[1869]1月からの株崩れ、マイナス金利(金融混乱)は、中国とアメリカの闘いが原因だ。

副島隆彦 投稿日:2016/02/27 13:13

副島隆彦です。  今日は、2016年2月27日です。

株式相場の乱高下などの 金融市場の 混乱は、先週の2月18日(木)をもって一段落して、落ち着きを取り戻した。  次の 暴落と激変は、4月以降に来るだろう。

私、副島隆彦は、金融・経済を動きを、政治、世界政治の方向からも見ることのできる評論家だから、貴重な存在なのである。自分で言ったら横柄(おうへい)だが、そういうことだろう。

私は、以下に載せる一本の 新聞記事(というよりも評論文、日経新聞の記者のよるもの)にじっと注目してきた。 これを載せます。 真に頭のいい私たち学問道場の会員(学歴なんかどうでもいい。勉強秀才にロクなやつはいません)だったら、きっと分かってくれるでしょう。

 それは、「豹変(ひょうへん)ソロス氏の挑戦に、牙(きば)を向ける習主席 」( 日経新聞 編集委員 中沢克二 )という記事です。 

激しい株式の暴落が、NY市場で起きたのは、1月20日、21日だった。このことをの背景と原因 を、この記事がはっきりと解明、解説している。

私は、次のように書いた。

〇〇編集長へ。  副島隆彦から。 私は、以下の 日経の中沢記者の2月22日の文を重視します。やはり、これが、去年の8月からの、世界の株・為替・国債 くずれの 震源地でしょう。

「どうも 中国と アメリカは、激しく 金融市場(でのつぶしあい=潰し合い の)戦争 をやっている」であなたと合意しているのですが、 以下の様な、生々しい ジョージ・ソロスと 習近平の 両者の 歯を剥き出した 争いは、強烈であり激烈です。 

 これが、この1月からの 金融下落相場の 世界金融戦争 の 政治=国家統制 場面での真実でしょう。

 以下の中沢の文の中の 「 ソロスは一瞬にして中国共産党の敵になった 」(1月21日、ダボスで)が、ソロスと習近平の 公然化した 衝突の始まりです。 去年の 8月、そして9月の 中国株 と人民元 の 売り崩し を計画して仕組んだのは、ソロスら ヘッジファンドである。その背後にはアメリカ財務省がいる。  

 それで このあと、100人ぐらい、上海と北京の中国人弁護士(彼らは外国で法曹の学位を取っている )を捕まえた。 そして、彼らに 自白させた。中国政府は、株売り崩しの証拠をつかんだ。

 そして、今年の1月21日の ダボス会議での、ソロスの 「中国経済はハードランディング (ガタンと落ちる) する」発言のぶち上げだ。 習近平は、このときカイロにいた。 そのあと 23日に、イランのテヘランで、ロウハニ大統領 と 会談した。 

ところが、ソロス と NY市場 は、どうやら返り血を浴びたようだ (これが、副島隆彦説)。 調べたら、この 1月20日に NYダウは、249ドル下げた。終わり値15766ドル(▼2.4%)。安値15450ドル。 翌21日も398ドル下げた。▼565ドルも有った。  

 2月末の今、 この両者のぶつかり合い、激突は、続いている。昨年8月(仕掛けは6月からのようだ。記事を探して 見つけました。)からだ。果たしてどっちが勝つか。 

 皆さん、以下の記事を、じっと よーく 読んでください。 「日経の中沢氏よ、いい記事だ。えらい。誰から知恵をつけてもらっているのですか?」 と私は、書きます。

副島隆彦拝

(転載貼り付け始め)

「 豹変ソロス氏の挑戦に牙向ける習主席  」

編集委員 中沢克二

2016/2/3 日経新聞

  (写真)習主席(左)は制裁解除直後のイランに国連安保理常任理事国5カ国のトップを切って乗り込んだ。右はロウハニ大統領(1月23日、テヘラン)=AP

 1月21日、中国国家主席、習近平(62)と、世界のマーケットを動かす著名投資家、ジョージ・ソロス(85)は意外に近くにいた。 中東訪問が佳境を迎えていた習はエジプトに。ソロスはスイス・ダボスに。地中海を隔てた南北である。

