岸田首相の 安倍派つぶしは、ただの政界抗争(権力闘争)ではない。統一教会の解体だ。

副島隆彦 投稿日:2023/12/14 18:05

副島隆彦です。今日は、2023年12月14日(木)です。

私は、ずっと黙って、この2週間、日本の政界( 自民党の政権政治家たちの動き)を ネットに載るニューズを追って見ていた。
岸田首相 が、12月6日から、急に、パー券資金還流(キックバック)問題(という悪慣行)を理由に、安倍派の幹部たち「5人組」を、切る(閣僚、3役を辞任させる)と言う動きになった。
始まりは、安倍派の、一応、幹部の塩谷立(しおのやりゅう)座長が、11月30日。キックバックを認める発言をした。

(転載貼り付け始め)

11月30日  (自民党 安倍派 塩谷 立 座長)
Q:ノルマを超えた分は(議員に)戻した?
「そういう話はあったと思いますね」
しかし、そのわずか5時間後「精査していない状況で発言をした」と撤回した。改めて、この発言について問われると…
(自民党 安倍派 塩谷 立 座長)
「あれはいろいろな質問の中で、そういう状況があったのかなと思っておりますが、事実関係把握しておりませんので、後ほど撤回をしたわけです」

(転載貼り付け終わり)

副島隆彦です。今日12月14日の最新の新聞記事を一本だけ載せる。残りの記事は、うしろの方に、5本ぐらい長いが載せる。

(転載貼り付け始め)

〇 「 松野博一官房長官ら安倍派4閣僚が辞表提出 午後に交代 」
2023年12月14日   日経新聞

松野博一官房長官ら自民党安倍派(清和政策研究会)所属の閣僚4人が12月14日、岸田文雄首相宛てに辞表を提出した。首相は新しい官房長官に岸田派の林芳正前外相を充てる。自民党派閥パーティー券収入を巡る政治資金問題を受けて、政権の立て直しを図る。

(転載貼り付け終わり)

副島隆彦です。 岸田首相の次の首相の座を、安倍派99人を背景にして狙っていた、見るからにワルの萩生田光一(はぎうだこういち)政調会長も辞任した。あと残っているのは、岸田首相のとなりに、いけしゃーしゃーと女政治家代表の顔をして、座っている、高市早苗(たかいちさなえ)である。安倍晋三の盟友である。松下政経塾の2期生である。統一教会系の大姐御(おおあねご)である。 鬼のような、眉毛が吊り上がった顔の、あのまま、岸田の隣りに座っている。彼女は、安倍派を出ているが、まだ来年9月の自民党総裁選に出る、と息巻いている。

(ここに高市早苗の写真を貼る)

今度の、政変劇は、これまでの政界抗争とは、質と濃(こ)さ濃度が全く違う。これは、ただの自民党内の派閥抗争ではない。岸田の宏池会(こうちかい。吉田茂の系統)が、清話会(せいわかい。日本右翼の議員たちの集まり)を追い詰めて、勝利した、という、ような小さな話ではない。 世の中では、「あっぱれ、岸田が、やりよった」というような、“床屋政談(とこやせいだん)”レベルの話ではない。

この政変あるいは、政局(せいきょく)には、日本の国家総体としての 大きな決断が有ったのだ。 ただ単に、法務省・検察庁が、「安倍の内部からの垂れ込み(証拠の提出)があったので」、動き出して、安倍派の幹部たちを追及して、政治資金規正法の違反で、刑事罰を与えようと、ということだけでは済まない。

法務省・検察庁、さらには最高裁も だけでなく、各省の官僚トップたちと、財界(経済界)、さらには天皇家(皇室)の意思までが、 大きく纏(まとま)って、統一教会(安倍派)を、日本の国家体制から、排除、切除する、という決断のもとで動いている。

① 反共右翼(その中心は統一教会の会員60万人) ではない、②の温厚なる保守 の 者たちが、大同団結して、①の 統一教会を、カルト宗教団体であり、これ以上、日本の社会を宗教汚染させるわけにはゆかないと、高度のところで
判断した。

