べるなど、トランプ氏のこれまでの姿勢を否定するような発言をした。さらにバノン氏は、「米国は、中国と経済戦争を戦っている」と述べ、「私は、政権内の対中国穏健派を追い出すつもりだ」などと同誌に話している。

 バノン氏は、同誌の記事が発表されると、「自分は記者とオフレコで雑談していたつもりだった。発言が記事に使われるとは思っていなかった」と弁明したという。

 バノン氏はこれまでにも、「米国の貿易赤字を減らすため中国など諸外国に追加関税を課すべきだ」と主張。またイスラム教徒が国民の多数を占める一部の国について、米国への入国禁止措置を推進してきた。

(8月12日のヴァージニア州の)シャーロッツビルでの衝突について、そのきっかけとなった南部連合の像の撤去について、バノン氏は、米紙ニューヨーク・タイムズに敵意を顕わにして、「左派は、何もかも人種差別だ と言いたがっている」と批判。「もっとやれ、もっと銅像を引き倒せ。そうしたら革命が来るぞ。どんどんやってほしい 」などと挑発的に発言していた。

(転載貼り付け終わり)

 このように、南北戦争(1961-64)の南軍(南部13州。ザ・コンフェデレイション)の総大将(最高司令官)だったリー将軍が、黒人奴隷制度の支持者であった(そうでない、との反論も多数あり)ことを理由にして、南部の諸州に、今も500体ぐらいある、リー将軍や、その他の南軍の悲劇の英雄の軍人たちの、銅像(スタチュー)をロープに掛けて引き倒す、ということを、リベラル過激派たちは、実際にやった。私は、一瞬、テレビでその引き釣り倒される映像をテレビで見た。

 これをやったら、終わりだ。アメリカ国内は戦争になる。私の尊敬する 評論家のパット・ブキャナンが、「アメリカは第二次南北戦争(内乱。内戦。シビル・ウォー)に突入した。さあ、あなたはどっちの側に付くのか?」と意見表明した。


パット・ブキャナン

 黒人差別の 奴隷制度支持者の、人種差別主義者である、南軍の将軍たちの銅像を各州で、どんどん州議会の決議で、撤去しつつある。さらには、今も南部の各州で議事堂の前に翻っている南軍旗(13州の13個の星が、クロスしてある青の旗)を、議事堂や市役所の前から撤去する、というのはやり過ぎだ。静かに分からないように銅像たちを撤去した州もある。

 これらの銅像は、アメリカ国の重要な歴史遺産(ヘリテイジ)である。自分たちの過去を否定することだ。 たとえば上野山の西郷隆盛の銅像が、引き倒される、というになったら、日本人はどう考えるか? おそらく激しい争いになる。敗戦の時に、日本の明治の元勲たちや軍人たちの銅像は、静かに徐々に撤去されたから問題は無かった。

 しかし歴史遺産の銅像を引き倒すというのは、やり過ぎである。リベラル派の過激派が、黒人の活動家やイスラム教徒の過激派や、ヒスパニックの違法移民の不良のような連中と一緒になって、こんなことをしているのだ。「お前は、人種差別主義者か?」と、公開の場で問い詰められたら、議員たちは脅える。

 それをハーヴァード大学の歴史学者のような、頭の悪いリベラル派がやっている。 「人種差別や黒人奴隷制を認めてきた者たちを、これまで英雄として賛美してきたのは間違いだ」で、リー将軍の銅像の引き倒しを、支持していた。なんということか。

 それに反対して、ヴァージニア州(南軍の首都だった都市リッチモンドがある。何と、南軍の首都は、北軍のワシントンから200キロぐらいしか離れていないのだ。こういう事実を日本人は知らない) のシャーロッツビル のリー将軍の銅像を守れ、と集まった、危険な右翼人間たちである第5次KKKは、見るからに極端な、馬鹿そうな過激派である。日本のネトウヨのような連中だ。 

