[126]子宮頚がんワクチン「サーバリックス」
初めて投稿いたします。以下の質問の前段を、自己紹介に代えさせていただきます。
子宮頚がんワクチンについては、疑問を持ったので、下記質問を厚生労働省に送り、返答をいただきました。現在、友人にこの話を広めています。
ワクチン全般に多少の危険性はありますが、因果関係がはっきりするほど重大な危険があるものは少ないと思っています。子宮頚がんワクチン「サーバリックス」を、「民族根絶やしワクチン」と表現している方々がいますが、これはむしろ、正当な反論まで極論の中に含めて排除されてしまう結果になるのではないかと、心配しています。そもそも、それを狙った極論なのかもしれません。
「サーバリックス」は、薬品メーカーの利権なのだと考えるのが、現在のところ順当なのではないかと思います。公明党が推進しているようなので、公明党の実績作りと薬品メーカーの利権が一致して、進んでいるのかもしれません。以下は、厚生労働省に出した質問とその回答です。
子宮頸がんワクチンについての質問
平成22年10月24日
神奈川県○○○○○○ 岸 圭介
私は、学習塾を営んでいて、18歳と14歳の子どもがいる父親のひとりです。我が子は卒業しましたが、小学校のおやじの会の代表でもあります。子どもたちの健やかな成長を、仕事の上でも、保護者としても、また地域の大人の一人としても願っています。
さて、全国で「サーバリックス」子宮頸がんワクチンの接種が始まりそうな状況です。様々な情報に接し、このワクチンの接種に疑問を持ちました。そこで、私の疑問を明らかにしていただきたく、質問をいたします。私の認識に間違いがあれば指摘していただければと思います。ご回答をよろしくお願いいたします。
なお、南出喜久治という弁護士が、「サーバリックス」子宮頸がんワクチンを「民族根絶やしワクチン」であると主張し、厚生労働省などに質問状を出しているようですが、私はそれらの団体と、一切かかわりはありません。
子宮頸がん、サーバリックスについての私の認識
一般的にワクチンというものは、体の中に抗体をつくり、病原菌を死滅させるものと理解しています。しかし、サーバリックスは、がん細胞を死滅するものでもなく、子宮頸がんの原因とされるHPVを死滅するものでもなく、「抗体が子宮頸部粘膜に滲出し、子宮頸癌の主要原因である癌原性HPVの持続的な感染を予防している」(サーバリックスを製造しているグラクソ・スミスクライン社のHP http://glaxosmithkline.co.jp/より。以下の「 」もこのHPからの引用)というもので、その効果は「最長6.4年」しか確認されていないとのことです。また、サーバリックスは「HPV-16型及び18型以外の癌原性HPV感染に起因する子宮頸癌及びその前駆病変の予防効果は確認されていない」のですが、「15 種類ほどの癌原性HPV」の中で、日本は「海外と比べると、16型の検出頻度がやや低く、52、58型の検出頻度が高い」ようです。
性交渉によって癌原性HPVに感染しても、90%以上は免疫により体内から自然に消失するため、子宮頸がんに進展するのは、約0.1~0.15%であり、また、子宮頸がんになるまでには、通常、数年~十数年かかると推測されているようです。サーバリックスは2006年に販売が開始され、オーストラリアで承認されたのが2007年5月、イギリスで公的補助がついて接種されるようになったのが2008年9月です。
質問
1. 日本において、HPV16と18だけが原因の患者数は、全体の患者数の何%にあたるのでしょうか?「HPV-16及びHPV-18が子宮頸癌の約70%」と書いてありますが、患者数の70%からは、HPV16と18以外の癌原性HPVの感染が認められなかったという意味なのでしょうか?そもそも、人間は1種類のHPVにしか感染しないものなのでしょうか?
2. サーバリックスで、HPV16と18の感染を防ぐことによって、他の癌原性HPVの割合が増す可能性はないのでしょうか?また、HPV16や18が変異してワクチンが効かなくなる可能性はないのでしょうか?
3. 効果が最長6.4年ということですが、その後ワクチンの再接種は必要なのでしょうか?
4. 長期の効果を得るために、サーバリックスには「AS04」というアジュバント(ワクチン増強剤)が使われています。長期的な副作用の心配はないのでしょうか?「AS04」が不妊の原因になるという情報も流されていますが、これは本当でしょうか?
5. 効果が最長6.4年というワクチンが、数年から十数年しないと発病しない病気を予防するとされているのは、どのような論理なのでしょうか?また、日本での調査も行われ、サーバリックスの効果が検証されているのでしょうか?
6. 「本剤の接種は定期的な子宮頸癌検診の代わりとなるものではない。」とあるように、ワクチンを打っても定期検診は必要です。2007財団法人がん研究振興財団(http://www.fpcr.or.jp)によると、2007年の子宮頸がんによる死亡者は2441人、がんによる女性死亡者総数の133725人の1.8%、子宮がん全体は5622人です。子宮頸がんの70%が防げたとしても、子宮がん全体の30%しか防げません。定期健診の義務化、無料化により、子宮がん全体を減らすことができるように思いますが、ワクチン接種無料化を優先したのはなぜでしょうか?