それに対して、「安倍派だけではない。裏金を配っていたのは。岸田政権そのものが危ない」と、今も足掻(あが)いて、「岸田の派閥もやっている」と 書く者たち自身が、本当は、日本のテレビ、新聞の中に潜り込んでいる、統一教会の 信者、活動家である。 評論家や新聞記者、研究員の肩書をしている。 統一教会は、 世界基準では Moonies ムーニーと言う。創業者の文鮮明(ぶんせんめい。ムーン・サンミョン Moon San Myon)の頭文字から付けられた英語名だ。 アメリカ帝国の首都のワシントンの政界までも、激しく汚染している。ビクトリア・ヌーランド国務省次官(アンダー・セクレタリー)が、公然たるMoonies ムーニー である。

ドイツの外相の女、カナダの外相の女、ポーランドの閣僚たちなど、公然と、このMoonies である。みんなは、「とてもそんなことは信じられない」と言うだろうが。ヨーロッパ諸国の政府までも、このように潜り込んでいる。世界中の政府や政党に潜り込んでいる。真に恐ろしいことだ。だから、日本にも、こうやって政治家(安倍派)にたくさんいるのだ。

創価学会(500万人ぐらい)の中にも、2割ぐらい統一教会が潜り込んでいる。公明党の県議とか市議の中にいる。だから、公明党が、恐れをなして、統一教会を、公然と非難しないで、ここまで来た。そして遂に怒って、
岸田首相と山口奈津男(なつお)公明党委員長が、「自公連立政権として連携して、今度の動きに出た。

立憲民主党の泉健太(いずみけんた)と 国民民主党の玉木雄一郎(たまきゆういちろう)のふたりの代表(党首)も、どうも、おかしい。統一教会の色が付いている。野党の議員たちの中にも、たくさん統一教会員が潜り込んでいる。だから、とても健全な野党勢力として、自民党に取って替わる政権など、今や、作れない。野党も一度解体して、一から作り直さないといけない。個別には能力のある野党議員たちがいる。

それから、日本の労働組合運動の、総本山(ナショナル・センターと言う)である、連合(れんごう)の会長をしている、奇怪な女、芳野友子(よしのともこ)も、統一教会員である。

この女(全繊維同盟。女工あがり)を育てたのは、強固な反共主義者の松下正寿(まつしたまさとし)という、統一教会の学者(立教大学の学長もした)で、労働組合の教育所の「富士社会教育センター」で、芳野を手塩にかけて育てた。松下は、教祖の文鮮明(ぶんせんめい)に私淑して、統一教会の関連組織「世界平和教授アカデミー」の初代会長だ。「日本共産党の労働運動への潜入を許すな」を信念と標語(スローガン)にして、遂に日本の労働運動までも統一教会が乗っ取った。この狂った反共右翼の者たちを、何とかしないと、本当に日本国の危機だ。

大手新聞社の中で、産経新聞(フジ産経グループ)は、明らかに統一教会の巣窟(そうくつ)である。記者たちの中に、公然と統一教会員の者たちがいる。私は、昔、産経の『正論』という言論誌に書いていて、追放されたので、これらの事実をよく知っている。

産経新聞と仲がいい、笹川財団(英語名は、ササガワ・ファウンデイション)が、日本維新の会 の資金源となっている。日本財団と 東京財団に分かれてる。維新の会の議員たちも、大きくは統一教会の別動隊だ。 創立者の笹川良一(ささがわりょういち)が、全然は、”黒シャツ党”として、イタリアのムッソリーニの真似をした国粋主義者だったが、戦後、やっぱり、岸信介(統一教会の教祖の文鮮明と盟友)たちと一緒に「世界反共(はんきょう)同盟」(WACL ワールド・アンタイ・コミュニスト・リーグ)を1968年に創立している。

朝日新聞の、この10年間での変質と思想偏向が、ひどい。2013年から、安倍晋三が首相に返り咲いて(7年8か月間の長期、首相をした。2020年9月まで)、朝日イジメが酷(ひど)かった。日本の左翼リベラル勢力の牙城だった朝日は、人事を内部から握られて、安倍晋三の言うことを聞く役員や記者たちに変貌した。朝日の凋落(ちょうらく)は恐るべきものだ。