 8月12日のシャーロッツビルの集会には、 “ Heil Trump ! ” 「ハイル・トランプ!」とナチスのヒットラー賛美の感じでトランプ支持を演出していた。中には、本物のマシンガンを携行して野戦服もどきを着た、ミリシア Militia ( だが、このコトバは合衆国憲法の中に有る)と呼ばれる右翼民兵の集団もいた。


シャーッロッツヴィルでの衝突

 この者たちに賛同したらいけない。それを、8月12日、13日、14日の トランプは発言で、「両方とも悪い(ケンカ両成敗)」という発言で、トランプが、彼ら極右の人種差別主義の、白人優越主義( White supremacy ホワイト・シュープレマシー)を唱える、ホワイト・シュープレマシスト(白人優先主義者)=第5次KKK たちへの一定の理解を示した。

 KKK(クー・クラックス・クラン、クランズメン)も、第三次KKKまでは、本気の南部のアメリカ白人たちの切実で正直な主張を代表していた。だから正義だった。その一つが、徹底したローマカトリック教会への怒りだ。 この地上で最大の偽善者であるPope ローマ法王 を糾弾する Non- Papism ノン・パピズムの立場をはっきりと表明していた。


KKK

トランプが極右たちに理解を示した、と、いうことで、大企業の経営者たちで、トランプの経済人諮問会議のメンバーたちが、一斉に辞任した。メルク・ファーマという巨大製薬会社の会長とか、だ。トランプは、即座に、「(この野郎。)メルクは、国民のために、もっと薬価を下げろよな」と威嚇的な反撃をツウイッターでした。

 Fake News フェイク・ニューズ である NYTims(ニューヨークタイムズ紙)や、Wopo (ワシントンポスト紙)や、CNNたちを、トランプは、ずっと、このウソつきメディアどもめ、と ずっと、ずっと叩き続けている。大統領ともあろう者が、主要メディアと、ずっと、言論戦で、毎日、最先頭で激しく争って闘っている。これがすばらしいことである。

 本当に、これが凄(すご)いことで、世界中で、毎日、トランプ・ツウイッターを見ている人は、フォロワー登録している者たちだけで、3千6百万人だ。しかし、フォロワー以外にも見ているから、その3倍はいるから、実に1億人が見ている。

https://twitter.com/realdonaldtrump

を、皆さんも見に行って下さい。この英文の中身が、しっかりした解説なしで分かるようになれば、最先端の世界の動きが分かる。あなたは政治知識人になれる。

 本当に、ニューヨーク・タイムズ紙などの、フェイク・ニューズ「ウソつきメディア」たちは、やがて要(い)らなくなる。人々に嫌われて経営が成り立たなくなり、破綻、倒産して、消えてなる。本当にそうなればいいのだ。日本も同じだ。

 まさにトランプが、毎日、言っているとおりだ。「今にも潰れそうなニューヨーク・タイムズが・・」 「税金を全く払っていないアマゾン・ジェフベゾス(が持っている)ワシントンポストが、・・・」と。

 「お前は人種差別主義者なのか」と、脅されたら、誰もが言い訳、反撃できないのだから、そういうおかしな言葉で、攻撃される、場所(アリーナ)での政治的な争いが起きる場所を、初めから慎重に避けなければいけない。それなのに、今回のシャーロッツビルでの両派の衝突のような事件は必ず起きる。それは十分に想定されたことだ。

 「リー将軍の銅像を守れ」の極右(きょくう。エクストリーム・ライト)たちの集会に、頑迷な急進リベラル派が、デモで押しかけて殴りかかった。これをカウンター・デモンストレイションと言う。他人の集会に襲撃を掛けてきたのだ。真ん中に警察が割って入って、両方を押しとどめていた。 


