書評『舌はがしから始まる平井メソッド健康革命』
『舌はがしから始まる平井メソッド健康革命』を読了しました。書評として、この重たい掲示板に残しておきます。
この本の著者は、我々のよく知る藤森かよ子先生である。アインランドの訳本が有名であるが、さらに自著としては『馬鹿ブス貧乏で生きるしかないあなたに愛をこめて書いたので読んでください』などのいわゆる馬鹿ブス貧乏シリーズ三部作がある。副島先生は、このシリーズの最初の『馬鹿ブス貧乏で生きるしかないあなたに愛をこめて書いたので読んでください』を絶賛していた。曰く、「下條、お前もこの本を参考にして、こういう赤裸々な本を書くんだ!!!」だそうだ。
女性自身による、本音の女性の優れた生き方を書かせたら、上野千鶴子を超えて藤森先生が日本で一番だろう。
さて、そんな藤森先生が健康本を出版した。タイトルは『舌はがしから始まる平井メソッド健康革命』。福岡市の「七星スパルタ鍼灸院(しんきゅういん)」という鍼灸院の院長である平井幸祐(ひらいこうすけ)氏が提唱する健康法を紹介している。舌を上顎(うわあご)に押し上げる「舌はがし」により、健康になるとするメソッドである。「脊柱側弯症や頭痛、肩こりなどの改善例が多数報告されており、日常生活に驚くべき効果をもたらす」と紹介されている。
一見、怪しさ満載なのであるが、わざわざ私がこの本の書評を書いた理由のひとつに、私自身が20年以上この「舌はがし」を実践したことによる。といってもこの本にあるような日常の健康のためではなく、下歯が上あごにあたり口内炎がひどいという切実な理由による。若いころ、仕方がないので歯の矯正をして直したが、すぐに歯はもとに戻ってしまう。そのとき矯正歯科で紹介されたのが、舌を上あごにつけるという「舌はがし」である。その矯正歯科の先生が言うには、「歯が出っ歯や反っ歯になるのは、その人の舌が歯を押しているためだ、つまり、長い年月、舌で歯に力をかけつづけると歯は簡単に動いてしまう(矯正歯科の原理)、だから押さないように常に舌は上あごにくっつけておくに限る」というアドバイスだった。
以来、大雑把ではあるが、寝ているときは舌をできるだけ上あごに押し付けるようにして、今にいたる。
ここから、「舌はがし」というのは、矯正歯科医の間で秘伝として伝わってきたものが、「実は健康そのものにも、かなりいい効果があるらしい」と、ざわざわとうわさとして広がっていったのではないかと想像する。
実際、私の場合、歯ぎしりをしなくなった。この効果は結構、大きかった。以前の私は何かに集中しようとすると歯ぎしりがひどかった。論文を一報書こうものなら、奥歯が痛くて肉が噛めなくなっていた。舌はがしのおかげで、今ではそんなことはなくなった。歯ぎしりは、歯茎にも悪影響があるはずだから、舌はがしで相当健康になったと思う。『舌はがしから始まる平井メソッド健康革命』では健康になった症例がたくさん出てくるが、3番目の人が私と全く同じことを言っている。
残念ながら「頭痛、肩こりなどに効き目がある」という実感は私にはないのだが、それでも健康法として、この「舌はがし」はおすすめである。
さて、健康本だけに内容は読んでいただくに限るが、一点だけ注目したのが、この本が取り上げている平井幸祐(ひらいこうすけ)という人の人生である。私と同じ理科系である。「15歳で陸上自衛隊に入隊し、19歳で退職」とあるが、応用化学を専攻していたらしい。自動車工学やロケット弾発射法、爆発処理まで学んでいたそうだ。以後、機械から人間の体に興味を発展させたようで、武術、古武術の勉強や、大阪の鍼灸大学に通ったり、上海中医薬大学で漢方も学んでいる。
健康本として、おすすめです。特に藤森先生の本は小ネタが満載で、これがまたおもしろい。例えば、「乳酸菌WB21」という健康食品が、この本の中で紹介されている。私もこれを藤森先生のブログでみて、さっそく購入してなめている。確かに胃腸の調子がいい。
学問道場の皆さんも、ぜひ、『舌はがしから始まる平井メソッド健康革命』を読んでみてください。
下條竜夫拝