さて。岸田首相が、腕組みして、空を仰ぐように、目を閉じて思案し、ところが、顔つきが少し明るくて、にやりと笑っているようにも見える写真が、写っている。これを、ここに貼って皆に見せることが大事だ。

(岸田首相の 腕組みの写真を、ここに貼る。記事の日付も)

12月8日、参院予算委で腕組みする岸田首相(左端)。右手前は松野官房長官

だから、今度の闘いは、岸田の大勝利だ。そして、新しい官房長官には、3か月前に、外相を更迭されて、一歩うしろに退(ひ)いたように見えた、林芳正(はやしよしまさ。”宏池会のプリンス” と呼ばれる )が、今日から復帰して就任した。今日の新聞の顔写真を見ると、元気いっぱいで、やる気十分だ。 いい面構(つらがま)えになった。以前のような、にやけた坊ちゃん笑いをしなくなった。
岸田が、あと2年、首相をしたら、そのあとは、林芳正だ、と、彼の顔に書いている。

林芳正官房長官

岸田と林芳正は、この20年間、安倍晋三から、虐(いじ)められ、怒鳴られて、それでも、我慢に我慢で、口答え(反論)しないで、ずっと耐えに耐えて来た。安部と同じ山口県(林)と、となりの広島県(岸田)が選挙区(地盤)だ。自分の地元もひどく汚された。それでも2人はずっと我慢していた。政治家の一番大事な資質(ししつ)は、我慢することだ。これを、この2人はずっとやってきた。だから、私はこの2人は、偉いと思う。

そうして、岸田が、ついに、人生で一度の大(おお)勝負に出た。それが、今回の、日本の国体(こくたい。国家体制)の上層部の総意を取り付けたうえで、安倍晋三の死(去年の7月8日)から、1年半経(た)って、ようやく、今回の安倍派解体、統一教会を日本の国家体制から切除手術する、という動きに出た。

だから、今、私たち、日本の反(はん)自民党、反(はん)権力(リベラル派)の人間たちがするべきことは、岸田政権を打倒しよう、ではなくて、この一幕だけは、岸田文雄を応援して、「頑張れ、岸田。安倍派=統一教会 を 徹底的に叩き潰せ」と応援することだ。私、副島隆彦は、このように考えます。

安倍派が、岸田内閣倒閣(とうかく)、退陣(たいじん)の動きを、先に仕掛けて来た。6月ぐらいからだ。それに対して、岸田はじっくり準備した後、反撃に出て、安倍派を解体に追い込む戦略に出た。

今日は、詳しく書かない(これまでにたくさん書いたので)が、 「最高検察庁内の、大幹部だった、統一教会の黒川弘務(くろかわひろむ)」 を検事総長(検察庁のトップ)にしようと、を安倍晋三が首相として押し切ろうとした2020年の 問題以来の、法務省検察庁内の、「もう、これ以上。統一教会が、法務・検察の中で蔓延(はび)こるのは許さない」という堅い、決断があった。 安倍派=統一教会が、日本の国家体制を、これ以上、乗っ取ることを、阻止する、と、厳しく決意していることを示している。

下 ↓の 記事に載せた、「 世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の被害者救済に関する法が12月13日成立した」 のとおりである。この統一教会を解散、解体の追い込む、日本の国家体制としての意思と、今度の、安倍派を自民党内の派閥として解体、消滅させる動きは、同時進行である。

再度、書く。 今、日本の国家体制そのもの が、安倍派潰しと 軌を一にして、統一教会を日本国家として解体し排除しようとしているのである。

統一教会問題になると、私、副島隆彦は、ものすごく厳(きび)しい表情になる。なぜなら、この20年間、私は、統一教会は、人類に食らいついた癌(ガン)細胞だから、切除(リムーブ)手術をしないといけない、と各所で書いて、ずっと言論で闘って来た。鈴木エイト氏たちが現れる前からだ。