リー将軍の銅像を守る警察

 この急進リベラル派からの襲撃に対して、頭の悪い白人の、いかにも貧乏そうな、職もない社会適応性もない20歳の青年が、カッとなって自分の車で突っ込んだ。 

 こういう、「俺さまは、白人さまだ。お前たち有色人種や、外国人とは違う」、「自分は、もっと恵まれた暮らしが出来るはずなのだ。あいつらが私の職を奪っている」という鬱積した不満から、リベラル派の中に突っ込んで、女性一人をひき殺して捕まった。母子家庭で育った軍隊からも不適応(ミスフィッツ)ですぐに追い出された若者だった。こういう貧乏下層不満分子白人ほど、小さい頃から、黒人やヒスパニックと同じ住居区で暮らしているので、人種差別を公言するようになる。

 アメリカのリベラル派は、現在、大きく二つに割れている。真面目に物事を考え、堅実に生きてる人たちがいる。バーニー・サンダーズ議員を大統領選挙で支持した。だから、ものすごくヒラリーを嫌った。穏やかでまともなリベラル派の若者たちだ。


バーニー・サンダース

 それに対して、あくまでヒラリー派に属して、統一教会(ムーニー)がたくさん潜り込んできて(日本の自民党のように。全くそっくりだ )、この危険な宗教団体に内部から乗っとられている。それがアメリカ民主党の本部を選挙している。人格の下劣な、鉄面皮のヒラリー派リベラル派である。彼らは、グローバリスト(世界をアメリカがこれからも管理してゆくべきだ主義。戦争をどんどんやっていいと言う。)だ。

 私、副島隆彦は、バーニー・サンダーズを熱烈に応援した、真面目なリベラル派の働く女性や、貧しい学生たちの味方である。彼らはいくら何でも、共和党の、あのドぎたない経営者ビジネスマン)上がりのトランプを応援できない。が、それでも、ヒラリーはあんまりだ、と分かっている。

 ヒラリーは、大戦争を始める、と知っている。自分たちの夫や、恋人、息子が戦争に取られる(徴兵令。ドラフト draft 「無理やり引っ張ってゆく」という意味)と分かっている。だからヒラリーが大嫌いだ。

 それに対して、フェイク(にせ者)で偽善者で、今でもヒラリー派リベラル派であるジャーナリトたちは、「バノンたち、オルト・ライト(新式の保守。右翼ネット言論)は、KKKであり、ネオナチだ」と、鬼の首を取ったように、ここぞとばかり、シャーロッツビルの衝突と、バノンの辞任を引っかけて、一緒くたにして、「オルト・ライトのブライトバート Britebart の バノンが、人種差別主義者の本性を現わした」と書いた。日本でもこれに追随する新聞記事が、たくさん出た。

 バノンは、「あんなKKKやネオナチたちは、叩きつぶしてやる。俺たちの国民運動とは全く別だ」と強く批判した。それでも一緒くたにされてしまう。

ここからが、重要な問題だ。ところがこの極右の「リー将軍の銅像を守れ。引き倒されてたまるか」の運動の、まわりに、今、じわーっとアメリカの白人たちの多くの共感がにじみ出るように、アメリカ社会に出ている。

 だから、「トランプがケンカ両成敗、どっちも間違っている、と言ったのは、大きな過ちだ」と、したり顔で、「自分は、人種差別はしません。自分は温厚な人間です」と、トランプを批判した、議員や大企業経営者たちの方が、分が悪くなりつつある。

 いつものとおりの、自分の利益しか考えない、偽善人間として、アメリカ人の多くから冷たい目で見られてはじめている。 「英雄たちの銅像の引き倒しまでは、いくら何でもいかんよ」と、アメリカ国民たちが思い始めた。だから、トランプの穏やかに、両方を批判した態度が正しかったのだ。だから、今回もトランプの勝ちだ。

 その前の、6月、7月の闘いであった、あのロシア疑惑。ロシア政府が、アメリカ大統領選挙に干渉(collusion, コルージョン、colluded コルーデッド。 腐敗、疑惑、癒着、共同謀議 )した、という、民主党からの攻撃は、何の証拠も出ることがなかった。

 ただの、嫌がらせの、自分たちヒラリー防御派の、自分たちが凶悪な犯罪者であることの隠蔽(いんぺい)のためのキャンペーンであることがバレてしまった。みんなシラケた。だからここでもトランプの勝ちだった。

