[1202]牛肉規制緩和について

会員番号7535 清水 投稿日:2013/01/30 21:20

2005年以降、BSE問題で、米国、カナダ産牛肉は月齢20ヶ月以下に限定して輸入していたのが、今年2月より30か月齢まで輸入拡大するようです。
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牛肉輸入緩和、2月から
2013年1月22日(火)2時2分配信 共同通信
政府は、牛海綿状脳症(BSE)対策として実施している牛肉輸入規制を2月初旬にも緩和する方針を決めた。関係者が21日、明らかにした。現行規制で牛の月齢が「20カ月以下」に限り認めている米国とカナダからの輸入について「30カ月以下」に拡大、現在は輸入を認めていないフランスとオランダからの輸入も同じ基準で認める。輸入に際しこれまで求めてきた脳や脊髄など特定危険部位の除去も、今後は求めない。
〈転載終わり〉
内閣府食品安全委員会のホームページによると、「牛海綿状脳症(BSE)対策の見直しに係る食品健康影響評価の概要」の中で、牛の感染状況は、「評価対象の5カ国(日本、米国、カナダ、フランス、オランダ)では、2004年9月以降これまでの8年間に生まれた牛にBSE感染牛は確認されていない。」とあります。ところが、別のニュースソースによると、昨年米国でBSE感染牛がみつかったと報告されています。
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農業情報研究所>狂牛病 >ニュース:2012年4月25日
アメリカで6年来初めてのBSE 非常に稀な非定型BSEというが徹底的検証が必要
アメリカ・カリフォルニアの乳牛の狂牛病(BSE)感染が確認された。この乳牛は4月18日、レンダリング前の死亡牛が保管されるBaker Commodities Inc. の施設(カリフォルニア・ハンフォード)に持ち込まれ、ルーチンの検査でBSEが発見された。
~中略~ 非定型BSE自体、なお謎に包まれた病気である。その発生のメカニズムも、ひとへの伝達についても解っていないことが多い。「古典的BSEやその人間版である変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)よりも感染性と病原性が強い上に、MM2型と呼ばれる人の稀なCJDに非常に似た症候や脳損傷のパターンを持つことを示唆する」研究さえある。イギリスの伝達性海綿状脳症委員会(SEAC)は、このBSEは自然発生したものらしいと言いながら、他の可能性も排除はできない、経口伝達は確認できていないが、その可能性も排除はできないと言っている。
 だが、米国がやめてしまったような(米国 狂牛病サーベイランス計画縮小へ 米国の狂牛病は「歴史」の闇に,06.7.21)アクティブ検査でこのようなBSEの発見は可能、人間の感染の発見はもっと難しいが、このような場合にも、現在の飼料規制や特定危険部位の除去等の対策で動物と人間は護ることが出来だろうとも言う。逆に言えば、古典的BSEが減り、撲滅されたとしても、なお飼料規制や特定危険部位除去やサーベイランスの徹底など、厳重な警戒が必要ということである。
 ~中略~アメリカ産牛肉の輸入規制緩和のリスクを評価中の食品安全委員会、今回は発見されたケースの仔細な検証に加え、非定型BSEのリスクやアメリカのBSE対策の改めての徹底的検討を迫られよう。それなしに輸入規制緩和を認めるようなことがあれば、日本国民は決して納得しないだろう。現段階で明白なことは、今度のケースが何時どこで生まれ、どこで育てられたかも分からないように(少なくとも発表がない)、これらを迅速かつ正確につきとめる個体識別システム、すなわちBSE対策の基本中の基本がアメリカには欠けていることである。
なお、2011年にOIEに報告された世界のBSEのケースは、イギリス7例、スペイン6例、ポルトガル5例、フランスとアイルランドが各3例、スイス2例、カナダ・オランダ・ポーランドが各1例の計29例だった。うち、オランダの1例とスイスの2例の計3例が非定型とされている。2012年(今年)はポーランド、スイス、イギリスの各1例が報告されているが、ポーランドとスイスのケースが非定型とされている。今後、非定型BSEへの注意を強める必要がある。
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また、先程の内閣府食品安全委員会のホームページによると、「飼料規制等のリスク管理措置」の欄に、「飼料規制はBSE発生抑制に
大きな効果があった」と書かれています。飼料規制とは(釈迦に説法ですが)BSEが大発生するまでは、牛に共食いをさせていた、牛の解体処理の残りの部分を飼料としていた~それを禁止したということです。禁止されたあと、どうなっているのか?
