年末に金、銀、プラチナに大変なことが起きていた。アメリカ金融資本主義の終わりが始まった。

副島隆彦 投稿日:2026/01/02 09:04

副島隆彦です。今日は1月2日です。今年もよろしく。

タイトルに挙げましたが、金、銀、プラチナの貴金属で、年末に重大な動きがあった。特に銀(シルバー)に激しい値動きが起きていた。簡単に言うと銀1オンス(31.1g)がものすごい値上がりをして、瞬間では83ドルまでいった。

今日のぼやき で、古村君が新年の挨拶をしている。その下の方に、金、銀、プラチナの3つの貴金属の価格のグラフ(田中貴金属のもの)を載せている。だが、あれらのグラフは、実に大まかな長期のグラフであって、目先の重要な変化を表わしていない。去年の11月までの価格の動きだ。

そのあとが大変だったのだ。暮れの12月のそれも押し迫った24、25日から金、銀、プラチナに大きな変動が起きた。それを、以下の3枚の、直近(直近)半年のものを下に載せる。これらをじっと見なさい。

(ここに金、銀、プラチナの 直近のグラフを、続けて載せる)



(出典は 三菱マテリアルGOLDPARK から)

副島隆彦です。この3つのグラフから分かる通りに、12月に入って、11月までとは違って、たった1か月で、価格はその2倍になっているのだ。銀(ぎん)は、1オンス=40ドル(1グラム=6000円)だったのが、倍の 80ドル(12400円)にまでなったのだ。驚くべき高騰(こうとう)だ。

最高値を付けた後、12月29日には、銀は、ガターンと落ちて、急激に75ドルまで値下がりした。これで銀のNYの先物(さきもの)市場では、10%の下落あるいは暴落が起きたといわれている。ところが中国では同じ銀が、工業用の需要がものすごいので、1オンスがなんと95ドルになっているらしい。

金を買えない中国の貧しい民衆が、銀に殺到して買い漁(あさ)りが起きている。ここで、世界の銀の取引市場に大きな異変が起きていることがわかる。銀は、昨年、年初には1オンス30ドルの安値だった。それが、なんと82ドルにまで暴騰して、1年間の値上がりで150%だ。そして12月29日にそれが暴落して、今はNYのCOMEX(コメックス)市場では72ドルくらいだ。

この裏側で起きている真実は、どうも、JPモルガンという大銀行を救済する動きが、アメリカ政府(FRBと財務省)によって、計画的に実行されたようだ。

JPモルガン・チェースは、100年前からモルガン銀行が、NYで最大の銀行だった。シティ・バンク(ロックフェラー財閥)よりも立派な銀行とされて、「ブリオン・バンク」と言われる。ブリオンとは金(きん)の塊のことで、JPモルガンが金たくさん持っていた。それでアメリカの金融の信用の基礎をつくって来た。

このJPモルガンがどうやら、去年の7月ぐらいから、急激に態度を変えた。

それまで30年間に以上に渡って、アメリカの大銀行たちと共同、共謀‘(きょうぼう)して、ずっと金(きん)と銀を売り崩してきた。先物市場で、ショート・セリングという空(から)売りを仕掛けてきた。これは「金と銀が値上がりしないように」という、アメリカの国家意思に基づいている。ただひたすら米ドルの信用を守るために、である。このことを、私、副島隆彦がずっと自分の金融本に書いて来た。

それが急に、JPモルガンが、売りから買い(プット・オプション)に回った。大きく態度を変えた。これは大変なことなのだ。すでに去年の7月から、金と銀の値上がりが、あまりにも激しいので、もうそれを押さえつける力がなくなったということだ。これはすなわち、アメリカの金融市場の弱体化の大きな表れのひとつだ。

買いに回ったJPモルガンは、3億オンス(時価で600トンぐらい)の銀を、現物(げんぶつ)で手に入れたという。5億オンスとも言われる。 銀の世界需要というのは、1年間で8.5億オンスぐらいだ。1年間の生産が、そのまま需要(売れること、消費)である。JPモルガンはその3分の1を入手した。

