[123]中国の内蒙古から(フフホト通信)

石井裕之 投稿日:2010/11/17 05:30

中国内蒙古の石井裕之です。
今、我が家にはちょっと面白いお客さんが来ています。今の中国を象徴するようなヒトなので皆さんにご紹介したいと思います。

もともと彼(男性、年齢50歳過ぎ)は、石炭の炭鉱の安全保安システムの会社を経営しておりました。実は、私の家内の元上司だった人間でして、今から15年程前には、上記営業内容の国営企業の一社員だったのです。その彼が、12年前にお客さんをごそっと連れて独立開業します。これも当時の流れに沿ったものであったと思われます。
その彼に2005年に更に一つの転機が訪れます。上海の株式という投資がそれです。そこに会社の金を200万元(当時のレートで3000万円ほど)つっこみ、あれよあれよと言う間に彼の手持ち資産は7000万元(約10億円)を数えるようになります。当時の中国株の高騰率というのはもの凄いものがあったのですね。
しかし、そのような濡れ手に粟の商売が永遠に続く訳もなく、2010年現在の手持ち資産は、逆に3000万元にまで目減りしてしまっています。また、彼は株式の魅力の虜になってしまい、2009年の時点でそれまで存続していた会社も解散してしまっていたのです。
元々会社の金を持ちだして行った株式投資ですから、厳密にいえば自己資金「ゼロ」から、今の5億円くらいの資産を形成するに至っている訳です。それで十分満足するべきだと思うのですが、一時10億円にまで上り詰めた資産が5億円まで減ってしまっているのですから、そこに損が発生したと彼自身では分析しているようです。
また、今の上海近郊では一時の株式ブームの熱も冷め、不動産価格も下落傾向にありますから彼のような個人投資家のダブついたお金が、新たな投資先を探して、サナガラ回遊魚のように中国全土を掛け巡っているようなのです。
その彼が今回目を付けたのが「内蒙古の石炭」です。元来石炭関連の仕事をしてきた彼ですし、我々が石炭の仲卸の商売をしていると知っていたので、何か良い投資先がないものか探しにきている、という訳です。
彼には、今我々の手持ちの投資案件を数件紹介したのですが、聞くところによると上海から南の地方の個人投資家の状況は似たり寄ったりだそうです。
そう言えば、我々が今一緒に仕事をしている石炭の商売の共同経営者も福建省の人間です。また、上海に住む友人(日本留学経験のある中国人夫妻)は、上海では毎月1万元(13万円ほど。かなりの高級取りです)の給料をもらっているが、それ以上の利益が得られるチャンスはもう無い、とも言っておりました。恐らく北京や上海では、投資による経済刺激効果が一巡し、既に循環型の経済構造に変化しつつあるのだと思います。
逆に地方都市の経済成長は今始ったばかりです。インフラ整備も急ピッチで進められていっております。我々の住む街も例外に漏れず「高速鉄道」が敷設されます。今我々もその流れに乗り遅れないように、それら工事に使用する「採石工場」の建設を計画しているところです。生コン工場もアスファルト工場もまだまだ必要しょう。

また、この間の政府発表では、今後数年以内に中国の「空」を一般開放するそうです。これは民間によるプライベートジェットの使用を許可したことになります。人口わずか400万人足らずの地方都市である呼和浩特(フフホト)に、現在の飛行場から50kmも離れていない場所に第2空港の建設計画があるのもこれで納得です。

中国に注目なさっていらっしゃる日本の皆さん。中国は北京や上海だけではないですよ。もしかしたら大きなビジネスチャンスは、実は地方都市の方に移ってしまっているのかもしれませんよ。