[148]日経社説に反論する

近江太郎(おうみ たろう) 投稿日:2010/12/21 20:53

近江太郎です。今日は2010年12月21日です。

昨日(12月20日)の日経新聞に「高速の無料化はもうやめよ」とのタイトルで次の様な社説が掲載されていました。

(引用はじめ)

政府は高速道路の通行料の無料化をいつまで続けるつもりなのか。経済効果があいまいなうえ、道路建設で膨らんだ借金の返済を税金でまかなうのだから早急にやめるべきだ。(中略)
無料化は受益者負担の原則にそぐわないうえ、一種の民業圧迫だ。高速道路と競合するJRやフェリー会社だけでなく、交通渋滞を懸念するバス会社なども反対している。来年度予算の「元気な日本復活特別枠」の配分を決める時に実施した一般からの意見公募では8割強が「事業の実施は不要」と答えた。民主党がマニフェスト(政権公約)に盛り込んだ看板政策とはいえ、これだけ不人気で問題点が多い政策になぜ固執するのか理解に苦しむ。

(引用終わり)

私は現在滋賀県大津市の中部地区に住んでいます。

比叡山と琵琶湖西岸に挟まれた地区ですが、ここに比叡山のふもとに沿って一本のフリーウエイが走っています。
近い将来には琵琶湖西縦貫高速道路と呼ばれるであろうこの道路は京都市山科区との境界近くから大津を通り湖岸沿いに北上し、敦賀方面に向かいます。

現在は大津市内を走る30キロメートの区間が高架になり暫定2車線のフリーウエイとして開放されています。その先の北への延長工事と4車線への拡張工事が現在も行われています。

このフリーウエイは民主党が高速道路の無料化を言いだす2009年より4年前の2005年から無料で開放されています。
1986年(昭和61年)に日本道路公団が管理する一般有料道路として開通しましたが、料金が普通車で830円と高かったため、並行して走る国道161号線は渋滞が続いていたのに高速はガラガラという状態でした。

そこで国は2005年(平成17年)3月25日、公団民営化を契機に滋賀県と共同して178億円で買収し、2005年8月1日より無料となったものです。

現状は交通量が増加しているためフリーウエイも161号線も渋滞することが多くなっています。また土日は他府県から観光に来る乗用車が多く、渋滞が常態化しています。

この琵琶湖西縦貫道路は京都の山科において名神高速道路と国道一号線に接続しています。敦賀までの全区間が高架4車線で完成し無料で開放されるならば京阪神から北陸方面への大動脈として活用されることは容易に想像できます。

そして、その先には日本海を隔てて大陸の諸国(統一されるであろう韓半島、中国、ロシア)があり、敦賀港辺りが大きく整備され大陸との物流の拠点になるのではないかと想像します。

かって、古代においては福井県の小浜や敦賀などが大陸からの玄関口でした。このあたりの海岸から上陸した渡来人たちは山間を縫って、琵琶湖の北部に出て琵琶湖を水路南下し、大津辺りに上陸した後、瀬田川沿いにさらに南下して大和盆地に到ったものと思います。滋賀県には渡来人の痕跡が沢山残されています。

シルクロードの終着地点といわれる奈良の都、その最終通路としての琵琶湖に大陸からの知識人、技術者、文物を載せた船が行き交っていた様子を私は想像出来ます。そして、近未来において、同じ空間を高速で行き交うトラックを私は想い描いています。

上の日経社説にある「受益者負担の原則」という一見もっともらしい偏狭な議論に誤魔化されてはいけません。

そもそも、道とはいったいどのようにしてできるものか、もう一度原点に戻って考え直さなければなりません。

それは経済合理性により、人々の意思により、必然的に出来上がるものです。古代のシルクロードの様に。

道の「受益者」とはその道を実際に通る人だけではなく、その道を通ってくる人や物や情報を受け取る社会全体が受益者なのです。

従って、道を造り維持する費用は社会全体で負担することこそ正しいのです。