[1286]豪国防白書2013

寺平 浩 投稿日:2013/05/10 23:51

グッダイ マイト、寺平です。
 
こちらオーストラリアは例年に比べて寒いの一言につきます。なんせ雨ばかりですから。

ところで今日のテーマですが先週、政府から発表された国防白書を
日本の新聞から読み解こうとおもいます。

まずはじめに、新聞A
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オーストラリア政府は3日、「国防白書」を発表した。

太平洋海域で米中の角逐が深まる中、中国の挑発行為などに対する抑止力を高めるため、新型または改良型の潜水艦12隻の建造を目指す方針を示した。

国防白書の発表は2009年以来。当初は14年の発表を予定していたが、中国が海洋進出を強め、同盟国である米国がアジア太平洋重視の姿勢を鮮明にするなど、地域の戦略環境が変化していることを受け、発表を1年前倒しした。

白書では、インドから東南アジア、北東アジアにかけてのインド洋から太平洋にまたがる地域を、豪州にとって戦略的な「焦点」と位置づけた。
潜水艦建造に加え、電子戦機「EA―18Gグラウラー」12機の購入計画も盛り込んだ。

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では次に新聞B
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オーストラリア政府は3日、新しい国防白書を4年ぶりに発表した。中国との経済的な関係が強まったことを背景に、前回の2009年白書より中国の脅威に関する記述を弱めて「敵とみる立場は取らない」と明記。米中の2大国の間でバランスを取ろうとする戦略をにじませた。

 白書は米中関係について、今後数十年にわたり豪州の戦略形成に影響を与えるとの認識を示した。中国の台頭を「歓迎する」としたうえで「米国との同盟と、中国との関係のどちらかを豪州が選ぶべきだとは考えていない」と強調した。豪州にとって戦略的な意味を持つ地域の範囲を「アジア太平洋」から「インド太平洋」に拡大。インドの経済発展や軍事力増強を受けて、インドから東南アジア、北東アジアまでを重視する姿勢を打ち出した。

 日本については「技術や製造業で強みを発揮してきた歴史」に言及。防衛分野での技術協力を探ると表明した。安全保障に詳しいロウイー研究所のローリー・メドカフ理事は「世界有数の性能を持つ日本の潜水艦エンジンなどを示唆したもの」と解説する。

 ギラード首相は記者会見で、国防費を国内総生産(GDP)比で現在の1.56%から「長期的な目標」として2%に増やす考えを表明。スミス国防相は14日に発表する13年度予算に関して「国防費のさらなる削減はない」と強調した。

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同じテーマで情報源はオーストラリア政府だとおもわれますが内容が違います。

OZ(オージー=オーストラリア)のニュース番組を見ていて的を得ているとおもわれるのがBLOGOSから引用した記事です。

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オーストラリア政府は5月3日、国防白書2013を発表した。中国の台頭について脅威と見なしていた前政権から180度方針を転換し、中国の影響力拡大を歓迎する内容となった。
 安倍政権はアジア太平洋地域において中国包囲網を形成する外交政策を目指しているが、それとは真っ向から対立する形となった。

白書ではまず、米中関係について触れ、米中関係はアジア太平洋地域のみならず、グローバルな視点において、もっとも重要であると定義している。
 さらに中国に加えてインドの影響力が増大していることに触れ、アジア太平洋地域ではなく、インド太平洋地域という新しい戦略的「弧」が出現しているとしている。

 あっさりとした表現になっているが、これは従来のアジア太平洋地域の地政学的解釈を根本的に変えるインパクトのある出来事である。
  地政学の世界では、旧ソ連というランドパワーの国をシーパワーの国(米国を中心とした同盟国)が円弧の形で包囲するという形を基本的理解としていた。旧ソ連を中国に置き換えれば、従来と同様、中国包囲網を形成することが基本戦略ということになる。現在の安倍政権は基本的な世界観として中国包囲網を念頭に置いている可能性が高い。

 だがインド太平洋地域という新しい「弧」が出現しているという表現は、米国による中国包囲網という考え方が根本的に成立しなくなっている可能性を示唆している。
 白書では「オーストラリア政府は、米中のどちらか一方を選択する必要はない」とし、「中国は敵国とみなさず、平和的台頭を促すことを基本政策とする」と明言している。
  米国は日本から海兵隊を撤退させ、オーストラリアへの再配備を進めている。またシンガポールには最新鋭の沿岸海域戦闘艦の配備を開始した(本誌記事「米国がシンガポールに最新鋭艦を配備。その地政学的意味とは?」参照)。これはいわゆる 対中国シフト(リバランス戦略)の一環ということになるが、この動きは必ずしも中国を敵国と見なし完全包囲する事を目的とはしていない。
 中国を敵として封 じ込めるのではなく、交渉相手と見なし、局地的な海洋権益が保護できれば十分というレベルに米国の基本戦略が後退している可能性がある。オーストラリアが 米中双方との関係を重視するとした今回の白書の表現も、その延長線上にある。

 ギラード首相は国防白書の発表に合わせて「中国の影響拡大を歓迎する」と発言し、中国を敵国とは見なさいと繰り返し強調した。

 安倍政権は、米国を中心に、オーストラリア、東南アジア、インドとの連携を強化し、中国を封じ込める戦略を描いている。だが少なくともオーストラリアの現政権にはその意向がないことがはっきりした。中国と日本が基本的に利害の対立する国であることは、歴史的に見てもはっきりしている。だが少なくとも、米ソ冷戦時代の世界観をベースにした対中外交は完全に行き詰まったといってよいだろう。

 夏の参院選を無事乗り切ることができた場合には、長期政権の可能性も見えてくる。日本は中国敵視を貫き孤立外交も辞さないのか、中国に対してはある程度妥協するのか、そろそろ、現実的な安全保障政策の青写真を提示すべき時期が近付いてきている。

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OZは今期決算で大幅な赤字が予想されるため、中国の巨大マーケットを無視できる立場にありません。世界は変わりつつあるようです。

最後になりましたが若い世代の方々にはワーキングホリディ制度などを利用して、うちに閉じこもってないで世界の鼓動を直に感じてほしいものです。加地氏の体験記から率直に思いました。

今日のOZ庶民ニュースこれで失礼いたします。

Hiro Teradaira