安倍前総理は、学術会議員の排除リストを事前に官僚達に作成させている。私の憶測だが。
相田です。
学術会議問題で、菅義偉首相が、「自分の手元に名簿が来た時には、既に6人が削られていた」と発言した事が、波紋を読んでいる。以下にニュースを引用する。
(引用始め)
学術会議側から「文書の改ざん」指摘相次ぐ
TBS NEWS, 10/11(日) 17:48配信
日本学術会議の任命をめぐって、菅総理が105人の推薦者リストを「見ていない」と説明したことについて、学術会議側から「文書の改ざん」や「違法性」の指摘が相次いでいます。
菅総理大臣は9日、日本学術会議からの推薦者リストについて、任命されなかった6人を含む105人のリストは「見ていない」として、先月28日に見た時点で99人になっていたと説明していました。
これについて11日、学術会議の元会長で東京大学の大西隆名誉教授は、JNNの取材に対し「学術会議は総理に対して105人を推薦をしている。総理に伝わる前に他の誰かがリストから6人を削ったのであれば、文書の改ざんとなり大きな問題」と述べました。
そして、法律には「学術会議の推薦に基づいて、総理大臣が任命する」と規定されていることを踏まえ、「菅総理が105人の名簿を見ていないなら、学術会議の推薦に基づかず任命したことになり、法律の規定に反する」と指摘しています。
また、任命されなかった6人の1人、早稲田大学の岡田正則教授も「任命権者(菅首相)に推薦が到達していないのですから、任命拒否はありえない」として、「菅首相の『任命行為の違法性』がますます明確になった」との見解を示しました。
(引用終わり)
自分が名簿を確認して名前を削った訳でもなく、名簿の内容に責任を持つ、とは、確かに理解し難い説明である。この矛盾が、左翼から徹底的に追及されるだろう。
私の憶測だが、菅総理の発言に矛盾しない状況が、一つだけある。それは、学術会議員の推薦可能性のある学者達を、事前に選別し、排除学者達の名前を書類に書いていた可能性だ。学術会議側から105人の推薦人名簿が内閣府に届いた際に、官僚側で事前に作成した「排除リスト」と照合し、マッチした6人を除いて、菅総理に提出したのだ。
排除する学者達についての基準を、事前に決めておき、その内容を総理に説明済ならば、削除前の名簿を見なくても、内容に総理は責任を持てる、と言えるだろう。排除リストには、学者達の具体的な名前と、排除の理由(どれだけ問題人物かのレベル)が、数値化されて記載されている筈だ。少なくとも法学者、政治学者については、当てのある人物が全て挙げられているだろう。リストを作るように官僚に指示したのは、菅ではなくて、安倍前総理だろうが。
これは単なる私の妄想では無い。遡ること66年前の1954年に、全く同じ事件が起きている。改進党の中曽根康弘代議士が、衆議院に「原子力予算」を提出する直前、物理学者達の政治思想の左右の程度について、リストが官僚により作成され、原子力開発に参加させる物理学者を排除する基準として使用されたのだ。物理学者の思想リストの作成を指示した人物は、福井なにがしという衆議院議員で、作成した官僚は工業技術院の初代院長の駒形作次(こまがたさくじ)である。駒形は、初代の原子力研究所の理事長で、当時は学術会議の会員でもあった。
このリストにより排除された物理学者の一人が、当時「民科」の物理部会長をやっていた伏見康治だった、云々、という話は、以前に私が「ぼやき」で詳しく書いた。リストの現物は日本側では既に破棄されており、アメリカ大使館の当時の科学アタッシェとして日本にいた、オットー・ラポルテに提出された物が、アメリカに公文書館に残されていた。文書を発見したのは、東工大学の科学史家の山さき(さきは立)正勝(やまざきまさかつ)氏である。以前に赤旗が記事に取り上げていた。
私の憶測だが、山崎氏が発見した書類と、ほぼ同じ内容・趣旨の「学術会議員排除リスト」が存在し、菅首相も官僚から内容の説明を受けていたのだ。
それに従って官僚側が機械的に6人を削って、菅総理に提出したならば、話の辻褄は会う。
今回のそもそもの発端は、赤旗が学術会議員の名簿の名前が削られていると、スクープ記事として報じたことによる。共産党はおそらく、この排除リストの存在に気づいており、最終的に、排除リストを公にすることを狙っているのではないか?
菅首相は、そんなリストの存在は絶対認めないだろう。が、学者達は理屈の細かな矛盾を付くのが商売なので、納得いくまで追求を止めない。話題になっている「御飯論方」や「チャーハン論法」で、どこまで国会での追求をかわすことが出来るのか、見ものである。
相田英男 拝