ロンドン金属取引所(LME)、金銀の先物取引終了を発表

かたせ2号 投稿日:2022/06/02 20:43

かたせ2号です。
気になる記事があったので紹介します。

気になった理由。副島隆彦先生が日本人として唯一述べておられる「アメリカは“金(きん)殺し”と“新興国殺し”で生き延びる」の話とつながっているし、「現引き(自分の手元にある現金でゴールド現物を引き取ること)」急増の後の先物取引市場の崩壊と、ドルのさらなる価値の下落する未来が想像できるからです。

ゴールド投資の記録のサイトから。
記事名:ロンドン金属取引所(LME)、金銀の先物取引終了を発表
2002年5月24日
http://goldcollector.blog.fc2.com/blog-date-20220524.html

(引用開始)
ロンドン金属取引所(LME)は2022年7月までにゴールドとシルバーの先物取引を終了することを発表しました。

記事名:LME、金・銀先物を2022年7月までに廃止へ。薄商いのため。
2022年4月22日配信
https://www.nasdaq.com/articles/lme-to-scrap-gold-and-silver-futures-by-july-due-to-thin-activity

 取引が低調であることを理由として挙げていますが、インフレによって金銀を含むコモディティ市場はむしろ取引が活発化しているはずで奇妙な話です。ネット上ではロシア中央銀行の金買い取りに絡めて理論的な現物価格とペーパーとの乖離、ペーパーを下げて現物を買い集めている主体がいる等、憶測が流れていますが本当のことは私には分かりません。ただ、現時点での終了は不可解ということだけは言えると思います。また国際的な金銀先物取引については、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)が主ですので、今のところLME取引の閉鎖が影響を及ぼすことはないと見ています。
 LMEというと、2022年3月にニッケルの踏み上げで中国の生産者が巨額損失を蒙り、当日の取引が全て無効となる前代未聞の事件が記憶に新しいところです。あれからニッケルの先物市場は暫くのあいだ再開出来ませんでした。ゴールド投資というと、次に必ず出てくるのが金鉱株はどうなのかという話ですが、金銀の生産者も先の中国のニッケル生産者同様、ヘッジのため先物で常に売り持ちをしているはずなので、市場の急変とポジションの量によっては火だるまになる可能性が燻っています。つまり金鉱会社へ投資するのなら、どういったヘッジをしているかを含め、企業のことを事前によく調べた方が良いという事です。現に産金大手バリックゴールドは過去にゴールドの踏み上げで600億ドル(7.6兆円)超の巨額損失を計上したことがあるのです。

 ところで先物市場というのは僅かな証拠金で何十倍もの取引を行うことが可能ですが、実際に現引きするのは極少数で殆どは差金決済取引となっています。事実上、現物商品の価格は膨大なマネーの潮流によって決められていることが、マネー優位の現代社会を表しているとも言えます。しかし現実問題としてLMEニッケルの踏み上げ騒動に見られるように、もしもその買いポジションが一斉に現引き(自分の手元にある現金でゴールド現物を引き取ること)に向かったとしたら、引き渡せる現物はないのが現状なのです。これが差額を儲けて満足なうちは良いのですが、今後お金よりも現物がますます重要になっていくとしたら、お金は要らんから現物をくれよという人が増えていきませんか。そうなると今の先物市場というのはたちまち機能出来なくなります。ゴールドについても先物やロンドンのスポット取引に見られるように、現物を介さず、その数十倍ものマネーが行き交うペーパー市場で値決めされているのはおかしな話だと思いませんか。

裏を返せば先物などのペーパー市場が大手を振っているうちは、ゴールドが本来あるべき価格で取引されることはないだろうということです。私は先物の総ポジションは、少なくともその商品の現在庫もしくは供給見込みを上限にするなど、完全に引き渡しが出来ることを前提に変革すべきだと思いますね。今後マネーではなく、現物優位の経済になっていけば自然とそうなるだろうし、場合によっては先物自体消滅することもあり得る。LMEの金銀先物取引終了はそんな事を予感させるニュースでした。
(引用終わり)

以上