 ヒラリー勢力は、自分たちが今も乗っ取って「女の時代」をまだ推進している(だから、日本に、小池百合子政権を作らせる計画でずっと、着々と計画通り、動いてきたのだ。ところが、本家の本丸で、ヒラリーが負けてしまった)

 している民主党の党本部(DNC, ディー・エヌ・シー 民主党全国委員会 )の職員たちの中の、真面目な者たち30人ぐらいの人殺しまでやった。彼らを「組織からの脱落分子」として、本当に“.消して”しまった。

 民主党本部の職員だった セス・リッチ氏の殺害がその代表例だ。 彼らを口封じで殺した。彼らが真実を、FBIや、ウィキリークスの弁護士に車で伝えに行く途中で、これを阻止して、何と首都ワシントンの中で公然と次々に殺したのだ。

 本当に、心底、悪いやつらだ。デビー・ワッサーマン・シュルツという。この女が、DNCの前の委員長で、バーニーサンダースを追い落とすきたない工作をしていたことが露見して、それで糾弾されて辞任した。

デビー・ワッサーマン・シュルツ

 ところが、フロリダ州のマイアミ地区から今度の選挙で当選して、いけしゃーしゃーと、堂々と居直って、今も下院議員をやっている。 稲田朋美のような女だ。ヒラリーたちは、凶悪犯の犯罪者たちだ。今の地球上で、最悪の悪魔の宗教集団 death cult 「 死のカルト集団」の構成員たちだ。

冒頭の項目の 1.から3.について。 ここでは、前の方に引用した、BBCの記事の中の、以下の部分が大事だ。

「リベラル系雑誌「アメリカン・プロスペクト」に今週掲載されたバノン氏のインタビューが、トランプ大統領を激怒させたという。・・・・バノン氏は、同誌の記事が発表されると、「自分は記者とオフレコで雑談していたつもりだった。発言が記事に使われるとは思っていなかった」と弁明した。

 副島隆彦です。やはり、バノン自身が甘かったのだ。リベラル左翼雑誌の記者にまんまと騙されて、不用意にしゃべったことが、そのまま記事にされたのだ。政府の高官である自分の立場を弁(わきま)えずに、ぺろぺろと本音を気軽にしゃべってしまった、ステイーヴ・バノンの軽率さだ。

 このために、バノンは、ホワイトハウスを去らなければいけなかったのだ。私、副島隆彦は、こういうことは冷酷に判定する。

私自身も、これまでに、大事な公的な場所で不用意に発言して大失敗して、あとで後悔したことが何回かある。「言わなければ良かった」と、あとになって反省しても遅い。 私は、バノンと全く似たような。人民主義者(じんみんしゅぎしゃ。ポピュリスト)の性格をしている人間だから、彼の言動がまるで自分のこととのように、手に取るように分かる。

 それでも政治的な大失敗であり、自分への打撃となる。ヒラリー系の悪魔の宗教団体に取り憑かれている敵どもは、こういう穢(きたな)い手を使ってでも、味方勢力を陥(おとしい)れに来る。ここではバノンが大失敗したのだ。あとになって、いくら大げさに、強がりで、吼えてみてももう遅かった。 

前記のBBCの記事に、以下の部分が挟(はさ)まっている。 これがここが重要だ。

(転載貼り付け始め)

この記事の発言で、バノン氏は、「北朝鮮問題の軍事解決はあり得ない」と述べるなど、トランプ氏のこれまでの姿勢を否定するような発言をした。さらにバノン氏は、「米国は、中国と経済戦争を戦っているのだ」 と述べ、「私は、政権内の対(たい)中国穏健派(ちゅうごくおんけんは)を追い出すつもりだ」などと同誌に話している。

バノン氏はこれまでにも、「米国の貿易赤字を減らすため中国など諸外国に追加関税を課すべきだ」と主張。またイスラム教徒が国民の多数を占める一部の国について、米国への入国禁止措置を推進してきた。

(転載貼り付け終わり)