その為に、私は、統一教から命を狙われて来た。今は、統一教会が大混乱だから、その隙(すき)で、統一教会 の別動隊である、エホバの証人(宮台真司=みやだいしんじ=氏を2022年11月29日に、都立大学で、殺そうとしたのは、エホバの証人の男だ。この男は1月に「自殺」して証拠隠滅した。警察は殺人未遂で送検した ) と 参政党(さんせいとう。神谷宗幣=かみやそうへい=参議院議員が代表。ここは、幸福実現党の支持票、175万票がそのまま移転して別物になり替わった政党) が、私、副島隆彦 の命を狙っている。だから、私は、注意、用心して生活している。

今回は、ふつうの、政治家たちどうしの権力闘争(power struggle  パウワ・ストラグル これは左翼用語。 power strife パウワ・ストライフ こっちは普通の政治学用語 )の、政界抗争ではない。ただの派閥抗争の、蹴繰(けたぐ)り合いではない。これを、ただの自民党内の、いつもの勢力争いだ、で済ます気が、私は、初めから無かった。だから私は、ずっと黙ってこの2週間の政局(せいきょく。これは内閣の解散、政権の交替を含む政治言葉だ) を見ていた。

私が、はっきり分かったことは、再度書くが、あの岸田の、腕を組んで、ひとりで、天を仰いだり、あるいは、にんまりする顔は、これはただの政界抗争ではない。統一教会を、日本の体制の外側に追放する、という日本の支配層の、共通した意思から生まれた健全な判断である。私は、この動きに賛同する。

それでも、安倍派の中にいる、福田派系(30人ぐらい。今は、福田達夫=ふくだたつお=が 長 )は、一切、名前が出て来ない。安倍派が分裂、解体したあと、福田派(ここが福田赳夫以来の清和研究会の元)が出来上がるだろう。

安倍が死んだあとの、返り咲き親分のドンの森喜朗(もりよしろう。この男は、大暴力団の山口組=日本のマフィア=の、実質の一番上だ ) は、「萩生田を、辞めさせるな」と騒いでいたが、もう黙った。森は、岸田に直接、電話を掛けて圧力を掛けていた。しかし岸田はもう電話に出なくなった。この瞬間に、森はすべての政治権力を失った。12月6日のことだ。

麻生太郎は、今も副総理で、あれほど安倍晋三と仲が良くて、ふたりで日本の汚れた政治を、この10年間(2013年から)ずっとやって来た。それなのに、「自分は麻生派 で宏池会 だ」で、安倍派の自壊(じかい)に対して、もう知らん顔をしている。自分が生き残ることで精いっぱいだ。岸田は、次は、麻生太郎を引退に追い込むだろう。

茂木派( 茂木敏充=もてぎとしみつ= が、青木幹雄から奪い取った旧経世会。竹下昇派)は、やや距離を取りながらも岸田を支えている。
菅義偉(すがよしひで)元首相は、安倍の葬式で、熱のこもった追悼文を読んだ通り、やっぱり、この男も、統一教会だったのだ。

宏池会系は、もともと、安倍派のような右翼やゴロツキのような、政治ゴロ(戦前の院外団=いんがいだん=)の蠢(うごめ)きである暴力団体質がない。おカネで汚(よご)れない。だから、上品に官僚たちと同居して官僚たちに操(あやつ)られる。それと、アメリカと絶対に喧嘩(けんか)しない。言うことを聞く。ケンカして自分たちが潰されないようにである。しかし、面従腹背(めんじゅうふくはい)で、アメリカからの厳しい、理不尽な、「日本は、もっとカネを出せ」の要求に、必死で何とか抵抗する。

今の日本は、不況が30年も続いて、精一杯頑張っても、岸田の宏池会の「軽武装(けいぶそう)経済優先」の宏池会の政治で、生き延びるしかない。日本国民の生活は、青息吐息で、すさまじい大量の貧困層を抱えて、やっとのことで生きている。それでも、まだ、日本国民は耐えられる。アメリカ帝国が、先に崩れるまで、堪え忍ぶだろう。