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牛や鳥の生産者は、いまだに飼料に食肉処理プロセスから出た動物の血液や内臓など体の一部を混ぜることでタンパク質成分を水増ししている。狂牛病(BSE=Bovine Spongiform Encephalopathy)の発生以来、血液や内臓、屑肉などをそのまま牛の飼料に混ぜることは違法になったが、牛の血液や内臓を鶏や豚の餌に混ぜることは依然として違法でない。さらに、安上がりなタンパク、カロリー源として重宝されているフェザーミールと呼ばれる、鶏舎に溜まった鳥の羽やこぼれたトウモロコシなどのゴミを集めて牛の餌にすることも合法だ。そのため、BSEに感染した牛から出たプリオンが鶏の消化器官を経由して牛の飼料中に戻る可能性は否定できない。
~「食の終焉」 ポール.ロバーツ著、P321より~
〈転載終わり〉
今回の規制緩和の前段階と思われるこんな措置のニュースがありました。
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ブラジル産牛肉を輸入停止
2012年12月9日(日)0時13分配信 共同通信
政府は8日、ブラジルで初の牛海綿状脳症(BSE)の発生例が確認されたとして、同国からの牛肉製品の輸入を停止したと発表した。国際獣疫事務局から8日入った連絡によると、BSE感染が判明したのは2010年12月に13歳で死んだ雌牛1頭。ブラジルからの11年の牛肉輸入量は約1400トンで、全世界からの輸入量の0・3%にとどまる。ブラジルは口蹄疫の発生国であるため生鮮牛肉の輸入はこれまでも認めていない。
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2003年当時、BSE問題に対して、日本政府は米国産牛肉の輸入規制を行う一方で、オーストラリア産とブラジル産の牛肉を増やしてきました。それが、最近ブラジル産牛肉の輸入を禁止していますが、記事を読めばわかるように、2010年に13歳で死んだ牛の話です。
前述した2012年の米国感染牛の話とで、理屈が噛み合いません。
〈転載開始〉
国際獣疫事務局、日本など5カ国にブラジル産牛肉の輸入禁止解除を要請
2013/01/10 15:56
 国際獣疫事務局(OIE)は、日本や中国、南アフリカ、サウジアラビア、ヨルダンの加盟5カ国に対し、先月にブラジル産食肉牛のBSE(牛海綿状脳症)感染が発覚したのを受けて同国産牛肉の輸入禁止措置を講じたのは行き過ぎだとして、輸入禁止を撤回するよう要請した。中南米専門の通信社メルコプレスが8日に伝えた。
〈転載終わり)
日本国内では、全頭検査とトレーサビリティー(固体識別管理法)で、牛肉の質が維持されてきました。しかし、輸入牛肉は各国の規制で事情が異なり、国内の厳格な規制に慣れてしまっている一般庶民がそうと気づかず輸入牛肉を飲食して問題が起きねばいいが。。と思っています。外食産業の中や、加工食品の中に(例えばカレー粉やすなっく菓子など)入ってくるでしょうから。
 思い出すのは、2011年夏の生ユッケ事件。あの生ユッケの材料が米国産輸入牛肉である事がわかったとたん、当局の問題姿勢の腰が砕け、本当は「どの段階で、病原性大腸菌に汚染されたか」を調べるべきなのに、うやむやのうちに飲食店だけ潰れ、生ユッケ禁止なんてことになってしまった。。米国産食肉について、上記「食の終焉」の他、「ファストフードが世界を食いつくす(エリック.シュローサー著)」等によれば、夏場であれば牛の50%以上が病原性大腸菌陽性であり、食肉処理場において機械処理するために、1頭の感染がその日処理する数千頭に拡散してしまうようです。。
暗い話になってしまいましたが、ちょっといい話もあります。
〈転載開始〉
オランダの食品安全プログラムを実施しているのは、農政当局ではなく、公衆衛生当局だ。ここでは、きびしい規制が食肉生産のすべての側面に及ぶ。動物性廃棄物を飼料に混ぜることを禁止し、成長促進剤としてのホルモンの投与を禁止し、輸送中の牛のストレスを緩和させ(それによって糞便中の細菌の数を減らし)、汚染肉を差し押さえる。。。。
(転載終わり)
規制緩和後のお勧めはオランダ牛肉でしょうか~ちなみにEUは、米国産牛は残留ホルモンが問題であるとして輸入禁止措置を続行しているはずです。