立花孝志がNHK会長になる日(2)・・・もしくは立花孝志が総務大臣になってNHK予算の大幅削減をしてNHK改革をする日
(3097からの続きです)
●2019年120万票の民意が作った国政政党が2023年に『公党の乗っ取り事件』に巻き込まれ危うく乗っ取られそうになりました。今回はこの顛末を中心に書いていきます。幸いにもこの危機は立花孝志とその熱心な支持者の苦渋の決断で、自ら国政政党の要件を捨て去り、単なる政治団体に格下げする事によって、公党の乗っ取りの危機はほぼ収束に向かっていますが、代表権争いの訴訟などは未だ決着が着いていません。
◆◆立花孝志の躓きと次の一手◆◆
『ゆ党』という言葉がマスコミで使われ始めたのは2015年ぐらいからかと記憶しています。与党でもなく野党でもなく、是々非々で法案や政策に対して政治的立場を決める政党という意味で、『や』と『よ』の間にある『ゆ党』はなかなか上手いネーミングだなと思いました。一方、野党として明確に反権力の立場を表明しない、いい加減な政党という揶揄(やゆ)の意味を込めた皮肉で使われるのが一般的です。
ところが、立花孝志は本気で『ゆ党』という政治団体を立ち上げ、来る衆議院選挙に立ち向かおうとしています。立花の『ゆ党』は『YouTuber党=略称ゆ党』なのです。
立花孝志の選挙戦略は3つの基本的戦略から出来ています。
【I】(国政選挙に対する立花孝志の大きな戦略を一言で言うと)選挙に関心が無くこれまでは選挙の投票に行ったことの無い層(有権者の50%)をターゲットにすると言うことです。
【II】もう一つの大きな選挙戦略は、『選挙』と『政治』の分離という基本的な考えを持っています。与野党限らず現職の国会議員を観ていると、国家国民の為に外交、防衛、経済、社会制度について取り組む活動量よりも、次の選挙に当選するために地元の有権者の受けを狙った選挙対策活動に重点を置いている議員が大半ではないかと思えます。そこで立花が考えた戦略は、①選挙で票を集める人と、②政治活動に専念して国家国民の為の政治に全エネルギーを集中する政治家を分けようという作戦です。
(すでに、NHK党では2つ具体例があります。①2019年参議院選挙に当選した立花孝志はその三ヶ月後に比例2位の浜田聡に議席を譲りました。
②2022年の参議院選挙で当選したガーシーは失職し、後任に斉藤健一郎が参議院の国会議員としての政治活動を行なっています。2例とも有権者に知名度のある立花とガーシーが選挙で票を集めて当選し、後任に政治家として有能な人物を指名した実例です)
【III】選挙ごとにその選挙にふさわしいインパクトのある戦術を採用する。
次の衆議院選挙ではこの方針に従い、有権者に影響力のある(YouTuberを中心とした)インフルエンサーを沢山立候補させ、各ブロックごと(近畿ブロック、東京ブロック、南関東ブロック、北関東ブロック、東海ブロック、九州ブロックなど)に一人ずつ当選させる作戦です(衆議院比例ブロックでは政党名しか書けない、名簿の順位は政党が指定できる)。
さて、話を戻して、まず昨年2023年に立花孝志の前に突然現れた大津綾香という『不協和音』が立花の計画していた政治活動を大きく躓(つまず)かせ苦しめ、そして立花支持者をイライラさせ、まるで妖怪、モンスターとして憎しみの対象にまでなったかを書いてみます。
前述のごとく立花は各選挙ごとの戦術とアイデアの絵をいくつも描いていて、2022年秋から2023年春にかけては『政治家女子48党』という政治団体を作り、春の統一地方選挙の準備をしていました。2022年の末頃には集めた候補者50名のうち半数以上が当選する意気込みでした。ところが、以下に述べるような経緯をたどり党内のゴタゴタの為、結果は数名しか当選できず、このアイデアは失敗したと言わざるを得ません。
しかもその失敗の原因を作ったのがなんと立花孝志だったのです。2023年3月15日参議院本会議でガーシー議員の除名処分が可決されたため、その責任を取るという形で、国政政党NHK党の党首を立花孝志は辞職し、新党首に大津綾香(おおつあやか 当時30歳)を指名し、同時に国政政党の名称を『NHK党』から『政治家女子48党』にすると発表しました。これはある意味で、ガーシー議員の除名処分という不名誉を、好転するための奇策であると受け止められていました。