なぜ法務・検察が、本気になって安倍派を狙っているかというと、それは、「2019年7月の参院選広島選挙区 を巡る大規模買収事件」 の 時に、広島に東京の検察庁から派遣されて、河井案里のカネ配りを調べていた、36歳の、若い優秀な検察官が、統一教会に殺されたからだ。

この若い検察官が夜、帰って来て、自分のアパートの部屋に入ろうとした瞬間に襲って、連れ込んでて首を絞めて殺した。これが、統一教会が政治家たちを「自殺に見せかけて」殺す時の、いつものやり口だ。この事件は、週刊誌に書かれた。しかし、警察には手を出させないで、検察庁自身が、「これは、お前たち(警察)には扱わせない。俺たちがやる」と、深い決意を表わして、自殺で処理した。

その時以来、若い検察官たちすべてが、「捜査中の汚職事件の 担当検察官を殺すとは、何ごとか。絶対に許さん 」と、自分たちの仲間を殺されて、激しく怒り狂った。法務・検察の幹部たちも、法曹(ほうそう)仲間の弁護士業界の親分たちも、「もう、あいつら統一教会 を、日本の国家秩序は、絶対に許さない。根絶やしにする」と、なった。

このあと、河合案里を東京で逮捕した時に、案里を真っ裸にして、パンティと生理ナプキンまで剝ぎ取った。証拠隠滅を防止する、ということで検察の女子職員たちにやらせた。

統一教会によるこの若い検察官の殺しのことは、私は、佐藤優氏との対談本でも、詳しく語った。

ずっと下の方 ↓ に、中国新聞に載った 今年の9月の記事を載せる。「 2019年7月の参院選広島選挙区を巡る大規模買収事件(選挙での汚職)の際・・・河合案里(かわいあんり)は・・・」とある。

私は、明日(15日)発売の、私の恒例の中国本の新刊書 『中国は 嫌々(イヤイヤ)ながら 世界覇権を握る』(ビジネス社刊)の 中で、韓国(本当は北朝鮮)発祥の、統一教会を、今もまったく非難しないで、その同伴者となっている、 日本の ①反共右翼の者たちのことを書いた。それと、この①に引き摺られたままの ② 生来の温厚な保守の人たちへの、怒りを書いた。是非、読んで下さい。

(ここに、統一教会の今のトップの 韓鶴子=かんつるこ=ハン・ハクチャ=の 顔写真のページを貼ってください)

このあとは、新聞資料を、長々と、6本ぐらい載せます。 副島隆彦記

(転載貼り付け始め)

〇 「 安倍派、全員交代案に衝撃 実現なら「 安倍派の終わりの始まり」 」
2023年12月11日   日経新聞

(ここに、この記事に付いている 6人の顔の 写真を貼る)

自民党派閥の政治資金パーティーを巡る問題は最大派閥の安倍派(清和政策研究会)存亡の危機に発展した。安倍派に所属する全議員を政務三役から外す案が岸田文雄政権で浮上したためだ。安倍派内には衝撃が走っており、激しく反発する議員もでている。

2000年以降の日本政治は「清和会支配」と呼ばれる。民主党政権を除く7人の首相のうち4人が安倍派で、首相在職期間の8割ほどを占めたためだ。全員交代を迫られれば派閥の求心力低下は確実で、20年ほど続いた全盛期から一気に存続が危ぶまれる「終わりの始まり」の状況になりかねない。

首相は12月10日、都内のホテルで安倍派幹部の萩生田光一(はぎうだこういち)政調会長と政治資金問題の対応を巡りひそかに協議した。同日夜、全員交代案を耳にした安倍派幹部は「悪手(あくしゅ) だ。副大臣や政務官までも交代させるようなことになれば、(岸田)内閣不信任決議案に賛成してもいい」と激高した。

ある政務官は、「やりすぎだ。まともにやっている人までやめさせたら次の選挙で傷になる」と語った。別の所属議員は「衆院当選一回の議員まで巻き込むのはかわいそうだ」と述べた。安倍派は閣内に松野博一(まつのひろかず)官房長官、西村康稔(にしむらやすとし)経済産業相ら4人の閣僚だけでなく、5人の副大臣、6人の政務官を抱える。

