[1063]お坊さんとの夏

川端優美子 投稿日:2012/08/05 14:46

群馬のゆみこ(川端優美子)です。

セミが鳴いている。 奴らも、あちぃんだいのう・・・。

ある夏の日に、突然祖母が死に、我が家は突然お葬式をあげることになりました。何も信心(しんじん)していないので、葬式やさんに頼んで、宗派に拘(かかわ)りなくどんな人にでもお経を上げてくれるお坊さんに来てもらいました。はげていて、白いあごひげをたくわえた、立派な感じのお坊さんでした。

無事にお葬式が終わって、マイクロバスに乗って親戚と焼き場へ行きました。お棺を炉に入れて、焼きあがるまでお昼ご飯を食べて待っている部屋へ、皆で連れ立って行きました。その頃わたしは足を痛めていて、歩くのがとても遅く、皆からひとり遅れてついて行きました。たいした距離ではなかったのに、わたしはそのとき、ひとりで歩く寂しさを覚えました。すると、祖母にお経を上げてくれた、金の腕時計をした、白いあごひげのお坊さんが、わたしから少し離れて歩調を合わせて歩いてくれました。

このとき、お坊さんはきっと、「見よ。わたしは、世の終わりまで、いつも、あなたがたとともにいます(マタイ28章20節)」という、イエスの言葉を思い出したのでしょう。

その頃、わたしはまだ若くて、気恥ずかしさもあり、お坊さんと世間話をしながら歩く余裕はありませんでした。でも、この掲示板で、石井裕之さんとお坊さんの話をするうちに、この出来事を思い出し、このように何年も経ってから、あのときのお坊さんの優しさを心(しん)から受け入れることができました。

War das – das Leben? Wohlan! Noch einmal! (『ツァラトゥストラ』 ニーチェ著)
これが・・・人生なの? いいわ!もう一度! (ゆみこ訳)

お坊さんは、ベンツに乗って帰ってゆきました。