[120]Stella Marisとは聖母マリアのことであり、北極星を意味する

ジョー(下條) 投稿日:2010/11/13 22:04

以前、ぼやきの広報ページに、菩薩信仰、妙見(みょうけん)信仰(北極星と北斗七星を崇(あが)める信仰)、太子信仰(聖徳太子を仏の生まれ変わり、または菩薩とする信仰)の3つは複雑に混ざっていると書きました。

参考
「1131」大避(おおさけ)神社と聖徳太子と妙見(みょうけん)信仰、古代日本の謎を解く 下條研究員記 2010.5.31

9月のぼやきの会員ページと今月の論文教室に、副島先生が観世音(観音)菩薩であれ、弥勒菩薩であれ、これはマグダラ・マリアのマリア信仰が中国に流れてきてものであると論述しています。一部引用します。

<引用開始>
阿弥陀(あみだ)様とか弥勒菩薩(みろくぼさつ)とか観音様の仏像にはおっぱいがあります。へそを出している今の若い女たちの格好とそっくりです。あれは女たちの姿であって、実はマグダラのマリアなのです。イエス・キリスト(Jesus Christ)の奥様で、この2人の間にはサラという女の子がいました。イエスがはりつけにあった後、はりつけにあったイエスの死体を下に引きずりおろしてもらいにいったのは3人のマリアです。全部マリアということになっています。母親のマリアと妹のマリアとマグダラのマリアの3人です。イエスの死体が消えているといって驚いた、消えている事実を確認した、それが復活して昇天したといったのはマグダラのマリアです。この事実をカトリックの坊主たちは嫌います。だからマグダラのマリアは悪い女で売春婦だということにしたのですが、本当はイエス・キリストの奥様です。
<引用終了>

そうすると、菩薩信仰と関係のある妙見信仰も、どこかでマリア信仰とつながっているはずです。調べてみるとその通りでした。カトリックでは、北極星は聖母マリアをあらわしているそうです。

ラテン語にStella Maris(ステラ・マリス)ということばがあります。海沿いの教会やホテル・レストランによく使われる名前です。

英語では ”Star of the Sea” 、直訳すると「海の星」になります。9世紀ごろから、聖母マリアを意味するようになりました。なぜなら、聖母マリアというのはキリスト教信者にとっては希望の星であり、自分を導いてくれる星だからです。

下の写真をみると、聖母マリアの像の上に星があるのがわかります。これがStella Marisです。ここでは、この星はシリウスになっています。多分シリウスが全天でいちばん明るい星だからだと思います。

ところが、海を旅する船乗りや航海士にとっては、この「導いてくれる海の星」は北極星以外ありません。シリウスや他の星は時間と共に移動してしまうからです。ここから、北極星自身が聖母マリアを意味するようになったようです。

すると、以前から述べていた菩薩信仰、妙見信仰、太子信仰に、さらにマリア信仰までが絡んでくることになります。

しかし、逆にそう考えると、太子信仰と菩薩信仰がなぜ重なるのかがわかります。この菩薩と天子を同じものとする思想は、日本書紀の中で聖徳太子が隋の皇帝である煬帝(ようだい)にあてた手紙の中にでてくる文面からです。「西の菩薩天子」とあります。当然、東の菩薩天子が聖徳太子です。

ところが菩薩と天子がなぜいっしょなのかの説明はまったくありません。菩薩は、涅槃(ねはん)に入る前のブッダの意味で、それが転じてブッダの弟子を意味するようになりました。そういう意味で「仏教に信心深い天子様」ならいいのですが、ここは普通「菩薩のような天子様」と解釈されています。

しかし、北極星は帝(みかど)と聖母マリアの両方を意味しますから、この2つは同じものあり、これによって帝つまり天子と聖母マリアから派生した菩薩が同一視されたという解釈ができます。

ただ、聖母マリアを北極星としたのは9世紀ごろからという記述がありました。このあたりをもっと調べることが必要です。

下條竜夫拝