[134]私たちの定例会が無事終わりました。平野貞夫(ひらのさだお)氏の文を載せます。

副島隆彦 投稿日:2010/12/01 04:34

副島隆彦です。 3日前の11月28日(日)に、私たち「学問道場」の年次総会、株主総会とも言える 秋の定例会(自力での講演会)が無事終わりました。 700名が入る会場一杯に会員が集まってくれました。ありがとうございます。 

 須藤よしなお君が、優れた政治映画論を論じて、それから私が話をしました。 

 いくら大きなホテルの大会場でも、元が宴会場ですから、大勢がずっと座っていると、どうしても換気がよくなくて、二酸化炭素が増えますから、いっそのこと大きな出入り口を開け放てばいいのに、と私は思いました。
あのような良い会場を借りますと、会場代だけで100万円するそうです。
何をするにもお金がかかります。 

 世の中はお金で動いている、だから、副島隆彦の歴史学は、お金の動きを中心に、世界史(人類史)と、日本史の両方を、すべて作り変えようとしています。 「それでは、その1万人の兵隊を動かすのに、一体、どれぐらいのお金が掛かったのか。その資金の獲得の経路と、その時代の経済制度を必ず、論じなければいけないのだ」と私は言います。 「集まってきた、それだけの数の人間を食べさせるのに、どのような産業があり、どのように資金の入手に動いたかをこそ調べるべきだ」 と、 私はいつも思います。

 私の歴史の本である、「歴史に学ぶ知恵 時代を見通す力」(PHP研究所刊 2008年8月)の まえがき を是非、読み返してみてください。

 私は、今年1年間の、激しかった日本政治の動きを振り返ることからすべきだったのです。 ここで、簡単に書いておきます。

 昨年(2009年)の12月15日の、突如の小沢一郎秘書たち逮捕から始まり、今年2月の、小沢一郎を検察庁が逮捕するのではないか、の攻防戦を経て、政治家たちの劣化が激しく進み、すっかり変質した民主党の中の、裏切り者たちが、暴れ出し、 アメリカと官僚どもに屈服して、そして、6月2日の、今でもまだ理由がはっきりしない、鳩山由紀夫首相の辞任、小沢一郎の幹事長からの無理やりの辞任の劇となり、それから、7月13日の、深く仕組まれた参議院選挙での敗北がありました。 

 これで、参議院で多数派でなくなったので、「憲政(けんせい、立憲政治)の常道(じょうどう)」に従うならば、日本改革のための法律を、どんどん作り、改正してゆくことが出来なくなって、小沢一郎たちが掲げた「国民の生活が一番」の国民革命が、頓挫することになった。 あれは、フランス大革命の時のテルミドールの反動に相当する。

 許すまじき変節漢の菅直人らは、このあと、9月14日の、民主党代表選挙で、アメリカのCIAが仕組んでくれるままに不正選挙を行い、小沢一郎が当然、圧倒的多数票を取って、首相になるはずだったのに、これを阻止して居直った。 

 その次は、「検察庁に逮捕される検察官たち」という珍妙な司法制度崩壊の事件になり、「法務省からやってきた(元検察官の)裁判官」どもが、小沢一郎を、検察審査会、という、国家機関なのに特殊な宗教団体に乗っ取られている組織が動き出して、最高裁判所の裁判官どもまでが、違法手続き、と違法行為に、公然とどんどん手を染め出した。 今や、日本の裁判官たちの中の管理者層までが犯罪者集団となった。彼らを誰が、処罰するのか。

 それから、朝鮮半島情勢(3月26日、哨戒艦に米原潜が衝突・沈没させた)と、尖閣諸島漁船拿捕(だほ)事件(9月7日)を、アメリカが画策して作り出し、 11月28日からの黄海(こうかい)での米韓合同演習が、今日12月1日に終わる、中国は静観する事で余裕のある態度を取った。
このように政治問題が続きました。

 ところが、私は、28日の講演会で、阿弥陀如来(あみだにょらい、アミダーバー)も観音菩薩(かんのんぼさつ。29歳までの王子様のブッダの姿)も弥勒菩薩(みろくぼさつ、マイトレーヤ)も、すべて女の像であり、これは、マグダラのマリア(イエス・キリストの奥様)なのだ。全部、これらの像には、オッパイがあって、腰がくびれているじゃないか。 

 ということと、メディチ家とミケランジェロの話をして、メディチ家が、ローマカトリック教会(ローマ法王)の「支配の思想」と闘って、ルネサンスなるものを始めたのだ、ということを、私はずっと話し始めました。共和政(リパブリック)とは何か、デモクラシー(民主政治)とは、どう違うのか、の話をしました。 おそらく、会場に集まってくれた会員たちで、私の話を理解したのは、2割ぐらいだったと思います。 それでもいいのです。

