[1895]トランプが、駐留米軍は撤退。日本は核保有しても構わない、と発言。

副島隆彦 投稿日:2016/03/29 12:55

副島隆彦です。  今日は、2016年3月29日です。

 以下の新聞記事は、これからの日本が進む道(進まされる道)として重要です。 アメリカの共和党の大統領候補者になる(7月18日の党大会で決まる予定)であろうドナルド・トランプ候補が、吼(ほ)えるように、正直に率直に答えている。

(転載貼り付け始め)

●「トランプ氏「在日米軍撤退も」=安保改定、日本の核保有容認―米大統領選」

2016年3月27日 時事通信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160327-00000008-jij-n_ame

米大統領選の共和党候補指名争いで首位を走る不動産王ドナルド・トランプ氏(69)は、大統領に就任した場合、日本が駐留経費の負担を大幅に増額しなければ、在日米軍を撤退させる考えを明らかにした。

日本による核兵器の保有を容認する意向も示した。(引用者注記。トランプ氏は、正確には「日本と韓国による・・・」と言った)

 米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)が、26日に掲載したインタビューで語った。トランプ氏は、これまでも「日米安全保障条約は不公平だ」など と日本側の負担増を求める方針を示していたが、米軍撤退の可能性に言及したのは初めて。

 トランプ氏はインタビューで、日米安保条約について「片務(へんむ)的な取り決めだ。
私たち(アメリカ)が攻撃されても、日本は防衛に来る必要がない」と説明。「米国 には、巨額の資金を日本(と韓国。引用者注記 )の防衛に費やす余裕はもうない」とも述べ、撤退の背景として米国の財政力衰退を挙げた。

 その上で、インタビュアーが「日本は世界中のどの国よりも駐留経費を負担している」とただしたのに対し、「実際のコストより、はるかに少ない」 と強調。「負担を大幅に増やさなければ、日本や韓国から米軍を撤退させるか」と畳み掛けられると、「喜んでではないが、そうすることをいとわな い」と語った。

 トランプ氏は、日本政府と再交渉して安保条約を改定したい考えも表明。日韓両国が北朝鮮などから自国を防衛できるようにするため、「核武装もあり得る」と述べ、両国の核兵器保有を否定しないという見解も示した。 

(転載貼り付け終わり)

副島隆彦です。 この記事は重要だ。 ドナルド・トランプは、 「米国 には、巨額の資金を日本の防衛に費やす余裕はもうない」と述べ、「日本(と韓国)が駐留経費の負担を大幅に増額 しなければ、在日米軍を撤退させる考え」だと、答えた。「駐留米軍の撤退の背景として米国の財政力衰退を挙げた」となっている。

 そして、その場合、「 日韓両国が北朝鮮などから自国を防衛できるようにするため、「核武装もあり得る」と述べ、両国の核兵器保有を否定しないという見解を述べた」となっている。

 トランプは、アメリカの経済・財政状態がひどく悪いことを知っている。だから、これまでのようにアメリカ軍が、世界中で展開して、海外にまで進駐軍(遠征軍)を出せるような力はない、と言っている。

 トランプは、明らかにアイソレーショニスト( isolationist 、国内問題優先主義。海外派兵反対論者 。外国への不干渉主義)である。アイソレーショニストは、「それぞれの国は、自分の判断で自分のことをやるのがいい。いちいちアメリカは助けない。独裁国家だろうが、そこの国民が飢えていようがアメリカは関わらない」という考えだ。 アメリカには、もうそんな力はない、と正直に答えている。 私は、このトランプの 態度が好きだ。

 彼は、“不動産王”の経営者だから、企業の経営という、苦しい職業からものごとを見ている。経営の才能のない者が、あれこれ経営者に向かって言っても「黙って働け。お前の能力では、この苦しみは分からない」と答えるだろう。

 そして、その流れで、アメリカに守ってもらえなくなったら、国際政治の自然な成り行きとして、日本と韓国は、自衛のための核武装を始めるだろう、そして、それを大統領候補者としてのトランプは、「必然的な動きだから、その事態を受け入れて、認める」と答えている。

 私、副島隆彦は、日本の核武装(核保有)に反対だ。何があっても核保有すべきでない。たとえ北朝鮮の核兵器が飛んできて、それを撃ち落とせなくて(迎撃不能)、10万人の日本人が死ぬことになっても、はやり、核保有はすべきでない、と考えている。