 副島隆彦です。このバノンの発言は、このあとも、ずっと重要だ。戦略家であるバノンは、アメリカが、今後も世界一の繁栄(はんえい。プロスペリティ)を続けるためには、中国を、今のうちに叩きのめしておかなければいけない、と、信念としても、思っている。

 だが、これは、今のトランプ大統領の関心事と、目先の世界政治の緊要(きんよう)からは、かけ離れている。 トランプは、「バノンよ。そういうわけにはあ行かないのだ。

 私は、中国の習近平と話し合って、北朝鮮の核保有を止めさせて、あの体制を変更しなければいけないのだ」 と、 「中国との貿易交渉=経済戦争(エコノミック・ウォー) を優先させることはできない」と何度もはっきり言ったはずだ。それでも。バノンが、引き下がらなかった。だからクビを斬られた。 

 来年(2018年)の4月頃に、アメリカは、北朝鮮の核関連施設に、一斉の爆撃をする、そして、中国軍(15万人から20万人の兵力)が北朝鮮に侵攻して平壌(ピョンヤン)の体制を作り替えるだろう。これは、副島隆彦が4月に行った予言である。

 8月23日に、トランプは、〇〇基地での演説で、「私は方針を変えた。アメリカは軍隊を外に派遣して軍事面からも国力を維持しなければいけない。皆さんは、軍人としての勤めを果して戦ってください。あのタリバーンどもを殺しなさい」と演説した。

 これで、トランプは、選挙公約であった、アイソレイショニズム、すなわち、「アメリカは、もう国内に帰ろう。諸外国のことにはあまり関わりたくない。軍隊もどんどん国内に撤退させる。お金がかかって仕方が無い。もうそういう余裕が、アメリカには無いのだ」を放り投げた、ということだ。

 アフガニスタンには、今の6千人?に加えて、2千人の増派としているが、本当は一万人ぐらいを送るだろう。 この決断があっても、トランプ支持者たちはトランプから離反しないだろう。

 4.の 「北朝鮮と取引(交渉)して、核兵器を廃棄する、ことと引き替えに、韓国にいる米軍3万人ぐらいを、撤退させてもいい」というバノンの、迂闊(うかつ)な発言は、決して彼だけのものではない。キッシンジャー博士が、この政策の理論を作っている。今日はここには、それを紹介できない。

 それよりも、バノンが、「中国との経済戦争(エコノミック・ウォー)の方が大事だ。北朝鮮(の問題)は、その前座(ぜんざ)に過ぎない」と言ったらしい、ことの重要性である。

「敵を取り間違えるな」論というのは、歴史的な、大きな政治学の論文では必ず出てくる。

第2次大戦(WWⅡ)のときも、「ドイツが主要な敵なのではない。ロシア(ソビエト)こそがアメリカの敵なのだ。それなのにロシアと手を組んで、ドイツや日本を挟み撃ちにする、というには間違っている」という理論である。

 これは、そのまま、項目 12.の問題である。

12.バノンが、戦略家として提起した最も重要な、世界史規模で大きな問題は、中国とのことだ。 「アメリカは、中国の世界覇権(ワールド・ヘジェモニー)を許すのか。このまま本当に認めてしまうのか」だ。

 この重要な問題を、これから、私たち日本人もアメリカ国民と共に、真剣に考えなければ済まない。 この「中国が次の世界覇権国=世界帝国 になる、そして、他の国々は、その属国=従属国=子分の国になる、ことを、許すのか」の問題では、私、副島隆彦は、残炎ながら(笑)、すでに、「どうせ中国が、もっともっと大きくなって、世界を支配するのだ。

 これは、好き/ 嫌いや、善 / 悪や、 正しい / 間違い や、ものごとの 優 / 劣 の問題ではなく、すでに、そのように進んでゆく、と冷静に未来予測をすれば、決まっていることである」と、10年前から、はっきりと予測(予言)している。すでにそのための本を10冊ぐらい書いている。 だから、私は、スティーヴ・バノンたちアメリカの素朴な民衆の愛国派とは、ここでは始めから考えが合わない。