私、副島隆彦が、時代の最先端であり、この国の思想をひっぱってゆく人間だから、私よりも頭のいい人間がいて、私よりも、時代の先読みが出来て、どんどん先を行くようだったら、その人が、私の先生だ。 他の会員の人たちは、DVDでこの講演をしっかりと観てください。 

 私たち学問道場は、いよいよ、知識集団、読書人の団体として純化してゆきます。金融の話(金融セミナー)で、お金・投資の話が中心の人たち向けの講演会は、徐々(じょじょ)に別個に切り離してゆきます。

人間は、それぞれ持って生まれた個性と個質と個疾を持っていて、ぞれぞれ生まれながらに知能と 理解力が違いますから、それらを、一緒くたにして、相手に共通の理解を強制することは出来ません。私は、出来る限り、それぞれの人に合うように、違った話をするように心がけています。

以下に載せるのは、私たち日本国民の優れた指導者である小沢一郎の参謀長役を長年務めていて、参議院議員をおやめになってから言論活動で、日本一新の国民革命運動 を推進している 平野貞夫(ひらのさだお)氏の最新の文章です。 私、副島隆彦は、平野貞夫氏の考えに、全面的に賛成です。

 平野氏が、推進している日本一新の会」にすでに参加している人たちが、私たち学問道場の会員の中にもおられると思います。ただし、私たち学問道場は、政治活動団体ではなくて、知識・思想・学問を勉強し研究するための在野(ざいや)の研究会ですから、このまま私たちがただちに政治活動としての国民運動を始めることはできません。 

 親鸞聖人(しんらんしょうにん、浄土真宗の開祖の僧侶。本当は、浄土門はマリア信仰だ) が言った、「面々(めんめん)の御計(おんはか)らい」です。 どのように生きるか、決断するかは、「それぞれの人が、自分の意思で、自分で決めること」です。 

私たちは、何事をするにも、慎重で注意深くでなければいけない。己(おのれ)の単純な正義感と、怒り からは何も生まれません。 以下の平野貞夫氏の文章を、じっくりと読んでください。 副島隆彦拝

(転載貼り付け始め)

「民主党政治が劣化した原因は何か」

http://www.the-journal.jp/contents/hirano/2010/11/29.html

平野貞夫(ひらのさだお) 

2010 年 11 月 29 日

■民主党政治が劣化した原因は何か

 柳田(やなぎだ)法相の放言による辞任、仙谷官房長官の度重なる暴言・失言をめぐる問責決議案の提出などで、補正予算の審議遅延、そして北朝鮮による韓国砲撃で、菅首相のリーダーシップが問われている。

 11月23日(日)、反小沢で名を売った、生方(うぶかた)衆議院議員の選挙区である千葉県松戸市で市議選が行われた。民主党は11人の候補を立てたが、当選はわずか新人2人だけであった。現職4人全員が落選し、法定得票に満たない候補が3人いたという大惨敗である。

 また、来年の統一地方選を調査している著名な機関によれば、西日本(関西・中国・四国・九州)で民主党は壊滅的とのこと。10月末の帰省のとき、民主党高知県連で同党公認で立候補予定者数人から、新しい形で出馬したいがどうだろうかとの相談があったが、この状況を民主党国会議員がどれだけ知っているのか、はなはだ疑問である。

 菅政権が、国会運営を始め外交・内政あらゆる面で機能を喪失している原因は、直接的には「小沢排除」の政治を続けていることにある、と言えば反論する人もいようが、私に言わせれば昨年の政権交代のときから事実上「小沢排除」が始まっていたのだ。「政策の協議と決定に関わらない与党幹事長」で議院内閣制が運営できるはずはない。

 昨年3月から麻生(あそう)自民党政権が仕掛けた「小沢の政治と金」は、政治捜査で政権交代を阻止し、小沢氏を政権から排除する政治謀略であった。鳩山氏はそれを理解していたが、菅氏は民主党内の反小沢グループに同調し、「小沢はずし」を工作していたと私は推測している。昨年8月の政権交代の前後、「旧さきがけ」関係者の小沢批判と小沢下ろしは異常であった。それは麻生自民党政権と検察の方針を事実上継承するものであった。

 鳩山民主党政権が発足した時期、細川(ほそかわ)元首相は私に「細川政権を潰したのは小沢さんではない。”さきがけ”に問題があったのだ。日本新党から”さきがけ”に移った人たちは、人間として性格が悪く、誠実さがない」と民主党政権の行方を危惧していた。