(2022年秋にYouTubeの広告で募集して集めた50人の女性候補者の一人である)大津綾香という政治家としては全く未知数の人物を起用し、しかも名目上の党首ではなく代表権を持つ党首に抜擢したのは立花がいかにこの『政治家女子48党』というアイデアと戦術が気に入っていたかを物語っています。代表権も渡したのはテレビでの党首討論が行なわれるような場合大津綾香が招かれるように配慮し、最年少の女性国政政党党首として国民の前にデビューさせようとしたのです。
(企業で言えば、代表取締役社長の実権と実印を新入社員に与えたようなもので、今から考えると実にとんでもない人事だったのですが、当時は一般党員も支持者も、まぁ立花が言うことだからいいだろうと言うくらいの消極的な賛同を示しました。それでも、大津が普通の社会常識と感覚をもった人物であれば、立花や党所属の国会議員の指導の元、政治家として立派に成長していくことは可能でした)
さて大津綾香が正式に党代表として法務局に登記されて、10日も経たないうちに、この人物がとんでもない悪人であることが判明し始めました。
あるトラブルがきっかけになったのですが、大津綾香の背後に企業乗っ取り屋の影がちらつき始めたのです。
これに気がついた債権者(立花の信用で党にお金を貸している、大半は立花の熱心な支持者で300人以上いる。合計11億円の貸し付がある)が騒ぎ出し、返金を要求したので党の資金がショートする恐れが出てきました。
立花は大津綾香に代表権の返還を求めたが、大津は法務局の登記簿に自分の名前が記載されていることを盾にを取り下げず、裁判沙汰になり国政政党の乗っ取り事件に発展しました。4月の段階では、立花は2億円の和解金を払ってでも代表権を取り戻そうとしましたが、その和解案にも応じず、代表権争いの決着はまだついていません。(2023年の時点で旧NHK党が今後5年間に受け取ることが確実な政党交付金は11億円であり、次の衆議院選挙、2025年の参議院選挙があるごとに獲得票数に応じてその金額は増加することになっています)
大津の背後には、怪しげな人物、組織の影が見え隠れします。それらは大きく分けると5つに分類できます。①国政政党の乗っ取りを企てている者、②政党助成金をかすめ取ることを目的に集まった有象無象の輩(やから)、③立花孝志の政治活動を妨害し潰そうという勢力④アンチ立花の立場から立花やNHK党を攻撃することで動画の再生数を回し小銭稼ぎを目的とする者⑤自らは動かず①~④に活動費を出している者などです。
●千葉法務局や総務省は書類上の党首は大津綾香であり、自分たちは書類の形式が整っていればそれを粛々と実行するだけですという態度を取り、大津側の党名変更届も受理しました。また、政党交付金の振込先の銀行口座も大津側は勝手に変更しましたが、総務省はそれに粛々と対応しています。
●裁判所は三権分立の立場から、司法が立法に口出し、介入することはしたくない、政党内の争いは政党内で決着して下さいという態度です。
●NHKは新年恒例の各政党党首へのインタービューに、あえて大津綾香を登場させました。
(私の目から見ると)明らかに総務省も法務省もNHKも立花孝志に不利になるような動きをし、意地悪く対応している様に見えます。
◆◆令和の大津事件は結果オーライとなる◆◆
昨年(2023年)3月に勃発した公党の乗っ取り事件はNHK党の支持者の間では『令和の大津事件』と呼ばれています。(明治時代に有名な『大津事件』があった)
2019年に120万人の民意が作り上げた国政政党『NHKから国民を守る党』は2022年にガーシー議員の当選で再び民意の支持を得ていました。
そして、ガーシー議員の除名騒動のマイナスを何とかプラスに転換しようと、立花が思い切ったサプライズ人事を行なった結果とはいえ、何の正統性も持ち合わせない簒奪者・大津綾香がいつまでも居座ることに対してはNHK党の支持者の間から、あらゆる非難の声が巻き起こってきました。
ところが、立花孝志の失敗人事の責任を追及する声は5月10日の臨時総会の場でも(1名の例外を除いて)不思議なことに全く起こっておらず、かえってこの事件が起こったことで、立花孝志への求心力はより強くなっています。(むしろ、あのような失敗をするのは立花さんらしいと余裕を持って受け入れています)