もし、JPモルガンが、従来通り、売り(ショート)を仕掛けたままだったら、おそらく200億ドル(3兆円)ぐらいの損を出していただろう。経営破綻はしないまでも、いくらJPモルガンでも、大きな打撃だ。それで、年末のクリスマスの24日に、金(きん)が最高値をつけて、1オンス4570ドルぐらいまでいった。

銀は、前述したとおり、29日に83ドルまで行ってそのあと暴落した。実はプラチナも同じ動きをしていて、12月22日になんと、1700ドル/オンスを超えた。そして一週間後には2194ドルまで上げて、どうやら29日には2500ドルまで瞬間では上げたらしい。そのあと暴落が起きて、現在は2050ドルぐらいである。

この銀(シルバー)をめぐる年末のすさまじい動きは、日本の主要なテレビ新聞の報道では全くなされていない。フォーブズの記事を一般だけ、以下に貼り付ける。YouTube の 金融の動画では、年末に大騒ぎで、多くの情報が動画で流れていた。私、副島隆彦は、年末のクリスマス・イヴ(24日)から、ずっと、この「銀の大きな変動」をずっと凝視し続けた。

日本には、銀とかプラチナの市場を分析している専門家や新聞記者 はいない。ただし 太陽光発電やEVや 半導体を製造している先端(せんたん)企業の、部材の調達部門の人間たちは、目を皿のようにして、ずっとNYの市場の様子をみていたはずだ。何としても、自社の製造部門のために、銀の在庫を確保しないと済まない。 「もう、こうなったら、いくらでもいい。世界中、買えるところから、銀を、いくらの指値(さしね)をしてでもいいから、買え」と 指示を出しただろう。

(転載貼り付け始め)

〇 「 史上最高値を更新する「銀」 急騰の中、初めて79ドルに迫る 」

2025/12/27(土)   Forbes フォーブズ 誌

貴金属の史上最高値更新が続く中、銀価格は米国時間12月26日に初めて1オンス78ドルを突破した。米国における利下げや関税の不透明感といった要因が金、銀、プラチナを史上最高値に押し上げている。

ニューヨーク商品取引所によると、12月26日の銀価格は約78.65ドルと過去最高値を更新した。 銀の価格上昇率は金を上回っているが、より高価な金の価格も1.2%超上昇し、12月26日に4562.70ドルの高値をつけている。 銀価格は過去1年で146%以上急騰し、1979年以来の最大の年間上昇率を記録する見通しだ。 またプラチナも米国時間12月26日に約9%急騰し2503ドルに到達し、銅は5%超上昇し5.82ドルとなった。

■銀価格急騰の背景

アナリストによれば、銀(ぎん)価格の急騰は連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ、AIデータセンター向け銀の需要、供給の制約、関税の不透明感などが複合的に作用した結果だ。 UBSのアナリスト、ジョバンニ・スタウノヴォは26日朝、ロイターに対し「米金利低下の見通しが金・銀の需要を支え、両金属を史上最高値に押し上げている」と述べた。

ウォール・ストリート・ジャーナルは26日朝、価格急騰を受けアマチュア投資家(Redditラディットで集う層を含む )が銀に殺到していると報じている。同紙の取材に応じた投資家らは、貴金属の価値上昇継続を期待し堅実な投資と考えていると語った。

■銀は安全な投資なのか?

銀がブームであるにもかかわらず、一部のアナリストは金の方が依然として安全な投資だと指摘している。 ゴールドマン・サックスのエコノミストは10月のリポートで、銀は金よりも「価格変動が激しく下落リスクが高い」と予測した。アナリストらは、金はより希少な資源でありオンス当たりの価値がはるかに高いため、輸送や保管が容易で銀行にとって実用的な投資だと説明した。

一部のアナリストは、銀は周期的に上昇と下落を繰り返す傾向があると指摘している。市場調査会社スペクトラ・マーケッツのブレント・ドネリーはウォール・ストリート・ジャーナルに「銀は急騰した後、急落する傾向がある商品だ」と語った。 一部のアナリストは、少なくとも新年にかけて銀のブームは続くと予測している。

