[1395]覇権アメと中国人の本性の感想
会員番号7543の伊里友一朗(いざとゆういちろう)と申します。
簡単に自己紹介致します。
年齢は29歳です。専門は工学で、具体的には、燃焼学と安全工学です。
現在は、研究者となるべく勉強中です。
私は政治思想や社会学は素人ですが、
副島先生や学問道場の言論より勉強したいと思います。
副島先生を知ったのは、ニコニコ動画の対談番組で、
「この人は嘘をつかない人だ」と勝手に
確信し副島先生の本を読むようになりました。
ここ2,3年の著作のほとんど(80%程度)は拝読していると思います。
以下、副島先生の「世界覇権国アメリカを動かす政治家と知識人たち(以下、覇権アメ)」
と「中国人の本性」を読んだ感想を投稿します。
私は会員の中では、比較的最近入会した方の(まだまだ経験の浅い)部類と思います。
まだまだ副島言論の理解が浅いと思いますが、
重たい気持ちで感想(と感謝)と、副島言論への向き合い方を書こうと思います。
・覇権アメの感想。―属国・日本モデルと自身の思想の形成について―
副島先生の主著というのが、よくわかりました。
今まで何となく使用していた保守やリベラルという言葉、
そしてアメリカ政治思想の流れが、よく理解、整理できました。
個々の政治家たちの名前の多くは忘れてしまいましたが(笑)。
ただ、思想の流れだけは、しっかりと理解しようと思っています。
今まで、副島先生の本は何冊か拝読させていただきましたが、
この本はもっと早くに読んでおくべきでした。(属国・日本論は1年ほど前に拝読したのですが。)
これは私の勝手な理解なのですが、
副島先生は、小室先生を代表に様々な先生から様々な学問を吸収し(引用元を明確にしつつ)、
辿り着いたのが、帝国-属国モデル、いわゆる「属国・日本論モデル」であって、
その後の著作は、属国日本論モデルを通して観た世界の諸現象に対する解析なのではないか、と愚考します。
物理学者がニュートン力学モデルを通して、観測できない力場や慣性系を観るように、
副島先生は属国日本論モデルを通して、政治力学上の力や流れを観て、予測しているのだと理解しました。
そうであるならば、
副島言論を理解するうえで、属国・日本論と覇権アメは初めに読み、
その理論の蘊奥を理解しておけば、その他の本を読むにあたり
より理解が深まったのではないか、と今さらながら後悔しております。
(学問道場HPには、まずこの2冊を、と丁寧に注がありました。)
話は少し変わりますが、
私は以前より、自分の思想はどのように形成されるのか、についてずっと疑問でした。
恥ずかしながら、私には政治的思想はありません。きっと今もありません。
右とか左とか、保守とかリベラルとか、言葉としては聞いておりましたが、
その切実さは、私にはわかりませんでした。
「自身の思想と信条を明確にせよ。」と言われると非常に困ります。
しかし、この覇権アメを読んでいて、ようやくその答えが少しわかりました。
それは、自分が勉強になると思った人は誰でも自分の先生にして、
何を誰から教えてもらったかを明示しつつ、知識を発信・紹介していくことで、
世界を解釈するモデルが形成され、自然と自分の立ち位置が定まるのだ、と。
そして、これは正しく副島先生のスタンスではないか、と思います。
そのことが覇権アメを読んでいる際に切実にわかりましたので、
感謝を込めて、こうして投稿することにしました。
引き続き、副島先生とSNSIの皆様の言論から多くを学びたいと思います。
・中国人の本性の感想。―諸外国との政治的・文化的ダイナミズム抜きに日本史は語れない―
小室直樹先生の中国原論と同時並行的に拝読致しました。
中国人の本性の感想の前に、
小室先生の書かれる「原論」という仕事の偉大さをまず知りました。
今回も中国という国家に対して、一般理論と申しますか、基本OSと申しますか、
思考の土台となるものを提供していただいたおかげで、
より良く「中国人の本性」を理解できたと思います。(まさに土台学なのですね。)
中国人の本性を読んで理解したことの一つは、
「なぜ日本の歴史教育が細切れになるのか」ということでした。
それは、外国との相互作用をほぼ(意図的に?) 無視しているからなのでしょう。
社会学科の教師は「歴史は流れが重要だ、闇雲に暗記しても駄目だ」と口を揃えますが、
本当の流れとは、諸外国との政治的、文化的な相互作用のダイナミズムだ、と理解しました。
私も大学生のときは、アルバイトで中学生相手に歴史の授業をしていましたが、
突然、鎌倉仏教が出現したり、鑑真が来日したりで、
流れも何もなく、これは暗記しろ、と言わざるを得ませんでした。
すべて国内の出来事で完結させようとすることに無理があるのでしょう。
副島先生は、新たに中国本を執筆されるということですが、
中国知識人が日本に与えてきた影響に関する総整理を行うのではないか、
と期待しております。本書はその前の謎解き前の基本知識編なのではないかと思います。
本編最終章で、石平氏とやや議論が噛みあわなく見えるのは、石平氏が
副島先生の属国日本論モデルに関して、中国-日本モデルは認めて対談を進めつつも、
現在のアメリカ-日本モデルに関しては理解できない、というよりは、明言を避けられたのかな、という印象でした。
以上です。
伊里友一朗拝