[150]日本の財団法人のあり方

高橋 郷 投稿日:2010/12/25 11:19

11月28日の講評読みました。
好意的な意見の方が多かったにもかかわらず、あれだけ否定的なコメントを隠さずに公表するとは、さすが学問道場。改めて感服しました。

さて、日本の財団法人のあり方に疑問を呈したくコメントします。
私は先月、11月まで(財)地球環境戦略研究機関(IGES)に特任研究員としておりました。私の職務は、主に2つ。生物多様性条約締約国会議(COP10)の運営・支援業務。そして、環境省が定める「環境基本計画」の2年後の改定に向け、アジアにおける環境協力のあり方の検討を行うことでした。しかし、そこで環境省から出向している(まだ環境省籍の)上司、西宮氏ともめることになりました。まず、私は、アジアにおける知見も経験もそれほどありませんので、省庁含む関係者にリサーチを行ったところ、「環境省の許可はとってあるのか。省庁の仁義に反することはするな。」とおしかりが。リサーチ程度で許可云々いうのもどうかとは思いますが、省庁関係者は、忙しいのだから、外部の人間が直接電話で質問するのはいけないとのこと。直接省庁に伺ってアポをとれとのことです。私も、かつて公務員でしたので、納税者でお客様である市民の発言にはよく耳を傾けなくてはいけないと、口酸っぱく言われてきましたが、中央省庁の文化は税金を払っている市民がお客様であるという認識がないようです。さらに、検討会の一つとっても、構成員の識者を選ぶのにも逐次環境省担当課の許可を伺います。「この先生は、ちょっと・・・」と言われることもしばしば。要は、都合の悪い発言をする人間は、発言の場にそもそも呼ばないということです。非常に恣意的な会議(シナリオも結論もあらかじめ用意された)が、税金を使ってなされているという実態があります。それでは、何のための検討会なのか全く意味をなしません。
ペーパに関しては、西宮氏より私は、関係者にリサーチせずにかわりにインターネットのみで調べて書くように言われました。私も現場主義でやってきた人間。「それは違うのでは。そもそも基本計画のこととは別に、何のための、そして何を求めて検討するのかという大きな方向性が見えない」と抗議したら、「高橋君、もういいよ」とあっさりと仕事から外されてしまいました。当然、納得できないので、さらに抗議したら今度は、「環境省から高橋君にクレームがついた」とのこと。おかしいと思ったので、担当課、国際連携課の塚本課長に直接聞いたところ「そんなこと言うはずがない」とのことでした。いずれ、特任という身分では上司に従うほかはありません。また、財団法人とはいえ、運転資金は100%公金です。税金からお給料を頂いていて、仕事をしない、買い殺しの身でいることはできません。規定では退職まで1ヶ月の猶予を置くようにはなっていましたが、それでは何もせずにボーナスももらうことになってしまいますので、11月下旬で退職しました。いずれ、財団法人は、要職が全て関係省庁からの出向職員で占められています。そして、彼らの承諾がなくては、仕事が進まない。また、現実に、環境省が公募した仕事を環境省に籍のある職員が書類を作成して入札する、という一種の癒着ともいえる体質があります。内部の賃金格差も著しく、省庁出身者は、1500万円前後、一方、実働部隊である、期間限定の特任研究者等は、月給20万いかないくらいの給料で明日をも知れぬ状態で働いている実態があります。実際、数年前には、横浜地裁に雇い止めの裁判も起こされています。(当然お上側の勝利)。給料格差等を所長に指摘したところ、「バカヤロー、労働の正当な代価だ。お前、帰れ。」と激昂してののしられました。どうも官僚出身の方は、税金で働く「公僕」であるという指摘をされることを嫌がるようです。COP10でも政府団控室で「民主党より、自民党のほうがまともだった」というような意見を多数聞きましたが、自分たちが国家を動かしているという強烈な意識があるのでしょう。ただの事務公務員なのにです。
IGESだけのことかもしれませんが、日ごろよりアロハシャツのような服装をして談笑にふけり、外国人労働者も含め、ヘッドフォンで音楽を聞きながら机にすわっている等、公金で働いているという意識がみじんも感じられませんでした。環境政策については、戦略研究と言いながらも、実際は、ネットワークづくりに従事している部分が大きく、それであれば、他の大学等研究機関、民間で充分にやれるはず。他のコンサルの方より、「環境省の仕事をこれだけとれるのは、IGESだけだ」との話を伺いましたが、要は、環境省の非常勤の実働部隊だということです。環境省が手の回らない仕事をコストを低く抑えて行うために便利につかっている組織なのです。そして、雇われる側も、海外の大学院を終了したのだけど就職先に困っている、という方が多く、労働市場の供給側の弱みにつけこんで安く買いたたいている、という面もあります。
いずれ、戦略研究という名にふさわしい仕事を本当にしているのか、実態を知っていただき国民の判断を仰ぎたく思います。もちろん、今の職員の方たちの生活を守る必要もありますから、私は規模を縮小して出直すべきと考えます。

蛇足ですが、辞めることには、周囲から、「世間知らず」「馬鹿だ」と散々いわれましたが、そのとおり現在も就職活動中の身です。先日は、小沢塾第11期生の募集がありましたので、応募いたしました。私は、岩手にいるときに高橋求氏(世間的には無名ですが、往々にして、日本社会ではこういう無名の方の方が社会への影響力が強いことがあります。)より、小沢氏の考え方や、日本社会そして人間について教えをいただく機会がありました。ですので、政治家になろうとか、小沢氏に師事したいということでもなく、単に自分が小沢氏に必要とされる人間であるか試したく受験したところです。公務員時代の上司と高校時代の友人からの推薦書がきいたのか、一次はとおりましたが、二次の面接で落とされました。環境問題とは何かいう問いに、「命を守ることだ」という主張をしましたが受け入れられなかったようです。一年生議員の方たちが面接官には多かったのですが、人を見る目を養い、次回の選挙は風が無い中での厳しいものになるでしょうから、ぜひ頑張ってもらいたいものです。それにしても、小沢氏もご自分の名前のついた塾なのだから、選考会、少なくとも顔くらいだすべきでしょう。まだまだ頑張られるでしょうが、そこは少しがっかりしました。
以上、長文、駄文で失礼しました。