[1817]さて、これから何が起きるか。それに備えましょう。

副島隆彦 投稿日:2015/09/21 13:05

副島隆彦です。今日は、2015年9月21日です。

19日の未明、午前2時18分に、安保関連法案が参議院を通過しました。
これで、安倍内閣は、アメリカの命令通りに、東アジア(から中東にまで)に
おける戦闘行為に参加できる法律を手に入れた。

私は、条文を細かく読んでいないので、よくは分からないが、概要は次のとおりだ。

①「武力攻撃事態(ぶりょくこうげきじたい)法」 と
②「重要影響事態(じゅうようえいきょうじたい)法」(これは、これまでの「周辺事態法」の替り、拡張)と、
③「国際平和支援法」と
④ 「国連平和維持活動(PKO)協力法」の強化 の 4つの法律からなる

ということが、私の頭で分かった。

講談社黄

①は、日本国の「存立危機事態(そんりつききじだい)」 という言葉を新設して、他国、つまり、中国、ロシア、北朝鮮から( これにアメリカからも含むのか?)の日本国領土への侵略があったときに、「自衛隊が武力行使できる」とする法律である。これに規制をかけて「他に取りうる手段がないときに」としている。これで、憲法9条の「交戦権の否定」を脱法(だっぽう。コトバのくぐり抜け)をした。

②の「重要影響事態」法 というのは、これまでの「日本の周辺(すなわち、東アジアの海域ぐらいまで)の戦争事態だった」ものを、インド洋から先のホルムス海峡(イラン、中東)にまで、自衛隊を派遣できる。これまでような、掃海艇(そうかいてい。マイン・スウイーパー、機雷除去作業)だけでなく。

③の「国際平和支援法」で、これまではそのたびに特別法を通していたのに、それをやめて、包括法(ほうかつほう)一本で、「世界各地で戦争している他国軍(すなわちアメリカ軍)を、いつでも自衛隊が後方支援できる」とした。

これが、いわゆる後方支援活動(こうほうしえんかつどう)の中心だ。つまり歴史的には、戦場人足(にんそく)であり、荷物運び係(小荷駄方=こにだがた=)や、輜重兵(=しちょうへい=と言った)を日本の自衛隊がやる、ということだ。

④の「 PKO(ピー・ケイ・オウ)協力法 の改正」は、国連のPKO(平和維持活動=国際的な強制執行、警察活動)への参加につき、これまでは、後方での各国軍隊のウンコ処理(ゴラン高原PKOでやっていた。各国からの派遣軍の便槽≒べんそう=を集めてシドン、サイダの港まで捨てにいっていた)とか、水運び(イラク戦争で、東レの技術で海水の真水化したものを、南部バスラの港で作って、それを日本の航空自衛隊のC130輸送機で、米軍のイラク中の各基地に運んだ。ものすごく感謝された)だけでなく。

今後は、自衛隊員が自分の機関銃をもって、撃って、「他国軍(すなわちアメリカ軍)の“駆け付け警護”」が出来るようにした。

だから、③と④は、米軍の補助機関となって、「他国軍(すなわち米軍)を、いつでも自衛隊が後方支援できる」というコトバで総称して使うようになる。

ここまでの私、副島隆彦の説明を ぎゅっと纏(まと)めると、以下の朝日新聞の最近の記事の一部になる。 これぐらいは、私の上記の解説、説明に何度でも戻って、両方を読み返して理解してください。そうしないと、「安保法制って、何だったの」と人から聞かれたときに、もの知り、インテリとは言われない。

(転載貼り付け始め)

朝日新聞  2015年9月20日

・・・・安保関連法は、改正武力攻撃事態法、改正周辺事態法(重要影響事態法に名称変更)など10本を一括した「平和安全法制整備法」と、自衛隊をいつでも海外に派遣できる恒久法「国際平和支援法」の2本立て。「日本の平和と安全」に関するものと「世界の平和と安全」に関係するものにわかれる。

