[1182]「日本はみずからを救えるか?」

福田 博之 投稿日:2013/01/10 23:27

生きている情報、マスコミが伝えない情報は大変ありがたいです。
すべてのテレビ番組を見たり、すべての新聞や書籍に目を通すことは不可能です。
特に、私はサラリーマンなので、現実的に時間がほとんど確保できない為、とてもありがたいです。
既に読んだ本であっても、記憶の呼び起こしや、思考の再構成に有益だと思います。
マスコミが伝えなくても、会員の皆様が重要だと思う事は、
繰り返し、繰り返し、広く、大勢に伝えていってほしい、教えて頂きたい、と思います。
マスコミがもうしわけ程度に記載する小さなわくの、重要な情報も、
見逃している事があります。
会員の皆様が重要と思うことは、ぜひ掲示板に貼り付けてほしいです。

私が下記の本を最初に読んだのは、もう10年以上も前になりますが、久しぶりに読み返してみました。
 『人間を幸福にしない日本というシステム』 カレル ヴァン ウォルフレン
第一刷は、1994年11月30日の本です。
日本は、日本国民は、それから約20年がたって、どのような成長が出来たのでしょうか。
以下すべて引用です。誤字脱字、転記間違いございましたら、御容赦お願いします。

(引用開始)

「内需拡大のために国民の懐に現金を差し入れるべきなのに、それどころか彼らは消費税にくわえて
公共料金まで上げたくて仕方なくなっている。日本の経済の健全性と貿易相手国との関係を
広い視野でながめればわかる。これは悲惨な状態だ。これは、世界との関係の基盤と日本経済の
双方にさらなる打撃となるだろう。」
「もし、55年体制に取って代わるのが、野党と一応言われている党が集まってできた「巨大な自民党」
のようなもので、はっきりと別の政策原理と政策目標を掲げるのはもしかして共産党だけ、
という事態になれば、それは悲惨なことになる。それは、1930年代の政治エリートの有力者たちが
「大政翼賛会」―党派的活動が完全に排除された政党システム―をつくったとき、胸に描いていた
図式と同じものだからである。

「管理された共同使用のリアリティより、個人としてのあなたが頭のなかに描くリアリティのほうが、
つねに内容が豊かだ。この事実こそが、あなたを一人の独立した人間にしている。すなわち、
このことこそ人間であることの真髄である」

「政治化された社会を維持し、人々を社会の檻に閉じ込めておくための、組織的なぺてんで
成り立っている国だ。リアリティの管理は、著しく効果的におこなわれている。」
「あなたの勤めている会社も、会社の利益になる「常識」という名のリアリティを、あなたに与えている」
「リアリティ形成における社会的組織の影響力は、あなたの視野を制限することに威力を発揮する。」

「民主主義の実現のためには、一般の人々に情報が公開されていなけらばならない。
簡単に情報が手に入らないという場合は、戦ってでも手に入れなくてはならなくなるだろう。
民主主義と説明する責任(アカウンタビリティ)と情報―この三つは分かちがたく結びついている」

「日本には、政治的な意味で力をもった知識人階級がない。そうした知識人階級は必要なのだ。
市民はそれをつくる手助けをしなければならない。」
「日本の市民がなすべきことは明らかだ、と私は思う。この社会がおちいっている有害な惰性を
打ち破ること、それがあなたの課題だ」
「日本を変えるためのあなたの小さな貢献が、もし的を射たもので、しかも他の人たちの
小さな貢献とうまく結びついたなら、相当有意義なものになるかもしれない」
「個人としてのあなたでも、あなたを取り巻いている社会のあり方を変えられる、そしてさらに、
日本の変革に手を貸せる」
「個人はすべて、少しだけなら自分の環境を変える能力がある。」
「とても小さな努力の積み重ねが突然大きな結果を生むことがあり、それがさらに重なれば
巨大な変化をうむこともある」

「調和のイデオロギーが日本にとって有害なのは、それが嘘のかたまりをつくり出すからだけでなく、
日本社会における争いごと(コンフリクト)の正当な役割まで否定するからだ。
われわれには対立が必要だ。」

「真の市民精神を守るために、勇気がいる」

第三部 日本はみずからを救えるか?

第1章 個人のもつ力
無能と無関心、惰性の克服、情報の罠

第二章 思想との戦い
リアリティをつくる者、「日本文化」という概念、「調和(ハーモニー)」という幻想
対立の必要、「ユニークさ」という幻想、権力の否認、「日本人らしさ」
知識人たちの裏切り、「西欧中心主義」とは?、文化相対主義の罠、
知識人をゆり動かせ

第三章 制度との戦い
市民チームのあり方、「市民社会」の決定的重要性、無関心をめぐる神話
乗っ取られた世論、新聞に大革命を!、従順なる大学

第四章 恐怖の報酬
敵の大好きな戦法、私の身におこったこと、
真の市民の勇気

第五章 成熟の報酬
「外国モデル」の罠、侵食される欧米の市民社会、
恐怖心とロマンチシズム、神経症にかかった国、愛国心が試されるとき