[1670]テロ資金凍結新法案 政府、提出検討 金融取引を規制
国内でテロ行為に関与する恐れのある人物らを対象に、金融取引などを規制して資産を凍結する新法案が臨時国会に提出される。
規制対象となった場合、送金が許可制となり、実質的に資産凍結が図られる。
(転載はじめ)
テロ資金凍結新法案 政府、提出検討 金融取引を規制
2014年9月25日 東京新聞朝刊
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2014092502000157.html
政府は二十四日、国内でテロ行為に関与する恐れのある人物らを対象に、金融取引などを規制して資産を凍結する新法案を二十九日召集の臨時国会に提出する方向で調整に入った。国際社会とともに「テロとの戦い」に臨む姿勢を示す狙いだ。菅義偉(すがよしひで)官房長官が記者会見で明らかにした。捜査当局による恣意(しい)的なテロリスト指定への懸念が出るのは必至。憲法で保障された「財産権」の観点からも議論を呼びそうだ。
菅氏は二十四日の記者会見で新法案について「関係省庁で、臨時国会に提出すべく検討している」と明言。テロ資金の根絶を目指す国際機関「金融活動作業部会」(FATF)が日本政府に対し、マネーロンダリング(資金洗浄)やテロ資金対策を強化するための法整備を進めるよう求めていると説明した。
政府内では新法案の適用対象について、国連安全保障理事会決議でテロリストに指定された場合などを想定している。規制対象となった場合、送金が許可制となり、実質的に資産凍結が図られる。
国連は二〇〇〇年十一月に「国際組織犯罪防止条約」を採択。日本政府は翌十二月、条約に署名した。条約加入には、重大犯罪の謀議に加わっただけで処罰対象となる「共謀罪」規定や、テロ資金を断ち切る法制が不可欠とされる。日本はいずれも不備があると指摘され、条約加入に至っていない。
政府は世論の反発を懸念し、共謀罪新設の関連法案については臨時国会提出を見送る方針を既に固めた。一方、新法案に関しては「対象がテロリストだけで極めて限定的」(政府筋)としており、国民の理解獲得が可能と判断したとみられる。
(転載おわり)