「日本の平和と安全」については、改正武力攻撃事態法に集団的自衛権の行使要件として「存立危機事態」を新設した。日本が直接、武力攻撃を受けていなくても、日本と密接な関係にある他国が武力攻撃されて日本の存立が脅かされる明白な危険がある事態で、他に適当な手段がない場合に限り、自衛隊が武力行使できるようにする。

また、朝鮮半島有事を念頭に自衛隊が米軍を後方支援するための「周辺事態法」は「重要影響事態法」に変わる。「日本周辺」という事実上の地理的制限をなくし、世界中に自衛隊を派遣できるようにした。後方支援の対象は、米軍以外の外国軍にも広げる。

「世界の平和と安全」では国際平和支援法で、国際社会の平和と安全などの目的を掲げて戦争している他国軍を、いつでも自衛隊が後方支援できるようにする。この際、国会の事前承認が例外なく義務づけられる。

これまでは自衛隊派遣のたびに国会で特別措置法を作ってきた。国連平和維持活動(PKO)協力法も改正。PKOで実施できる業務を「駆けつけ警護」などへ拡大。自らの防衛のためだけに認められている武器使用の基準も緩める。

( 朝日新聞 2015年9月20日  午前2時20分 )

(転載貼り付け終わり)

副島隆彦です。 ここで必ず、「日本はこれで ”集団的自衛権” が行使できるようになった」という主張が出てくる。集団的自衛権とは何だ? と 聞かれて、すぐに答えられるインテリや、法律家(弁護士たちを含めて)、いない。なんて国だろう。

私、副島隆彦のような、総合知識人で、世界基準(ワールド・バリューズ)で、コツコツと知識を積み上げることのできる人間が増えないと、日本は、知能をヤラれている点で、ますますジリ貧だ。

アメリカ政府や、米軍の幹部たちは、日本政府(安倍政権)が、「これで集団的自衛権の行使を可能にする」というコトバを使うものだから、イヤがっている。

「なんで、日本軍ごときが、我が米軍と共同行動とかできるんだ。そんなことができるわけがないだろ。お前たちは、荷物運びの、私たちの後方支援活動で十分だ」、「集団的自衛権 ( collective defense right 国連憲章51条にちょろっと2行書いてある )というのは、欧州の各国の合同軍であるNATO(ネイトー)軍のようなものを言うのであって、敗戦国である日本政府が行使していい権利ではない」と考えている。 そういうものなのだ。

同じく、日本側の官僚トップの、内閣法制局の横畠裕介(よこばたけ・ゆうすけ)長官やら、元最高裁の長官だったちょっとは頭のいい、まだ良心のある 法律専門家や体制派の憲法学者たちが、今度の安保法制を物凄(ものすご)くイヤがったのだ。

彼ら法律家たちは、「日本には、個別的自衛権(こべつてきじえいけん)しかないし、これを十分に活用するかたちの法律改正でいい。それなら私たちは法律作りに懸命に従う。 もし、どうしてもというのなら、どうぞ憲法改正をしてください。そうすれば私たち法律屋は、憲法の下僕(げぼく、しもべ)ですから、それに従います」という態度だ。

だから、彼ら法律屋たちは、「法の“法的安定性”がない」、「“立法事実”がない」、「だから条文の案を作れない」という専門用語を使って激しく抵抗した。 だから、今度の安保法制は、日本側の誰たち(法律家たち)が作ったのか、今も不明だ。

横畠裕介は、「私には政府から連絡がない」「私は、承知していない」という国会答弁を繰り返していた。法制局の民事法制官も刑事法制官たちも知らないところで、法律の条文が作られた。だからアメリカの命令で動く特殊な連中が作文したのだ。

