2022年6月23日からウクライナ軍や州知事たちは、ゼレンスキー大統領の判断を通さず、自分たちの判断で行動(撤退)している。

かたせ2号 投稿日:2022/06/25 16:01

かたせ2号です。

<本投稿での、かたせ2号の主張まとめ>
ちょっとした変化が、ウクライナで起きています。ロシアとの戦況報告を、ゼレンスキー大統領が2022年6月23日から行わなくなっています。代わりに州知事が独自に情報発信をしています。また、2022年6月24日には、ウクライナ軍総司令官が、アメリカ軍制服組トップと会談を行ないました。
これらの戦況や会談結果の報告を、ウクライナの州知事や軍総司令官は、ゼレンスキー大統領の発表を経由せず、通信アプリの「テレグラム」に各自で投稿し、世界に発信しています。その情報を拾って西側の報道機関が世界に拡散している構図。

ここから、推断できることは、
・ウクライナの軍事活動について、ウクライナ軍や州知事たちは、ゼレンスキー大統領の判断を通さず、自分たちの判断で行動(戦地から撤退)している。
・アメリカ政府はその動きを密かに容認している。

以上の2点です。
上記の分析は、ふじむら掲示板[352]で紹介していた「ウクライナ(ゼレンスキー)&英国 VS ウクライナ(軍総司令部)&米国、の分裂。」という構図にあてはまるので、違和感はありません。
この対立構図が激化しているのが現在の状況だと、私、かたせ2号は考えます。

<以下、本文>
かたせ2号です。
最初に、ウクライナの戦況報告に関する記事(2022年5月18日配信~2022年6月21日配信)を、4本ご紹介します。不利の戦況も含め、すべて、ゼレンスキー大統領が発表しています。

TVasahiのサイトから。
記事名:ゼレンスキー大統領 アゾフスタリ製鉄所から「兵士の安全な撤退続く」
2022年5月18日配信
https://news.tv-asahi.co.jp/news_international/articles/000255067.html
(一部引用開始)
ロシアによる侵攻が続くウクライナのゼレンスキー大統領は、事実上陥落したとみられる南東部マリウポリの製鉄所から兵士の安全な撤退を進めていると強調しました。
ゼレンスキー大統領は2022年5月17日、アゾフスタリ製鉄所にいる兵士について「我が軍の監督のもとで撤退が続いている」と強調しました。
(一部引用終わり)

BBCのサイトから。
記事名:ゼレンスキー大統領、激戦の東部2市は「死んだ」 ウクライナ軍が劣勢と説明
2022年6月7日配信
https://www.bbc.com/japanese/61714727
(一部引用開始)
ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は2022年6月6日、東部の都市セヴェロドネツクで持ちこたえているウクライナ軍について、人数でロシア軍に劣っており、不利な立場に追い込まれているとの見方を示した。
(一部引用終わり)

CNNのサイトから。
記事名:ゼレンスキー氏、セベロドネツクとハルキウ州で「痛ましい損失」続く
2022年6月15日配信
https://www.cnn.co.jp/world/35188948.html
(一部引用開始)
ウクライナのゼレンスキー大統領は2022年6月14日の動画演説で、東部ルハンスク州セベロドネツクとハルキウ州で激しい戦闘が続いていると明らかにした。
セベロドネツクでの「損失は残念ながら痛ましい」としつつも、「我々は持ちこたえなければならない」と述べ、ウクライナ軍が東部ドンバス地方にとどまることが極めて重要との認識を示した。
(一部引用終わり)

FNNのサイトから。
記事名:セベロドネツクで戦闘激化 「かつてない最も困難な戦いに」
2022年6月21日配信
https://www.fnn.jp/articles/-/378206
(引用開始)
ウクライナのゼレンスキー大統領は、東部の激戦地・セベロドネツクとリシチャンシクについて、かつてない最も困難な戦いになっていると述べた。
ゼレンスキー大統領「われわれはリシチャンシク、セベロドネツクを守っているが、これまでで最も厳しい戦いだ」
特に、セベロドネツクでの戦闘は激しさを増していて、市内の大半はロシア軍に制圧され、ウクライナ軍は、化学工場とその周辺の地域で守勢に回っているという。
ルハンスク州のガイダイ知事は、ロシア軍は数十にのぼる重火器を持ち込んでいて、大規模な攻撃の開始に向け、十分な火力を保有しているとの見方を示している。
(引用終わり)

かたせ2号です。
上記の通り、4記事とも戦況をゼレンスキー大統領が発表していました。
しかし、2022年6月23日から、ゼレンスキー大統領の戦況発表が消えてなくなります。その空白を西側報道機関は、ウクライナの州知事や軍総司令官たちのネット投稿を拾って補うことになります。

ロイター通信から。
記事名:ロ軍、東部ハリコフで総攻撃 EU候補認定に期待とゼレンスキー氏
2022年6月23日
https://jp.reuters.com/article/ukraine-crisis-idJPKBN2O325Z

(抜粋開始)
EUは2022年6月23日の首脳会議で、ウクライナを加盟候補国に正式に認定する見通し。加盟手続きには長い時間がかかるため、象徴的な意味合いが強いが、ウクライナ人の士気を高めると期待されている。ゼレンスキー氏はオランダの首都アムステルダム向けのビデオ演説で、EUの全27加盟国が候補認定を支持するだろうと論じ「われわれにはその資格がある」と語った。
ハリコフ州のオレフ・シネグボフ知事は、通信アプリ「テレグラム」に「ロシア軍による民間人への砲撃は弱まらない」と投稿。「ロシア軍が圧力を受けて撤退したチェルニヒウやキーウと同じシナリオは期待できない」とした。
東部ルガンスク州のガイダイ知事はネット上の投稿で、ロシア軍は要衝セベロドネツクでウクライナ軍を包囲するために予備部隊を増強していると指摘。ロシア側が同市を既に制圧したと主張していることについては「戦闘は続いている」と反発。「ロシア軍は完全掌握していない」と現地テレビに語った。
(抜粋終わり)