 そして、最後の 項目 13.である。

 13. だが、それでも、今のアメリカで、最大の問題は、やはりヒラリーを裁判に掛けることだ。 ヒラリーたちMoonie= 統一教会の勢力を、世界中で追い詰めなければなければいけない、ということだ。

 バノンは、世界戦略家(ワールド・ストラテジスト)を気取って、足下の最大の問題を見損なった。バノンの能力の足りなさの故に責任がある。 今なおバノンの勢力を実は怖れているヒラリー派民主党勢力は、トランプのバノン切りで、決して安心できない。有頂天になれない。

副島隆彦です。最後の結論として、私が、13.を置いたことを理解できる人だけ、理解してくれればいい。バノンは、戦略家(ストラテジスト)として一番大事なことを忘れている。

 今のアメリカ政治で、そして、日本を含めて、最大の問題、第一番目の緊要な問題 (プライマリー・アジェンダ primary agenda )は、ヒラリーを捕まえて裁判にかけて、議会でも裁判にかけて、そして投獄することだ。

 この問題を、二の次 (セカンダリー。 secondary 二義的。ファーストではない)とすることは、政府にいて政策を実行する者(ポリシー・エククキューター policy executor )としては失策である。

 トランプは、急いで軟弱分子のジェフ・セッションズ司法長官(セクレタリー・オブ・ジャスティス 。アメリカでは、検事総長=けんじそうちょう=を兼ねる)のクビを他に人にすげ替えて、ヒラリー・クライム(犯罪)の捜査を推し進めなければいけない。

 ここに、全てのアメリカ政治の最大の重心が掛かっているのだ。ここが戦いの天王山だ。間違ってはならない。敵の所在と、敵の大将が誰かを見損なった者は大敗北するのである。

私は、「ポピュリスト勢力の代表である、バノンが、もしトランプとケンカして、ホワイトハウスを去ったら、トランプ政権は長く保(も)たないだろう。片肺(かたはい)飛行になる」と、4月頃から周囲に公言していた。 それでも、
 上記の総合的な分析と全体概観(アウトルック)の文を書いて、私は、日本の国家戦略家である頭の中で、「それでも、トランプは、まだまだ闘える」と結論を出した。

副島隆彦拝

(以下に資料としての新聞記事 の 転載貼り付け始め)

●「バノン氏:米大統領のために戦う-議会やメディアの敵に対し」
Bannon Says He’s ‘Going to War for Trump’ After White House Exit 

2017年8月19日 ブルームバーグ
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170819-06294984-bloom_st-bus_all

トランプ政権の首席戦略官を退いたスティーブ・バノン氏は保守系ニュースサイト「ブライトバート・ニュース」に18日に戻った後、米大統領のために「戦いを始める」と述べ、同サイトの主張に反対する人たちへの闘争を強めると言明した。

バノン氏は同日、ブルームバーグ・ニュースに対し、「混乱があるなら明確にしたい。私はホワイトハウスを去り、トランプ氏のために議会やメディア、米国株式会社にいる同氏の敵に対する戦いを始める」と語った。首席戦略官の退任発表後、バノン氏が公的に発言したのは初めて。ブライトバートの声明によると、同氏は会長に復帰した。

バノン氏に近い関係者1人は同氏退任について、バージニア州シャーロッツビルで起きた白人至上主義者の暴力行為に対するトランプ大統領の発言への批判とは関係ないと指摘。同関係者によると、バノン氏は今月7日に辞表を提出し、14日付で辞任の予定だったが、暴力行為後の混乱で発表が遅れていた。

同氏の退任でケリー大統領首席補佐官の立場は強化。また、政策をめぐってバノン氏としばしば対立したマクマスター大統領補佐官(国家安全保障問題担当)やコーン国家経済会議(NEC)委員長ら、トランプ政権内でライバルだった人物を強めることになる。