私、副島隆彦は、これから、このあと、安倍政権は、アメリカの凶暴な日本操(あやつ)り班の アーミテージ(タコ坊主。世界の真の麻薬王。米軍特殊部隊とCIAのウラ資金を作っている)や、ジョセフ・ナイや、マイケル・グリーンたちの命令で、中国の公船(中国海洋局)の船に、日本か、フィリピンか、ベトナムの公船(日本なら海上保安庁の船)をぶつけて、それで、軍事衝突(ミリタリー・コンフラグレイション)を起こすだろう。それはもうすぐだ。

9月16日ごろ、フィリピンの軍事(ただし文官=シビリアン)・警察の最高幹部たちが日本に来ていた。それからベトナムの政権党の書記長が来ていた。どうも、これらと日本政府が連携して、アーミテージの命令で、中国の公船(中国海洋局艦)にぶつけてゆく、という動きをしている。おそらく南シナ海だろう。 オバマは、それを「絶対にやるな」と制止している。

古来、政府(政権)の言うことを聞かないで、軍隊が勝手に暴走した形にして、軍事衝突の事件を引き起こした事例は山ほどある。日本の安倍政権は、アメリカ政府(オバマ政権)の強い意思に反抗して逆らって、アメリカの国内の軍事凶暴派と連携して動こうとしている。 かなり危険な行動に出そうである。

軍事衝突(ミリタリー・コンフラグレイション)で、双方で4,5人ずつの兵隊が死んで、これで日本国民が震えあがる。 日本は、安倍政権とタコ坊主の予定通り、一気に準(じゅん)軍事国家になる。国民生活に激しい統制と規制がかかるようになる。

第1段階である軍事衝突 のあとが、第2段階の事変(じへん。ミリタリー・コンフリクト)である。
ここで数百人の兵隊が死ななければいけない。それが、「事変(じへん)」という段階だ。ノモンハン事変とか、満州事変、日華事変、とかと同じ水準だ。これは今から数年先だ。今のウクラナイナの情勢は、この「事変」が終わって、停戦(シーズ・ファイア)している段階だ。

そのあと、ようやく、いよいよ、第3段階の 本格的な本当の戦争(warfare ウォーフェアー)になる。

私たちは、着々とこの道を歩かされている。「中東(ミドルイースト)だけでなく、極東(ファーイースト)でも戦争を起こさせろ。そうしないと、アメリカが帝国として生き残れない」という考えである。

この9月の25日、26日に、習近平が訪米してオバマに会いにゆく。この米中首脳会談で、今後一年間の世界が決まる。いろいろと駆け引きが有るようだ。
アメリカの金融崩れを中国が引き金を引く(すなわち、中国が持っている米国債を売る)ことを「やめてくれ。その代わりに」 という 交渉をする。

それでもオバマと習近平と(それから韓国の朴槿恵=パク・クネ=の3人)は、仲がいい。彼らは世界政治の王道に従って、「北朝鮮の核兵器を取り上げる」という東アジア戦略で動く。

この平和派(ハト派、dove )のオバマの決断を、アメリカの軍事凶暴派(タカ派 hawk ホーク)は、どうしても阻止して邪魔したい。だからイスラエルとネオコン派は、オバマを殺したい。オバマが大統領でいる間(来年末まで。より正確には再来年=2017年=の2月まで)は、オバマは、絶対に大きな戦争への OK の署名はしない。

だから、軍事凶暴派が、たとえ、オバマを暗殺してもバイデン副大統領がいる。バイデンは、11月までには大統領選挙に立候補するだろう。ヒラリーが弱体化するのをじっくりと待っている。 アメリカの軍事凶暴派(タカ派)の勢力は、なんとしてもヒラリーを勝たせたい。

アメリカ共和党(リパブリカン)は、ドナルド・トランプという下層白人大衆にものすごく人気のある、本音で本気で、大衆政治をやろうとする、まさしくポピュリスト populist ( 下から吹き上げる民衆の怒りと熱狂の政治)の男が出てきて、毎日、ゲラゲラの大衆政治をやっている。