副大臣や政務官は閣僚への登竜門にあたり、当選期数の浅い議員らにはこうしたポストは派閥に属する「恩恵」となる。最大派閥にはいっても恩恵を得られなければ派に遠心力が働くのは避けられない。すでに一連の政治資金問題を受けて、退会を検討する動きも一部に出ているという。

安倍派が首相に再考を求める事態も想定される。党幹部によると「全員交代案は複数の選択肢のうちのひとつ」といい、首相は調整を継続するとみられる。 茂木派幹部は「安倍派だけで政治資金問題が収まるとは限らず、そのときは後任を探すのも難しくなるのではないか」と指摘した。

全員交代といった反発を呼ぶ案が浮上するのは、政権の危機感の裏返しといえる。
今国会では政務三役に次々と問題が発覚して「辞任ドミノ」がおきた。東京地検特捜部の捜査が進むにしたがって、該当者を一人一人更迭するといった対応をとれば過去最低に落ち込んでいる内閣支持率の一段の低下を招きかねない。

〇 「 安倍派の池田氏、パーティー収入3200万円の不記載認める 」
2023年12月13日  日経新聞

自民党安倍派(清和政策研究会)の政治資金パーティー問題を巡り、衆院議員、池田佳隆(いけだよしたか)元文部科学副大臣の事務所は12月13日、派閥からの収入を政治資金収支報告書に記載していなかったことを認めた。関係者によると、同日までに2020〜22年の収支報告書を訂正し、安倍派からの還流分約3200万円を寄付として計上した。

パーティー収入の還流分について議員側が収支報告書を訂正したのが判明するのは初めて。東京地検特捜部は政治資金規正法違反(不記載・虚偽記入)の疑いがあるとみて捜査。過去の立件例も踏まえ、不記載額が多い議員側を重点的に捜査するとみられる。

安倍派は派閥のパーティー収入の一部を所属議員に還流させ、派閥・議員側双方の収支報告書に記載しなかった疑いがある。還流を受けた議員は数十人に上る。うち直近5年間の池田氏側の不記載額は四千数百万円で、約5千万円の還流を受けたとされる大野泰正参院議員側に続く規模とみられる。関係者によると、派閥からの還流分はいずれも収支報告書に記載していなかったという。総務省公表分の20〜22年の収支報告書を訂正した。

池田氏の事務所は「党から清和政策研究会を経て支払われる政策活動費と認識して収支報告書に記載しなかったが、寄付として記載すべき性質のものと判断した。政治に対する信頼を損ねてしまったことに深謝する」とコメントした。池田氏は地元の名古屋市で21〜22年に開いた議員個人の政治資金パーティーでも記載漏れがあり、約1100万円の収入を追加計上した。

〇 「 旧統一教会の被害救済、進む法整備 残る「自助努力」」
2023年12月13日   日経新聞

(ここに、分かり易く説明した、図版がある)

世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の被害者救済に関する法が12月13日、成立した。教団の監視を強め、賠償の元手となる財産の散逸を防ぐ。既に施行された不当寄付勧誘防止法とあわせて救済の法整備が進んだが、被害者の自助努力が前提となる構図は変わらない。実効性の有無を継続的に検証する必要がある。

【関連記事】旧統一教会の被害者救済法が成立、教団財産の監視を強化
「教団の財産の動きを把握しやすくし、自由に移転できる状況をけん制する仕組みは被害者救済に向けた一歩だ」。近畿大の田近肇教授(憲法学)は法成立に一定の評価を語る。
新法は宗教団体に高額寄付をした被害者らが民事訴訟を起こす際の弁護士費用や、債権の保全手続きをする費用を支援する。財産流出を防ぐため、解散命令請求が出された宗教団体が不動産を処分する際は事前に行政機関に通知することも義務付けた。