●「バノン氏、政権外から支援 「トランプ氏敵と戦争」」

2017年8月19日 毎日新聞
https://mainichi.jp/articles/20170819/k00/00e/030/300000c

 18日に米大統領首席戦略官を退任したバノン氏は、極右思想を掲げるニュースサイト「ブライトバート」の会長職に即日復帰。ブルームバーグ通信の取材に「トランプのために戦争をする」と宣言し、「敵は議会やメディア、大企業にいる」と述べた。

 トランプ氏の最側近として政策理念や中長期戦略を担当したバノン氏は今後、自身のメディアを通じた言論活動で政権を支援する構えだが、その過激な言動が政権の波乱要因になる危険性もはらむ。

 移民排斥などトランプ政権の過激な政策を主導してきたバノン氏を巡っては、保守穏健派も取り込んだ本格政権形成の妨げになるとして、更迭論が高まっていた。退任に追い込まれた形のバノン氏が「反トランプ」に転じるのではとの観測が広がっていることに関し、バノン氏はブルームバーグの取材に、「誤解のないようにはっきりさせたい。私はホワイトハウスを去り、トランプのために、彼の敵たちと戦争をする」と強調した。

 一方で、バノン氏は保守系ウィークリー・スタンダード誌の取材に、「自由の身になった私は再び武器に手をかけている。相手を破壊する」と宣言

 。政権内でこれまで対立してきたクシュナー上級顧問やマクマスター補佐官(国家安全保障問題担当)らを含め、バノン氏が「既得権益(ベステッド・インタレスト)層」と批判する勢力に対して、大規模な批判キャンペーンを展開することを示唆した。トランプ氏支援を表明したバノン氏だが、今後の同氏の言動やブライトバートの報道が、さらなる政権の混乱を招くおそれがある。

 またバノン氏はウイークリー・スタンダード誌に、「我々が誕生のために戦い、勝利した『トランプ政権』はすでになくなっている」とも語り、「大統領を穏健路線に導こうとする動きが強まるだろう」と指摘した。 

 米国第一主義( 副島隆彦注記。割り込み加筆。アメリカ・ファースト! は、「アメリカの利益第一」という意味ではない。アメリカの国内問題を優先する主義である。割り込み終わり) の下、移民排斥や経済面での 孤立主義(副島隆彦、さらに割り込み加筆。アイソレイショニズム。 × 孤立主義 は誤訳。 国内問題優先主義 )など保守強硬の政策理念を共有してきたトランプ氏が転向した、と判断すれば、トランプ氏への攻撃も辞さない姿勢を示したものとみられる。

 バノン氏は退任後、ブライトバートの編集会議にも出席。ブライトバートは18日配信の記事で「トランプ支持者たちは忍耐強く見守ってきたが、我々はドナルド・トランプが変節するか否か、近く知ることになる」と警告した。

●「 ホワイトハウスのバノン戦略官、解任 右派メディアに戻り「トランプのために戦う」BBC 」
Steve Bannon fired as Trump White House’s top strategist

2017年8/19(土)  BBC

ホワイトハウスのバノン戦略官、解任 右派メディア戻り「トランプのために戦う」  解任や辞任の相次ぐドナルド・トランプ米大統領のホワイトハウスから、スティーブ・バノン首席戦略官(63)が去ることが決まった。大統領報道官が8月18日、発表した。

 サラ・ハッカビー・サンダース大統領報道官は声明で、「ジョン・ケリー首席補佐官とスティ―ブ・バノンは本日(18日)、お互いに今日がスティーブの最終日になると合意した」、「彼の尽力に感謝する」と発表した。消息筋によると、政権はバノン氏に、自ら望む形で退任する猶予を与えたという。

 海軍士官、投資銀行、ハリウッド・プロデューサーを経てバノン氏は、右派メディア「ブライトバート」を運営し、昨年の大統領選ではトランプ氏を強力に支持。昨年8月にトランプ陣営の選対責任者となり、「アメリカ第一」のメッセージ展開を推進した。今回の解任後は、再びブライトバートに戻る方針という。