バーチ・ゴールド・グループの金融市場ストラテジスト、ピーター・レーガンは、CBSニュースに対し「銀に関して言えば、保証はないものの、経済不安の高まりと継続的なインフレが、新年には価格上昇と需要増の両方が見られる可能性を示唆している」と述べ、インフレ圧力などの要因を指摘した。

(転載貼り付け終わり)

副島隆彦です。このように異常な事態が起きていた。そして、このフォーヴスの記事の後、29日に急激な最高値を付けたあと、大きな逆流の動き(銀の暴落)が起きている。

このような急激な3大貴金属の下落の原因は、COMEX市場の親会社であるCME(シー・エム・イー シカゴ・マーカンタイル取引所)が、銀の証拠金を13,6%まで急激に引き上げたからだ。29日には、さらにこれを17%にまで上げた。これは異常な行動である。

これでレバレッジ(投資倍率)を高くして、200倍とかで銀を先物で売っていた者たちが締め上げられた。証拠金の追加の支払い、即ち追証(おいしょう。マージン・コール)がかかって、それを支払えなかった者たちは、強制的に現金決済(げんきんけっさい)されてしまった。この時に、銀の価格の暴落が起きた。1月1日で、銀1オンス=70ドルである。

ところが、どうも中国では銀を90ドルどころか、120ドルで買われているという。NYと中国で、同じ銀が50ドル(1オンス当たり)も値段が違がう、という乖離(かいり)、2重価格が出現している。

これは大変なことである。私、副島隆彦は、ずっと、このような事態が現れることを予測して、20年以上、本に書いてきた。

私はやがて「CME(シカゴ・マーカンタイル取引所。レオ・メラメッド会長)が作った先物市場(フューチャー・マーケット)が、壊れ始めて、アメリカ金融資本主義は崩壊する」と予測し、予言してきた。まさにそれが起き始めたのである。これは、その「蟻(あり)の一穴(いっけつ)」である。

しかもこの異常な証拠金引き上げ急に2回も、クリスマスの後、市場にほとんど参加者がいない時を見計らってやった。

このNYの銀の先物とETFの市場で一般客たちから、「もう先物市場も、ETF(イー・ティー・エフ 上場投資証券。ペイパー・シルバー)も、信用ができないので、現物(げんぶつ。フィジカル)の銀で、渡してくれ。決済してくれ」という要求が、ものすごく出ていた。これを英語で、バックワーデーションbackwardation という。「今すぐ現物の銀でくれ」ということだ。

この要求にCOMEX市場は応えられなかった。もう手持ちの銀がないのだ。 みっともないことだ。「要求されれば、いつでも銀の地金(じがね)に交換できます(トラックで引き取りに来てください)」と謳(うた)っていたのに、嘘つきだ。だから年末に金が暴騰して83ドルまでいった。これは日本円になおすと、銀1グラムが400円である。一キロなら40万円。

それに対して、金は1キロが2300万円もする。金は、そんなに下がらない。また上がり始めるだろう。今度は、最高値の2.5万円を突き破って、1グラム=3万円を目指す。

それに比べれば銀はずっと安い。金の60分の1の価格だ。 プラチナの暴騰もすごくて、2023年から暴騰が始まって、前述したとおり1グラム=1000ドルから、2000ドルに2倍に上がった。プラチナの問題は別個で考える。そして瞬間では、2500ドル(26日)にまで行った。

中国は、実は今年の1月1日から、「銀の海外輸出を許可制」にした。この動きが世界中の銀の動きのこれからにとって決定的である。 銀の世界市場で、一番強い力を持っているのは中国だ。中国はペルーなどの鉱山会社の銀鉱石を買って(輸入して)、世界中の銀の実に7割を、中国国内で製錬(リファイン refine  )している。それの輸出を許可制にした。なるべく銀の供給を国内の製造企業に優先的に回せ、ということだ。

ということは、現物(げんぶつ)の銀が、すでに多くが中国に存在して、銀の価格の支配力を中国が、NYから奪い取ったということである。だから前述した通り、今、世界で銀について2重価格が出現している。中国の銀の市場では、1オンス90ドル(12月末)、しかしNYの先物市場およびロンドンのLBME(ロンドン貴金属先物市場)では72ドルだ。

