[1616]集団的自衛権

田端佐紀子 投稿日:2014/06/29 16:02

会員番号7505 沖縄在住の田端です
集団的自衛権問題について、会員の皆様はどう思っているのでしょうか?どんな考えをお持ちなのでしょうか?重たい掲示板に意見が寄せられていないのが少々不満になり、まずは私、去年の4月沖縄に移住したばかりの“新米おばぁ”が思い切って投稿しました。「今、声をあげないで、何時あげるの?」そんな思いで、信頼する知識人の意見や本などから学んだことを参考に、おばぁの考えをまとめてみました。

<集団的自衛権行使容認についての考察>

来年は敗戦から70年目。これを前に日本は今、重大な岐路に立たされている。
安倍政権が「集団的自衛権の解釈改憲」で自衛隊の戦争参加を企てているのだ。
保守派の憲法学者でさえ、安倍政権のこの暴挙を、憲法違反!憲法破壊!と批判している。しかし、安倍首相は解釈改憲の閣議決定に突き進んでいる。
何故なのか?

かって日本は、およそ300年にも渡る鎖国が続いた江戸時代の末期、欧米列強の圧力で明治維新が起こり、天皇を中心とする新政府が成立した。
近代国家の道を歩み始めた日本は、西洋に追い付け追い越せと「富国強兵・殖産興業」が推進され、アジアの列強としての地位を占めるまでになった。
しかし、その後の国の在り方は「天皇制軍国主義」へと変貌、昭和に入るとアジア各国への侵略戦争を起こし、ついには太平洋戦争にと突入した。

そして敗戦・・・。
完膚なきまでに叩きのめされた日本は、ポツダム宣言を受諾し、アメリカの占領下の元で戦後の再建に乗り出した。象徴天皇制、主権在民、戦争放棄などを謳ったいわゆる「平和憲法」も制定された。その後1951年にサンフランシスコ講和条約を締結し独立した。(沖縄は1972年まで完全占領下のまま)
アメリカが押し付けた憲法とは云え、戦争放棄と平和を前面に打ち出した憲法は圧倒的国民の支持を得て成立したのだ。国民は民主国家の一員として新たな道を歩みはじめた。
政治面では日米安保条約を結び、日米同盟を基軸とした外交政策を取りながら、経済大国へと変貌を遂げた。しかし実態は、外交も経済もアメリカ一辺倒の傾向が強く、特に外交面においては、まさに島隆彦先生が名づけた「属国ニッポン」である。

集団的自衛権行使容認の背景には、アメリカからの強い要請があるといわれている。今や財政難で国力が弱まり、単独覇権国家としての力を急速に失っているアメリカ。そのアメリカの対中政策や東アジア戦略で、日本に軍事的役割を肩代わりせるために、集団的自衛権行使容認を強く求めているというのだ。
アメリカに逆らうことは出来ない日本・・・。

しかし、自衛隊の存在は、これまで何度かの解釈変更によって軍隊化してきた実態はあるものの、集団的自衛権は憲法違反に当たるとして、自民党歴代政権でも歯止めをかけてきた。
その理由は、集団的自衛権行使は事実上の戦闘行為になるため、武力行使による戦争放棄を定めた「憲法9条」に抵触するからだ。しかも平和憲法を作ったのはアメリカ。憲法9条の改憲は、アメリカの対日基本政策の否定に繋がりかねないし、対外的にはかっての軍国主義国家復活と受け止められる恐れがある。
この矛盾を解決しながら集団的自衛権行使容認するには、結局は、解釈改憲が一番妥当!と云うことになったのだ。

そのために第二次安倍政権は、秘密保護法制定、国家安全保障会議の創設、武器輸出拡大と着々と事を進めてきた。そしてついには集団的自衛権行使も容認しようとしている。背景にはもう一つ、安倍首相自身の苦い体験もあると思われる。

安倍首相は、政治家一家の三代目であるが、若いころは、ひ弱で非エリートのイメージが強かった。そのために彼は、早くから集団的自衛権行使容認と憲法改正を掲げ、保守本流の政治家としての地位を築いてきた。ところが第一次安倍政権を投げ出した退陣の仕方は、無責任で頼りないイメージを国民に植え付けた。「安倍はもう終わった!」とも言われた。
しかし、政権交代をした民主党の体たらくで自民党も安倍も復活した。

実は、アメリカの大統領に比べ日本の総理大臣は、圧倒的に強い権限を持っている。政策も予算も、その殆どが議会に決定権があるのがアメリカ。逆に日本は、政策も予算も時の政権が決められる仕組みになっているのだ。
安倍首相は、第一次政権を経験したからこそ、今、この強大な権限をフルに行使している。優秀な政治家や官僚をブレーンにすると、むしろ首相の権限は半減する。よって、第二次政権では自分の考えに賛同してくれる仲間や有識者で回りを固め、強大な権限を駆使しながら首相としてのリーダーシップを発揮しているのだろう。そして何より衆参ねじれ国会を解消したのが最大の力になっている。
今や怖いもの知らずの安倍首相、その表情は高揚感に満ち溢れている。
戸惑っているのは安倍さんを支持した有権者?

安倍首相の取り巻きの中に「日本はアングロサクソンに付いていけば100年は安泰!」と唱え続ける元外交官の岡崎行彦がいる。彼は以前からアメリカ従属論を露骨に叫ぶので敬遠されていたが、ここにきて表舞台に復活、今回の集団的自衛権行使容認の理論的役目を担っている。
そして、彼ら対米従属派を操っているのが、アメリカの「ジャパンハンドラー」と云われる面々である。マフィヤ面相のアミテージや学者のマイケル・グリーンなどが対日政策を担っている。しかし彼らは所謂外交の利権屋団体でもある。

今や金融資本主義に汚染されているアメリカ。大統領も議会も学者もメディアも金融業界に買収されている?との噂もある。事実、国の政策の多くは、金融界などが送り込んだロビイストによって作られ、強欲な一握りの大金持ちと大多数の貧困者との格差社会が拡大している。
外交政策までもがジャパンハンドラ―のような利権屋集団に牛耳られているのが実態である。小泉首相時代の郵政民営化もアメリカの押し付け、最近はまた、年金の株式運用を目論んでいる。アメリカ従属主義から抜け出せない限り逆らうことは出来ない。
アメリカに逆らったらどうなるか・・・は過去の例を見れば一目瞭然である。

そんなアメリカの後押しと安倍首相のかねてからの思いが一致し「戦争をしない国から戦争をする国への一大転換」が、欺瞞に満ちた解釈改憲だけで行われようとしているのだ。まさに暴挙暴政!これを許すと、いずれ国民にツケが回ってくるのは必然であろう。権力の暴走を止めるためにあるのが憲法である。
憲法破壊に繋がる集団的自衛権の行使容認を許してはならない。

来年2015年は第二次世界大戦終結70周年、日本は敗戦から70年目を迎える。この間、憲法9条によって戦争に巻き込まれることなく平和を享受してきた日本であるが、来年は敗戦国として「負の時代」がクローズアップされることは間違いない。天皇制軍国主義国家として戦争に突き進み、中国や朝鮮、アジア各国を侵略したことが再び蒸し返されるであろう。
ましてや日本は、戦争責任の受け止め方の曖昧さが今も批判されている。集団的自衛権の行使が容認されると尚更に批判が強まることが予想される。
これらを踏まえての国会審議をすべきだし、安倍首相に覚悟を問うべきである。
さて、その問いに安倍首相はどう答えるのか・・・。