 それよりも世界は、そして、その一部としての私たち東アジア人たちは、そのような悲惨な事態を避けるために、努力をし賢明に動くだろう。それが、副島隆彦が言う、「アジア人どうし戦わず。ダマされて、戦争だけはしてはならない」だ。 だから、この問題に対しては、私は楽観的に考えている。自分が核兵器(恐ろしい大量人殺しの刃物)を持ったからと言って、それで自分が強くなった、安全になあった、と考える必要はない。

 こういう問題では、どんな立場の人も、実は、優劣はない。自分が人よりも優れている、といえる人間はいない。安倍晋三首相のような、反共産主義(はんきょうさんしゅぎ)が腹の底から信念である 政治家でも、私たちひとりひとりの考えよりも、優れた見識など持っていない。 

 ドナルド・トランプの 外交・軍事(=安全保障とも言う)の助言者(アドヴァイザー)は、マイケル・フリン中将( 元DIA, ディー・アイ・エイ、政府機関である国家情報研究所の所長)だと言われている。それと、デンプシー元統合参謀本部議長(チェアマン・オブ・ジョイント・チーフ・オブ・スタッフ。米軍の制服のトップ)だそうだ。 

 彼らは、ネオコン派とは、ずっと大ゲンカをしてきた 「外交における現実主義者(リアリスト)」の軍人たちだ。2003年からの米軍のイラク(侵略)戦争に「(たったの16万人しかイラクに派兵できないのだったら)安易な軍の投入はするな」と反対してきた軍人たちだ。

 トランプへの支持表明をしている、彼ら職業軍人のトップたちや、アメリカの民族右翼たちや、ユダヤ系の経営者たちも大勢いる。だから、もうトランプを暗殺したり、引きずり降ろしたりは出来ない。トランプが言う通り、「共和党が、私にティップ( tip 、候補者の指名)を与えなかったら、(私の白人の支持者たちが)暴動を起こすだろう」、と。

 私、副島隆彦は、トランプが、本音で、本気で、アメリカの指導者となるべく、なんでもずけずけと言ってくれることが、一番、大事で必要なことだと思っている。ヒラリーの周(まわ)りに揃(そろ)っている、偽善者で、ワルで、上品そうに、大きく秩序を維持する(=民衆を抑えつける)者たちが大嫌いだ。

 彼らがグローバリスト( globalist 、地球支配(しはい)主義者)だ。人類は、今こそ、アメリカ帝国のグローバリストの世界支配を打ち破らなくてはいけない。だから、正直者のトランプたち、ポピュリスト(下から吹き上げる保守的な白人大衆のワシントン政治への怒り、を受けとめ体現する政治家の出現のこと)であり、アイソレーショニストである、やや右翼っぽい本物の、おのれに正直に人種差別(区別)発言もする、デブの大男のアメリカのオヤジたちを、私は支持する。

 その代わり、この本物のアメリカおやじたちは、「自分のことは自分でやれ。俺たちはもうお前たちのことに構う気はない。そんな余裕もない。アメリカは撤退する」と、私たちアジア人にも突き放すように言う。 それがいいのだ、と、私、副島隆彦は思う。私は自分のアメリカ政治研究の本で、このことをもう20年間も私はずっと書いて説明してきた。

 トランプのような、ヒューイ・ロング( もう、この重要なアメリカの政治家のことは説明しない。この名前が、まだ分からなかったら、学問道場に近寄るな。どうせ、政治のことなんか一生分からないアホなのだから。私も甘やかす気がなくなった。私の 主著の『覇権アメ』で勉強しなさい。あるいは私のアメリカ政治映画の評論本を読みなさい)の再来の男が、またこうして表れた。 これがアメリカ政治の醍醐味(だいごみ)だ。 

 アメリカの”草の根(グラス・ルーツ、 grass roots )”というのは、アメリカの地方の白人の農場主や商店主や保守的な労働者たちのことだ。彼らが、本当のデモクラシー(民衆の代表者による政治)を俺たちに返せ、暴れ出す時にグラス・ルーツの反乱=ポピュリズム と 言うのだ。 こういうことを、ウソばっかり教えられて、洗脳されきっている日本国民に教えるために、日本に副島隆彦が出現したのだ。

