[1862]「年金の 減額もあり得る」と安倍首相が国会答弁で認めた。

副島隆彦 投稿日:2016/02/16 17:43

副島隆彦 です。  今日は、2016年2月16日です。

今日の 株式市場は、200円ぐらい下げて始まって15800円ぐらいまで下がったが、途中から「上げろ、上げろ」という動きが起こって、16,341円まで上げて、最後は、30円ぐらい上げの 16,000円と少し、で終わった。

 今、日経平均先物(さきもの)は、午後5時で、16,070円ぐらいで動いている。昨日は、日経平均先物よりも 現物市場の方が跳ね上げて、この動きに先物が付いて来れなかった。HFT(エイチ・エフ・ティ 高速ロボット取引)が主体のCME(シー・エム・イー、シカゴ・マーカンタイル・エクスチェインジ)日経円建 もやっとのことで追い付いてきて、丁度16,000円だ。

昨日は、ロケットの打ち上げのような、急激な1200円上げが有った。よくも、まあこんなことをするものだ、と私は呆(あき)れた。 日本政府(安倍政権、財務省)は、相当に焦っているなあ、と思った。こんなことをして、このあと保(も)つのかなあ、この人たちは、と心配する。 

 安倍首相は、ついに昨日の国会答弁で、追い詰められて、GPIFでの年金の運用失敗で、年金(厚生年金も、国民年金も、公務員の年金も)の減額があり得る、と 答弁した。 以下の記事の通りである。 だから、昨日、「上げろ、上げろ、株を上げろ」になったのだ。

(転載貼り付け始め)

「年金給付減額あり得る=GPIF運用悪化なら―衆院予算委・安倍首相」

2016年2月15日 時事通信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160215-00000074-jij-pol

 衆院予算委員会は、15日午後、安倍晋三首相と関係閣僚が出席して経済などに
関する集中審議を続けた。

 最近の株価下落で年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の運用損拡大が
指摘されていることに関連し、首相は「想定の利益が出ないなら当然支払いに
影響する。給付に耐える状況にない場合は、給付で調整するしかない」と述べ、
運用状況次第では、年金支給額の減額もあり得るとの認識を 明らかにした。

 民主党の玉木雄一郎(たまきゆういちろう)氏への答弁。首相は「運用は長い
スパンで見るから、その時々の損益が直ちに年金額に反映されるわけではない」とも強調した。

(転載貼り付け終わり)

副島隆彦です。 この 安倍首相の発言は、居直りである。本人も相当に焦(あせ)っているはずだ。 「GPIFの運用で失敗があるなら、年金の減額もあり得る」とはっきり言ってしまったのだ。政府の統一見解として言った。

だから、昨日の株の日本政府自身による吊り上げ工作があったのだ。 こういうことをして、無理して、バカなことを続けると、一体、この者たちはこの先どういうことになるか。

 私、副島隆彦は、自分の本(たち)でずっと書いた。 「政府が、大切な国民の 資金で、博奕(ばくち)を張って、それで利益を出そうなどと言う、そういう大それたことをすると、本当に、あとで大変なことになる。大損を出したとき、この者たちは、どうやって責任を取るつもりか」 と。 私、副島隆彦だけは、日本の言論人として、いろいろと人物たちの名前も、顔写真も載せて、本で書いてきた。

  「政府だって株式市場で、利益を上げることが出来る」というバカなことを推進した、「理論面での」最高責任者である、 伊藤隆敏(いとうたかとし)政策研究院大学教授は、去年の8月に、株式の暴落があったあと、「これは危ない」と、さっさとアメリカのニューヨークにあるコロンビア大学に逃げた。

 伊藤隆敏が、インフレターゲット(インフレ目標値)政策の推進者であり、命名者でもある。 アメリカの手先になりつくして、日本国民の大切な資金をアメリカに貢ぐ係の大僧正である。

 私たち日本国民は、ます、この伊藤隆敏という男を縛り首にしなければいけない。竹中平蔵は、その次だ。 それから、・・・それから、・・・だ。私が、その順番を付ける。

今、日経平均は、16,000円丁度だから、19,000円を損益分岐点(そんえきぶんきてん。ブレイク・イーブン・ポイント)として、おそらく 20兆円ぐらいの大損を出している。 だから、昨年の5月から7月の株価ピークの時(2万900円まで行った)の 時に、「1年間で15兆年の 儲けを出しました」(7月10日発表)と言っていたのに。 

 そのあとの8月、9月暴落で、「7.8兆円の損が出ました」の発表を10月にした。そのあとの 成績発表の 政府発表 は、・・・・無い。 できない。しない。一切ない。どうなっているの? だ。
 だから、今は、おそらく20兆円ぐらいの損が出ている。平均株価16,000円だとそうなる。 

 ということは、先週末(12日、金曜日)の終値の、15,000円割れの14,900円 というので、計算すると、おそらく 30兆円の損だ。

 全部で、130兆円しかない(最大時141兆円だった)年金資金の運用資金は、このようにして、どんどん消えている。

 アメリカに持ち出して、アメリカ株と、アメリカ国債を買っている分でも大損も、含めての大損だ。

 だから、私が、前著『再発する 世界連鎖暴落 』(祥伝社刊、2016年11月)の P115 ではっきり書いている。

 「 ということは、今の日本株買いのための資金投入割合(アセット・アロケーション)が、今の上限の25%であるものを、25 + 9 = 34% にまで引き上げる、ということだ。 (略) 
 だから、このあと(GPIFが日本株に)投入できる余裕資金(よゆうしきん)は8兆円である。このお金を使い切ったあら、もう手持ちの資金はなくなる。その先の地獄が見える 」

と、私、副島隆彦は書いた。だから昨日と、今日の株価の吊(つ)り上げの資金は、どうやら、この8兆円を作ったようだ。GPIFが保有する日本国債を日銀に売って、それで新たなバクチの種(たね)カネを作ったのだ。 こういうなり振り構わぬ、どころか、発狂したとしか言いようのない、「 損を取り戻そうとして、焦って、さらに損を作って深手(ふかで)を負う」博奕打ちが、絶対にやってはいけない、最悪の行動を政府はGPIFでやっている。

 私は前著で、GPIFの運用者が、ひとりで数千億円とかの運用失敗を出して、電車に飛び込む、という事態が地よく予測できる、と書いた。

 安倍晋三とその子分たちは、(GPIFの資金運用者は、昨日、年収2千万ではなり手がない、ということで、新規の人材募集時の提示年収を、3千万円に増やしたようだ 。こんな端(はした)金では引き合わない )は、「おれ様たちは、権力者だぞ」と 息(いき)がって、しゃかりきになって、「日経平均16,000円は死守せよ。これは至上命令だ」 となって今、現場は、精神状態がおかしくなっているはずだ。

 為政者(いせいしゃ)が、こんなことをやっていると、本当に、日本国民を大量に殺すことになりますよ。 年金受給者たち(65歳から上)の年金が、毎年、毎年、 一か月の受け取る年金がだいたい1万円ずつ、減っているようだ。  

 たとえば月に22万円もらっていた人が、今年は、21万円、とかにどんどん減額されている。 この真実も、誰も書かない。テレビ、新聞は、報道しない。くだらない事件ばかりに、国民の関心を逸(そ)らさせる、という悪質な手口を使っている。  一体、この国はどうなるのか。国民の暮らしはどうなるのか。本当にみんな、心配したほうがいいですよ。

副島隆彦拝