[1228]あるイギリス人から聞いたこと
大川です。外国人の友人と話していて、時々、ものすごくビックリすることがあります。それは何気ない会話の中で、何気なく発せられたひとことだったりします。
仕事仲間のイギリス人男性のWさんとTさん、私の3人で、我々の意見に反対するグループを説得する方法を検討していたときのことです。いろいろな意見が出尽くした頃、Wさんは何気なく、「まずこれでやってみよう。Divide and Ruleだね」、と、つぶやきました。
私は一瞬、耳を疑いました。Divide and Rule(またはDivide and Conquer)とは、たしか、昔イギリスが植民地政策として採用した分割統治のことではなかったか?支配者側のイギリスは自分たちに民衆の反感が向かわないよう、民衆内部の分断と対立を仕組む・・・そんな冷酷な方法を、意見が異なるグループとはいえ、同じ仕事仲間の日本人に用いるというのだろうか?Wさんはとても温和な人だというのに。
あれこれ考えた結果、とりあえず到達した仮説は次のとおりです。
Divide and Ruleは古代ローマまでさかのぼる統治方法であるが、政治や外交だけの概念ではなく、必ずしも卑劣な手段を使うわけでもない。欧米人が日常の人間関係の中で、自分の主張をうまく通すための戦略として自然に身につけている思考様式でもあるのではないか。日本人も、敵対するグループを仲間割れさせるくらいは、仕事や人間関係でやっているだろう。しかし、戦略として自覚しているケースは少ないかもしれない。
もちろん、この一件だけで一般化してはいけませんが、国際政治では、日本がアジアの近隣諸国と敵対することで有利になる国やグループがあるだろうし、中東でも同様だと思います。原発放射能問題にも当てはまるかもしれません。その時に、これはDivide and Rule戦略かもしれない、と少しでも疑ってみることが、分断される側に立ったときに非常に強力な思考方法になるはずです。そして、日本人が能動的に、正しい方法でDivide and Rule戦略を活用することも、この厳しい国際社会で生き残るためには検討に値すると考えます。