以上です。ご回答よろしくお願いします。
厚生労働省からの回答
(平成22年11月10日に厚生労働省の2つの部(課?)から衆議院議員○○、市議会議員○○氏を通して回答を受け取る。原文はFAXのコピーで読みにくいため、2つの部(課?)からの回答を1つにまとめ、全文を転記した。)
質問1. 日本において、HPV16と18だけが原因の患者数は、全体の患者数の何%にあたるのでしょうか?「HPV-16及びHPV-18が子宮頸癌の約70%」と書いてありますが、患者数の70%からは、HPV16と18以外の発がん性HPVの感染が認められなかったという意味なのか、そうではないのかが分かりません。
【回答】
1.平威22年7月7日に厚生科学審議会予防接種部会において国立感染症研究所から報告されたHPVワクチンに関するファクトシートによると、我が国での子宮頸がんで検出されるHPV型別分布は、報告毎に成績が異なっており、HPV-16型と18型の割含は50~70%の幅がある。
2.また、ヒトがHPVに複合感染しないのかなどの御指摘については、平成22年8月27目の予防接種部会においては複含感染が約30%との説明があり、現在、国立感染症研究所等において調査研究いただいているところである。
質問2. サーバリックスで、HPV16と18の感染を防ぐことによって、他の発がん性HPVの割合が増す可能性はないのでしょうか?また、HPV16や18が変異してワクチンが効かなくなる可能性はないのでしょうか?
【回答】
1.HPV-16型及び18型以外のがん原性HPVに起因する子宮頸がん及びその前駆病変の長期予防効果は確立されていないため、御指摘の事項については不明である。
○現時点においては、子宮頸がんの約70%(日本では50%以上)においてHPV16とHPV18が関連しているとされており、これが直ちに、HPV16及びHPV18とは異なる型に変異して、HPV16、HPV18の割合が低下するといったことは考えにくく、現状においては、サーバリックスの有用性はあるものと考えています。
(岸追記 知人の産婦人科医に質問した時には、「16型・18型も、変異して31,33などになりますが、多少は予防できるそうです。」と返信がきました。)
質問3. 効果が最長6.4年ということですが、その後ワクチンの再接種は必要なのでしょうか?
【回答】
○現在、海外においては、引き続き予防効果の持続性について追跡調査が実施されているところですが、抗体価の持続期間や予防効果が期待される抗体価に関し、現時点で十分な情報が得られているとは言えないことから、追加接種の要否も含め、引き続き情報収集が必要と考えています。
質問4. 長期の効果を得るために、サーバリックスには「AS04」というアジュバント(ワクチン増強剤)が使われています。長期的な副作用の心配はないのでしょうか?
【回答】
○アジュバントとは、ワクチンの作用を高めるために添加される免疫増強剤です。一般的に、ワクチンの種類に応じて異なるアジュバントが用いられています。
○また、医薬品に添加されたアジュバントについても、動物試験において安全性等を評価しており、アジュバントを含めたワクチン製剤について、臨床試験において有効性及び安全性を評価しているところです。
○生殖発生毒性に関する動物試験において、本ワクチン及び添加剤(アジュバントAS04)の雌受胎能や性周期、交尾能に対する影響は認められていません。
○また、承認審査の段階で、サーバリックスについて、不妊が疑われる報告は認められていません。
○なお、日本での市販後の副作用においても、平成22年7月末現在、不妊の事例は報告されていません
質問5. 効果が6.4年というワクチンが、数年から十数年しないと発病しない病気を予防するとされているのは、どのような論理なのでしょうか?また、日本での調査も行われ、サーバリックスの効果が検証されているのでしょうか?
【回答】
○臨床試験では、発症までに長期間かかる子宮頸がんの予防を直接評価することは難しいことから、子宮頸がん発症に関連すると考えられ、発現までの時間が比較的短い「前がん病変」や「持続感染」についての予防効果を確認しています。
○このため、御指摘の「効果が6.4年」という点については、初回接種時からの持続感染、前がん病変についての予防効果があることが最長で6.4年間確認されたものであり、この持続感染、前がん病変の予防効果があれば、すなわち、発症までに長期間かかる子宮頸がんの予防に最終的につながるという論理です。
○サーバリックスの効果については、承認前の治験において、持続感染の有無、前がん病変の有無等により、その有効性が確認されています。
○また、承認後においても、製造販売後臨床試験を実施しています。
質問6. 「本剤の接種は定期的な子宮頸癌検診の代わりとなるものではない。」とあるように、ワクチンを打っても定期検診は必要です。2007財団法人がん研究振興財団(http://www.fpcr.or.jp)によると、2007年の子宮頸がんによる死亡者は2441人、がんによる女性死亡者総数の133725人の1.8%、子宮がん全体は5622人です。子宮頸がんの70%が防げたとしても、子宮がん全体の30%しか防げません。定期健診の義務化、無料化により、子宮がん全体を減らすことができるように思いますが、ワクチン接種無料化を優先したのはなぜでしょうか?
【回答】
1.御指摘のとおり、子宮頸がんによる死亡者を滅少させるためには、ワクチンのみならず、がん検診の推進も重要である。
2.がん検診は、既に市町村の老人保健事業として昭和57年度から開始しており、平成20年度に健康増進法の努力義務に位置付けられて以降、現在も市町村が実施主体となって行われているところである。
3.検診を無料で行っている市町村もあるが、子宮頸がん検診の受信率は19.4%にとどまっている(平成20年度地域保健・健康増進事業報告)。
4.このため、子宮頸がんを含めた女性特有のがん検診受診率を向上させるため、対象年齢の方に対し、平成21年度から無料クーポン券及び検診手帳を配布する事業を実施しているところ。
5.今後とも、子宮頸がん予防ワクチンについては、がん検診の推進も念頭に、がん対策と一体的な取組を行ってまいりたい。
以上厚生労働省からの回答でした。