かたせ2号です。
ゼレンスキー大統領は戦況につき、沈黙しています。そして、ハリコフ州の知事は、「ロシア軍が圧力を受けて撤退したチェルニヒウやキーウと同じシナリオは期待できない」と指摘、このままでは占領されてしまう、と正直に報告しました。

続いて、同じくロイターの記事。
記事名:ウクライナ軍、セベロドネツクから撤退か 東部州でロ軍が掌握拡大
2022年6月24日配信
https://jp.reuters.com/article/ukraine-crisis-sievierodonetsk-idJPKBN2O50D8

(引用開始)
ウクライナ軍は東部ルガンスク州の要衝セベロドネツクから撤退しているもようだ。セベロドネツクは大半の地域がロシア軍に占拠されている。同州のガイダイ知事は2022年6月24日、すでに部隊に移動命令が出ていると述べた。またリシチャンスク南部もロシア軍が完全に掌握した。
セベロドネツクについて、ガイダイ知事はテレビで「ただとどまるという目的のために破壊された地域に何カ月もとどまるのは理にかなわない」とし「撤退せざるを得ない」との見方を示した。すでに現地の部隊に別の場所への移動命令が出たとしたが、すでに移動したのかや、移動先は不明。
ロシア軍は、ルガンスク州とドネツク州を合わせたドンバス地方の完全掌握を目指している。
ルガンスク州でリシチャンスクはウクライナ軍が唯一おさえていたが、地元当局者によると2022年6月24日朝の段階で南部がロシア軍に「完全占領」された。南部を制圧されたことで三方向をロシア軍に包囲される事態となる。
(引用終わり)

かたせ2号です。
ルガンスク州の知事が、「ただとどまるという目的のために破壊された地域に何カ月もとどまるのは理にかなわない」とし「撤退せざるを得ない」、とテレビで発言しました。これはおそらく、「ただとどまれ」という司令がゼレンスキー大統領サイドから出ているが、それにはもう従えないという意思表示でしょう。
前日のロイター記事でこの知事は、「ロシア側がセベロドネツク市を既に制圧したと主張していることについては「戦闘は続いている」と反発。「ロシア軍は完全掌握していない」と現地テレビに語った」にもかかわらず、独自の判断をくだしたのでしょう。

これらの動きと呼応するかのように、ウクライナの軍総司令官は、アメリカ軍制服組トップと会談を行いました。
(この件は、藤原直哉さんのツイートで知りました
https://twitter.com/naoyafujiwara/status/1540426935893135360 )

ロイター記事から。
記事名:ウクライナ軍トップが米参謀本部議長と電話会談、「ロ軍と同等の兵力必要」
2022年6月25日配信
https://jp.reuters.com/article/ukraine-crisis-arms-idJPKBN2O51QR

(引用開始)
ウクライナ軍のワレリー・ザルジニー総司令官は2022年6月24日、米軍制服組トップのミリー統合参謀本部議長と電話会談を行い、困難な状況に陥っている東部ルガンスクの安定化にはロシア軍と同等の兵力が必要と伝えた。
ザルジニー総司令官はミリー氏との電話会談後「作戦状況のほか、国際的な技術支援の供与について協議した」とテレグラムに投稿した。
米国防総省は前日(2022年6月23日)、ウクライナに最大4億5000万ドルの追加軍事支援を行うと発表。高機動ロケット砲システム(HIMARS)4基を新たに供与するほか、沿岸・河川巡視船18隻と数千発の砲弾なども提供する。
(引用終わり)

かたせ2号です。
ゼレンスキー大統領を無視した、完全に頭越しの行動です。そして自分の判断で、テレグラムに投稿し世界中に発信しています。
おそらく「Ukrainians are ready to die for the European perspective. We want them to live with us the European dream.(ウクライナ人は、ヨーロッパの理念のために死ぬ準備ができています。私たちは、彼らにヨーロッパの夢を共に生きてほしいのです。)」(by
ライエンEU委員長)といったような発想しかできない、ゼレンスキーの作戦指示についていけなくなったのだと推察します。

ウクライナという国家(組織)が「ブチ割られました」。

(補足)
以下の記事が飛び込んできたので追加しておきます。
以下の記事で、上記州知事たちの判断・発言が、ゼレンスキー大統領側の「許可」を得ていないことがはっきりしました。

時事通信のサイトから。
記事名:ウクライナ軍撤退「ノーコメント」 東部要衝めぐり報道官
2022年6月25日
https://www.jiji.com/jc/article?k=2022062500199&g=int

(一部引用開始)
ウクライナ国防省報道官は2022年6月24日、ロシア軍が猛攻を仕掛ける東部ルガンスク州の事実上の州都セベロドネツクから、ウクライナ軍が撤退したという情報があることについて「何も話せない」とノーコメントを貫いた。「防衛作戦を邪魔する必要はない。ウクライナ軍を信じてほしい」と発言するにとどめた。
ウクライナ側はこれまで、多大な人的被害を出しながらも、セベロドネツクは防衛できていると表明してきた。報道官の慎重姿勢は、戦況が重大な局面を迎えたことを示唆している。
 ルガンスク州のガイダイ知事はこれより先、ウクライナ軍が「既に命令を受けている」「新しい、より強固な拠点へ移動することになる」と述べ、撤退は不可避との認識を表明。従軍取材する地元記者も「(陣取っていた)工業地区の一部から未明に撤退した」と明らかにしていた。
(一部引用終わり)

以上