 菅政権が発足して、民主党政治が政権交代の原点から離れ、自民党政治より悪質になった状況を心配した鳩山元首相は、小沢氏を参加させた挙党体制を再生させようと努力した。しかし、菅首相は拒否して九月の代表選となる。代表選での菅首相の言動から本性を知った国民の中には、その能力に疑問を持ち、今日の状況を予期した人たちは少なくない。

 小沢氏は、菅首相が劣化させた政治に反省を求め、民主党政治を正常化し、日本経済を回復させ「国民の生活が第一」の政治を実現すべく、多くの出馬反対論を排して代表選に挑戦した。小沢氏が「代表選出馬反対論」に乗って、「静かにして」いたなら、この危機的状況で民主党は、国民からどう批判を受けたか自明である。政権交代の大義は泡となって消え去っていたのである。

 小沢氏が代表選で、混迷する日本を如何にして再生させるか、具体的提案をしたことが、民主党がどうにか国民に支えられている一筋の糸といえる。反小沢の先鋒マスコミを任じている、サンケイ新聞の世論調査で、望ましい首相のトップに小沢一郎氏が8.6パーセントと躍り出たことが何よりも証明している。

 現在の悲劇的ともいえる菅政権の政治劣化の責任は、筋論からいえば「代表選での菅首相で菅代表に投票した人たち」にある。党員・サポーターはマスコミの俗論に影響されてのことであろう。国会議員の中には政治体験の浅い人たちもいるので強く責めるつもりはない。

 また、小沢排除の確信派すなはち、欲に凝り固まって自分本位で動き、善良な国民を裏切る輩は論評するだけでも無益である。

 一方、自民党時代から小沢氏と政治行動を共にしてきた「渡部恒三・藤井裕久(ふじいひろひさ)・石井一(いしいはじめ)」らの責任は論じておかなければならない。彼らはマスコミなどを通じて小沢氏を誹謗し、時代背景も読めずに「代表選に出馬すべきでない」と論じた。ニンジンを鼻先にぶらさげられてのか、毒マンジュウに当たったのか知らないが、貴方がたは何のために、何年政治家をやっていたのか。

 他の2人に関しては自民党時代からの行状はいやというほど知っているので何も期待はしない。しかし、藤井氏は、私が衆議院事務局時代からの知り合いで、政治家としては同志であった。私たちの積年の課題であった政権交代をなし得た今、小沢排除による日本政治を劣化させた氏の責任は重大である。

■民主党はどうすべきか

 この日本の危機に、私がもっとも残念に思うのは、民主党国会議員の大多数が小沢一郎という政治家の実像を知らないことである。否、知ろうとしないことである。政権交代を阻止しようとする国家権力が、約30億円という税金と、1年数ヶ月という時間を使って、小沢氏のあらゆることを捜査して不起訴となった問題を、憲法違反の権限をもつ検察審査会を怪しげに操作して、小沢氏の政治活動を停止させる事態を、座して見過ごしていてよいのか。それで社会の木鐸といえるのか。

 しかも、政権交代以後は民主党内で小沢氏の活動を封印しようとする動きが目立った。わけても小沢氏に近い人たちでさえ、強制起訴となり刑事被告人となれば政治活動はできない。ましてや、首相になることは不可能だと思い込んでいる国会議員がいることが残念だ。

 国会議員たちが議会民主政治の精神を理解しておれば、強制起訴を止めることもできるのである。麻生政権が指示し、検察権力が民主政治に仕掛けてきた事件であるという認識を、国会議員が認識しないところに今日の問題があると同時に、小沢氏の国会での説明を国会対策の駆け引きに利用するという悪例を放置しておくことは、なんとも情けない政治家どもである。

 今一度、小沢氏に代わる政治理念と高い見識を持つ政治家が他にいるのかと問いたい。民主党が再生政権交代の原点に立ち返り、外交も内政も国民が安心して生きていける日本とするために、小沢一郎という政治家を民主党政権の「ど真ん中」で活動できるようにするのが、喫緊(きっきん)の課題であり、民主党が再生するには他に術はないと断言する。

 違憲で違法の強制起訴を阻止するのが、当面の重要課題である。劣化した司法関係機関が強制起訴裁判とし、万が一「刑事被告人」と呼ばれても、内閣総理大臣に就任しても憲法上何の問題もない。(長年)衆議院事務局に奉職し、後に参議院議員に転じても、一貫して憲法に照らした議会民主政治の実現に生涯を託した私だから自信を持って断言する。

 これらはむしろ、日本に真の議会民主政治を確立できる絶好のチャンスともいえる。ここ数年の小沢氏に対する国家権力の弾圧は、戦後民主主義を誤って生きてきた、私利私欲に生きた日本人の足掻きであった。小沢グループといわれる政治家は、せめてこのことを肝に銘じておくべきである。

(転載貼り付け終わり)

副島隆彦拝