トランプの、まるで、漫才そのものの劇場政治に、今のアメリカ人は酔っている。トランプ(NYの不動産王の、一代で這い上がった泥臭い男)を、テキサス州の上院議員のテッド・クルーズが支持表明した。リバータリアンで根性の有る、旦那とサケ漁の漁船にも乗っていた、元アラスカ州知事のサラ・ペイリンも「私もトランプの政権に入れててね」と支持表明した。

どうやって、来年の4月前までに、トランプたちポピュリストの勢力を、世界権力者たちが、押さえ付け、脅(おど)し上げ、叩き潰すのか。私は、今、その手口をシミュレーションしている。

アメリカ国内が弛緩(しかん)したお笑い政治をやっている間に、冷酷な軍事凶暴派が、戦争の2歩手前である軍事衝突を着々と仕組んでいる。それに私たち日本国民は引きづられて利用される。たまったものではない。

私は、以上のことを、自分の世界政治分析と近(きん)未来の予測の本である、『日本に恐ろしい 大きな戦争(ラージ・ウォー)が迫り来る』(講談社、2015年3月刊)に詳しく書いた。日本を含めた今後の世界の政治の動きのスケジュールを正確に知りたい人は、私のこの本を読んでください。

あるいは、北朝鮮が弾道ミサイル(核兵器の模擬爆弾)を日本海の、福井県の若狭湾の、領海(領土から22キロ)ぐらいのところに打ち込むかもしれない。北朝鮮の軍の中にも、アメリカのネオコン派や特殊な宗教団体の、凶暴な軍人スパイたちが入り込んで、世界戦争(ラージ・ウォー)が起きるように仕組んでいる。もし凶悪なヒラリーが、次の米大統領(2017年の2月から)になると、世界は確実に第三次世界大戦である。そのように、私は、私の前掲書の一行目に書いた。

だから、「これからこうなる。その次はこうなる。日本はこうなる。アイツらは、その次はこういう手に出てくる」と私は書いた。先へ先へ、近(きん)未来を予測、予言、先見(せんけん)することで、私は、日本国民が、急に慌(あわ)てないで済むように、書いた。

次に起きることを十分に予測して、それに備える、準備する、用心するべきだ。突発的に起きる(ように権力者たちは、見せかける)ことに対して私たちが予(あらかじ)め、注意深く、賢明に見抜いて対処することによって、私たちは自分自身の危機を乗り切ることが出来る。

急に起きる、たかが、軍事衝突(ミリタリー・コンフラグレイション military conflagration )で、南シナ海や東シナ海(尖閣諸島の海域)で、海上保安庁や自衛隊の軍事公務員が、数人、死ぬぐらいの事件で、私たちが、気が動転して、狼狽(うろた)えて、冷静な判断力を失うことが、彼らタカ派権力者、軍事凶暴派の、思う壺(つぼ)だ。

もう4年半前になる、2011年の3.11の大地震、大津波の後の、福島の原発事故で、これが起きた。動転した日本国民は、コワイ、コワイと大騒ぎして、自分の脳に突き刺さった恐怖心で、冷静な判断力を失った。私、副島隆彦が、真に頭のいい人間なら、「待てよ。ここで、アイツラの手に乗ってはいけない」と、放射能コワイの馬鹿騒ぎに加担してはいけないと、あれほど、福島の現地から、真剣に、皆を説得したのに。 頭の悪い人間たちは、「私はインテリよ。放射能を怖がるのは世界中のインテリの特権よ」みたいな低能(ていのう)状態をさらけ出した。

この手にハマることを” ショック・ドクトリン”と言うのだ、と、 私、副島隆彦は、2011年の4月から、ここの重たい掲示板に、ずっと書いたでしょう。真に頭のいい人間とは、何か、誰なのかを、(そして自分がアホだったのだ)と、しっかり事実に照らして、そろそろ認めなさい。