 ブライトバートは、バノン氏の復帰をただちに発表。編集長は「戦争」とツイートしたが、バノン氏はトランプ氏を支持し続けると発表した。

 バノン氏はブルームバーグ・テレビに対して、「自分はホワイトハウスを去り、トランプのために、トランプの敵と戦争を始める。キャピトルヒル(連邦議会)やメディアや、アメリカの経済界にいる、トランプの敵たちとだ」と話した。

 移民受け入れや人種対立などについて強硬策を進言してきたバノン氏は、トランプ氏の長女イバンカさんやイバンカさんの夫、ジャレッド・クシュナー氏のほか、トランプ政権内でも穏健派とされる幹部と対立を繰り返していたと言われている。

 米バージニア州シャーロッツビルの衝突(8月12日)について、「 双方に非がある」と発言したトランプ氏は、その際、バノン氏の去就について「様子を見よう」などあいまいな発言を重ねていた。 シャーロッツビル衝突に対するトランプ氏の反応を受けて、大統領の諮問会議に参加する複数の企業経営者が相次ぎ辞任。トランプ氏は製造業評議会と戦略・政策フォーラムを解散した。

 これとは別に、著名投資家カール・アイカーン氏が、8月18日、規制改革に関する大統領特別顧問を辞任すると発表した。自分の投資先に有利な助言をするのではないかと、その任用が問題視されていた。

大統領自身も激怒
 リベラル系雑誌「アメリカン・プロスペクト」に今週掲載されたバノン氏のインタビューが、トランプ大統領を激怒させたとの報道がある。

 この記事の発言で、バノン氏は、「北朝鮮問題の軍事解決はあり得ない」と述べるなど、トランプ氏のこれまでの姿勢を否定するような発言をした。さらにバノン氏は、「米国は、中国と経済戦争(エコノミック・ウォー)を戦っている」と述べ、「私は政権内の対(たい)中国穏健派 を追い出すつもりだ」などと同誌に話している。

 バノン氏は、同誌の記事が発表されると、「自分は記者とオフレコで雑談していたつもりだった。発言が記事に使われるとは思っていなかった」と弁明したという。

 バノン氏はこれまでにも、「米国の貿易赤字を減らすため中国など諸外国に追加関税を課すべきだ」と主張。またイスラム教徒が国民の多数を占める一部の国について、米国への入国禁止措置を推進してきた。

 シャーロッツビルの衝突について、そのきっかけとなった南部連合の像の撤去について、バノン氏は、米紙ニューヨーク・タイムズに敵意を顕わにして、「左派が何もかも人種差別だと言いたがっている」と批判。「もっとやれ、もっと銅像を引き倒せ。そうしたら革命が来る。どんどんやってほしい」などと挑発的に発言していた。

 今年初めにトランプ氏がバノン氏を国家安全保障会議(NSC)の常任メンバーに加えたことが、きわめて異例な措置だと注目されたものの、4月初めにNSCから外された。これは、H・R・マクマスター大統領補佐官(国家安全保障問題担当)の影響力が政権内で拡大していることの表れだと受け止められた。

 バノン氏はマクマスター補佐官のほか、ゲイリー・コーン国家経済会議(NEC)委員長とも、対立を重ねていたとされる。コーン氏はかつてバノン氏が務めていた米投資銀行ゴールドマン・サックスの元社長で、経済戦争や対立的関係を推進するバノン氏と異なり、国際協調とグローバリズムを重視するとみられている。

 バノン氏がホワイトハウスを通じて実現しようとした世界観に、特に強力に対立したのが、コーン氏とイバンカさん、クシュナー氏だと言われている。

<トランプ政権を去った人たち>
2017年7月31日――アンソニー・スカラムーチ広報部長
・7月28日――ラインス・プリーバス首席補佐官
・7月21日――ショーン・スパイサー報道官
・5月30日――マイク・ダブキ広報部長
・2月14日――マイケル・フリン補佐官(国家安全保障問題担当)

(転載貼り付け終わり)

副島隆彦拝