[2107]だから言っただろう、広瀬隆よ、あんたの負けだ

相田英男 投稿日:2017/03/14 21:47

相田です。

東芝の赤字問題が巷を賑わしているが、もっと重要なニュースの記事が、あまりにもさりげなく掲載されていた。以下に引用する。

(引用始め)

米原発賠償、141億円=仲裁機関、三菱重の主張認める
時事通信 3/14(火) 13:00配信

三菱重工業は14日、米原発での放射性物質漏えい事故をめぐり、米電力会社から損害賠償を請求されていた問題で、仲裁機関の国際商業会議所(ICC)から約1億2500万ドル(約141億円)の支払いを命じる裁定を受け取ったと発表した。三菱重工側の主張に沿った内容で、2017年3月期業績への影響は軽微という。電力会社側は66億6700万ドル(約7500億円)の支払いを求めていた。 

(引用終わり)

何の話かというと、アメリカの古い原発の修理の際にに、不良部品(蒸気発生器)を納めたから原発が壊れた、責任を取れ、とエジソン何とかという電力会社から、三菱重工が7000億円の賠償を要求されて、それはないだろうと、外部機関に調停を依頼した結果が、今日になって出たということだ。

昨年、広瀬隆という大先生が出版された「東京が壊滅する日」とかいう、おどろおどろしい題目の本の中で、「三菱重工の技術力が低いために原発が壊れた。トラブルを抱えた原発の廃炉を決めたアメリカの電力会社は素晴らしい、日本の電力会社とは大違いだ」と、書いていた。立ち読みしただけなので、詳しくは私も覚えていない。

それを受けて私は、広瀬の言うことがあまりにオカシイと頭にきて、「三菱はそんなうかつな会社ではないだろう。7000億円はアメリカの電力会社が、ハッタリで吹っかけているだけだ。冷静に判断したら、裁判では三菱が勝つだろう」とここで書いた。その結果が上の記事という訳だ。私と広瀬の主張のどちらが正しいか、一目瞭然だろう。

裁定を下した国際商工会議所というのは、フランスに本部がある組織で、日本にもアメリカにも肩入れしない第三者としての判断を期待されていたらしい。結果は三菱の主張が全面的に認められた。電力会社は訴えを続けるかもしれないが、どうせ多分負ける。三菱揃えたエビデンスを論破することは出来ないだろう。これで決着だ。

菅直人とか小泉純一郎とかも 、確か以前に、「こんな大金を請求されて三菱重工はもうダメだ、日本の原発会社は無責任だ」とかいう趣旨の発言をしていた筈だ。一体どちらの態度が無責任なのか、胸に手を当てて考えてみたらどうか?

言うまでもないが、この事件は東芝がアメリカで抱えている、AP1000のトラブルと全く同じ構図になっている。東芝は泥沼から抜け出せず、三菱は苦労しながらも何とか切り抜けた。違いを分けたのは何だったのか、よく研究する必要がある。

それにしても、三菱はやはりしぶとい。三菱がウェスティングハウスを買ってAP1000を作ったら、赤字が出たにしても、何とか自前で完成させただろう。GEはそうなることを予感して、三菱を警戒して、東芝にWEC(ウェスティングハウスの正式略称、三菱重工と三菱電機は単にW社と呼ぶ)を無理矢理買わせて、共倒れを狙ったのだ。今のところは、GEの書いた筋書きに沿ってコトは進んでいるが、辛うじて今回三菱が持ちこたえた、という状況だ。

東芝は予想通り、今日の正式な発表を延期した。世耕経済産業大臣もアメリカで話を付けて来るみたいなので 、もう少し時間がかかるだろう。GEはさっさと東芝をぶっ潰したいのだ。自分の先生、というか親同然の筈だったGEから、思い切りハシゴを外されて、途方にくれているのが、今の東芝だ。

東芝のニュースを読むと、最近では何だか、山崎豊子の「華麗なる一族」を見ている気持ちがする。最近のTVドラマだと、追い詰められる息子のキムタクが東芝で、親父の北大路欣也がGEだ。ドラマの最後で父親は息子への仕打ちを後悔していしたが、GEは東芝をぶっ潰しても全く反省したりしないだろう。

相田英男 拝