■「ハードランディング不可避」、中東訪問の習に冷や水

 「中国経済のハードランディングは不可避である」「これは予想ではない。実際に目にしていることだ」 その日、ソロスは世界経済フォーラムの年次総会(ダボス会議)開催中のスイス・ダボスからテレビ画面で言明した。

 世界に衝撃が走った。あのソロスが口にする言葉の意味を世界はすぐに理解した。彼は既にそのシナリオに沿ってポジションを取ったということだ。

 サウジアラビア、エジプト、イラン3国を訪問した習は、同じ日のカイロでの演説で中東向けに計6兆5000億円超(円換算)という巨額の資金投下を華々しく打ち出した。 中国と中東、欧州、アフリカをつなぐ「新シルクロード経済圏」構想。その実現に向けて中東で布石を打った習は上機嫌のはずだった。

 習が打ち出したのは「1 2 3」協力構想だ。
 中東依存度が高いエネルギー協力が柱。インフラ整備と、貿易・投資の協力強化で両翼から支える。さらに原子力、人工衛星、新エネルギー開発の三大新技術領域を起爆剤とする。

 習指導部下で権限が強まった中国共産党の「中央外事工作(がいじこうさく)指導小組」に経済・金融、科学技術、軍、外交・安全保障など、各部門の知恵を結集して練り上げた自信作だった。

 習の中東訪問の真の意義は、力(ちから)の落ちた米国に代わり、中国が柔らかな「バランサー」として存在感を示すことだ。だからこそ核問題を巡る制裁解除直後のイランに国連安保理常任理事国5カ国のトップを切って乗り込んだ。イランとの外交関係を断ったサウジにも入った。

 「時の人」であるはずの習への注目を封じたのはソロス発言だった。

 世界は確かに「CHINA」の動きに目を凝らしたが、習の中東訪問にではなく、人民元・株式など中国に絡む市場混乱にだった。上海株式市場の1月の下落幅は22%。

 ソロスも標的にする人民元の急落で中国経済の混乱が続けば、習の中東構想はおろか、「新シルクロード経済圏」構想も絵に描いた餅になりかねない。

 中国と縁深いソロス、3年で豹変

 そもそもソロスと中国の縁は深い。世界を動かすヘッジファンドの生みの親として中国の経済人、投資家の間でも絶大な人気を誇っていた。北京中心部、王府井にある国営書店、空港の書店にもソロスの著書が山積みになっていた。

 この人気を背景に2013年春、中国・海南島でのボーアオ・アジアフォーラムにはソロスが招かれた。彼が発言する会場は超満員に。筆者も人混みにもまれながら話を聞いた。

 ソロスは当時、中国で問題化した「影の銀行」について「米金融危機を招いたサブプライム住宅ローンと似ている」と指摘した。とはいえ今回のような攻撃的姿勢はとらなかった。それから3年弱。習政権の経済・金融政策に「ノー」を突きつけた。豹変(ひょうへん)である。

 今度は中国が反応した。「人民元を空売りし、中国大陸、香港資本市場を攻撃する国際ヘッジファンドに強く警告する」。中国国営通信の新華社は1月23日未明、英文記事を配信した。

 翌日の記事では「悪意の人民元空売りは高いコストを払う結果になる。法的にも厳しい結果を覚悟すべきだ」と言い切った。

 同24日、習が中東訪問から帰国するとトーンが上がった。「ソロスの人民元、香港ドルへの挑戦は決して成功しない。空売りは成功しない」。共産党機関紙、人民日報の海外版は同26日付1面コラムで反論した。