自分の頭が策略に載せられたときが、自分の負けだ。アイツラは始めから着々と、そういう手順で、このあと軍事衝突を画策し実行する。その突発ニューズに嵌(は)められて自分が錯乱状態になって取り乱して、根拠の無い恐怖心に捕(とら)われたら負けだ。 その時が、またしても日本国民の側の大敗北だ。

私、副島隆彦は、そのように前掲書『日本に恐ろしい大きな戦争(ラージ・ウォー)が迫り来る』 に徹底的に詳しく一冊まるまるで書いた。

この本では、大震災や、戦争2歩手前である、大惨事(ディザスター)型の突発事故を起こさせて、国民にショック(衝撃)を与えて、それで、国民を脅して、恐怖のどん底に叩き落として、それで、自分たち権力者が、いいように、緊急事態での支配と統制(コントロール)を行うのだと説明した。これを“ショック・ドクトリン ”という。

ショックドクトリン

あるいは、「大惨事便乗(びんじょう)型の資本主義(ディザスター・キャピタリズム)」という。これは、真の能力と勇気のある、カナダ人のジャーナリストの ナオミ・クライン女史が書いた本の書名だ。日本では、2012年に、東日本大震災の後に岩波書店から翻訳書が出版された。

まさしく『ショック・ドクトリン』であり、『ショック(を与えて、支配する)ドクトリン』である。

今の日本国民の多数意思は、「備えあれば憂いなし」と「しっかり戸締まりする必要がある。隣(とな)りに、中国と北朝鮮戦という ヘンな、危険な隣人がいるから」という感情操作で、出来上がっている。

属国日本論

私、副島隆彦が、長年、唱えてきた「アジア人どうし、戦わず。戦争だけはしてはいけない」 と「日本は、アメリカの属国である(『属国・日本論』1997年刊)。出来る限りの努力をして、敗戦によるアメリカの支配から私たちは徐々に独立しなければいけない。自分たちの運命を自分たちで決めることのできる国民にならなければいけない」と書いた。この私が築き上げてきた政治思想から、日本はほど遠いとこに今もいる。だが、私たち日本人の不屈の独立自尊(どくりつじそん。偉大だった福澤諭吉先生のコトバ)への努力は続いている。

最後に、書いておくが、9月19日の安保(あんぽ)法制法の可決に与党として賛成した 公明党(創価学会)は、池田大作名誉会長(まだ死んでいないのだろう)を始め、大きく脅迫されているのだ。だから公明党は法案に反対できないように、始めから締めあげられていて、出来上がっているのだ。 反対に回ったら、組織を叩き壊してやる、という大きな脅迫がある。

現実政治(リアル・ポリティックス)というのは、それぐらい恐ろしいものなのだ。こういうことを普通の頭をした人間たちには分からない。 日本共産党であっても、元気よく法案に反対しているように見えるが、「それ以上やったら、幹部たちを一斉逮捕で、組織を潰すぞ」という長年の脅迫が有る。だから、志位和夫(しいかずお)委員長以下、威勢は良さそうでも、組織だってはなにもやらない。衆議院議員が21人にもなって本当に良かった、という感じだ。 自分たちも、小沢一郎がやられたように、東京地検特捜部と 最高裁判所の”法の番人”の アメリカの手先の、”法律という刃物”を持っている連中に、やられたくない。 だから、共産党も、「アメリカは日本から出てゆけ。帰れ。対米従属論(たいべいじゅうぞくろん)は、共産党の十八番(おはこ)だぞ」 と、、近年、一言も言わない。

日本の大企業の労働組合も、「あんまり騒いだら潰(つぶ)すぞ」と脅されているから組織としては動けない。

あとの国民政党の皆さんは、お上品で立派な人たちだが、勢力としては力にならない。彼らは、立派なリベラル派の清潔で賢い国民だから、脅されることはない。だが、現実政治なるものの 泥臭い、真の恐ろしさを何も知らない。