狙いは「財産隠し」の抑止だ。教団が財産を海外などに流出させた場合、訴訟で賠償命令が出ても支払いが実現しない恐れがある。実際、1995年に解散命令を請求されたオウム真理教は所有不動産を関連会社名義に変えるなどして財産隠しを図ったとされる。
新法が不動産処分前の通知義務や目録提出を定めたことで財産状況は可視化されるが、処分自体を阻止することはできない。田近教授は「解散命令が確定した際に賠償の元手となる財産をどれほど保てるかは不透明」と指摘する。

法案審議の過程では、解散請求があった時点で裁判所が包括的に財産を保全できる規定の導入についても議論された。宗教法人法と同様に解散命令の手続きを定める会社法は、請求時点で裁判所が「財産管理命令」を出して資産を保全する規定がある。だが最終的に「信教の自由を害する恐れがある」との理由から見送られた。

被害の回復を個々の被害者自身が訴訟を通して自力で図る必要がある点もハードルとなる。教団の問題に長年対応してきた全国霊感商法対策弁護士連絡会(全国弁連)の阿部克臣弁護士は「被害者が自ら証拠を集めて訴訟を起こすのは負担が重い。当事者の自助努力に委ねられている点は変わらず、新法は無いよりマシな程度」と批判する。
全国統一教会被害対策弁護団も13日「教団による財産処分を把握しやすくなり被害者救済の一助となり得る」としつつ、財産保全の規定がないため「抜本的な対応策となり得ない」とする声明を公表した。

同法は付則で施行後3年をメドに「財産保全のあり方を含めて検討を加える」と明記された。政府は今後、状況次第で規定の見直しも検討するとみられる。
教団の被害者救済を巡っては1月、寄付者を困惑させるなどの違法な勧誘による寄付を最長10年間取り消せるといった不当寄付勧誘防止法も施行された。違法な寄付がただちに「無効」にならず、被害者側から「取り消す」必要がある同法についても救済範囲が狭いとの指摘があり、施行2年で見直すとの付則が付けられた。

救済の法整備が相次いで進むのは、解散請求を巡る裁判手続きが長期化するとの見方があるためだ。政府が宗教法人法に基づき、教団の解散命令を東京地裁に求めたのは10月。解散命令の効力が生じれば教団の財産は裁判所が選任する清算人が管理することになるが、膨大な証拠の検討が見込まれることから、結論が出るまでに「年単位の時間がかかる」(ベテラン裁判官)とみられている。
関係者によると、現在は教団側が地裁に意見書などを順次提出している段階という。双方の意見を直接聞く「審問」が開かれるとしても年明け以降となる見通しだ。

一方で、教団に関する被害相談はなお寄せられ続けている。日本弁護士連合会に2022年9月〜23年2月、教団に関する相談は550件寄せられ、うち422件は財産の被害に関するものだった。被害が1千万円以上だったとする相談が4割を占め「1億円以上」も26件あった。救済の実効性をどう確保するか、引き続き議論と検証が欠かせない。
【関連記事】
• ・旧統一教会の解散審理、長期化へ 法律論と具体論で攻防
• ・旧統一教会に解散命令請求へ 今後予想される流れとは

〇 「 河井(かわい)元法相、買収原資は安倍政権中枢からか 4人から6700万円思わせるメモ 自宅から検察押収 」
中国新聞  2023年9/8(金)
(ここに2人の顔を載せる )

河井克行(かわいかつゆき)元法相(左)と妻の案里(あんり)氏

( 副島隆彦注記。 この記事は、中国新聞(広島県が中心)のスクープだ。検察庁が広島の事件の現場から出したものだ。だから中国新聞だ。だが、東京の大新聞たちは黙っていて。この事実を報道しない。法務省=検察のトップから、岸田首相に それとなくのお伺い(あるいは打診)が数か月前にあって、それに対してようやく、岸田が、暗黙の許可を出したのだろう。 岸田は、安倍派(99人。そのうち統一教会系が60人 )の追い落としを狙っている。その計画中だ。東京のメディアは、この件を書かない。中国新聞を後追いして書くこともしない。奇妙な静けさだ。副島隆彦注記終わり)