 2日後、人民日報の国内版が1、2面で全面攻撃した。「中国経済は絶対にハードランディングしない」。2面には中国経済の堅調さを示す図表もふんだんに使った。

 同29日付には人民日報が国内版4面の社論で「中国を空売りするものは、自分を空売りしている」という刺激的な見出しを掲げた。痛烈なソロスへの個人攻撃である。

 翌日には上海の党機関紙も人民日報を引用する形でソロス攻撃に参加した。

  国営メディアがソロスを波状攻撃

 新華社英文 → 新華社中国語 → 人民日報海外版1面 → 人民日報国内版1、2面 → 人民日報国内版社説 → 地方有力党機関紙。もはや党、国を挙げてのソロスたたきだ。

「指導部の指示や承認なしに、このキャンペーンは打てない。習主席が中東でメンツを潰されたんだ。黙ってはいられない」
「『中国の空売りを許すな』。専門用語入りのスローガンが、ソロスたたきの代名詞として党内部で流行している」。
 中国メディア関係者らが解説する。習の怒りが、国営メディアの対ソロス波状攻撃を生んだ。

 ソロスは一瞬にして中国共産党の敵になった。
 敵と味方をしゅん別し、敵と見なせば徹底的にたたく手法はこの3年、習の反腐敗運動、同時進行した「群集路線(ぐんしゅうろせん)教育実践活動」で遺憾なく発揮された。

 大学の党組織で集会を開き、部下に上司を◯×式で評価させる。×が多かった幹部を即、摘発するやり方に幹部らはおびえた。毛沢東の文化大革命(1966~76年)に似た大衆つるし上げだ。

 同じ手法は対外政策でも使われ、成功を収めた。英国に対してだ。英首相、キャメロン(49)が2012年にダライ・ラマ14世(80)と会談すると、中国は英国との接触を極力断ち、経済的に締め上げた。

 音をあげたキャメロンは態度を変える。英国は中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)に主要欧州勢として一番乗りを果たす。習の英訪問では原発建設まで中国に任せた。

 この締め上げ戦法は、国境にとらわれないヘッジファンドの祖、ソロスには通用しない。かつて彼は、習と同じようにイングランド銀行と戦い、勝った武勇伝を持つ。

 中国は昨夏の株価暴落時、習が抜てきした公安・警察の幹部らを筆頭に市場に介入し、「空売り」を厳しく取り締まった。今回もソロス問題で「法的手段」に言及している。だが、いくら習の「お友達」の警察が強権を振るって「空売り」をたたいても、国外にいるソロスを捕らえるのは無理だ。

  ソロスは「帝国主義」の手先?

 中国指導部はソロスと米政府、経済界が一体で中国経済を標的にし始めた、と疑っている。そもそも「新シルクロード経済圏」構想には、米国に対抗する意図がある。中国自身がそれを強く意識しているからこそ「米国は必ず潰しに来る」と身構える。
 
 2011年の「アラブの春」で中国は、米国などの「和平演変(わへいえんぺん)」(平和的な政権転覆の陰謀 )が中国に波及しかねないと慌て、小さな集会さえ厳しく取り締まった。

 中国が警戒レベルを上げる際、内部で使われる言葉がある。「帝国主義」である。今回は、ソロスも「帝国主義」の手先として語られ始めた。

 国際通貨基金(IMF)は、先に通貨危機に備えて加盟国に配る特別引き出し権(SDR スペシャル・ドロウイング・ライト)に 中国・人民元を採用した。 世界第2位の経済規模を持つ中国には、的確な情報発信を通じて国際市場と意思疎通する責任がある。

 それが習とソロスの戦いの決着をも左右する。今、中国経済の国際化が試されている。(敬称略)

(転載貼り付け終わり)

副島隆彦です。 この文の中の、「 (中国の)警察が、強権を振るって「空(から)売り」をたたいても、国外にいるソロスを捕らえるのは無理だ 」に私は笑った。 さて、ヘッジファンド(国際投機筋、こくさいとうきすじ) と 中国の 今度の 金融戦争(マネー・ウォー)は、どっちが勝つかな。

 只(ただ)読みの人も、そろそろ私たちの学問道場の会員になって下さい。一度でいいですから。お願いします。

副島隆彦拝