[1454]経済物理学(econophysics)が予言する来年1月の株式市場の暴落

ジョー(下條) 投稿日:2013/11/21 19:29

金融工学ということばは皆さんも知っていると思いますが、最近では、金融に物理学が入ってきました。「経済物理学、econophysics」といいます。私はどんな分野か興味があったので『ウオール街の物理学者』という本を読んでみました。

下に、その本の中の「ドラゴンキングの足音」という章から、一部を引用します。暴落を予言するテクニックに関して書いてあるところです。

<引用開始>
1977年の夏の終わりのことだった。ソネットは数年前からこの研究にとりくんでいたが、いまやっているジャンルに当てはめるのはこれが初めてだった。十分に時間をかけて、大量の過去データを精査した。大きなできごとが起こる前にはかならず、同じ特徴的なパターンが現れていた。グラフは波打ち、しだいに波の間隔が縮まってくる。揺れはどんどん細かくなり、その先の一点に集まろうとしている。臨界点だ。

(中略)

ソネットはルドワに、自分がいま発見したことを話してみた。データのパターンによれば、何か重大なできごとが起ころうとしている。世界を揺るがすようなできごとだでもそれは、地震や天災ではない。大惨事を迎えようとしているのは、世界の金融市場だ。ソネットはそれが起こる時期まで特定していた。10月の終わり、ほんの2ヶ月ほど先の話だ。

(中略)

そしてついにそれは起こった。1997年10月27日月曜日、ダウジョーンズ工業平均株価は554ポイントの下落を記録した。一日の下落幅としては史上六番目に大きい数字だ。
(『ウオール街の物理学者』より引用)
<引用終了>

この上の引用した文章の中で名前のでている「ソネット」という人は、ETH(エーテーハー、スイス連邦工科大学)の教授のディディエ・ソネット(Didier Sornette)のことです。もともとは材料科学や地球物理の研究者でしたが、現在は「経済物理学」の専門家です。様々な破壊現象とその兆候に興味を持ち、上のように金融の暴落にかんしても予測を試みています。上海総合指数(SSE)の暴落も予告して当てたようです。

この引用した文章の「大きなできごとが起こる前にはかならず、同じ特徴的なパターンが現れていた。グラフは波打ち、しだいに波の間隔が縮まってくる。揺れはどんどん細かくなり、その先の一点に集まろうとしている。」というグラフに、私はすごく興味がありました。

つい最近それをウエッブ上(zero hedge)で見ましたので、それを貼り付けます。S&P500株価指数です。ソネットではなく、John P. Hussmanという人がつくった図です。確かに波の間隔が縮まって、揺れはどんどん細かくなっています。これをソネット・バブルと呼ぶようです。

さて、重要なのは、これは過去のグラフではなく、現在と未来のグラフだということです。そして、臨界点による暴落の時期も予告されています。予告されている時期、つまりフィッテングによる臨界点は来年(2014年)の1月です。

副島先生も最近著『帝国の逆襲』でイエレン(QEの継続を表明したのでQEeen Yellenと呼ばれている)のFRB議長就任時(来年1月)に暴落がおこるだろうと予測しています。

同じサイトに日経平均もありましたが同じように波の間隔が縮まって、揺れはどんどん細かくなっています。おもしろいですね。

私はお金もうけには興味がないのですが、この予言があたるか、つまり「物理学が金融市場という複雑系の予言を本当にできるのかどうか」の一点に注目しています。

下條竜夫拝