[1871]追悼・鬼塚英昭!
津谷侑太です。今日は2016年 2月 28日です。
日本の大作家である元竹細工(たけざいく)職人の鬼塚英昭(おにづかひであき)氏が亡くなったという報告をします。七十八歳でした。
私はさる筋から鬼塚英昭氏の体調不良を聞いていました。それでずっと心配していました。健康回復を祈っていましたが、1月25日死去、とのことです。成甲書房(せいこうしょぼう)からの正式な発表です。
鬼塚英昭を差し置いて、今の歴史研究は成り立たない。そう断言できるほど、鬼塚英昭は本当の日本の大作家でした。
私は悲しみや驚きを通り越して、今や怒りしか感じません。なぜ、これほどの大作家の死を騒がないのでしょうか。
これほどの大作家の死はもっと盛大にネット上で騒がれるべきです。
鬼塚英昭のガツガツと本を読んで、新事実を発見する、あるいは新理論をつくりあげる手法は全国の鬼塚ファンたちに多大な影響を与えたと思います。決して難解ではなく、一般の読者に教え諭すがごとく、権力者たちの共同謀議を暴き続けた鬼塚英昭はもっと評価されるべきです。
その真実追求の姿勢を大分県の郷土(きょうど)歴史家という枠に押し込めて、葬り去ろうという、今の冷え切ったネット空間はおかしいと私は思います。2016年2月を中心に起きたアベノミクスの政策の株乱高下のパニックも鬼塚の『池田勇人』を読めば、謎が解けないようにできています。
以下に鬼塚英昭氏の著作を紹介します。
『天皇のロザリオ』・・・昭和天皇を狙ってローマ法王やイエズス会が暗躍するノンフィクション。戦後まもなく大分県で起きた大事件の全貌を暴く!
『日本の一番醜い日』・・・1945年8月15日、宮中で森師団長が殺害された。アメリカに占領されようとする日本を守るため、青年将校が決起する。・・・が、その中に謎の人物・某元中佐が行動していたことを鬼塚英昭が大量の史料から突き止める。某元中佐とは一体何者なのか。そして、森師団長を殺害したクーデターの意外な真犯人とは誰なのか。まるでミステリー小説の様な興奮を味わえる衝撃の一冊。
『白洲次郎の嘘』・・・白洲次郎といえば、2000年代に入って、急速に美化された偉人である。吉田茂とともに日本の独立を勝ち取ったGHQに抵抗した吉田と白洲は立派だった・・・・・・ところが、白洲次郎という男、とんでもない食わせ者であった。
戦前・戦中・戦後を通して、東京大空襲、下山事件、近衛文麿(このえふみまろ)元首相自殺、鳩山一郎追放で裏から動いた官邸のラスプーチン・白洲次郎のおどろおどろしい素顔をこれでもかと史料を引用しながら検証していく。
偉人には必ず裏の顔がある・・・・・・そんな恐ろしい真実を私たちに教えてくれる本だ。
『瀬島龍三と宅見勝「てんのうはん」の守り人』・・・・・・山口組長だった宅見勝が射殺された。政治事件とは無関係に見える組長射殺事件・・・・・・しかし、その背後には帝国陸軍の参謀で失敗続きだった瀬島龍三のとんでもない秘密が隠されていた。
戦後、ソ連抑留から帰還した瀬島龍三は伊藤忠商事の会長に迎えられる。リクルート事件、金屏風事件、イトマン事件、政治スキャンダルの影で瀬島はどう動いたのか。
昭和・平成史を瀬島龍三の目から描いた重大事件の裏側。
『20世紀のファウスト』・・・・・・アメリカの鉄道王・ハリマン財閥の長男・アヴェレル・ハリマン。アメリカのパワー・エリートのアヴェレル・ハリマンは軍需産業と深くつながっており、チャーチルやスターリンの間を飛び回り、第二次世界大戦に世界を引きづり込んでいく。
津谷侑太です。ざっとこんなところです。古代から平成の現代まで諸問題について、鋭く切り込んだ鬼塚英昭はまさに評論業界の巨星でした。もう、こんな大物は二度と出てこないでしょう。
だが、鬼塚英昭氏の死で終り、というのはいささか寂しいのではないでしょうか。ここは第二の鬼塚英昭が出現して、彼の業績を引き継いでいくべきでしょう。学問道場という、日本の在野の研究者の結集軸があるのだから、それを活用してみてはいかがですか。
第二の鬼塚英昭が現れれば、鬼塚ファンたちのもやもやとした胸のわかだまりもとれることだと思います。このまま、鬼塚ファンを放置するというのは残酷すぎる判断です。
津谷侑太拝