今度の反対運動で、シールズ SEALDs という名で、生来の優れた学生たちが団結して現れた。これに全国の大学の感覚の鋭い、清新な学生たちが結集しつつある。 彼らはこれから気をつけなければいけない。自分たちの新生の組織を、内部に潜り込んでくる政治警察と、奇妙な宗教人間たちと、政治活動で長年の怨念を背負っている人間たちに、壊されないように、私たち、年長組の、このことに深い自覚が有る、強い人間たちが、しっかり見守って育てて守ってあげなければいけない。

私、副島隆彦は、「(19)60年安保闘争」(今から、55年前)の時に、国会正門前どころか、西門から、議事堂の内部もおびき寄せられて、そのあと、警官隊の一斉襲撃で、蹴散らされて、皇居のお堀の方に、雪崩(なだれ)を打って潰走(かいそう)させられた 学生たち2万人 の指導者だった者たち、 ひとりひとりの 運命を、ずっと調べてきた人間だ。この40年間の間に、彼らと会って、ズケズケと質問してきた人間だ。

たとえば西部邁(にしべすすむ)は、あの時、6月15日に、東大の駒場の一年生、2年生の ヒヨコ学生たちの部隊の指揮者だった。それで、逮捕されて長いこと裁判をやらされて傷めつけられた。それで、そのうち中曽根康弘という邪悪な政治家の家来、子分にになって、東大教授(駒場の教養部)にまではしてもらった。こういう知識人たち数百人の人生の遍歴を、私、副島隆彦は、彼らに20年遅れてやってきた後進の知識人として、ずっと観察して保存している。ここでの政治研究は、私の専門分野だ。

安保ブントの最高幹部だった、島成男(しましげお)に向かって、私は、彼が沖縄の精神病院の医師として死ぬ2年前に、 「島さん。 安保ブント(いわゆる、全学連という、過激派の日本での始まりの団体の上部組織)は、アメリカのCIAから資金を貰いましたか」 と、聞いた。 島成男は、「今は言えない。迷惑をかける人たちがいるから。 それでも、私たちは、ソビエトの大使館にいる、KGB(ケージービー)から殺されるとは思っていた」 と、私に証言している。

日本の秘密

こういう おそろしい真実を、私は、自分の 『日本の秘密』(2010年6月刊、PHP研究所 から復刊) に書いている。本当の政治なるものの片鱗の、おそろしい裏側を知りたい人は読んでください。私のこの本を読んで、外務官僚のイギリス派の国家情報官を務めた孫崎享(まごさきうける)氏が、大いに参考にしてくれたのだ。

今から、55年前の60年安保闘争 ( その10年後が、1970年「大学闘争」で、これで日本の学生運動は終わり。自滅、崩壊していった )の中から、出てきた、日本の政治人間たちの 過激派の学生運動の指導者たちに、私の先生である 吉本隆明(よしもとりゅうめい)は、 「そこらの商店街のオヤジたちからさえ、ただの青二才(あおにさい)の若造としか思われていない程度なのに、自分たちの頭の中でだけ、思い上がって、革命家(かくめいか)を気取る、この タルチョフたちは・・・」と、厳しく批判された。

学生運動が、大衆や労働組合と連帯できるのは、自分たちが知識人として自立したときだけだ。知識人として(職業として)自立せよ。そうするしかないのだ、と思想家・吉本隆明(2012年3月16日、87歳で逝去)は書いた。 私、副島隆彦は、この吉本のコトバを今も守っている。

この吉本の家の千駄木の小さな家に、のちに日本の過激派の各派の幹部になった者たちのほぼ全員が顔を出していた。吉本隆明は、文字通り、”日本の過激派の教祖”と呼ばれた人だ。たった数人しかいない私の先生のひとりだ。
私は、この人はすごい、と自分が判断したずば抜けた能力のある人しか、自分の先生にはしない。

副島隆彦拝