[1911]司馬遼太郎からのメッセージ

石川 満章 投稿日:2016/04/22 08:06

 会員番号1602番の石川 満章と申します。人生の折り返し地点は越えています。かなりの左寄りからだいぶ戻して、中道左派的な考えに落ち着いています。
 今回は、NHKテレビテキスト「100分de名著 司馬遼太郎スペシャル」をお勧めしたいと思い投稿する次第です。
http://www.nhk.or.jp/meicho/famousbook/52_shiba/index.html

 私は、「属国日本史 幕末編」の影響だけではありませんが、司馬遼太郎の作品に傾倒する人があまり好きではありません。身近にそのような人はひとりもいないのですが、読んだことも無いのに、見聞きするものから勝手に猛烈サラリーマン的なイメージを作り、忌避してきました。
 それはNHKのテレビドラマ「坂の上の雲」が放映された時期に、ますます強化されました。「美しい日本を取り戻す」などという人達の盛り上がりとともに。

 それなのにこのテキストを私が手に取ったのは、その表紙に磯田道史という名を見つけたからです。
 「武士の家計簿」でその名を知り、朝日新聞の土曜版の「備える歴史学」の連載で、歴史の出来事の説明を面白く読ませて頂いたので、この人が書くならと購入しました。

 磯田氏は司馬作品を、敗戦で全てを失う前の日本は素晴らしかったと言っているのではなく、”日本国家が誤りに陥っていくときのパターンを何度も繰り返し示そうとしました。”と読み解いています。
 司馬遼太郎自身、日本軍の精神論の犠牲になりかけたそうですから、戦前の日本を礼賛するはずもないでしょう。

 このテキストのおかげで、私の司馬遼太郎作品への考えは一新されました。もし、私のように司馬遼太郎を毛嫌いしている人がいましたら、このテキストを手にとってみて下さい。
 私は、「この国のかたち」、「二十一世紀に生きる君たちへ」から読んでみたいと思います。