2019年7月の参院選広島選挙区を巡る大規模買収事件 で、検察当局が20年1月に河井克行元法相(60)=服役中=の自宅を家宅捜索した際、当時の安倍晋三首相をはじめ安倍政権の幹部4人から現金計6700万円を受け取った疑いを示すメモを発見し、押収していたことが9月7日、関係者への取材で分かった。

検察当局は、元法相が広島県内の地方議員や後援会員に現金を配り回った買収の原資だった可能性があるとみて捜査していたという。 【図解】大規模買収事件を巡る金の流れ
関係者によるとメモはA4判。上半分に「第3 7500万円」「第7 7500万円」と書かれ、それぞれ入金された時期が付記されている。その下に「+(プラス)現金6700」と手書きで記され、さらにその下に「総理2800 すがっち500 幹事長3300 甘利100」と手書きされていた。・・・・ (以下略)

〇 「 元法務次官 辻裕教(つじひろゆき)を証人尋問 黒川元検事長の定年延長巡る訴訟事件・司法 」
2023年12月1日  日経新聞

( 副島隆彦注記。 この 辻裕教(つじひろゆき)仙台高検検事長(現職) が、法務省=最高検内の、 統一教会(学生時代は勝共連合)の活動家であり、黒川弘務に次ぐ  No2 で、この男を 法務・検察は、憎しみを込めて、獅子身中(しししんちゅう)の虫として、焼き殺そうとしている。副島隆彦 注記終わり)

東京高検検事長だった黒川弘務氏=辞職=の定年を延長した2020年1月の閣議決定を巡り、法務省が協議記録を不開示とした決定の取り消しなどを求める訴訟の口頭弁論が1日、大阪地裁であった。当時の法務次官、辻裕教氏が証人として出廷した。辻氏は「特定の検察官のためではなかった」と述べ、「(定年延長は)黒川氏を検事総長にするためだった」とする原告側の主張に反論した。

政府は従来、国家公務員法の規定に基づく定年延長は検察官に適用されないとの見解だったが、法務省は20年1月、解釈を変更。検察官にも適用できるとし、黒川氏の定年が延長された。元法務次官への証人尋問は異例。辻氏はこの日の弁論で「犯罪が複雑化し、担当者の交代で業務に支障が出る可能性があった」と話し、延長の必要があったとした。
原告の神戸学院大の上脇博之教授は関連文書の開示を求めたが、法務省は「作成していない」との理由で不開示としたため、22年1月に提訴した。

「 国は丁寧かつ合理的な説明不可欠」
弁護士で公文書管理に詳しい東洋大の早川和宏教授の話 事務次官という行政機関の事務方トップだった人物が文書開示を求める訴訟で証人尋問されるのは珍しい。実際に文書を作成する職員の方が証人としてふさわしかったのではないか。今回の訴訟が提起されたのは、官邸に近いとされた黒川氏のための解釈変更と国民に受け止められているからであり、国は丁寧かつ合理的な説明で真摯に向き合う必要がある。

副島隆彦注記。 この辻裕教(つじひろゆき)も、東大法学部の学生時代から、サークル活動で入って行った勝共連合(しょうきょうれんごう。統一教会の学生組織 )に入信して、やがて 狂い尽くした 秀才のひとりだ。 検察官になって法務省官僚の コースを歩んだ。黒川弘務の片腕(法務次官もした)で、各省のエリート官僚たちの中の、統一教会の 今の、現役(仙台高検検事長だ)のトップだ。岸田政権は、この男も追及する。

(ウイキペディアから転載貼り付け)

仙台高等検察庁検事長就任時に公開された肖像写真
(ここにウイキの 顔写真を貼る)

辻 裕教(つじ ひろゆき、1961年10月4日 – )は、日本の検察官、法務官僚。法務事務次官等を経て、仙台高等検察庁検事長。
人物  法務省大臣官房長や刑事局長、法務事務次官を経て、2021年より現職。
2023年6月、東京高等検察庁の黒川弘務元検事長の定年延長問題で、大阪地方裁判所は、当時法務次官を務めていた辻を証人尋問する事に決まった。現職検事長が証人尋問を受けるのは異例。・・・・

(転載貼り付け終わり)

今日は、これだけにします。 副島隆彦拝