元々、立花孝志というキャラクターは常識や既成概念をぶっ壊す為に出てきたのだと理解できる人にはすんなりと受け入れられるのでしょうが、真面目な政治の世界(と思われているだけで実際には今の自民党のパー券問題のように全くでたらめな世界ですが)に、突然現れた現れた異端児が伝統や格式を壊し始めたと受け止められ既得権益者側の拒絶反応は相当なものであり、大津綾香の登場を奇貨(きか)として、立花潰しの動きは実際に起こっている。
それは、たとえて言うなら伝統と重厚さと秩序を重んじるクラシック音楽のステージに突然パンクロッカーが現れギターをかき鳴らし、舞台を跳びはねているという印象である。パンクロッカーの方が真実を表現し、凝り固まった現実を変革する力を持っているのだと理解できる人は立花孝志が明ける『風穴』に注目し、彼に力を与え、声援を送っている。(立花孝志=パンクロッカーについては次のYouTuberからの引用で、一部表現を書き加えました 26分15秒から→ https://www.youtube.com/watch?v=f_qJ9l_urK8&t=1789s)
立花は大津綾香の登場で躓いたものの、結果として大津綾香という『不協和音』が立花支持者の間に政治に対する深い思索の時間をもたらし、(NHK党臨時総会などを経験することで)デモクラシー(民主政治)にたいする理解を深めたといえる。音楽の作品において不協和音が作品の内容を深め、インパクトを与えるように、簒奪者(さんだつしゃ)大津綾香の存在が、立花支持者の政治に対する意識を高め、法律知識を増加せしめ、政治センスをも向上させる原動力となとなっている。
◆◆合法の範囲内であれば何でもするだろう◆◆
昨年から続く、斉藤健一郎(立花側)と大津綾香の間で行なわれている代表権争いは2024年1月29日現在結論が出ていませんが、本年の政党助成金を受け取る為には【政党助成法第5条】に基づき本年1月1日の所属政党を各議員は署名捺印して(政党助成金を受け取ろうとする政党が)1月16日までに総務大臣に届けでなければならないということが法律に定められています。
しかし、2名の国会議員(浜田聡、斉藤健一郎)は登記簿上の党首である大津綾香の党所属の国会議員であることを認める書類を提出しなかったので、(NHK党の流れをくむ)この国政政党は政党助成法上の国政政党の要件を満たさず、単なる政治団体になったのです(そこまでしなければ大津綾香を排除出来なかった立花孝志やその支持者達の苦渋の決断です)。そして本年中に入る予定だった旧NHK党の政党助成金3.3億円は共産党を除く他の国政政党に按分されました。
【政党助成法第5条】(政党交付金の交付を受ける政党の届出)
政党交付金の交付を受けようとする政党は、その年の1月1日(同日が前年において行われた総選挙又は通常選挙に係る次条第1項の選挙基準日前にある場合には、当該選挙基準日とする。以下「基準日」という。)現在における次に掲げる事項を、基準日の翌日から起算して15日以内に、総務大臣に届け出なければならない。
その結果、(大津綾香が党首であると主張する)この政党は本年以後の政党助成金約10億円は受け取ることが出来なくなり、債務超過に陥ることが確実となった。
立花側はこの状況になることをあらかじめ予想していたので、債権者の代理人が(大津側の)党の破産申し立て(債権者申し立)を行ない、管財人が指名され、党の実権は破産管財人の手に握られることになった。
こうして、大津綾香とその背後にいる怪しげな人物が勝手に振る舞うことを許さない保全対策が一応取られたのである。
◆◆政治団体を再び国政政党に作り上げる◆◆
2019年に政治団体を国政政党に飛躍させた立花孝志は2024年に大津綾香とその一味の政党乗っ取り集団と縁を切る為、苦渋の決断の末、『損切り』を断行し、再び政治団体NHK党としてスタートしました。(国会内では浜田聡と斉藤健一郎は参議院会派『NHKから国民を守る党』として従来通り活動する)
最悪の状況を受け入れる覚悟を決め、立花孝志は再び政治団体NHK党からスタートし、本年中に行なわれるであろう、衆議院選挙に挑むことになる。
この選挙で最悪議席が獲得できなくとも2%の得票を見込み衆議院選挙後に、斉藤、浜田両議員がNHK党に戻る事で、2%の得票と国会議員2名の国政政党に復活出来る。
立花孝志は法律の範囲内であれば、世間からどんなに非常識と言われようが選挙戦術として採用していくと公言しています。つまり、日本の政治を変えるためには、革命と呼ばれるような非合法な手段は取らないが、合法のギリギリのところで選挙運動を行なうと(私は)みています。(つづく)
(2024年1月29日投稿)