[1430]佐藤 優さん「元外務省主任分析官」の思考(1)

6555 田中 栄 投稿日:2013/10/31 11:50

佐藤 優著「人に強くなる極意」より

 国家の礎は領土だ。自国の領土をきちんと実効支配していない国家は一人前とはいえない。日本は韓国により竹島(島根県)を、ロシアにより北方領土(北海道の歯舞群島、色丹島、国後島、択捉島)を不法占拠された状態だ。北方領土交渉については、安部晋三首相とロシアのプーチン大統領は波長が合い、また急速に台頭する中国を牽制するという日露両国の戦略的利益が合致している。上手に交渉すれば、歯舞群島、色丹島は近い将来日本に返還され、国後島、択捉島についても何らかの妥協が成立するかもしれない。
 竹島について、韓国は一切妥協する意思がなく、領土問題の存在すら認めない。近い将来に、竹島問題が解決する可能性はないだろう。しかし、ロシア、韓国が、日本の領土を追加的に奪取する危険はない。
 これに対して、中国が尖閣諸島(沖縄県)を武力を用いてでも奪取する危険性は現実に存在する。中国が潜在的脅威だという見方は甘い。日本にとって、中国
は潜在化した現実的な脅威である。このような状況で、今後日本の防衛力は強化
され防衛予算も増える。消費増税の目的について、財政健全化や社会保障と税の
一体改革に焦点が当たっているが、同じくらい重要なのは、必要かつ十分な防衛費を確保することだと私は見ている。
 2014年、日本版NSC(国家安全保障会議)が創設される。新聞やテレビなどでは、NSCが情報収集・分析や危機管理に従事する機関であるかのように報道されているが、それは大いなる誤解だ。NSCは日本が戦争を行うか否かを政治的に判断するための機関なのだ。憲法の文言がひと言も変化しなくても、国際情勢の変化に対応して、日本の国の姿は変化しているのである。
 こういう大きな時代状況の変化について、「私とは関係ないことだ」と思ってはならない。大きな与件の変化は、一人ひとりの日常生活に必ず影響を与える。

(まえがき P4~P5)

皆さんはどう思われますか?
私は「ううーん、そうかなー!?」