この異常な事態がこの先ずっと続くとは思われない。前述したが、NYの先物(さきもの)市場で一般客たちが「現物に変えてくれー」と喚(わめ)いたが、COMEXがそれを拒否した。そして「COMEXルール716条」に、「 取引所が現物を引き渡せない場合は、現金で決済する」と定めてある。これで証拠金の追加分を払えなかった者たちの取引(建玉。たてぎょく)を強制決済した。

再度書くが、ここで置きたロス・カット loss cut 「取引の強制終了」 という言葉は、日本でも使われるが、あまりにもレバレッジ(投資倍率)を300倍とか賭けていて、証拠金の2回目の引き上げ17パーセントを追加で払えない者たちは、市場から追い出された。取引所のこの自分勝手なルール変更は、普通は、やってはいけないことだ。COMEXとCMEは、背に腹は換えられない、で自分たち自身が生き延びるために、こんなことをやった。強制決済された者たちからの悲鳴(ひめい)はニューズにならないから、私たちには伝わらない。

銀(ぎん)は、これまでずっと投資用の貴金属であるよりも生産財であって、電子部品のEVバッテリーと太陽光パネル、それから全個体(ぜんこたい)電池などの製造に不可欠である。それらの最大の製造国は今や中国である。だから銀を握りしめたものが世界のこれからの製造業を握る。

NYの先物市場とETFは、ペーパー・シルバー、すなわち「紙切れの銀」だ。現物(フィジカル)を少ししか持っていない。現物とペーパーの銀がぶつかったとき、どっちが勝つと思うか。短期(目先)では、これまでどおり「まるで何事もなかったかのように」NYのCOMEXおよびLBME(ロンドンの貴金属先物取引所)、が握っている。しかし、この、アメリカとイギリスの金融市場はやがて壊れる。

コモディテイ(基本物資のこと。商品と訳される)の先物市場から壊れ始めた。このことに、私、副島隆彦が鋭く気づかないはずが無い。

すなわち、ここから「蟻の一穴」でアメリカの金融資本主義(フィナンツ・カピタリスムス)は崩れていく。物理学で、クリティカル・マス critical  mass  臨界点(りんかいてん)と言って、雨水を多く含んだ土砂や崖の土地や、雪崩(なだれ)の寸前の雪の堆積と同じで、ここから崩壊が始まる。土手(どて)や堤防の決壊(けっかい)も重圧に耐えられなくなった決壊(けっかい)が起きる。今のアメリカはまさしく全般的にこの状態だ。今年(2026年)の年末には、決壊、崩壊するだろう。

この騒ぎのさなかの12月27日に、テスラ社オーナのイーロン・マスクが重要なことをX投稿した。 “ This is not good. Silver is needed in many industrial processes. ”  「これはよくない事態だ。銀は多くの産業用途で必要だ」 とだけ書いた。これは重要だ。

そしてイーロンは直ちに、テスラ社のEV生産のためにどうしても必要な 銀を確保するために、直接中南米諸国の銀鉱山株を大量に買った。市場に出る前の銀(ぎん)をおさえたということだ。さすがにイーロン・マスクは賢い。EVを一台作るのに、銀を1キログラム使うそうである。

銀の価格の動きを、目先の短期で見たら、まだNYの先物の金属市場が強いように見える。だが、あと1年、2年の中長期の動きでみると、中国が握っている現物(フィジカル)の方が強い。アメリカの鉱物資源の売り買いの金融市場は保(も)たない。

この動きが株式と債券(ボンド)と為替の市場にも伝播(でんぱ)して、やがて大きな暴落が置きる。そして米ドルという通貨(カレンシー)が暴落をはじめる。私、副島隆彦が30年間、予言・予測している事態が、ついに起き始めたのである。

私の本の長年の読者たちは、これまで通り、安心して、金、銀、プラチナの硬貨(コイン)を買い続けなさい。目先で少しでも安値が生まれたと思ったら、それを急いで買いなさい(拾いなさい)。そして自分の資産を手堅く、作り続けなさい。今年もよろしく。

気(き)を取り戻した、私は元気(げんき)いっぱいで頑張ります。   副島隆彦拝