 アメリカは、人類史上で初めて デモクラシー( demos - cratia デーモス・クラテーア 代議制・民主・ 政体 )を実現した国だ。デモクラシーというのは、存亡に関わる大きなことは、国民全員が集まって直接民主政(ダイレクト・デモクラシー)で決める。

 しかし他の大抵(たいてい)のことは、指導者(リーダー。ゲンス=部族=の長)が決める。そして、指導者は人一倍体力のある、どんな苦難にも耐えることの出来る有能な大人物でなければいけない。ちょっとぐらい女問題や金の問題で後(うし)ろめたくてもいいから、いざというときに、本当に体を張って死ぬ気で、国民を守らなければいけない。という考えで出来ている。 

 デモクラシーは、 古代ギリシャや古代ローマ帝国や中世ヨーロッパの都市国家の伝統から生まれたのではない。「デモクラシーはチュートン(トイトブルグ)の森」から生まれたのだ」(モンテスキュー)。 ゲルマン部族の原住民の部族の習わしから起こった。ゲルマン族の野蛮で粗野な男たちが、剣と盾を打ち鳴らしながらものごとを決めた。

 だから、アメリカも、ゲルマン民族の、遊牧民(nomad ノウマド)の伝統を今もひきづっていて、幌馬車隊(ほろばしゃたい)の隊長のような人物として、自分たちのリーダー(指導者)を見つめている。 リーダーが臆病者とか、ズルいやつとか、知恵が足りないと、幌馬車隊は、崖から落ちて全滅してしまう。

 だから、アメリカのデモクラシーは、演説の力で、皆の前で、堂々と演説して、皆の信頼を集めることの出来る人間を選び出す。「よし、この人間だったら信用する。言うことを聞く。この男の命令に従って戦って一緒に死んでもいい。たいていのことはこいつに任せる」という仕組みで、アメリカン・デモクラシーは、出来ている。だから、今は、それを トランプという 男が体現している。アメリカ国民からの試験(テスト)を受けている最中だ。

 みんなの前で、本気になって、体を張って、演説の力だけで、「私がみんなの指導者(しどうしゃ)になります。その能力がある。もし、私が間違っていて、みなさんを苦しめることになったら、私はこの場で自殺します(腹を切ります)」という覚悟でやるのが、本当のデモクラシーだ。 

 トランプは、だから、ほかの人たちの助言は受けるが、そんなことを言っていられない、緊急の場合が多いから、咄嗟(とっさ)の判断も自分でやらなければいけない。 自分の能力、知能、知恵の限りを尽くして、自分で判断して発言しなければいけない。 その意味では、ロシアの優れた指導者である プーチンと同格だ。

 プーチンとトランプは、お互いを認め合って、互いに大好きなようだ。世界基準の 大物の人間 というのは、ああいう振る舞い方をする。

 それに比べれば、ヒラリーなんかは、ロックフェラー家の嫁(よめ)で、謀略で悪いことばっかりやってきた、戦争やりたがり、のいけ好かない女だ。それでも、こんな女(氷の女王 だ)に ひれ伏して、屈従してアメリカ人は、まだまだ生きてゆかなければいけないのか。ヒラリーは、ベトナム反戦運動世代の、大学時代は急進リベラル派の活動家あがりの、ネオコンそのものだ。

 それでもやっぱり、今の世界を支配している勢力の表面に出ているのがヒラリーで、このヒラリーが勝って、これまでどおり、そしてこの先も私たちは、「どんなことにも卑屈になって、これまでどおりアメリカに忍従する 大人の人間の生き方で、それが無難な生き方だ」を続けるのか。 

 トランプをつぶして、やっぱりヒラリーの勝ち、ということに、アメリカの支配層、頂点の権力者たちは考えているのだろう。

 アメリカは、国力衰退し、財政破たんし、金融市場がやがて取引き停止を起こす、もう、どうしようもない状況だ。このことは日本には伝わらない。そのように操作されている。イエレンFRB議長は、「アメリカの失業率は5%にまで下がった (これは私の大業績よ)」と言っている。

 それに対して、「トランプが、「バカ言うな、イエレン議長よ。アメリカの(真実の)失業率は、25%から42%だ」 と、言い放ったのだ。 本当のアメリカの失業率は30%ぐらいなのだ。白人でも3人にひとりは失業している。 学校を出た日本の若者に、職がない、日本の現状と同じだ。 ウソばっかり、報道するなよ。

