[164]複眼的ものの見方

茂木 投稿日:2011/01/25 11:08

会員番号1149番の茂木です。

小沢一郎氏の「民主党代表選挙投票前決意表明文」(去年9月)を読むと、氏は国民に対して、二つのPrepositions(資質)を持つことを求めていることがわかります。一つは「流域文化の継承」であり、もう一つは「合議の精神」です。その箇所を、表明文から引用します。

(引用開始)

私には夢があります。役所が企画した、まるで金太郎あめのような町ではなく、地域の特色にあった町作りの中で、お年寄りも小さな子供たちも近所の人も、お互いがきずなで結ばれて助け合う社会。青空や広い海、野山に囲まれた田園と大勢の人たちが集う都市が調和を保ち、どこでも一家だんらんの姿が見られる日本。その一方で個人個人が自らの意思を持ち、諸外国とも堂々と渡り合う自立した国家日本。そのような日本に作り直したいというのが、私の夢であります。

(引用終了)
<9/14/2010 MSN産経ニュースより>

前半で「流域文化の継承」が語られ、後半(“その一方で”以降)で「合議の精神」が説かれています。うっかりすると見過ごしてしまいますが、ここで小沢氏は、国民に対して二つの異なる資質を同時に持つことを求めています。

この二つの資質(「文化の継承」と「合議の精神」)を同時に持つことが、日本人にとっていかに困難で覚悟のいることであるかを、私のブログ
http://celadon.ivory.ne.jp
にて、五回に分けて論じました。

「内と外」(12/21/2010)
「内と外 II」(12/28/2010)
「継承の文化」(1/11/2011)
「継承の文化 II」(1/18/2011)
「複眼でものを見る必要性」(1/25/2011)

日本社会は、黒船によって、江戸時代までを支配してきた「お上と氏族制度」が崩壊し、その代わりに「天皇と家父長制度」が導入されたあと、敗戦によってそれが崩壊し、戦後は「官僚と会社父長制」が続いてきました。しかしいよいよそれも崩壊し、これからの日本社会は、「個人の自立」が前提になるべきだと思います。

自立した個人同士がいかに共生し、(これまでの「氏族制度」「天皇と家父長制度」「官僚と会社父長制」に代わる)新しい家・共同体理念を作り出すことができるか、それがこれからの我々の課題だと思います。

詳しくはブログをご覧いただければと思います。尚、先日の投稿(「騙されるな!」[131])でも多くの方にブログをお読みいただきました。有難う御座います。