 日本のGDP 衰退率(何が、成長率だ。バカー)は、前年度比で、マイナス21%だったのだ(2014年)。2016年のIMFの予測は、マイナス10・2%だ。私は、今、金融本を書いている。こういうことを調べながら生きている。誰も、本当の大きな数字を書かない。ウソばっかりの、嘘つき、国民洗脳(せんのう)国家だ。

 だからトランプが、「私が大統領になったら、アメリカを一旦(いったん)、破たんさせる。アメリカ政府を チャプター11(イレブン)(破産宣告)させる」と、今にも言い出しそうだ。 そして、ケンタッキー州の陸軍基地でもあるフォートノックスの大きな洞穴に保管しているFRB(ニューヨーク連銀)の 金(きん)を、「自分で見に行く」と、トランプは言った。

 そして、「なんだ、アメリカ政府が持っているはずの、8300トンの金(きん)は、もう、すっからかんで、無いじゃないか」 と、トランプは、喚(わめ)くつもりだ。

 それが、有能な経営者というものだ。ダメな企業は、破産させなければいけない。悪い血を一回、全部、外に流さなければいけない。これはものすごくキツイことだが、誰かがやらなければいけない。それが出来るのが本物の経営者というものだ。

 だから、アメリカ国民は(貧乏層で、福祉にたかることばかり考えてる、有色人種たちを除いて)今、トランプの、この いくつもの経営危機という苦難を乗り越えてきた経営者としての能力に賭けてみようと、考えているのだ。このことを分かることが、今のアメリカ政治を分かるということだ。それは、私たちの日本の現実にすぐに跳ね返る。

 トランプ支持の黒人やヒスパニック系もたくさんいる。 本物の誇り高い独立自尊(どくりつじそん)の人間だったら、トランプを応援する。リバータリアンLibertarian というのも、もともと、そういう人たちだ。貧しい開拓農民の思想から生まれたのだから。作物が取れなくて、あるいは大不況で、飢えることもあったアメリカ白人農民たちのことを、私たち日本人は、あまりに知らなすぎる。教えられていない。綺麗(きれい)ごとばっかりの、表面でものごとを見てはいけない。

 それから、最後に、「米軍を東アジア(日本、韓国)から撤退させる。アメリカはカネがないから、もう駐留軍の経費を負担できない」というトランプの発言に対して「韓国政府は、駐留米軍に 毎年、80億ドル(9千億円)払っている」という反論が出ている。

 同じく、「日本政府は、(思いやり予算と称して)駐留米軍に、毎年2000億円(ぐらい。20億ドル)払っている」という反論の新聞記事が出ている。だが、トランプも知らないのだ。

 日本は、アメリカの米国債を すでに、隠れて買っている分を含めて、これまでに1000兆円ぐらい買っている。いや、無理やり買わされている。10兆ドルだ。そして、この10兆ドルの米国債は、「売らせてもらえない(売れない)」のだ。 中国は、今、米国債をどんどん売っている。この違いだ。 

日本の”用心棒代”としての米軍駐留費の負担は、毎年たったの2000億円などという端(はした)ガネではないのだ。毎年毎年買わされている30兆円ぐらいの米国債だ。これが、たまりに溜(た)まって一千兆円だ。だから、そっくりそのまま、この金額は、日本政府が発行して、返済できなくなっている、日本国債の残高の 1千兆円と、ピタリと見合っているのだ。 

 だから、トランプが大統領になったとき、「安保ただ乗り論」で、日本を批判して、アメリカ軍の駐留経費をもっと負担せよ、と言って来たら、そのときは、この「10兆ドル=1000兆円の米国債の保有残高」の問題を、日本側は、公然と持ち出すべきだ。もう隠している必要はない。 トランプは、目を丸くして、「ひえー。そんなにあるとは。オレは知らなかった。誰も教えてくれなかったぞ 」と 言うだろう。

 だが、そのあとは、トランプは、さすがに、迫力のあるアメリカの右翼の大物経営者だから、「そんなものは、踏み倒す(返さなない)」と言うだろう。 これが、世界政治の現実だ。

副島隆彦 記